ハリール・ジブラーンの詩 (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
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  • Amazon.co.jp ・本 (144ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784043617029

作品紹介・あらすじ

愛し合いなさい、/しかし愛をもって縛る絆とせず、/ふたりの魂の岸辺の間に/ゆれ動く海としなさい。(「結婚について」より)世界各国で愛されているレバノン生まれの詩人、ハリール・ジブラーン(一八八三‐一九三一)。大いなるものへの畏敬の念に支えられた壮大な視野と自由闊達な精神、そして人間のささやかな営みに向けた温かいまなざし。精神科医・神谷美恵子は、この詩人に深い共感を抱き、晩年、『予言者』等の翻訳に打ち込んだ。長く愛されてきた、その端正な訳詩と解説がはじめて文庫に。慌ただしい日常の合い間にこそ、静かに繙きたい、思索の道標となる一冊。

感想・レビュー・書評

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  • 神谷美恵子さん(1914-1979)は、津田塾大などで教授を務めた精神科医です。ハンセン病患者の方たちが暮らす「長島愛生園」で、精神科医として長く勤務されました。彼女の著書、『生きがいについて』『こころの旅』などは、多くの人の人生の指針として、今も読み継がれています。ハリール・ジブラーン(1883-1931)は、レバノンに生まれた詩人で、日本では、神谷さんの紹介によるまで、あまり知られていませんでしたが、その作品は、アラビア諸国だけでなく、アメリカ、ヨーロッパ、南米、中国にまで親しまれているそうです。
    私がジブラーンの詩を知ったのは、ブログの記事によってです。今までに味わったことのない壮大さ、直截(ちょくせつ)さ、そして、根源的なメッセージに、電撃のように打たれました。
    詩集冒頭の「おお地球よ!」と読んでみてください。ここには、地球という偉大な生命へ畏敬と、「私」という存在への絶対的肯定があります。詩の一遍ごとに、神谷さんの愛情ある解説が添えられています。(K)
    紫雲国語塾通信〈紫のゆかり〉2007年6月号掲載

  • 読んでいると心がスッとなる。静けさが訪れる。
    一文一文を大事に味わいたい。

  • 本自体は薄くてすぐ読み終わって、物足りないといえば物足りないが、ハリール・ジブラーンの入門書として打って付けだったと思う。十分、ジブラーンさんの詩の魅力を感じたので、ヒッピーのバイブルとも言われる「予言者」等の詩集を早く手に入れたい。読みたい!(神谷美恵子さんの本も!)

    NOTE記録
    https://note.com/nabechoo/n/n1686853ad25c?magazine_key=m95a0626608c7

    レバノン出身のジブラーンさんは、詩だけでなく、絵や彫刻なんかもやってたみたいで、35歳の時パリに行ってロダンさんの元で3年勉強したとか。当時の友人曰く「20世紀のw.ブレイクだ」と。ブレイクさんも興味あるのに今まで全然触れられてないんだよなー。(j.ジャームッシュ監督の「デッドマン」のジョニデが演じた役の名前がw.ブレイクだったよーな、関係あったかな?)
    そして、48歳の若さで亡くなったようです。「強い精神が弱い肉体に住むのは大変な事だ」と手紙に。
    にしても、ジブラーンさん詩は、少ししか触れられてないですが、ホント素敵だったし、俄然興味が湧いた。

    あと、神谷美恵子さんのジブラーンさんとの出会いは、当時の皇太子妃美智子様から詩集「予言者」をプレゼントしてもらったのが始まりらしい。なんかすげー。

    満足です!

