巷説百物語 (角川文庫)

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著者 : 京極夏彦
  • 角川書店 (2003年6月発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (518ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784043620029

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有効な左矢印 無効な左矢印
京極 夏彦
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巷説百物語 (角川文庫)の感想・レビュー・書評

  • 闇に消えゆく悪事に,綿密な計画と巧みな話術で光を当てる.
    時は江戸時代.大雨で山越えを断念せざるを得なくなった修行僧は,山中の古小屋で雨を明かすことになった.偶然集まったはずのその小屋の面々が語る怪異譚は,どこか身に覚えのある内容であった.
    京極夏彦のダークヒーロ時代小説.

  • どうしようもないことを丸く収めるのに妖怪を生み出す仕掛けにただただ飲み込まれていく作品。 登場人物もみな魅力的でページを繰る手が止まらない。 京極夏彦作の別シリーズにもつながる話なので、それに気がついたら倍面白く読めるシリーズです。 又市さんが唯一自分の弱みを見せる帷子辻の台詞は、シリーズを最後まで読んで、再読したらもっと重く心に響く台詞になるんだろうなと思う。 何度も読んで、何度も又市たちに魅了させられたい。

  •  妖怪にまつわる作り話をしていると思いきや、そこに出て来る人物の名前や境遇に、身に覚えがあると怯えながら話を聞いている男がいて。
     実はその話にも、そもそもその話を聞くはめになった事態にも裏がある……ていう、最後に引っ繰り返される感じがおもしろい。

     それにしても百介さん、毎回毎回何にも分からないね…。

     あと、この本のジャンルというか、カテゴリに悩む。
     時代小説であり、妖怪が登場するファンタジーのようでもあり、謎解き的なものもある、て。

  • 時代小説短編連作。
    んー妖怪とか不思議な出来事があって、それを裏で仕掛けている人たちがいて、最後は種明かしで終わる感じ。
    必殺仕事人の、自分たちは手を汚さないバーションみたいな?

  • 諸国に伝わる怪異伝説を集めて行脚する考え物の百介。この純朴な青年が出くわす魑魅魍魎どもは、妖怪よりもっともっと恐ろしい存在である。

    怪談話と思いきやそれだけではない。謎解きの要素が濃い。
    そして、劇場型とでもいうような鮮やかな騙しのテクニック。騙されるのは悪党。懲悪の気持ちよさもある。

    登場人物の特異な風貌のせいでキャラクターも想像しやすく、人物がある程度固定されることで読みやすい。また物語の中で自然の風景がたてる音、鈴がなる音、動物が走る音などが効果的に使われていてぐいぐい読んでしまう。
    ふっと我にかえり背筋が寒くなることもある。

    続きの何冊か、読みたい。

  • 一つ目の物語を読み終えた時点で、「あ、やばい」とは思っていた。
    「これ、だめなやつだ」とも。
    それでも何とか耐えてきたのに、最後の最後、「帷子辻」でもう、限界を超えてしまったらしい。
    京極先生、私、ファンになります。

    もう、「すげぇ」なんて阿呆みたいな言葉しか出てこない。
    元々こういう話が好きというのもあるが、話の根底に流れているものが、好みど真ん中。
    「帷子辻」の又市の語りには、もう首を縦に振ることしかできなかった。

    怪力乱神を語らず、とは流石に君子ではないので言い切れないが、私自身、自分の目で見た事のない「あの世」は信じない性質だ。
    いや、というより、稲田殿と同じように、「いちゃもんの通じないものを求めるからこそいちゃもんつけるタイプ」とでも言うべきか。
    そんな私にとって、又市の言葉は、自分のかねてからの思いを代弁してくれたようなものだった。
    それは、「御行為奉――」の時だけではなく、物語の最後の台詞も含めて。
    上手く言えないけれど、心のどこかで、やっぱり、変わらないもの、終わらないもの、そういう何かを信じたい気持ちもある。
    けれど、生きていくには、信じてばかりいられないのだ。
    だからこそ、否定することで自分を納得させようとしているのかもしれない。
    そういう思いを、どこか又市と共有したような気持ちになった。
    だからこそ、「ドンピシャ」なのだ。

    というわけで、ちょっと続編探してくる。

  • 遣る方も遣られた方も同じようにお客様。
    人が人の物差しで他人を測ると、必ず不平が出る。
    世の中で一番賢いのは、誰が賢いかを知っている人。

    「ステータス」とは何でしょうか。この小説は、社会が要求する「ステータス」に疑問を感じた人が過ちを犯す過程が書かれています。

    社会人で言えば「資格」でしょうか。一種の身分証明書にはなるでしょうが、身分を保障するものではないと思います。資格を「得る」ことよりも、資格を「維持」することの方が重要です。「資格を得て、それでお終い」では何の芸もありません。

    前にも書きましたが、現状維持は後退です。

  •  相変わらず京極先生の書かれる本は分厚いですね……と言いたくなる話でした。
     でも、読み応えは充分ですし、いくつかの章に分かれて物語が成立していたので、読んでいて全然、苦痛にはなりませんでした。

