悪の論理―地政学とは何か (角川文庫 白 267-1)

  • 32人登録
  • 3.89評価
    • (3)
    • (2)
    • (4)
    • (0)
    • (0)
  • 5レビュー
著者 : 倉前盛通
  • KADOKAWA (1980年12月発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (298ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784043267019

悪の論理―地政学とは何か (角川文庫 白 267-1)の感想・レビュー・書評

並び替え:

表示形式:

表示件数:

  • 地政学とは地理政治学のことでその他の社会科学がそうであるようにいくつかの仮説によって構築された虚構論理の1つである。敗戦後、米ソの占領政策によって、日本とドイツでは研究が禁圧されていた。
    アメリカの海兵学校の教科書には地政学のことを、政治の地理学に対する関係の科学と定義づけている。
    イギリスもアメリカも日本が真珠湾攻撃をした時は大喜びした。これでアメリカが堂々と国民に戦争参加の理由ができる、ということで。

    欧米の新聞ではソ連時代もRussiaと表現していた。ソビエトと書くようことは絶対になかった。

    世界の主な海峡は常に強国の狙うところとなり、力の弱い国家は海峡を持つがゆえに、侵略や圧迫を受けることが大きい。ロシア人にはこの欲望が特に強い。

  • 地政学の入口に。ただし奥山真司「地政学」や曾村保信「地政学入門」の方が入口向きか。

  • 著者自身が言うとおり、大抵の記述は一見して筋が通ってるように思えるし、書いてあることが自然に事実かのように思えてくるような箇所も結構あれど、ただ読むだけじゃ正しいのかどうか判断しづらいところの方がやっぱり多い。でも時折、これは正しいと言える記述も出てくるので読まないわけにはいかない。読んで始めて、調べて議論する土俵に立てる。

    個人的にメモした項目を羅列します。
    The Hull note に関する記述は正しそう。時系列が行ったり来たりするので慎重に読まないとわけがわからなくなるかも。
    日中韓の団結がなかなか進まないように妨害されているというのは2010年現在でも健在の論調。
    チベットに関しては、自分が知らなかったことが数多く書かれていて、池上彰なんて目じゃないほどに納得できた(鵜呑みはいかんけども)。
    途中まで電子化の話はほとんど出てこなかったので、最後まで触れられないのかと思いきや、アメリカの世界戦略の話の中で大きく取り上げられていて、いい意味で期待を裏切られた。
    アメリカの世界戦略といえば、原発開発発注巨大キャンセルの話はどこかで聞いたような気も。
    琉球と日本の関係については、自ら調べる必要がありそう。

    総じて断言調かつ推測の域を出ない書き方が多いので、後半に進むほど不信感を抱いてしまうものの、得られる視野の広さと思考の深さは貴重。大体が2010年でも通ずる記述。全くと言っていいほど古臭くない。
    蛇足ながら、「おわりに」での日本人についての記述は素晴らしいと感じた。

  • 三十年前に書かれた本だが地政学入門書としてはこれに勝るものはないのではないか。
    国際社会を生き抜くために小善人ではなく悪党に、醜草になれという。国家が世界戦略を策定する上で他の科学と同じ虚構論理体系の地政学が未だに研究されていることを述べる。
    大東亜戦争の原因や流れについての地政学的な考察があり、米がマハンの教科書どおりに行動していたこと、サイパンの陥落が事実上の勝敗の分かれ目であったこと、日本もマハンを学び極東と西太平洋に完全な海洋国家としての戦略体制を整えていたこと、米ソの陰謀が日本を大陸へ引きずりこみ日本の道を誤らせたこと、ゾルゲと尾崎などのスパイのこと、海軍の将星が秀才ではあったが動物的カンが退化して善人であったことなどを論じている。
    次にロシアの地政学。共産主義がユダヤ教、キリスト教、イスラムと同じ系統の一神教であることを喝破。ソ連の赤軍参謀がマッキンダー地政学を信奉していること、それはハートランドを制するものが…ってヤツであること、リムランド論を唱えたスパイクマンについて、そしてそれがために米ソはリムランド内での団結を快く思わず妨害すること(日英同盟など)、海へ進出しようとするソ連と諸国の動向などについて。
    あとヒマラヤの山脈国境について。チベット対チャイナの戦いの流れはこれを読むまで知らなかったので勉強になった。
    それから半島の地政学。海洋国家と大陸国家の均衡する場所で、朝鮮半島、ヨーロッパ半島、インドシナ半島、インド亜大陸などを例にあげて解説。
    そしてドイツ地政学。生存圏とゆう概念があるが、これは大陸国家のもので日本にはなじまないこと、チャイナやソ連が生存圏意識をむき出しにしていること、ハウスホーファーの地政学がシベリア出兵後の日本の道を誤らせたことなどについて述べる。
    また植物生態学的環境がその国の軍に与える影響についても考察。海流地政学も紹介し、二十世紀以降の文明が海流流線の集中点近くに栄えるとの仮説を提起。
    戦後地政学として周海の地政学を紹介。戦略兵器の発達により北極が内海となってしまったこと、沖縄における米ソの工作、米ソの謀略としての大陸棚条約、中韓の海底資源を巡る思惑など。
    最後に二十一世紀の地政学について。エネルギー、食糧、情報の重要性を説いており、エネルギーでは米国内の原子力産業について、それからドイツが原子力開発でうまく立ち回っていること、また日本の原子力開発に対する米ソの妨害などについて述べる。資本主義第三世代への移行の中にある米国の地政学としての対日本、韓国政策にも触れる。また日本が独自の地政学として「経済ゲオポリティック」ともゆうべき東洋的地政学を発展すべきとしており、今までの西洋地政学が剛なら柔であるべしと主張、硬いテーゼを含まぬ日韓台三国の人々に受け入れやすいものであるべしと述べる。

全5件中 1 - 5件を表示

倉前盛通の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
宮部 みゆき
J・モーティマー...
デール カーネギ...
ティムール ヴェ...
ジェームス W....
トマ・ピケティ
ジャレド・ダイア...
有効な右矢印 無効な右矢印

悪の論理―地政学とは何か (角川文庫 白 267-1)はこんな本です

悪の論理―地政学とは何か (角川文庫 白 267-1)を本棚に「いま読んでる」で登録しているひと

悪の論理―地政学とは何か (角川文庫 白 267-1)を本棚に「積読」で登録しているひと

ツイートする