とんび (角川文庫 し 29-7)

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  • 角川書店(角川グループパブリッシング)
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  • Amazon.co.jp ・本 (432ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784043646074

感想・レビュー・書評

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  • この本本当に良かった。読んでない人みんなに読んでほしい。

    あらすじは、“主人公のヤスさんは、愛妻の美佐子さんとのあいだに待望の長男アキラが誕生し、生涯最高の喜びに包まれていた。しかしその団らんは、突然の悲劇によって奪われてしまう。我が子の幸せだけをひたむきに願い続けた不器用な父親と息子の魂震える物語。”

    本当に物語に出てくる登場人物全員が すっごいあったかくて、人情があって、色んな台詞に心を揺さぶられた。わざわざクライマックスに涙を誘うような在り来たりの小説ではなくて、物語を通して 何回もじわっと涙が溢れてくるような小説だった。何より、ヤスさんのアキラに対しての不器用ながらの深い愛情から得られるものが本当に多くて、親の経験のない自分も親心を少し覗けた気がしたし、自分もこんな想いで育ててくれたのかなとも思わされて、本当に感動した。親目線の小説は読んだことがなかったので、早めにこの本を読めてよかったと思った。特に父親が生きている間に 男の子には是非読んで欲しいな。

    自分が特に心に響いた言葉を挙げておく( ; _ ; )♡
    “親が子供にしてあげないといけないことは、『子どもに寂しい思いをさせるな。』そのたった一つだけ“
    “山あり谷ありのほうが、人生の景色がきれい”

    この本をきっかけに、ビジネス書や自己啓発本よりも、小説から得られることの方が大きいんじゃないか もっと心に直接届くものがあるんじゃないかと思うようになった。またとんびくらい良い小説に出会いたい!

  • 不器用だけど、愛情深い父親と息子の成長物語。
    まるで、自分の父を見ているようで、何度も涙がこみ上げてきた。
    ドラマも原作もどちらも良かった。

  • 終始涙なしでは読めない作品であった。
    冒頭から始まる不器用な"ヤスさん"と彼を取り巻く人々の関わり。そして誕生する新しい命"アキラ"と共に一人親の苦悩と葛藤と深すぎるほどの愛情が感じ取れる。
    彼ら父子家庭を支える周囲の人々の温かさにも心を打たれた。沢山の人々からの目が、手が、心が、彼らの日々を愛溢れる確かなものにしたのだろう。

    作品文中より
    "だから、おまえは海になれ。雪は悲しみだ。おまえが地面だと、雪は積もってしまう。だけど、海なら雪がいくら降っても積もらんだろう"

  • 昭和の備後の街で、結婚し、息子を育て上げていった男の一代記。想定される泣けそうな要素はほぼ網羅していて、大変素敵な話です。
    文章も読みやすいし、筋書きを外れて不幸になる登場人物はいないのである意味安心して読めます。よっぽどひねくれた性格の人以外は大絶賛なのではないかと!

    …という訳で、ひねくれた性格の自分からしますと、何だか特定の世代をターゲットにしてる感が強くないかと思ってしまうのです。新聞小説という出自を考えれば仕方のないことですが。。
    主人公は戦前生まれのヤスさんで、団塊の世代から見るとちょっと上。懐かしさを感じさせる描写や、ヤスさんも言葉では説明できないふるさとや不便さへの執着は、まさに刺さるだろうなぁと。三丁目の夕日的な、昔は良かった感が凄くて、私にはちょっと違和感があるのです。
    現代で同じ話を描いたら?ヤスさんの会社は正社員で何十年も勤めあげられるのか。あのプロポーズで結婚できるのか。家や車は買えるのか。ご近所ネットワークは生きているのか。そんなことを思うと、置いてけぼりにされるような感覚がちょっと生まれます。
    あと、子どもの世代に親がそう言わせたいと思うことを言わせてるんじゃないかという穿った見方もしてしまって、やっぱり親父の血のつながった孫が欲しい、的なことを敢えて子どもに言わせるかよ!と思ってしまうのです。

    すっごい良い話なんですが、だからこそ作者が凄すぎて、どこまで狙って書いてるんだ、と余計なことを考えてしまう。読書って難しいですね。。

  • 読書で気分をスッキリさせられることが最近の自分にとって、ストレス緩和剤だとつくづく思います。このスッキリ感はどうも、思いのたけを発散させること=気持ちよく泣けることなのではないかと。
    で、今回ももれなく大泣き「うわ~ん!!」と、声出して泣きたいのを(さすがに家族が傍にいましたので)、必死に抑えました(笑) 本書は、テレビ放映もされましたが、ドラマが原作にいかに忠実か分かります。違うところといえば、テレビではアキラが回想していく形をとっていますが、原作は時系列通りに進んでいきます。 これはいいです!父と子 父と母 父と父の父 夫婦、生涯の友、人生の師匠 ・・・あげたらキリがないほどに、沢山の人情に、心がほぐされ、温かくなります。なつかしさを感じます。ここに描かれている人たちの絆は、もしかしたら理想像かもしれませんが、それでも声に出して言いたいのです。命を守られ、育てられ、ときに助けられ、育つことの喜びを噛み締めてくれる人の存在があることを。先に逝ってしまった愛する人が、自分の中で息づいていることを信じられるということを。 本当に嬉しいと、人は笑うより、涙が出るものなのだということを。 ドラマで観終えている方にも、感動された方なら尚のこと、おすすめしたい一冊です。

  • 荒唐無稽なのに、熱く、どこか憎めない父親と母親を事故で失った子どもの成長ストーリー。
    読んでるときは無茶苦茶な父ちゃんやなって思いますが、家族愛に溢れたエピソードにジワリと心が暖まる。
    とても昭和の香りがする一冊。

  • 評判通りの親子と取り巻く人々の心温まるストーリーだが、何か今一つのめり込めなかったのは、あまりにいい人たちばかりだったせいかな。アキラのパーソナリティももう少し強くてもよかったのでは。

  • 1人の男性の心の内が細かに描かれています。
    海雲和尚がカッコいい!
    『夕なぎ』のたえ子さんは、素敵すぎ!

  • 不器用な父親…ヤスさんに感動ですっ!

  • ビタミンFと同じく、子供のいるおじさん世代に是非おすすめしたい作品。古き良き時代の地方都市を舞台にした家族愛に溢れたほっこりできる内容でした。

    とにかく不器用で照れ屋なヤスさん。わりと「理」で行動する自分としては、「なんでそうなるかねぇ…」と思うシーンが多々あり、どっちかってと取り巻きの居酒屋のおねぇさんや親友の坊さん視点になりました。

    子供とはいつまでも一緒にいれるような感覚に陥ってましたが、時間は限られている(長男に関してはもう後半戦)事に改めて気づかされました。
    振り返ると、仕事も含めかなり自分中心に生きてきたなぁ、と自省。。。
    その点、嫁は結婚以降、自分を犠牲にしてよく子供と私に尽くしてくれてると改めて感謝ですね。
    他にも色々家族について考えさせられる点がありました。

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著者プロフィール

重松清
1963年岡山県生まれ。早稲田大学教育学部卒業。91年『ビフォア・ラン』でデビュー。99年『ナイフ』で坪田譲治文学賞、『エイジ』で山本周五郎賞、2001年『ビタミンF』で直木三十五賞、10年『十字架』で吉川英治文学賞を受賞。著書に『流星ワゴン』『疾走』『その日のまえに』『カシオペアの丘で』『とんび』『ステップ』『きみ去りしのち』『峠うどん物語』など多数。

「2023年 『カモナマイハウス』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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