死者の体温 (角川ホラー文庫 78-7)

著者 :
  • KADOKAWA
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本棚登録 : 203
感想 : 15
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  • Amazon.co.jp ・本 (310ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784043572076

作品紹介・あらすじ

安田祐二は30歳。砲丸投げの元日本代表選手で、いまは不動産管理会社の経営企画室に勤めるエリート会社員。ハンサムで温厚。にこやかで職場や近所での評判もよく、湘南の洒落た高級マンションにひとりで暮らし、クラシック音楽とスコッチウィスキーを愛し、野良犬を可愛がり、野鳥に餌をやり、そして…次々とひとを絞め殺しては、下田の別荘の庭に埋めているのだった…。トラウマも動機も悪意もない史上最悪の連続大量殺人。

感想・レビュー・書評

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  • ちょっと淡々とし過ぎていた感じ。
    オチの何もないのが少し残念だった。

  • 終始、主人公の体温を主観的に感じる作品。生ぬるく、それでいて心地の良い温度ではなく、何処となく不気味なものを感じる温度。まるで料理人が手際よく調理をするようなテンポ感で殺人が行われていく。最近の作品でよくあるラストのどんでん返しなどがある訳でもなく、ひたすら主人公の脳内のコックピットに座って行動を見ているかのようなものだった。

  • 大石さんの作品にしてはマイルド。

  • この本を面白いと感じる人はたぶん人間が好きな人なんだと思う。好きでなくとも一定以上の興味を持ってる人。人が生まれて生きているってことを4次元的に認識出来る人。

  • 湘南殺人医のレビューに、「ハンサムなサラリーマン」って書いちゃったけど、間違いだったorz
    こっちと間違えた…

    こっちの主人公が、ハンサムなサラリーマン。
    湘南殺人医は、ものすごい才能を持った医者、でハンサムじゃなかったや。

    …と、主人公を間違えるくらい、これもまた後味の似た大石ワールドな本。
    (言い訳)

    普通なヒトの、普通な生活の裏に潜むドロドロした、でも純粋な殺意。
    悪意のない殺意。
    殺人のための、殺意。

    さくっと読める良本です。

  • 2011年7月13日読了。だけれども多分中学か高校で絶対読んだことある。皮膚病の犬の描写で思い出した。

    世界にスペアの無い、かけがえのない存在である人間を殺し悦に入る、社会的にはエリートの類いにある男の話。

    相変わらず人を殺す描写に容赦が無いなー。

    この本読んで、人間なんてちっぽけなもんだなと実感。

    オチ欲しいなー

  • 元砲丸投げの日本代表選手で、今はエリート社員で、趣味がよく、人当たりもいい主人公。けれど、彼は次々に人を殺しては、別荘にその遺体を埋めていた。

     大石圭は、なぜこういう主人公ばかりを描くのだろうか。
     確かに、残酷な殺人鬼がいかにもという風情であるより、まさかこの人がという方がインパクトはある。そして、こういうトラウマがあってこういうひどい人間になりました、という展開も、すでに世に満ちてパターンとなっている。だからあえて、何の罪悪感もなく、淡々と犯罪を重ねていく主人公というのは、新鮮なような錯覚がある。
     だからといって、こんなにも同じような主人公を連ねる必要は、多分ない。

     一体、大石圭は何を望んでいるのだろうか。
     こういう主人公が、破滅していくこと?
     それとも、一見社会的に成功しているようでありながら、社会の重さにあえいでいる弱い者への哀惜を読みとることを望んでいるのだろうか。

     多分、それがわからないから、大石圭を読み続けているのだろうと思う。





     

  • 連続殺人鬼の日常シリーズ(?)。「湘南人肉医」に似た印象だけど、さらに淡々とストーリーに起伏も少なく何気なく進む作品。やたらあっさりしてる割には妙に不快感がまとわりつく作品だなあ。描写のえぐさよりも(正直さほどえぐくはないと思う)、この淡々とした暗さが痛い。淡々としているだけに、余計嫌。
    一人の人間の存在が「かけがえのないもの」であるという点にこだわる殺人鬼、てのが異色といえば異色。被害者にとことん感情移入してから殺す、という妙なポリシーが、怖いような哀しいような。個人的にはそこそこ好きなんだけどな、こういう作品。でもお薦めするのはやめとこう(笑)。特に暗い気分の時には読むもんじゃないわ。

  • 主人公が犯罪者。
    絞殺に快感を覚える異常者で、話が進むに連れてドンドン人を殺していくんだけど、
    さすがにこれは疑われなさ過ぎだろ。
    死体腐敗の描写がエグい。
    心理描写も細かい。
    非常に怖い本です。

  • 怖くはないけど、好きだな。

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著者プロフィール

1961年、東京都出身。法政大学文学部卒業。93年、『履き忘れたもう片方の靴』で第30回文芸賞佳作を受賞し、デビュー。『アンダー・ユア・ベッド』『殺人勤務医』『絶望ブランコ』『愛されすぎた女』『裏アカ』など、著書多数。2019年には『殺人鬼を飼う女』『アンダー・ユア・ベッド』が立て続けに映画化され、話題に。

「2023年 『破滅へと続く道 右か、左か』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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