     物語は、とある僧が山を下る最中、雨に降られ、雨宿りをするために立ち寄った山小屋の中で始まります。
     そこには御行姿の男、垢抜けた女、初老の商人――。
     そして集まった人たちの中から自然と、長雨の一夜を江戸で流行の百物語を話して過ごすことになったけれど……という話でした。

     実は何のつながりもないように見える先ほどの三人は、闇に葬られる事件を金で請け負い解決する一味。
     そんな彼らと偶然居合わせた劇作家志望の青年・山岡百介は、彼らの巧妙な手口に感嘆することとなる。

     悪い人たちを正面からではなく、妖怪だとかお化けだとか、人が根源的に恐怖と感じるものを使ってこらしめていくお話。
     人は簡単に恐怖というものに飲み込まれてしまうんだなあ……と感嘆するのと同時に、これだけ凝った事を考えられる作者さんってばすごいなあ……と思ってしまいます(苦笑)
     なんだかファンが多いのもわかる感じがします。

     でも、妖怪とかそういうのあんまり好きじゃない人には面白くないかもしれません。
     何はともあれ、ページ数の分だけ、きっちり読み応えのあるしっかりとした話でした。
     続きがありそうだなあー……って思ったら続きもあるようなので、それもまた手に入れば読みたいと思います。

  • 嗤う伊右衛門が途中に挟まるんですね、これ
    先にこちら読んでおけばなあ
    あとコミック版読んでしまったもので
    うまく雰囲気に埋没できなかった
    個人的に大失敗…

  • 人間の悪、エゴとか思い込み、御行みたいな人から見るとどんな風に見えてるのだろう?あの4人が仕掛ける芝居(?)は読み終わると、ストンと胃の腑に落ちるきがする。

  • あらすじ(Amazonより)

    怪異譚を蒐集するため諸国を巡る戯作者志望の青年・山岡百介は、雨宿りに寄った越後の山小屋で不思議な者たちと出会う。
    御行姿の男、垢抜けた女、初老の商人、そして、なにやら顔色の悪い僧―。
    長雨の一夜を、江戸で流行りの百物語で明かすことになったのだが…。
    闇に葬られる事件の決着を金で請け負う御行一味。
    その裏世界に、百介は足を踏み入れてゆく。
    小豆洗い、舞首、柳女―彼らが操るあやかしの姿は、人間の深き業への裁きか、弔いか―。
    世の理と、人の情がやるせない、物語の奇術師が放つ、妖怪時代小説、シリーズ第一弾。

    ---------------------------------------------------------


    絵師・竹原春泉が描いた妖怪になぞらえて、闇の一味が悪に制裁を加えるという必殺仕事人系の作品。
    7篇の短篇集で読みやすい。
    制裁を加えられる側にもそちら側の道理(正しいか正しくないかは別として)があり、勧善懲悪のような単純なものではなくて面白い。

    憎しみ・怒り・嫉妬・恐れといった、人の心から生まれる強い負の思いが面妖なものを生じさせ存在させる。
    全体的に陰鬱でモノクロなイメージで、独特の雰囲気を醸し出している。
    昔放送されていた「日本昔ばなし」の怖い系の画みたいな作品、と言えば、ある一定以上の年令の人には伝わるかな。

  • 再々読くらい。小豆洗いのしょきしょき音がなんともいえない。

  • お友達に勧められた本です。1999年発表の、京極夏彦さんの時代小説。
    勧めてくれた言葉通り、割と理屈抜きで愉しめる、勧善懲悪の江戸時代モノ。
    味わいとしては、鬼平犯科帳が横溝正史さんになったような感じ、という印象。
    お勧めの言葉通り、肩の凝らない、胃にもたれない、大人の娯楽小説、愉しめました。

    江戸時代を舞台に、レギュラーの「必殺仕事人」的な、善玉小悪党たち?とでも言うべき、個性的な面々が、法を逃れた非道な殺人者を、懲罰していきます。
    あるいは自殺に追い込み、あるいは、直接描写されないまでも殺します。
    (中には、悪党というよりも、「可哀そうな殺人愛好者的な変態さん」というのも含まれますが)
    で、この小説の仕掛けは、全てが「魑魅魍魎、妖怪、怪談」と言った類の仕業に見せかけて終える、というところです。例外はありますが。

    読み始めて判ったのは、前に読んだ「姑獲鳥の夏」もそうだったんですが。
    まあ、強引と言えば強引なんです。
    「それってものすごい偶然というか…あり得なくない?」
    という部分も、たいていあります。

    だけど、そこは小説としての面白さとは別次元なんですね。
    横溝正史さんの金田一耕助だって、ホームズだって、そういうところはありますから。

    謎があって、それが解けて、勧善懲悪になる。そこに、ヒトの業とでも言うべきやるせなさとか、無常観みたいなものが残る。人間ドラマになっている。

    そういうことですね。
    言ってみれば、ホームズから始まって、殺人と解決のミステリー物語の王道、と言えます。
    それが、舞台が江戸時代で、仕掛けが怪談妖怪話。
    そこのところで、嘘が跳ねて、小説が粗筋から飛翔する娯楽があるなあ、と思いました。
    「気味が悪い」を「鬼魅が悪い」と書くような、歴史的な整合性は知りませんが、京極さん独特の(かどうかも判りませんが)、深い(狭いのかもですが)博識を基にした、確信犯な演出が冴えていると思いました。

