だからドロシー帰っておいで (角川ホラー文庫 66-3)

著者 :
  • KADOKAWA
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感想 : 22
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  • Amazon.co.jp ・本 (491ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784043522033

感想・レビュー・書評

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  • ホラー?SF?ファンタジー?

    リアルな日常から突如トリップ。
    とにかく先が気になりまくった作品!(*´艸`)



    夜、急に同僚を連れ帰った主人。
    平凡な主婦、伸江は、ビールが足りないことに気づく。
    義母に促され、お洒落して夜の街へ買い物に行く事に。
    すると伸江は、急に空へ吹き飛ばされた—。

    『オズの魔法使い』をモチーフにした作品。

    タイトルに『ドロシー』とあるのに、途中まですっかり忘れて読んでいました(^▽^;)

    オズの国と現実が交差する描写は、小林泰三のあの作品を彷彿とさせます。

    ですが、こちらの方がホラー味が強め。

    オズの世界観、奇妙でかなり好み♡
    出会う部族や、急に歌い出したり、儀式したりするシーンなど「千夜一夜物語」のひとつの話を聞いているかのよう。
    次は何が出てくるのか、先が気になりすぎて読む手が止まらなかった。
    こういう物語、好きです!

    伸江が自分と同じように平凡な主婦なだけに、気持ちが入ってしまった…(-∀-`; )

    冒険で様々な経験をし、成長していく伸江。
    変化した彼女を待っていたものは何か。


    何だか色々考えちゃう。
    ある意味、深いお話でした。


  • ファンタジー、コメディ、ホラーと
    中々てんこ盛りな作品

    ある日突然、専業主婦の信江さん(36)が
    ビールを買いに行ったら異世界に行っちゃった♪♪
    そこはなんとオズの魔法使いに出てくるような
    奇妙な国、信江は現実世界に帰る為に
    ミロク、コト、クビツリ、地蔵の愉快な仲間たちを従え旅に出るのであった。
    一癖も二癖もある仲間たちに笑いが止まらない
    そして時折り出てくる儀式、歌などにも
    めちゃ笑ったwww

    そして異世界と並行する様に現実世界では
    ある連続殺人事件が発生、
    被害者遺族の大和田が被害者の会(小さな柱)の
    柳瀬と結託し、連続殺人鬼に復讐を企てる事になったのだった。

    話の流れは異世界と現実世界を交互に読んでいく感じでした

    異世界ではダークファンタジーの様なストーリー
    時折り見せてくれる。愉快な仲間たちとのやり取り、奇妙な儀式、楽隊の歌がまさかのアレであったりと要所要所で面白おかしく描かれていて
    笑わせてくれた

    一方で現実世界では一転してサイコホラー
    一直線、得体の知れない殺人鬼と殺人鬼を追う
    被害者たち、怖くはなかったけど
    中々のホラー強めなストーリーでした

    ラストはあやふやみたいな感じだったが
    小さい事は気にするな!!
    頭を空っぽにし、身を委ねよ!
    さすればドロシーの世界観にどっぷりハマり(✽︎´ཫ`✽︎)
    面白い作品と思わせてくれるだろ( •̀∀•́ )✧
    面白かった〜(*´﹃`*)

  • 虐げられる現実と独特なファンタジーをリンクしながら行き来する不思議な読書感の作品。
    後半の展開の加速感がすごかった。妄想と現実が巧みに交差されていった先、妄想が現実を蹂躙する。

  • 作家買いで入手して以来、なぜか食指が動かずに(あらすじがただのスプラッタ風に感じられたせいか?)ずっと積んでいたのだが、このたび初めて通読。
    結果、面白かった。
    この独特のカオスな異界感、そして社会の中の弱い人やつまはじきにされがちな人に強くフォーカスされた内容は、さすが牧野先生の一言。
    現実を妄想が浸蝕するラストは、逆にそうであるがゆえにこのお話をファンタジーに押しとどめてしまう効果もあるわけで、賛否が分かれそうではあるが、あとがきを読めばそれも納得か。
    異形キャラのかわいらしさや、ところどころに挟まれる笑いと感動もとてもよかった。
    調べたら若干プレミア気味らしいので、ちゃんと読めてよかった。

  • 「お義母さんちょっと行ってきます」
    「困ったら小津さんを訪ねなさい」
    平凡な主婦が家を出た。
    ここではない、見知らぬ土地で目覚めた彼女。待ち受ける困難の数々、仲間との出逢い。
    抑圧され続けた自己を解放する冒険の旅が始まる。そして“リアル”で巻き起こる恐怖…。
    オズの魔法使いをモチーフとした作品です。ダークと言うより狂気ファンタジー、かな。
    本家は犬、ライオン、ブリキの木こり、かかしが仲間のかわいらしい冒険物語ですが
    本作では餅のような生き物、詐欺師じみた老人、奇形の生き物、動く死体が仲間です。
    あちらの世界とこちらの世界、二つの物語が交互に語られるため結構な長編作品でしたが
    なかなか楽しめました。狂った世界の話が繰り広げられるが、不思議と違和感なく読める。

  • 角川ホラー月間。何だこの本?

