恐怖記録器 (角川ホラー文庫 94-3)

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  • Amazon.co.jp ・本 (260ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784043693030

感想・レビュー・書評

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  • 正直……ちょっとコメントしづらいです。
    なんでこれをあんなに読みたくて仕方なかったんだ!(前回記事)というくらいですよ。
    とりあえず自ら粗筋を書ける気がしなかったので、オイラの心を魅了した粗筋を引用します。


    粗筋(裏表紙の粗筋から引用)。
    あなたの夢を記録します。切なさと懐かしさを誘う異色のホラー作家最新作。
    売れないホラー作家に持ち込まれた、夢を記録するだけの実験だという怪しげなアルバイト。
    しかし初日に手術台に寝かされると鼻の穴から脳みそに何かが差し込まれて…。
    夢と現実のあわいを描くノスタルジックホラー!


    いや、ホント粗筋通りなんですよ、内容も。
    けどね、何がおかしいって、それしか分からないってことですよ。笑
    読み終わってこの粗筋を読んでみると、あぁそうだなーこういう話……

    な ん だ け ど さ
     ……って感じです(意味不明)。

    じゃあどんな話なんだ? って聞かれても話せません。
    小説の内容通り、「起承転結」がないというのが妥当な説明か。
    うーん、とにかく「うまく粗筋が説明できない話」としか言いようがない。笑


    そんなこんなで前置きが長かったですが。
    簡単に言えば「狂人」視点のSFホラーです。
    『ドグラ・マグラ』とか、最近ので言えば『紗央里ちゃんの家』に近い感じです。
    むしろこの二つを足して二で割った感じ。
    読後の頭の混乱具合は『ドグラ・マグラ』にも引けを取りません。笑
    雰囲気……というか、表現の仕方は『姉飼』の遠藤さんを思わせたり。
    とにかく、狂ってます。
    (全部読んだことある人には読みたくなくなる説明だろうな……笑)


    面白かったか? と聞かれても何とも答えようがありません。
    でも「怖い」という感覚の理論展開はとても良かったといえます。
    人に与え得る恐怖ってのが「ホラー作家」の視点で描かれているので、個人的には興味深いモノでした。


    まぁ大してオススメもしませんが、興味のある人は読んでみてください。
    狂った文章好きな人はどうぞ。笑
    ……そして理解できたら報告してください。笑

  • 最後まで読み通せば答えがあるか、と思ったが… 標準語の回想と関西弁のセリフ…? 時間を開けてゆっくり読み直したい。その後にもう一度☆を入れ直したい感じ。

  • なんだかよく分からないのに、何かが分かりそうで何度も読み返してしまうけど、未だはっきりとした筋は見えない。

  • SFチックなホラー小説。北野勇作っぽい作品。文脈のいりこ構造は読者を混乱させるがそれこそ、恐怖の種であり、発芽→満開の花となって、渾沌と恐怖を植え付ける。これもまた恐怖記録器のちからなのかもしれない。

  • 想像力を酷使すると怖い。話の中で起承転結+αで章が分かれているけど、章ごとにシャッフルしても成り立つような気がする。

  •  北野勇作のホラー長編。
     売れないホラー作家に持ち込まれた、夢を記録するという実験。しかしいかにも怪しげなその実験を受けてから、作家の周りでは奇妙な事が起こりだし―。
     …というストーリーが一応はあるのだが、例によって北野勇作節全開のため、途中からストーリーはどうでもよくなってくる。
     とにかく読んでいて何が現実なのか、何か妄想なのかさっぱりわからない。さらに作家が書き出す物語も現実(?)に絡み出し、入れ子の中の入れ子構造。読んでいて正直訳がわからんという状態に!
     しかし朧げながら読者に提示されるのは、記憶の混乱から自分が何者なのか判らなくなってしまう恐怖。本書がコミカルな表紙なので思わず油断してしまったが、これはかなりの恐怖である。つまり、読者も読んでて訳がわかんないが、登場人物たちも自分の現実がどうなっちゃったのかよく判らないのである。

     宇宙人に誘拐された人、というのをテレビやらなんやらで見たことがあると思う。嘘か真か、半ば都市伝説みたいなものだと個人的には思っているが、とりあえず彼らは一様にその体験を迫真の表情で語る。逆行催眠で記憶を甦えらせるのがよくある手法らしいが、そこで彼らは消去されてしまった記憶を思い出し、その間に自らに施された恐怖の実験を驚愕の表情で思い出す。
     それがエイリアンによるものかどうかは別として、大切な人生の記憶の一部がぽっかりと削除されているというのは確かに怖い。そしてそれがもし大切な思い出だったりしたら、怖い上に、辛い。

     本書中でホラー作家は強制的に実験体にされ、恐怖の記憶を記録する装置「フライトレコーダー」を取り付けられる。FLIGHT RECORDER(飛行記録器)ではなくFRIGHT RECORDER(恐怖記録器)である。恐怖の記憶が作家と物語を変容させていく。終盤では一応驚愕の真実が明らかになるのだが、この場面での虚無感はいかにも北野勇作作品らしい。

     北野氏自身に子供ができた事も本書の成り立ちに大きく関わっている気がした。胎児が重要なモチーフとして登場する部分などは、今までの北野勇作作品では見られなかったように思う。

     北野勇作ファン以外には受け入れ難い小説かも知れないが、この作風はハマってしまうと抜け出せない。
    ※個人的には、「恐怖記録器」という名前はちとゴロが悪いような気がする。「恐怖記録装置」とかそういう名前がいいような気がするけどなあ。

     本書では、現実と夢の違いなど、脳の状態の違いでしかない事が語られる。そう考えると、われわれが現実と認識しているこの世界が実に頼りないものに思えてくるではないか。
     そんな事をホラー作家は語りかけてくる。

     ―なあ、おまえ、自分でも、もうわかってるんやろ。

  • 淡々と淡々と淡々と……あなたの目はあなたの体を離れ。

    淡々としているけどなんかこうぐらぐらとする本です。
    まぁ、作風が淡々としている人だからかな。

  • 不思議なお話。

  • 視点の主がもうよくわからない(笑)描写が面白い。(読了'08/01)

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著者プロフィール

1962年、兵庫県生まれ。
1992年、デビュー作『昔、火星のあった場所』で第4回日本ファンタジーノベル大賞優秀賞、『天動説』で第1回桂雀三郎新作落語〈やぐら杯〉最優秀賞を受賞。2001年には『かめくん』で第22回日本SF大賞を受賞。『どーなつ』『北野勇作どうぶつ図鑑』『どろんころんど』『きつねのつき』『カメリ』『レイコちゃんと蒲鉾工場』ほか著書多数。
ライフワークとも言える【ほぼ百字小説】は、Twitterで毎日発表され続けており、その数は4000を超える。

「2023年 『ねこラジオ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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