受精 (角川文庫 は 24-1)

  • KADOKAWA
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  • Amazon.co.jp ・本 (736ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784043589012

作品紹介・あらすじ

恋人を交通事故で失って以来、北園舞子には、見るもの触れるものすべてが無意味に感じられた。悲しみは赤く焼けた炭火のようにいつまでも残った。舞子はかつて2人で訪れた蛾眉山に登り、そこで出会った外国人の老僧から、「恋人は生きている、彼の子供を生みたくないか」ともちかけられる。その言葉は、"生ける屍"同然となった舞子にとって、天恵以外の何物でもなかった。舞子は老僧に導かれ、ブラジルの港町サルヴァドールへと旅立つ。死んだ恋人の子供を身ごもるために…。押し寄せる感動。衝撃のラスト!比類なき愛と生命の物語。

感想・レビュー・書評

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  • 読了後、色々考えるとミステリーとしては随分矛盾を持っているのが判ります。
    舞子・寛順と老僧の出会いは計画できなかったはずだし、「彼の子供を生める」の言葉も余りに現実離れしており、そうそう乗っては来ないでしょう。他にも強制付会的な要素はたくさん持っています。そういう見方でいえば14つは付けすぎです。
    それでも最後まで読ませるのは単なるミステリーではなく、そこに何か別の人間ドラマのようなものを織り込ませる帚木さんの筆力だと思います。
    実は出張前に手をつけていたのですが、途中まで読んで「挫折するかも」の懸念があり、出張には持っていきませんでした。少し間をおいて読み続けたのですが、後半は結構一気に読み切れました。まあそこらを勘案して14つです。

  • スポーツクラブで知り合った明生を交通事故で失った舞子は、傷心のためにとある寺を訪れた。そこではヘルムートというドイツから来た僧が舞子をいざない、死んだ明生と会わせるという。明生と夢のような中で出会った舞子は、ヘルムートの言うがままに、ブラジルのとある先進病院へ明生の子を生むために向かう。そこには韓国、フランスなどから同じような境遇の女性たちが集まっていた。

    長い一冊だが、章の切り方が絶妙で、割と読めるのがすごい。多分普通の本の3倍程度である。

    ただ、死んだ男性の子を生むという設定や、女性たちが次々と官能小説のような夢心地の体験をすることから、オカルトの話かな?と思わせられるも、なかなか種明かしもされないため、どっち方面の話なのかが読めないので、厚みが苦痛に感じたのは事実だ。

    途中でバーバラという妊婦が殺され、話は急展開をする。と思いきや、割と進まないんだなこれが。

    中盤くらいから、医療倫理の話であるとか、ナチスドイツの話であるとか、厚い分、あれやこれやとテーマを盛ってきたが、正直なところ、1つくらいテーマが少なくても良かったと思われる。

    全体に、官能小説のようなスピリチュアルな部分が蛇足に感じた。そこで減点1点。

    作者は「受◯」というタイトル縛りで何作か書いているようだが、それもちょっとね。

  • 文庫本が、かなりの厚さ。2~30ページ読んだが、これはおもしろそうだぞー。楽しみだ。

    って思ったが、あまり盛り上がらなかったナー。ナチスという設定も余りしっくりこないし、最後も何だか唐突に終わった感じ

  • 最愛の恋人を事故で亡くし、悲しみに包まれていた舞子。
    かつて二人で訪れたことのある山を再度訪ねた際に偶然出会った老僧に、亡くなった恋人との子供を授かることが出来ると持ちかけられた。
    それはブラジルにある病院で叶えられると聞き、迷わず向かう。
    そこで、同じ境遇の韓国人の寛順と出会い、二人は固い絆で結ばれていく。
    そして、そこでは亡くなった恋人に会え、彼の子供を身籠れるという幸せな日々を送れるはずだった。
    しかし、そんな日々は長くは続かなかった。
    ブラジル行きに隠された恐ろしい秘密と大切な友人との日々が少しずつ崩壊していく。

    最初から何か胡散臭いと思っていたことが、明らかになっていく過程はハラハラの連続だった。

    2019.9.11

  • 恋人を交通事故で失って以来、北園舞子には、見るもの触れるものすべてが無意味に感じられた。悲しみは赤く焼けた炭火のようにいつまでも残った。舞子はかつて2人で訪れた蛾眉山に登り、そこで出会った外国人の老僧から、「恋人は生きている、彼の子供を生みたくないか」ともちかけられる。その言葉は、“生ける屍”同然となった舞子にとって、天恵以外の何物でもなかった。舞子は老僧に導かれ、ブラジルの港町サルヴァドールへと旅立つ。死んだ恋人の子供を身ごもるために…

  • うろ覚えだけど、ヒトラーってアーリア人以外は認めてないんじゃなかったっけ?
    そんなヒトラーを信奉するナチの残党が日本人や韓国人を選ぶかな?
    という割りと肝のところで引っ掛かかったので、読後は少しスッキリしない。
    ヒトラー出さないで他の理由にして欲しかったな。

  • この本が出版された年よりさらに科学は進んでいる。小説の中の話ではなく現実は・・・と考えてしまいます。

  • 2014.8月

  • 2014年1月

  • 閉鎖病棟の帚木さん。精神科医の視点から描かれた閉鎖病棟は読み応えがあったのですがこれは…うーん。

    愛し合っていた恋人を不慮の事故で失った女性たちが、亡くした恋人の子を身籠るためブラジルに向かうお話なんだけど、オチが怖すぎる。
    くわばら、くわばら。

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著者プロフィール

1947年、福岡県小郡市生まれ。東京大学文学部仏文科卒業後、TBSに勤務。退職後、九州大学医学部に学び、精神科医に。’93年に『三たびの海峡』(新潮社)で第14回吉川英治文学新人賞、’95年『閉鎖病棟』(新潮社)で第8回山本周五郎賞、’97年『逃亡』(新潮社)で第10回柴田錬三郎賞、’10年『水神』(新潮社)で第29回新田次郎文学賞、’11年『ソルハ』(あかね書房)で第60回小学館児童出版文化賞、12年『蠅の帝国』『蛍の航跡』(ともに新潮社)で第1回日本医療小説大賞、13年『日御子』(講談社)で第2回歴史時代作家クラブ賞作品賞、2018年『守教』(新潮社)で第52回吉川英治文学賞および第24回中山義秀文学賞を受賞。近著に『天に星 地に花』(集英社)、『悲素』(新潮社)、『受難』(KADOKAWA)など。

「2020年 『襲来 下』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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