浄土の帝 (角川文庫 あ 40-5)

著者 :
  • 角川グループパブリッシング
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  • Amazon.co.jp ・本 (512ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784043659050

作品紹介・あらすじ

平安時代末期、末法の世。貴族たちの権力抗争は、皇位継承をめぐる骨肉の対立と結びつき、頂点に達した。鳥羽院の崩御を機に噴きあがった戦乱は、容赦なく帝をも巻き込む。崇徳院の悲劇、失墜する摂関家、寵臣たちの暗躍、そして美貌の后妃の思惑…。混迷を深める政情は、新たな権力者の登場を予感させる。朝廷が、帝が、権力を失っていく中で、自らの存在意義を賭けて理想を追い求めた後白河帝、激動の半生を描く歴史巨編。

感想・レビュー・書評

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  • 後白河法皇になる以前の、丁度鳥羽法皇が崩御されて、後白河天皇~後白河上皇時代の保元の乱、平治の乱前後の物語。
    昨今平清盛の評価が昔の悪役のイメージから変わっていく中で、清盛と関係の深かった後白河天皇に興味があったので、この本を読み始めましたが、結構面白いので一気に読めました。

    後白河天皇は歴代天皇の中では、権謀術策に長けた悪役のイメージが強いが、恐らく鎌倉幕府側から見たイメージだろうと思う。直木賞作家の安倍龍太郎によって、新しい後白河天皇(上皇)が誕生した。

    この本を読んで、藤原不比等が祭政を分離、つまり神事は天皇家、政は藤原家が司る仕来りを作ったのを知った。
    そのような時代の流れから、悪役の信西法師が現れ、また後白河天皇が、その枠組みを壊してゆくプロセスの中で、源義朝や平清盛の武士団が勢力を増していく様がよく分かる。また傍流ではあるが崇徳天皇(上皇)の悲劇や西行法師などが彩を添えて、新しい歴史の見方なり相関関係が明瞭になってゆく楽しみに満たされる。

    ただ登場人物が多いので、大まかな時代の流れを頭に入れておかないと混乱するので、その点が要注意。

  • 本作では“間接的”にではなく、“直接的”に後白河院の様子が描かれる。小説の視点人物に据えられているのである。彼の眼線で、当時の貴族達の駆け引きや、武士達の戦いが活き活きと描かれている。そんな中で後白河院が目指したもの…或いは「天皇と日本人」、「日本人と天皇」というような深いテーマをも考えさせてくれる内容だ…

    “時代モノ”の中には、こんな時代を背景にした作品は豊富とも言い難く、やや馴染みが薄い人物達が活躍している作品だが、これが面白い!!

  • 安部龍さんの後白河法皇を主人公にした作品
    通説の天狗のような法皇ではなく、さっそうとした人物像で描かれている

  • 後白河法王の話。朝家(天皇家)の方々は御霊感がお強く、御兄弟同士がおテレパシーを用いられ、会話ができてしまわれるらしいッス。これを読んでから作家は膨大な資料から史実に基づきつつ想像(妄想)を膨らましているので歴史小説はあくまでもなんとなく史実っぽいフィクションエンターテイメントと思うことにしている。
    そう思うと堅苦しさが抜けて格段に面白くなる。

  • ちょっと人物が見えてこない。ああそういう見方もあるのかなという感じ。冗長。

  • 源平合戦物には必ず登場する平安時代末期の有名人。
    頼朝が評した「日本一の大天狗」という悪役イメージが強い人物だが、実際は祖父の白川法皇や父の鳥羽法皇ほど絶大な権力を握ることが出来ずに、裏で時の権力者(藤原家、平家、鎌倉幕府)に反抗することで精一杯だったのだろうと想像できる。
    本作は即位前の青年期から平家が勃興する直前までの内容。
    後白河上皇を主人公にという着眼点に興味を覚えたが、やはり思うままにならない人生を延々と綴られてもなぁというのが正直な感想。
    後白河上皇の破天荒さが描き切れていなかったと思う。

  • 後白河がこんなに苦労していたなんて…。

  • アホだと伝えられている後白河法皇のお話。平清盛や源頼朝のお父さん等々絡んできますが。
    この中では、後白河法皇を「良い人」と言うイメージで物語を進めていますが、息子との確執や参謀から見捨てられる等、良い人ではどうやっても書ききれない部分が多く、無理を感じた。
    逆に「とんだアホだ~」と書き進めた方がすっきりしたかも。

  • 2008/12/29 メトロ書店御影クラッセ店にて購入。
    2019/3/21〜3/26

    2年半ぶりの安部作品。保元・平治の乱、という名前は武士の台頭と絡ませて教わるが、どのようないきさつであったか、についてはほとんど知らなかった。本作品は、後白河天皇を主人公にその顛末が描かれている。あまり他の作品で読んだことのない歴史的事件であったので、大変面白く読めた。

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著者プロフィール

作家。1955年福岡県生まれ。久留米工業高等専門学校卒。東京の図書館司書を経て本格的な執筆活動に入る。1990年、『血の日本史』(新潮社)で単行本デビュー。『彷徨える帝』『関ヶ原連判状』『下天を謀る』(いずれも新潮社)、『信長燃ゆ』(日本経済新聞社)、『レオン氏郷』(PHP研究所)、『おんなの城』(文藝春秋)等、歴史小説の大作を次々に発表。2015年から徳川家康の一代記となる長編『家康』を連載開始。2005年に『天馬、翔ける』(新潮社)で中山義秀文学賞、2013年に『等伯』(日本経済新聞社)で直木賞を受賞。

「2023年 『司馬遼太郎『覇王の家』 2023年8月』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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