方丈記(全) ビギナーズ・クラシックス 日本の古典 (角川ソフィア文庫 89 ビギナーズ・クラシックス)
- 角川学芸出版 (2007年6月23日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (194ページ)
- / ISBN・EAN: 9784043574193
感想・レビュー・書評
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【きっかけ】
「徒然草」を読み終えたので、次はやはりこの一冊だろうと思い、手に取った。
【感じたこと】
「無常観」を自らの経験に基づいて捉えていく様子が印象的であった。改めて、自らの五感でさまざまなことを感じていくことの大切さを感じた。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
方丈記の原文と対訳が節ごとに掲載されている。解説も解説者の主観がかなり入っているように感じるものの、必要最低限で分かりやすかった。
出世の機を逃した鴨長明は隠遁を気取りながらも、社交界と接触を続け、天皇とも懇意にしていたという。そんな人物が自己を肯定したり否定したり、ブツブツ言いながら人生を模索するさまは普遍的な鬱陶しさがある。こういう人は古今東西いたし、誰の心にもこういう逡巡はあるものだなというのが分かった。
鴨長明は文章が非常に上手い。それは認めるし、それだけでも方丈記を読む価値はあるが、彼の人生観や思想に特筆すべき点はないように思う。 -
教科書で扱う古典だが、きちんと読んだことがなかったので読んでみた。和訳が最初にあるのでわかりやすいが、解説はやや主観的で偏った印象。とはいえ、文面だけからは辿り着けない解釈が語られているので参考にはなる。
方丈記は、災害文学で、かつ隠遁文学なのだなと感じた。また、訳を読んでから長明の原文を読むと、その意味がわかりやすいだけではなく、長明の文章力がとても的確であることを感じられ、原文の方も楽しむことができる。
古典に馴染みのない人でも気軽に読めて良いと思う。星3つなのは、隠遁文学的なところと、やや解説が偏っていたことによる。 -
このシリーズは、原文、現代語訳、解説で読め、原文の雰囲気を味わえる。原文の全文ではなく、部分が取り上げられているものが多いが、「方丈記」は全文が載っているよう。キンドルの原文で比べると、すこしカナ、文章周りが異なる点もあった。コラムとして関連情報が挿入され、またイラスト、地図的なものが登場するのもありがたく、便利。
天災のあとに、しばらくは誰もかれもが天災に対し、人間が無力であることを語りあい、少しは心の濁りも薄らいだようにみえるが、月日が経ち、年が過ぎてしまうと、話題に取り上げる人さえいなくなるというのは現代にも言える。
また、自分一人で住む菴での生活も、結構楽しそうで、面白そう。無常について、住居や環境、人間付き合いの観点から考えてみるというのも面白かった。しかし繰り返し読みたいほどではない。 -
「行く河の流れは絶えずして、しかも、もとの水にあらず。淀みに浮かぶうたかたは、かつ消え、かつ結びて、久しくとどまりたる例なし。世の中にある、人と栖(すみか)と、またかくのごとし。」から始まる鴨長明(1155-1216)の方丈記。これをとても分かりやすい現代語訳と原文、解説に分けて書いた本だ。高校時代の古文の授業ではちっとも面白くなかった本だが、今になって読み返してみるととても面白い。平安末期から鎌倉時代にかけて、諸行無常を知り質素にシンプルに生きようとする長明は現代のミニマリストのようだ。高校時代に面白くなかったのは、いろんなものが欲しいし、未来に期待している状況なのに、無常と言われても共感できないからだ。これが未来に期待しなくなった中年になると面白くなる。この800年間にこの本を読んだ人たちも同じ感想を抱いたからこそ、代々写本され読み伝えられてきたのだろう。人間というのは、実は進化していないらしい。800年の時代を超えて共感できる人と出会える楽しみが、この本にある。
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無常感を堪能できる。昔から災害は多かったのと分かる。
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下鴨神社の御曹司は跡目相続のごたごたや中央政権の公家から武家への交代,大きな災害を経験して人生に無常を感じて庵を立てて隠棲しているが,結構世事に詳しく達観できてはいないのか。
行く河の流れは絶えずして,しかも,元の水にあらず。淀みに浮かぶうたかたは,かつ消え,かつ結びて,久しくとどまりたる例なし。世の中にある,人と栖(住処)と,またかくのごとし。 -
それ、三界は、ただ心ひとつなり。この言葉に出会えたことが収穫だった。
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無常を客観的に冷静に論じているのかと思っていたけども、鴨長明自身が物凄く人間らしい。面白い。
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災害が重なり、人の世の儚さを悟りつつ、人としてどう感じるか。
解説に悪意があるよう感じました。何が気に食わなかったのでしょうか。