アンジェリーナ 佐野元春と10の短編 (角川文庫)

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制作 : 谷口 広樹  江國 香織 
  • KADOKAWA (1997年1月23日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784043410019

アンジェリーナ 佐野元春と10の短編 (角川文庫)の感想・レビュー・書評

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  • 佐野元春。

    オールドロックファンであれば
    忌野清志郎と共に
    知らない人はいないであろうロックンローラーであり、

    日本語のロックなど
    実質的には不可能であると言われていた時代に
    (ロックとは英語の音感やリズムを前提に作られたから当たり前なんやけど)

    洋楽のエッセンスをたっぷり詰め込み
    違和感なく日本語をビートに乗せた
    日本のビートロックの偉大なる先駆者なのです。
    (若い人にはドラマ「SPEC」で戸田恵梨香演じる当麻紗綾のお父さん役と言えばピンとくるかな?)


    都会で暮らす若者たちの
    恋と苦悩を描いた
    センチメンタルな歌詞は、
    学校では決して教えてくれない
    『リアル』で溢れていました。


    まるで一本の短編映画を観たかのような
    ストーリー性のある歌詞世界。


    詩人でもある彼の
    意志の詰まった言葉。

    何事にも揺らがない
    強靭なビート。



    信じる心を教えてくれた
    『SOMEDAY』は
    今でもずっと自分が泣ける歌No.1だし、
    デビュー曲の『アンジェリーナ』は
    バンドメンバーでカラオケ行ったら
    取り合いになるほどの人気曲です(笑)


    しかも佐野さんは
    ストーンズと同様に、
    懐メロなんかじゃなくて
    今も現役で転がり続けてるところが
    ほんまにカッコいい♪


    ロックとは
    ジャンルの名前ではなく、
    何かを越えていこうとする
    強い意志の名前であり、

    ただのキッズミュージックではないということを
    今も体現しようとしている
    真摯なミュージシャンなのです。


    そんな佐野元春の歌をモチーフにした短編集を
    あの小川さんが
    書いてたなんて!

    今更ながら嬉しい驚きでした。


    シャンデリアの街で
    靴を忘れたバレリーナと
    彼女を待ち続ける男。

    図書館で知らない男に託された
    猫の形をしたペーパーウェイト。
    そこに隠されていた悲恋とは…

    レンタルファミリーなる職業を生業とする
    ミステリアスな彼女に惹かれた僕は…

    左足の記憶を失った女と
    温室管理人の恋。

    青白い夜のプールで
    少年が語る
    ゆで卵を食べるという
    ナポレオンフィッシュの話。

    など佐野元春の名曲から生まれた
    不思議でロマンチックな短編は
    どれも味わい深く
    いつまでも余韻を残すものばかり。

    眠れない夜は
    元春を聴きながらこの小説を♪

  • 「アンジェリーナ」が高校の教科書に載っていて結構切なかったので借りて読んだ。

    佐野元春さんの代表曲にのせて書かれたというが、その人物を知らない…。
    でも、内容は知らない人でもよかったと思います。

  • 佐野元春の歌を元にした短編集。設定、展開、描写、セリフ、オチ、それぞれにハッとする部分がそのうち、丁度、一つある感じ。

    アンジェリーナ:身体のたたずまいの描写
    バルセロナの夜:図書館の司書の女性
    彼女はデリケート:レンタルファミリー
    誰かが君のドアを叩いている:植物園。喪失していく過程こそ美しい。
    奇妙な日々:時間を織り込んだ地図の完成への執念がおばさんに集結
    ナポレオンフィッシュと泳ぐ日々:本当かよ
    また明日…:声。愛しすぎることの怖さ。
    クリスマスタイム・イン・ブルー:コインランドリーの出会い
    ガラスのジェネレーション:信じるだろ?
    情けない週末:ケーキの台無しさは本当に悲しい

    江國香織さんのあとがきが、またよい。「創造物への信頼」

  • 佐野元春の歌をモチーフとした10編の短篇集。
    それぞれ20ページほどの短い話だけれど、小川洋子のエッセンスがぎゅっと詰まっている。
    日常の中にふっと入ってくる非現実な世界。

    『バルセロナの夜』
    仕事を無くし図書館に入り浸っている無職の女。
    ある日出会った男に猫のペーパーウェイトを渡され、半年後に持ってきて欲しいと頼まれる。
    結構ベタだけど切ない愛の物語。

    『彼女はデリケート』
    依頼者の”家族”としてレンタルされ、ある時は娘に、ある時は母親にと様々な人物を演じてきた女。口紅で変身を表現しているのが鮮やか。
    コスメの種類はたくさんある中で、口紅を重視する作家って結構いる気がする。

    『誰かが君のドアを叩いている』
    これは『密やかな結晶』の元となったような話。
    女はある日自分の左足の記憶を無くす。そうやってどんどん自分のことを忘れていく。
    喪失は小川洋子の物語でよく出てくるテーマである。

    他の話も、ナポレオンフィッシュや帰ってこない恋人、フラミンゴと住むおじさん、きちんと詰め込まれた死人に届いた荷物など、心に引っかかるキーワードがうまく盛り込まれている。

    解説で江國香織が書いている通り、小川洋子の作品に出てくる人物はつるんとして無機質だ。だからうまく人物像を描けないのに印象的である。この矛盾はどうやって創りあげるのか。わからない。