    連作短編な訳ですが、俯瞰的に説明するところから、証人の一人称をぶん回す下りまで、実に読み易く自在な筆運び。パチパチ。

    「姑獲鳥の夏」「巷説百物語」と読んでみて、成程、京極さんの持ち味と旨さ、なんとなく分かった気になりました。
    この人の本は、なんていうか…「所詮、そういうことでしかない」という限定を自覚した上で、小説、コトバ、日本語、という武器をしたたかに使って、独自の水木しげる/横溝正史的世界観に、ぐいっと連れて行ってくれる強力さがありますね。
    今後も、慌てず愉しみたいと思いました。

    連作短編、ヒトによって好みがあると思います。
    僕は、「殺人愛好者の変態さん」の巻よりは、「頭が下がるほどの悪党」が出てくる回の方が面白かったです。
    「塩の長司」「白蔵主」あたり、好きでした。













    ####以下、思いっきりネタバレの個人的な備忘録です####



    ●小豆洗い
    無念を持ち死んだ小僧がいた家で、小豆を数える?音が聞こえる、という怪談?をもとにして。
    かつて殺人を犯した男を、百物語で脅して自殺させる。

    ●白蔵主
    悪党の一味がいて、その手下の男がいる。
    手下はかつて、キツネ狩りの猟師だった。
    殺生を止めるように説いた僧を殺したのを、悪党の親玉に見られて、手下に。
    狐の怨霊、みたいな怪談で騙して、親玉と手下を会わせ、親玉を殺させる。
    親玉は長年、寺の僧に化けていた。

    ●舞首
    女を誘拐してレイプして、というホントに悪い男がいる。
    それに妹を浚われて、言いなりになっている巨漢がいる。
    その街を仕切っている悪党のやくざがいる。
    この三人をそれぞれに騙しておびき寄せ、殺し合いをさせる。
    最後に、... 続きを読む

  • 百鬼夜行と人気を博する巷説シリーズ…“鵺の碑”が刊行される前に制覇できるかな!?
    日本古来の怪談会スタイル百物語に倣い、人を殺め裁を奔逸した悪名高き凶悪犯に小悪党乍らも愛すべき仕置人達が鉄槌を下す勧善超悪型の短編時代小説です。
    土地に纏わる妖怪奇譚と自身の犯した悪事の一致に、みるみる戦慄する下手人達。
    巧妙なシナリオと、小気味良い語り部の手法で分厚さも難なく読破出来ました!!

  • 妖怪が出るかと思いきや、それを逆手にとった痛快話。本当に怖いのは生きている人間なのです。

  • 読みごこちか好きな文体。夏の少し蒸し暑い夜に読みたい本。

  • 必殺仕事人~妖怪版~。
    必殺仕事人観たことないけど(´σ⊿`) もしくは、どっきり大作戦~妖怪版~。

    『9つの死相で次々と死体が現れる!犯人の動機は一体!?』っていう感じで1,000ページくらい書けそうですよね。京極先生なら。

    「小股潜り」って何でしょう?エロい意味でしょうか!?
    しょき。さ。さ。さ。さ。

  • 『嗤う伊右衛門』で活躍した御行又市が、仲間とつるんで世を正す、必殺なんとか人シリーズの百物語版のような感じ。短編なのでとんとんと話が進む。『嗤う〜』で魅力的だった又市もなんだか普通の人になっちゃった。

  • お気に入りは「舞首」です。してやられた感がとても強く関心しました。

  • はるか昔、学生時代に読んだシリーズの再読をスタート。
    やっぱり、京極さんの小説はおもしろい!
    色々な、ズレている人物が登場する。吐き気がする奴から、同情してしまう奴。
    「白蔵主」が一番でした。

  • 公には裁かれない人たちを裁く、御行一行の話。
    怪異譚を集めている山岡百介も関わるようになる。

    短編集。
    どの話も読みごたえがあって、面白かった。
    中盤くらいまで、何が何だかわからない感じなんだけど
    最後には全てが明かされて、ああそうだったのか、と。
    非常にスッキリする本でした。

    又市、おぎん、治平、百介の4人が主要人物なのかな。

    幽霊とか、祟りとか、そう見える物事が起こっても
    それは決してその通りではなくて、人間が行なっていること。
    というのが、なんか京極さんだなぁと思った。
    不思議は登場しない。死人は何もしない。
    何かするのは生きている人間だけ。

  • 怪異伝説の蒐集譚かなと思いきや、それをベースにした世捨て人たちによる勧善懲悪モノの時代小説。短編の形式なので、飽きずに最後まで読み切れた。個人的には遠野物語のときのように昔の話を現代語で親しみ易くしたものを所望していたけれど、これはこれでありかな。テレビで水戸黄門を見る感覚で、期待を持ちすぎず、肩の力を抜いて見るのがベター。

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