神谷美恵子日記 (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
3.82
  • (20)
  • (17)
  • (25)
  • (2)
  • (1)
本棚登録 : 279
感想 : 24
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784043617012

作品紹介・あらすじ

『生きがいについて』などの著書を残し、美智子さまのご相談相手でもあった著者が、40年間書き続けた日記から抜粋、編纂した日記抄。苦しみと悲しみのあいだにひそむ、人生の静かな美しさを伝える稀有な記録。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 抜粋とは言え、努力と行動の人だったと推察される。あまりにストイックな考え方に敬服しきり。

  • こんな全てをこなしてしまう女性は無条件に尊敬するが、ご自分に厳しいすぎやしませんか…

  • 共感する部分があるが故に、自分がいかに生きることをおざなりにしてきたかを考えさせられる一冊だった。

  •  戦後の日本人の精神史に大きな新境地を開いた神谷美恵子さん。「神谷美恵子日記」、2002.1発行。1939年(25歳)から1979年(65歳)に至る40年の日記の一部が紹介されています。50歳を過ぎてからは、身体の不調に悩まされ、入退院を14回繰り返されたと。この日記が数々の名著を生み出した源泉だと思いました。解説の柳田邦男さんは、「生きがい」を探し続けた日記と称されています。先日は浦口真佐さんとの往復書簡集、今日は日記を読了しました。

  • 自分に厳しい方

  • 神谷美恵子 25歳から65歳までの日記
    苦しみながら 生きていたことがわかる。苦しみに耐えられたのは 神と対話し、自分で叱咤激励しながら、社会的使命を全うしようとしたから。自身の医師や翻訳者としての功績を誇った記述はない。自己評価が厳しすぎる

    エリートの弱さを自分で克服した記録としても読める

    時間の捉え方が面白い
    *人間は〜生物が脱皮するように 過去と決別して新しい生活に移る
    *時が羽を生やした様に飛んでいく
    *仕事に熱中しているとき ひとは 無時間の中にいる

    昭和14年(25歳) 〜
    *自分の問題は 自分と神様のみで決めるべき
    *下層の人のために働く。人、人の心、体、社会を健全にするために働く
    *人の使命は 人の存在意義に関わる

    昭和47年(58歳)〜
    *神に委ねて残る日々を生きる
    *医師になっても 何一つ人間のことはわかっていないのを知る。これを知るための勉強であった
    *私は痴呆の近くまでいって ようやく全てのものから自由になった。何より 自分の限界を〜知った
    *痛み〜来るべきものが来た。すはおに頂こう

    昭和54年(65歳)
    *くるしみに耐えること、ことに他人に与える苦しみに。

  • おそらく、専門学校時代に読んだ本だ。

    人生に迷っていた時、出会った本。

  • "思慮深い言葉、愛情、勤勉、育児、医学への情熱などなどがつづられている。
    1939年から1979年までの40年間のごく一部の日記。
    学問へ取り組む矜持も素晴らしいし、家族へ投げかける愛情も伝わってくる。
    神谷さんはハンセン病診療所長島愛生園で患者と向き合いった精神科医。

    この方が記した本がほかにあれば、それを読んでみたくなる。"

  • ただただ、著者の情熱に圧倒され続けた。

  • すごい人間だなぁとただただ。



    軋轢のある、神経の緊張した、なやみの多い世界でないとだらぢがなくなる。

    こういう大きな目的に向かうからには、それ相応に犠牲の要求せらるることもあろうことを、ここに改めて覚悟する。よろしいか

    利他的に衝動とともに、純粋な(学問的・美学的)が私に存する。私がもし何か研究したり、創作したりしたとしても、それは決して「人類のために」などではない。

    人類愛と学問と芸術とに一切の力を昇華しつくしてしまおいという生き方

    私と普通の人との間のギャップは大きくなる、やがて普通の社会や家庭生活から締め出される。というより自ら締め出す日が必然的に来る事はわじゃっている

    一度世を捨てた人間

    自己を失って途方に暮れているという感じだ。自己を失うのか!と思うと愕然とする。その自己は何処へ行ったのだろう。私がものを考えたり、創ったりする能力を失ってしまうのだとしたら!

    私はゲーテではない。自分の書いたものが、文学的な客観的な価値などを持とう筈もない。しかしもし書くことが、自己の成長の上に必要な過程なら、旧い段階から新たな段階へ飛躍していくための必要な一つの脱皮なら、ひそかに、常に、書いていいわけではないか。

    小説をこしらえるのではない、文学するのではない、単に呼吸するに過ぎないのだ。本気に、自分に対して責任を以て生きようとするにはどうしても書かぬ訳にはいかないのだ。書くのをこらえていじいじと苦しむより書きまくって苦しむ方がいい、

    文学という風に考えれば他と対立するけれど、何も文学者になろうなんて考えを起こすわけじゃない

全24件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

1914-1979。岡山に生まれる。1935年津田英学塾卒業。1938年渡米、1940年からコロンビア大学医学進学課程で学ぶ。1941年東京女子医学専門学校(現・東京女子医科大学)入学。1943年夏、長島愛生園で診療実習等を行う。1944年東京女子医専卒業。東京大学精神科医局入局。1952年大阪大学医学部神経科入局。1957-72年長島愛生園精神科勤務(1965-1967年精神科医長)。1960-64年神戸女学院大学教授。1963-76年津田塾大学教授。医学博士。1979年10月22日没。

「2020年 『ある作家の日記 新装版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

神谷美恵子の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×