    一介の主婦が、ビールを買い忘れて買いに行く際、ふとめかしこんだドレスとハイヒールを履いてしまったところから、異世界に放り出され、元の世界に戻るため「オズノ王」を目指す。一方で…。

    一方でってなんだ一方でって?となるのがこの本の醍醐味でもあり、よくわからないところでもある。

    ネタバレにもならないだろうから書くと、異世界の「伸江」というドロシーの世界と、現実の方の「ライオン」というライオンの世界。どちらもで、「オズの魔法使い」を進行させようとする。どちらもナイフで首を掻っ切るような世界だが。

    「伸江」の世界は、筒井康隆の影響なのだろうか、それとも「不思議の国のアリス」または「家畜人ヤプー」の世界なのだろうか。なかなか魅力的な世界であり、実は記憶であり。記憶をネタにするのであれば、もう少し門番だとか、過去の思い出などを具現化できなかったものだろうか。せっかく最初の方で、呪文的なものを作ったのも生かされずにいるのはもったいない。

    「ライオン」の方は、ホラー文庫らしく、怖くはないが血がいっぱい出るような話。深さはないのだが、視点を「ライオン」にしてみたり「大和田」にしてみたりするので、非常に胡散臭くて、片側が見えないスリリングな展開となる。

    しかしなあ、オチがこれでよかったのかなーと言うのが一番の難点で☆減点ポイント。また、全体にもうちょっと丁寧な表現で引っ張ってくれないかなあと思う部分が多く、それができなくて詩のようにバラバラと改行しまくって書くのも減点。お陰で情報が落ちまくっているし。

    最後に、「屍の王」でも有ったけど、あとがきにごちゃごちゃ書くのはやめて欲しい。「読み方」を指南するようなあとがきなので、作品自体を面白くなくしている。

  • これ読んだの何年も前ですが、未だに印象に残っています。狂った主婦の妄想世界というか。
    オズが大好きなのもあって面白さ満載でした。
    まずオズのストーリーを知らないと面白さも半減かも。
    痛い痛い主婦だけどそうなるまでの過程も面白かったです。

  • 妄想と現実を交互に読ませるお話。
    オズの魔法使いを変態にした感じ笑
    タイトル、内容、表紙に惹かれて読み始めましたが、どの要素もしっくりきます。
    初牧野作品でしたが、他にも読んでみたくなりました。

  • ホラー。
     オズの魔法使いをモチーフにしていても、仏教を主体にしちゃったので、どこが??ってところもあります。が、オズらしいです。

     簪(かんざし)町に住む、平凡な主婦伸江。
     ボケた義理の母の世話をしている彼女は、ある日義母から「小津(おず)さんから」といわれてハイヒールを貰う。
     それを履いた彼女は妄想の世界に入り、殺戮を繰り返す。
     ライオンという名前のついている老いた浮浪者。首吊り自殺をしようとしていたら、伸江に手助けされて殺された青年教師の手首(妄想世界ではクビツリという名で、アンデッドとして登場)、精神病院にいたらしいブリキ人形と呼ばれる体の動きの角張った老人。妄想の仔犬(餅みたいなスライムみたいな)コト。

     妄想部分のファンタジーは生臭いながらも、無夜は好きだな。きしょいところがなんか良くて。現実よりも俗っぽい。
     妄想世界の最大の敵非天を倒して帰還するのは伸江ではなくてドロシー。平凡に抑圧された主婦の妄想の集合体。それが帰還すると、主婦達は夫を殺しだす。

     分厚いわりに(P491)一気に読める本でした。この種の世界が無夜は大好きなのでした。

  • オズの魔法使いがモチーフの、ファンタジーホラー的な。
    オチまでは引き込まれたが、オチいまイチ…

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著者プロフィール

'58年、大阪生まれ。高校時代に筒井康隆氏主宰の同人誌「ネオ・ヌル」で活躍後、'79年に「奇想天外新人賞」を別名義で受賞。'92年に『王の眠る丘』で「ハイ! ノヴェル大賞」を受賞。他に、『MOUSE』、『スイート・リトル・ベイビー』等々著作多数。また『バイオハザード』『貞子』ほかノベライズも多数手がける。

「2022年 『貞子DX』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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