  • ▼神谷美恵子『ハリール・ジブラーンの詩』角川文庫

    どこだかで、ハリール・ジブラーンの詩の一部を読んで、図書館にあるかなーと探すと、神谷美恵子が訳して、それぞれの詩について寄せた解説とともに編んだ文庫本がみつかった。

    アラビア語ふうに呼ぶと、ハリール・ジブラーン、アメリカではカーリル・ギブランと発音している人が多いようだと書かれているが、図書館では「カリール・ジブラン」とか「カリール・ジブラーン」という名前でも本がある。

    レバノンで1883年に生まれ、アメリカで1931年に亡くなった詩人。

    収録されている詩のなかで、こころにのこった一つは、ごく若いころに書かれたらしいという「おお地球よ」。神谷訳はアラビア語からの重訳で、しかも全体の半分位にすぎないそうだ(だれか全部訳してる人はおるんかな…)。
    その一節。

    なんと寛容なものであることか、地球よ。
    私たちはあなたから元素をひきぬき、
    大砲や爆弾をつくるのに、あなたは
    私たちの元素から百合やばらの花を育てる。 (p.18)

    「苦しみについて」も、読んでいて、いろんなことがこころにうずまく感じだった。

    あなたの苦しみはあなたの心の中の
    英知をとじこめている外皮[から]を破るもの。
    果物の核[たね]が割れると中身が陽を浴びるように
    あなたも苦しみを知らなくてはならない。
    あなたの生命[いのち]に日々起る奇跡
    その奇跡に驚きの心を抱きつづけられるならば
    あなたの苦しみはよろこびと同じく
    おどろくべきものに見えてくるだろう。
    そしてあなたの心のいろいろな季節をそのまま
    受け入れられるだろう。ちょうど野の上に
    過ぎゆく各季節を受け入れてきたように。
    あなたの悲しみの冬の日々をも
    静かな心で眺められることだろう。 (pp.67-68)

    「子どもについて」「しゃべることについて」「死について」など、ジブラーンの詩とともに、神谷美恵子の鑑賞を書いた文章が、こころをしずかにさせてくれた。

    手許に置きたいと思ったが、こないだ立ち寄った大きな書店では在庫切れ。またどこかで会うことがあればと思う。

    (1/29了)

  • 神戸新聞2011.01.09朝刊。一面コラム「正平調」で散文詩「預言者」が紹介されていました。

    《散文詩は愛や結婚から死まで身近なテーマについて語る。》
    共感できる内容だそうです。
    ジョン・レノンも歌詞に引用したとか。

    「預言者」という単行本も多く見かけられましたが、とりあえずこれを登録。

  • すべての詩が心に染み入ります。詩は、自分が人生のどの時代を歩んでいても、心に届き、また違う時代に違うステップを踏んでいるときには、さらに奥への層に浸透してくるかのようです。訳者神谷美恵子さんの解説も崇高です。

  • 花のうた、結婚について、子どもについて、あたりにグッときた。

  • 優れて適切な日本語訳 全編ないのがとても残念
    預言者以外からは
    おお地球よ
    火の文字
    花のうた
    挫折
    イエス1,5,10,14

  • いっとき流行った、なんか人生のタメになる詩集『預言者』が入っている?
    たぶん。
    著者名は他では「カリール・ジブラーン」という名前の方が一般的か。

  • 自分が読んで感動したものを、どうやって人に薦めようか、考える。この本はそれがとてもうまくいっている本。
    海外の詩人の詩を、著者自身で噛み砕いて、それが主観客観入り交じることを厭わずに読みくだいてみせてくれて、ええ、ともかく、とてもいい詩なんですよ、と語りかけられると、え、ええ、そうですね、とてもいい詩ですね、と言ってしまうような(それが悪いことだとは言わない)、もとの(原語の)詩とは別の、不思議な魅力を新たに備えてしまっているという、よい例なのではないか。と考える。

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著者プロフィール

1914-1979。岡山に生まれる。1935年津田英学塾卒業。1938年渡米、1940年からコロンビア大学医学進学課程で学ぶ。1941年東京女子医学専門学校(現・東京女子医科大学)入学。1943年夏、長島愛生園で診療実習等を行う。1944年東京女子医専卒業。東京大学精神科医局入局。1952年大阪大学医学部神経科入局。1957-72年長島愛生園精神科勤務(1965-1967年精神科医長)。1960-64年神戸女学院大学教授。1963-76年津田塾大学教授。医学博士。1979年10月22日没。

「2020年 『ある作家の日記 新装版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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