疾走 上 (角川文庫)

著者 :
  • 角川書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (416ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784043646029

感想・レビュー・書評

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  • 人生変える

  • 表紙のデザインに惹かれて購入。

    人間が持つ心の闇や弱さをこれでもかと言うほど克明に描き出されていますが、自他含め道徳やモラルが崩壊しつつある近現代では一見の価値があると思われます。
    「孤独」や「絶望」に蝕まれつつも、必死に誇りある「ひとり」でいようと抵抗する主人公の意志や行動には、一種の高潔さのようなものを覚えました。

    かなり重苦しい内容なので、下巻を読むのにもかなり力が要りそうで躊躇っています。

    • koshoujiさん
      初めまして。下巻を躊躇っているとのことですが、是非最後まで読むのをお勧めします。微かな光が最後に射してきますので。重松清渾身の一冊だと思いま...
      初めまして。下巻を躊躇っているとのことですが、是非最後まで読むのをお勧めします。微かな光が最後に射してきますので。重松清渾身の一冊だと思います。
      2015/10/30
  • 家族や思春期の少年少女を描いた、アットホームで温かい作品が多い重松清だが、この作品は真逆を行く。
    「ひとり」の少年を描いた、重く、苦しく、生々しく、痛々しい作品だ。私はこの作品が初めての重松作品だったから、その後スタンダードな重松作品を読んで、驚いた。

    この作品では、主人公のシュウジを徹底的に「ひとり」にする。家族が残酷なまでにバラバラになり、誰かと繋がったと思ったら、遠くに行ってしまったり、関係が崩れてしまったり、死んでしまったりして、結局「ひとり」になる。最後に物語としては少し希望が見えるが、シュウジ自身の幸せではない。

    ここまで少年を追い詰める必要があったのか、と思う。ここまで精神的に、肉体的に、社会的に、性的に、少年を蹂躙する必要があったのか、と思う。(特に性的描写は、若すぎるうちに読むとトラウマ物です。)
    けれど、その「ひとり」こそが、重松清の書きたかったものだったのだろう。まるで、彼がいつも何作品もかけて描いている温かいものと対を成すものを、この一作品にすべて込めたかのような、執念のようなものさえ感じる。

    こんなに読んでいて辛い小説はなかった。部分部分を読み返すことはあるが、通読は未だに一度しかできていない。けれど、忘れられない作品だ。

    レビュー全文(映画についての感想も)
    http://preciousdays20xx.blog19.fc2.com/blog-entry-463.html

  • 普段、優しい人が内に秘めた狂気を見せたら、どれほどのものなのか。
    私はこの小説で重松清の狂気を思い知った。

    すさまじい勢いで「疾走」していく主人公の少年が行き着く先を案じてやまない。

    この作品で悪あがきをしている誰もが幸せになってほしい。

  • 流星ワゴンやきよしこの雰囲気を期待して読んだら後悔します

  • 痛々しく重い話なので途中で何度か読むのはやめようかと思った
    もう少しだけと思ううちにだんだん引き込まれていっていった

  • 最初はストーリーの内容が分からず、ん?と思ったけど、そんなことは束の間、重松清さんの高度な表現力にただただ引き込まれてあっという間に読了。どんなテーマでも人間の非情さ・冷酷さが心にスッと入り込んでいきます。おすすめです。

  • す、凄いこれ。
    差別、偏見、苛め、引き篭もり、家庭内暴力、家庭崩壊。
    そして、遠慮なく下世話。
    教育が行き届いた21世紀の文化的で公序良俗を重んじる良識の皮を一枚剥がすと蠢き出すありとあらゆる社会のタブーがテンコ盛りで、あからさま。
    ふだん、触れないようにしていることやなかったことにしていることを目の前に曝け出されて直視できず、読み進めるのが辛くなるほど。
    展開も想像するに怖くてたまらないのだが、目が離ない。
    この後、下巻に突入。
    では、いってきます。

  • 重松清の本は15冊くらい読んだと思いますが、有名な作品の中でこれだけ読んだ事がありませんでした。

    読んでみると、最初は「面白いか?これ」って思ったけど、読み進めていくうちに面白くなっていきました笑

    主人公が私と同じ中学生なので感情移入しやすいです。
    男子中学生って性欲の塊ですね・・・

    早く下が読みたいです!映画も気になる!

  • 「流星ワゴン」は、ファンタジー調であまり好みではありませんでした。浅田次郎のような「泣かせ」が気になりまして。まぁまんまと泣いたんですけれども。
    この「疾走」は全く趣の異なる小説です。主人公は15歳の少年でその迷える年代の読者に評価されているようです。共感できる部分があるのでしょう。テーマは一言で言うと「孤独」です。
    ごくありふれた少年が、家庭崩壊やいじめから精神を病み、逃げ出そうとする過程で出会う人や、壮絶な体験が描かれています。設定が悲惨すぎてリアリティが無く、感情移入が出来ませんでした。登場人物全員が、かつて不幸だったり、もしくは不幸な終わりかたになっていて、目を背けたくなります。とくに下巻は、性の描写が過激で長く続き、つらいです。ここまで長く詳細に描く必要は無かったのではないかと思います。
    主人公を「おまえ」と書く表現も、だんだん慣れますがわざとらしくて苦手でした。
    子どもの視点で書いた本をたくさん読みましたが、一度子ども時代を経た大人でも、難しいですね。自分の中学・高校生時代を振り返ると、今と比較にならないほどたくさんの心配事を抱え、日々真剣に悩んでいたことを思い出します。
    この本のタイトル「疾走」は、追われるように全速力で走る少年の短い人生を表すと同時に、主人公の少年はランナーで、走る場面が良く出てきます。この本を読むと早く走れそうな気がして、ジョギングに出かけたくなります。物語の終わり方は、それまでの曇天に晴れ間が差し込む感じで、妙にさわやかで静かです。
    酷評になってしまい、ファンの方には申し訳ないです。

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著者プロフィール

重松清
1963年岡山県生まれ。早稲田大学教育学部卒業。91年『ビフォア・ラン』でデビュー。99年『ナイフ』で坪田譲治文学賞、『エイジ』で山本周五郎賞、2001年『ビタミンF』で直木三十五賞、10年『十字架』で吉川英治文学賞を受賞。著書に『流星ワゴン』『疾走』『その日のまえに』『カシオペアの丘で』『とんび』『ステップ』『きみ去りしのち』『峠うどん物語』など多数。

「2023年 『カモナマイハウス』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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