  • 小川洋子さんの硬質でかつ繊細な世界観を常日頃から愛しているけれど、あたし、どこかいつも違和感を感じていた。

    小指の標本とか凍りついた香りとか、いつでも彼女のモチーフは、少しあたしから離れたところに存在して、確かにあるけれど距離もある、そんな世界だったから。

    ところがこの作品は、佐野元春、というアーティストの詩をそれぞれにモチーフにしているせいではないだろうか、少しだけ作品それぞれが、近くに息づいている気がした。よくよく見ると擬似家族だったり空想の小説とかなわぬ恋だったり、やっぱり十分にたっぷりと、小川節なのだけれど。でも佐野元春の歌詞がそこにあったり、それを口にする主人公たちと少しその瞬間、あたしがシンクロしていたのかもしれない。



    佐野元春の歌を聴いたのはいつのことだったろう?高校生?とにかく遠い記憶なのではあるけれど、でも、小川洋子の世界の透明さと遠い記憶のそれはとても、よく合うと思った。

    音楽が記憶を呼び起こすことはよくあるけれど、あたしがこの本を読んで思い出したのは、失った日々との距離そのものだった。


    そんな冷たく硬質な読書も、たまには、いいね。


    失われた日々と対比して、今のあたしは、今手元にある、小さな暖かい日々をいつくしむ。両手で抱えられるくらいのまだまだ小さな日常だけれどそれは、明日のあたしの、大切な思い出のひとひらになるのだから。

  • 読んでいて、とても心地よい短編集でした。
    不安定で、ちょっと現実離れしているけれど、その雰囲気がまた居心地がよくて、ずっと読んでいたい気がしました。

    佐野元春さんの曲は大好きで、以前よく聴いていました。
    好きなアーティストのうちの一人です。
    今年は、30周年だそうですね。
    こんな記念すべき年に、素敵な一冊に出会えて、とても光栄です。

  • 色んな香りで 色んな味の
    美味しいチョコレートが詰まった様な短編集。

    佐野元春氏の歌詞には、
    正直グッとくる事はないのだけれど(時代のせいかな)

    それを元に書かれたこの小説は、
    とても素敵な短編集でした。

  • 2008年11月11日~12日。
     ちょっと弱いかなと感じた。
     やはり佐野元春の楽曲という括りがあるからだろうか。

  • 曲は全く知らなくても、個々の短編として読めた。静謐で温かい印象。

  • (2016.01.16読了)(2004.06.18購入)

    【目次】
    アンジェリーナ
    バルセロナの夜
    彼女はデリケート
    誰かが君のドアを叩いている
    奇妙な日々
    ナポレオンフィッシュと泳ぐ日
    また明日…
    クリスマスタイム・イン・ブルー
    ガラスのジェネレーション
    情けない週末
    あとがき
    解説  江國香織

    ☆小川洋子さんの本(既読)
    「完璧な病室」小川洋子著、福武文庫、1991.12.16
    「シュガータイム」小川洋子著、中央公論社、1991.02.25
    「妊娠カレンダー」小川洋子著、文春文庫、1994.02.10
    「薬指の標本」小川洋子著、新潮社、1994.10.30
    「刺繍する少女」小川洋子著、角川書店、1996.03.25
    「アンネ・フランクの記憶」小川洋子著、角川文庫、1998.11.25
    「博士の愛した数式」小川洋子著、新潮社、2003.08.30
    「偶然の祝福」小川洋子著、角川文庫、2004.01.25
    「ブラフマンの埋葬」小川洋子著、講談社、2004.04.15
    「まぶた」小川洋子著、新潮文庫、2004.11.01
    「世にも美しい数学入門」藤原正彦・小川洋子著、ちくまプリマー新書、2005.04.10
    「犬のしっぽを撫でながら」小川洋子著、集英社、2006.04.10
    「ミーナの行進」小川洋子著、中央公論新社、2006.04.25
    「深き心の底より」小川洋子著、PHP文庫、2006.10.18(1999.07.)
    「海」小川洋子著、新潮社、2006.10.30
    「物語の役割」小川洋子著、ちくまプリマー新書、2007.02.10
    「博士の本棚」小川洋子著、新潮社、2007.07.25
    「夜明けの縁をさ迷う人々」小川洋子著、角川書店、2007.08.31
    「生きるとは、自分の物語をつくること」河合隼雄・小川洋子著、新潮社、2008.08.30
    「猫を抱いて象と泳ぐ」小川洋子著、文芸春秋、2009.01.10
    「小川洋子の偏愛短篇箱」小川洋子編著、河出書房新社、2009.03.30
    「カラーひよことコーヒー豆」小川洋子著、小学館、2009.12.01
    「原稿零枚日記」小川洋子著、集英社、2010.08.10
    「妄想気分」小川洋子著、集英社、2011.01.31
    「人質の朗読会」小川洋子著、中央公論新社、2011.02.25
    「言葉の誕生を科学する」小川洋子・岡ノ谷一夫著、河出書房新社、2011.04.30
    「最果てアーケード」小川洋子著、講談社、2012.06.20
    (「BOOK」データベースより)amazon
    駅のベンチで拾ったピンクのトウシューズに恋した僕は、その持主の出現を心待ちにする―「アンジェリーナ」。猫のペーパーウェイトによって導かれたベストセラー小説とは―「バルセロナの夜」。佐野元春の代表曲にのせて、小川洋子が心の震えを奏でて生まれた、美しい10の恋物語。物語を紡ぐ精霊たちの歌声が聞こえてくるような、無垢で哀しく、愛おしい小説集。

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