疾走 下 (角川文庫)

著者 :
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  • Amazon.co.jp ・本 (368ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784043646036

感想・レビュー・書評

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  • 悲しい結末で、酷いはずなのに、最後は少しだけ希望がある、そんな感じ。最後まで駆け抜けた主人公。天に召される、という言葉が当てはまると思う。

  • すごく重たかった…ここまで重たいと思ってなかった…

    勉強のできる兄が放火犯として捕まったことで家族はバラバラ、学校でも一人になってしまうとこから話は始まる。

    もうシュウジの人生が壮絶すぎる!!
    私だったら絶対生きてけん!

    神父さんと大阪に行くとこと、最後は
    泣けた。

  • 不幸を二重三重に背負ったシュウジやアカネやエリ。ドロドロとした人間模様が繰り広げられたが、何だか考えさせられたエンディング。
    人間の極限というか、ひどいドン底のなかでも何とか生きて、自分が決めた最期を迎えるとは。

  • 言葉を失うほどの苦しい小説。とても人に勧めたくて、とても人には勧められない。いつまでも苦しく、いつまでもどん底にいる。描写があまりにもエグい。これ以上に苦しく泣きそうになった小説はいまだかつてなかった。最後の一縷の救いは、読み手の一縷の救いでもあったし、ここまで感情を移入出来る文章をえがいた重松さんの筆力は流石だった。そしてこの題名でさえつらい。本当に疾走だった。

    • koshoujiさん
      初めまして。
      同意なので、コメントさせていただきます。
      そうなんです。
      ─悲しいけど少しの希望が見えたラストに泣く。
      のです。私も。...
      初めまして。
      同意なので、コメントさせていただきます。
      そうなんです。
      ─悲しいけど少しの希望が見えたラストに泣く。
      のです。私も。
      救いがないと書いている方もいらっしゃいますが、最後は一筋の希望を見せているのです。
      ここが重松氏の乾坤一擲の力を込めた数行だと思うのです。
      この最後の文章の意味を分かってほしいと思いますね。
      2012/04/24
  • 世界はどうしようもないほど弱者で溢れている。
    弱者に子供は虐げられ、救いはみえない。
    それでも"おまえ"は最後に孤高になれたんだと思う。

    つながりたいという気持ちは誰もが持っている。
    素直に罪を償うことで再生できたかもしれないのに
    荒波に飲まれてしまったことが残念でならない。

    ちなみに
    上巻で(あえて)一人称と表現したが、超絶なまでの三人称だった。
    単純に「わたし=おまえ」に置き換えていた自分が恥ずかしい。。。
    わたしは神父か、それとも神か。

    下巻は
    色欲が強調されすぎているような気がするし
    シュウジは罪の意識からあがいて
    俯き気味でひたむきに走ることを忘れてしまったように思えて
    そこだけはちょっと減点かな。

    それでも素晴らしい作品だった。

  • 威圧感のある表紙から 主人公・シュウジの苦悩や祈り、孤独との戦いを既に物語ってる気がした。それでも想像以上の世界観で読み終わったあとの余情が尋常じゃなかった。

  • 苛酷だった。これでもかというくらい、不幸が上書きされ続ける。でも芯にあるものは変わらないってのが良いね。そしてそれは周りにも伝播して、希望が生まれていく。

  • 「ふたつのひとり」と「ひとつのふたり」。終盤の展開はまさにラストスパートの如く一気に引きこまれ、一気に読んでしまった。
    あらゆる不幸に巻き込まれ、孤高に憧れながらも少年は揺れ、そして”疾走”しつづけた。そんな話。
    形は違えどこの物語に登場する人物はどこか孤立し孤独でかつ孤高なように思えた。孤独のはけ口をみんなどこかに求めてる。「ひとり」の自分にとってはそこが妙にシンクロしてしまい、物語に没入できたと思うけれど、それが妙に寂しくもあったし切なくもあった。


    ==ネタバレ==

    少年は兄の事件があってから孤立したが、孤立しても毅然とした態度でいるエリに憧れ、孤高でありたいと思った。しかし孤高にはなりきれず、少年は孤独だった。死刑囚と面会した時も再び孤高に憧れたが、やはり孤高にはなりきれなかったように思う。あれだけの過酷な人生を送ったとしても、少年は「少年」なのだ。イジメてきたかつての親友や、金をスられた新聞配達の同僚、そしてエリを犯した叔父にすら、非情に徹することはしなかった。
    しかし、叔父の事件を起こした時、ここに残ると言った少年を叱咤し逃亡を促したあたり、エリもまた、「孤独」だったのだと思う。同じように神父も、アカネも、徹夫も、新田も、みゆきも、父も母も兄もみんな。孤独のはけ口の形が違うだけなのだ。

    ただただ暗いだけじゃなく、ふと希望が見え始めたと思ったらどん底に落とす展開が余計に気持ちを暗くさせるけれど、妙な”疾走”感のある読み応えのある作品。

  • 終わり方が本当に切ない。
    いろんな描写も、結構きつい。
    もろもろ、切ないです。

  • 心苦しい小説だった
    読み進めるのが辛かった

    それでも止まらなかった

    最後の終わり方は良い。
    少しだけ明るさを感じた

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著者プロフィール

重松清
1963年岡山県生まれ。早稲田大学教育学部卒業。91年『ビフォア・ラン』でデビュー。99年『ナイフ』で坪田譲治文学賞、『エイジ』で山本周五郎賞、2001年『ビタミンF』で直木三十五賞、10年『十字架』で吉川英治文学賞を受賞。著書に『流星ワゴン』『疾走』『その日のまえに』『カシオペアの丘で』『とんび』『ステップ』『きみ去りしのち』『峠うどん物語』など多数。

「2023年 『カモナマイハウス』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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