バガージマヌパナス わが島のはなし (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
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本棚登録 : 270
感想 : 33
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  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784043647088

作品紹介・あらすじ

19歳の綾乃は島での楽園生活を満喫し、大親友のオバァ、オージャーガンマーと遊び暮らす日日。しかしある日夢の中に神様が現れ、ユタ(巫女)になれと命じる。「あーっワジワジーッ」徹底抗戦の構えの綾乃だったが、怒った神様の罰もあり、やがてユタへの道を歩むことに…。溢れる方言と三線の音、抜けるような空に映える極彩色、豊かな伝承と横溢する感情。沖縄が生んだ不世出の才能の記念碑的デビュー作。

感想・レビュー・書評

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  • なんて魅力的なんやろう。冒頭から惹き込まれる豊穣でおおらかで豪快でええかげんな世界。ガジュマルの樹の下で遊び友達のオージャーガンマーばあさんと日々ユンタク三昧の綾乃は怠け者で身勝手で美人で三線の名手で霊感が強く彼女の才能に目をつけた神様の度重なる脅迫と嫌がらせの中、拝む意味を知る。オージャーガンマーばあさんをマネジャーとし、ここに、現ユタチャンピオンである既得権益者カニメガとのユタ市場を賭けた壮絶なバトルが始まる?《この島は怠け者を愛してくれる》p.7

  • 自分の気持ちを隠すことなく、人目を気にせず、おおらかな生き方が、とてもみずみずしく、沖縄の海の色を思い出した。

    物質的に豊かじゃなくても…なんて言葉よく聞くけど、お金で買えないものってこれだなあと。

    こんなに愛し愛されてるなんて、とても幸せだと、読後は温かい気持ちになる。

  • おおらかで、シンプルで、ミニマム。
    そしてゆるーいスピード感。
    大げさだけど、そういう人生観(?)がとても好き。

    20年以上振りの再読になるけど、その時に感じた面白さ(単純な爽快さって感じかな)とは違って、いろんな意味で考えさせられたり深みを感じられたような気がして、いっそう好きな作品になった。

  • 能天気なほど明るい本が読みたくて、この沖縄の物語を選んだが、能天気も程がある(笑)大らかに生きてるにしても突き抜け過ぎな二人の物語。前半は方言が理解不能で飛ばし読み、後半は何かと胸に刺さる言動もあり感動。人生辛い事はある、でも被害観念に囚われず、素敵なものに素直に感動して大らかに生きる。「島人の宝」の曲も通じるメッセージを感じる。手元に置いてまたいつか読もう。この方の本を読むと沖縄(琉球)はつくづく日本と一部と呼ぶのに違和感を覚えるなぁ。伝統をひたすら守り受け継ぐ一つの素敵な国。

  • 軽くて読みやすいけれど、取り立てて中身は語るほどでもないかな、と感じてしまいました。

    解説では南国ファンタジーが新鮮で良いと書かれていましたが、後付けの理由かなーと。

    響かなかっただけで、決して退屈ではないです。
    南国育ちの方は郷愁に包まれるかも。

  • 慣れないタイプの書き方・ストーリーでかなり読みにくかった。
    おすすめとして貸してもらった本じゃなければ、途中でやめちゃってたかも。

    後半慣れてきて、話も好きな感じになってきたので結果としては全部読んでよかった。

  • 高校生の頃、偶然図書館で出会って、非常に面白かったので文庫で買って持っていたのを久々に再読。
    (今ではすっかりその本も古くなり、日に焼けて茶色になってしまったのでもう一度買おうかな。)
    面倒くさがりで定職に就こうとしない美貌の不良少女・綾乃と、彼女を見守る老婆オージャガンマーの、沖縄の美しい自然を背景にした友情コメディであり、綾乃がユタ(巫女)になるまでの成長物語でもある。綾乃の極端な性格と、オージャガンマーの天然ボケの絶妙な会話に吹き出さざるを得ない。
    私もこんな風に自由に生きられたら、と綾乃を羨ましく思ってしまうとともに、読んでいると沖縄のゆったりした時間に包まれて、なんとも豊かな気持ちになる。
    (すごく面白いのだが、やはり3回目で読むよりも初めて読むほうが新鮮な気持ちになれるから、話の内容を一度忘れたいくらいだ。)

    とにかく、この物語は私の宝物である。

  • 今まで読んだ池上永一の中で一番面白かったです。
    オバアのキャラがぶっとんでるのは当然として()若い主人公もぶっとんでるのでもう笑う笑う。電車の中じゃ読めません。南国の色彩、温度。
    無為を極める綾乃とオージーガンマーとっても楽しかったです。

  • 沖縄の島でゆるーく遊び暮らしている19歳の娘 綾乃。ある日夢の中に神様が現れ、ユタ(巫女)になれと命じられる。

    島の雰囲気、暮らし、伝統、その気温までも感じられる。
    少女がユタになる成長物語というよりは、沖縄の島の雰囲気を味わう本だと思う。

    それにしても、オージャーガンマーが可愛らしい。
    忍耐を忍耐とも思わず、ゆっくり受け止め、執着することなく、いつでも楽しく暮らす。なんてすごいんだ。

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著者プロフィール

池上永一
一九七〇年沖縄県那覇市生まれ、のち石垣島へ。九四年、早稲田大学在学中に『バガージマヌパナス』で第六回日本ファンタジーノベル大賞を受賞しデビュー。九七年刊の『風車祭』が直木賞候補に。二〇〇八年刊の『テンペスト』はベストセラーとなり、一一年の舞台化をはじめ、連続テレビドラマ、映画にもなった。一七年『ヒストリア』で第八回山田風太郎賞を受賞。他の著書に『シャングリ・ラ』『レキオス』『ぼくのキャノン』『統ばる島』『トロイメライ』『黙示録』などがある。

「2023年 『海神の島』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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