夜光虫 (角川文庫)

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著者 : 馳星周
制作 : 荒木 経惟 
  • KADOKAWA (2001年10月25日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (816ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784043442034

夜光虫 (角川文庫)の感想・レビュー・書評

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  • 2017/12/17読了。

  • 冒頭から、主人公・加倉の転落の描写の歯切れのよいこと。これで物語にスムーズに入っていくが…。
    ”主人公”であっても良心の人でも正義の人でもなく、一般的な基準で言えば、どうしようもない悪党。そんな言葉が生易しくなるほどの犯罪者となっていく、その軌跡をつづった物語と言っていい。
    しかもバイオレンスも性描写も短いながら、フラッシュのように情景を切り取り、映し出し、嫌悪感すら覚える。

    それでいて読み続けるのは、加倉の想いや本能にどこか共感を覚えずにはいられないからだろう。デフォルメされ普通の人だったら抑制される臨界点を軽々と超えて行くところだけが違うのであって、金・欲に対する欲望自体は変わらないのだから。

    しかも登場人物は、ほとんどが悪党。最初の臨界点を超える殺人だけがまともな相手だけにあとは加倉を食い物にしようという犯罪者だらけ。もみくちゃにされ血を這いつくばりながらも本能に導かれ屍を乗り越えていく加倉の生きざまはすさまじいばかり。

    前半、物語があまり動かないのだが、後半は疾走感もあって一気読み。そして意外なことに余韻の残るラストが今までの殺戮と対照的で見事に物語を締めくくっている。
    モラル的には賛否もあろうが、間違いなく傑作。

  • 加倉昭彦は日本のプロ野球で活躍したが,故障が続き台湾のプロ野球に転ずる.台湾では八百長が横行しており,放水と呼ぶ.通訳の王東谷は戦前の日本統治下で山村輝夫という名を持っていたことなどから,昭彦に良くしてくれた.同僚の台湾人・張俊郎と懇意になるが,真面目な俊郎が放水を警察に密告することから話が展開する.昭彦は王國彦や袁,陳らの取り調べに対して放水はやっていないと供述するが,黒幕が順次登場する.徐栄一からは様々な飴や鞭を受ける.昭彦は経営しているバーの女 リエ(温晶晶)を良い仲だ.徐から高級時計をもらったところを俊郎に見られ,彼を殺してしまう.リエにアリバイ工作を依頼し警察の追及を逃れるが,俊郎の妻麗芬と恋仲になる.その後,同僚のロパスやリエを殺した昭彦は,徐から難題を吹っ掛けられ苦悩する.取り巻きの経歴を調べるうちに意外な事実が次々を判明し,話は急展開する.台湾の裏社会のどす黒い面を克明に描写しており,ある程度のフィクションはあるにしても,このような実態はあるのだろう.不幸な生い立ちが昭彦や周りの登場人物に付きまとう点は,振り払いたいのにどうしようもない感じだ.文庫本で805頁だが一気に読破できた.面白かった.

  • めちゃくちゃ厚くて重い本。ジャンルは「ハードボイルド」としたが、本当は「ノワール」という、「犯罪者小説」というジャンルだそうな。ハードボイルド小説っていうのは、アイテムの描写にこだわりがあったり、主人公のこだわりが強いことで、キャラクターが立ってくるところが有るのだが、本作にはない。自分の知っている言葉で表すのなら「ヤクザ小説」。

    本作は、台湾に渡った日本人野球選手が、ヤクザがらみで八百長をして云々というストーリーであり、検索するとそれなりに物議をかもしたようだ。

    そしてこの作品、登場人物が全て嫌なやつ、いや、人間のクズと言っても良いのしか出てこない。前半は特に「もう読むの止めようかな」というくらい嫌になるような話が続く。そしてちょうど半分くらいに来たところで小休止し、そこからは描かれているシーンとは裏腹に、かなりスムーズに読めた。慣れというよりも描写が軽くなったからではないかと思う。

    そう、全体を総じて、文章は軽い。メリケンサックで頭を割られたり銃で撃たれたりする割に軽い。そういう意味で、厚さの割に読みやすいと感じる。かと言って、繰り返し表現が鼻についたりすることもないので、語彙力も有るようだ。

    ただその分、葛藤なんかの描写が「あれ?」と感じるほど無く、伊坂幸太郎や安部公房のように、同様に嫌なやつが活躍する作品よりも浅く感じてしまう。ましてや、こだわりでキャラクターをつくり上げる大藪春彦には遠く及ばない。

    井上三太の「Tokyo Tribe」や、Vシネマ的な映画もそうだけど、理由もなく銃をぶっ放したり、仲間だと思っていた人間が突然裏切って殺されそうになるような、闇討ち的な恐ろしさはあるが、人間としての恐ろしさは全く描かないのが、現代のヤクザ小説なのかもしれない。

    読むのは大変ではなかったが、量も内容も結構疲れさせられた。まあ、自分とは関係ない世界の小説という意味で収穫はあったし、悪い小説でもないのだけど、もう1冊買ってみるかと言われると微妙。

  • 2002/3/15 読了

  • 『不夜城』衝撃がかなり強かったので、続編の『鎮魂歌』を買ってきてそっち先に読むかも(u_u )

  • 有無を言わさぬピカレスクっぷりに圧倒された。台湾を舞台にしたこのハードボイルド小説は、非情さの説得力が半端ない。

  • 疾走感のある文体に、吐き気を催すほどの恐怖と、愛情に対する切なる渇望とが、見事に融け合った作品でした。

  • 相変わらず救いが無い。

  • まさに暗黒小説。
    先を知るのが怖いのに、読み進めずにはいられない。

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