あやし (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA/角川書店
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本棚登録 : 4405
感想 : 317
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  • Amazon.co.jp ・本 (303ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784043611041

作品紹介・あらすじ

木綿問屋の大黒屋の跡取り、藤一郎に縁談が持ち上がったが、女中のおはるのお腹にその子供がいることが判明する。店を出されたおはるを、藤一郎の遣いで訪ねた小僧が見たものは……江戸のふしぎ噺9編。

感想・レビュー・書評

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  • 宮部みゆき 著

    とても、良かった。
    レビューは後で…

  • 若旦那に気に入られた銀次が見聞きした話ー居眠り心中
    蝋問屋岡田屋に起こった惨劇とはー影牢
    酒屋兼子屋の女中奉公に上がったおゆうはー布団部屋
    しっかり者の姉の行く末ー梅の雨降る
    義母の昔語りー安達家の鬼
    孤児になった太郎が奉公に上がった先にー女の首
    口入れ屋にやってきた娘が出会った女ー時雨鬼
    下駄屋の平良屋で刃傷沙汰がおこるー灰神楽
    口入れ屋の二代目が耳にした不思議な話ー蜆塚
    以上商家の奉公人にまつわる9本の短編。

    お話として一番好きなのは「女の首」
    他はちょっと短くて「ふぅん」という域を出なかった。
    奉公人や商家の毎日が垣間見れるようで、そのあたりは楽しい。

  • 周りの空気の温度が下がるような、ヒヤッとする不気味さを帯びた小説でした。

    続きが気になって、読むのをやめるタイミングを逃しがちでした。

  • 怖いです。
    お話に出てくる鬼や怨霊もですが、そんな鬼を産み出してしまう人の暗い気持ちが、何より恐ろしいと感じました。

  • 宮部先生のお話は、読みやすくて好き。短編だったこともあり、珍しく短期間で読み終えた。「安達家の鬼」が一番心に残った。

  • 奉公人と”鬼”の物語

    宮部みゆきさんの筆致には江戸の薫りがする。単に時代小説家という意味ではない。杉浦日向子氏など、時々そういう人がいるものである。
    本作はそんな氏の手がけた怪奇小説。江戸時代の随筆物のような軽妙な語り口で、江戸の街に立ち昇る陽炎のような怪異譚が語られる。
    ここでクローズアップされるのは江戸の庶民。この時代の主役であった町人の、その中でも最も多かったであろう貧しい奉公人たちの物語である。
    彼らは武士のように継ぐべき家も、大店の跡取りのように継ぐべき商いも、農民のように継ぐべき田も持たない。貧しい家に生まれ、ある者は口入屋から奉公に出てある者は岡場所に売られ、そこで与えられた境遇の中で必死に生きる。
    何も持たない彼らに境遇の選択肢もあるはずもない。身一つで投げ込まれた奉公先。そこで彼らは「あやし」に出会うのである。
    この作品中で言われるあやし、すなわち古来の用法である”鬼”は、確かに人智の外にある何かである。だが、その存在がはっきりと描写されることはない。鬼は常に人の傍らに、いや人の内にいる。作中に通底しているのはそんなリアリズムである。

    鬼のシルエットを行燈の灯りで裏から映し出したかのような九篇の短編集。悋気、怒り、嫉み、人が持つ後ろ暗い感情。我々が抱くそんな後ろ暗い感情のそのすぐ横に鬼は今もひっそりと佇んでいるのである。

  • 時代小説をじっくり読んだのは初めてかも知れません。
    江戸の不思議な話を集めた短編集です。
    やっぱり宮部さんの作品は読みやすいですv
    私が一番好きなのは「安達家の鬼」です。
    病気のおかみさんが語った、静かに寄り添う鬼のお話しです。

  • なんてことか宮部さんの作品は初読で、どんな風かわからないままページ捲って打ちのめされた。怖い。夜にトイレ行けない!っていうのじゃなくて、布団の中でじわじわ思い出してぞっとする感じ。人間の浅ましさをこういう目線で明確に的確に捉えていくのは、宮部さんの才能だろう。

  • 宮部みゆきらしい、おもしろい話が詰まっている。「語りの妙」を感じさせる怪奇譚だ。
    とくによかったのは「安達家の鬼」かな。「蜆塚」もよかったし、「灰神楽」も「女の首」もよかった。

  • 時代小説のホラーは味わい深くていい。奉公にまつわる話なのも面白さの一つ。恩があって足を向けては寝られない。ひどくいじめられて恨んでいる。ただの職場。大事な身内。使い放題の便利な奴隷。仕える方にも雇う方にも、人それぞれ思い入れがある。
    『影牢』仕打ちが悍ましすぎる。あんな死に方だけじゃ祟り足りない気もする。
    『安達家の鬼』鬼はどこへ消えたのか、義母と一緒に逝ったのか、それを考えると切ない。
    『女の首』ハッピーエンドでほっとした。育ての親も愛情で守ってくれていた。
    『時雨鬼』もう取り返しのつかない鬼から、狭間に立とうとする少女への渾身のメッセージに思える。あたしみたいにならないで。ある日の自分に向けて言っていたのでは。

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著者プロフィール

1960年東京都生まれ。87年『我らが隣人の犯罪』で、「オール讀物推理小説新人賞」を受賞し、デビュー。92年『龍は眠る』で「日本推理作家協会賞」、『本所深川ふしぎ草紙』で「吉川英治文学新人賞」を受賞。93年『火車』で「山本周五郎賞」、99年『理由』で「直木賞」を受賞する。その他著書に、『おそろし』『あんじゅう』『泣き童子』『三鬼』『あやかし草紙』『黒武御神火御殿』「三島屋」シリーズ等がある。

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