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この作品からのみんなの引用
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私にも好きな言葉があった。学生時代に読んだ『歴史の研究』の中でアーノルド・トインビーはこう書いている。〈生の最中、我々は死の中にいる。誕生の瞬間から常に人間は、いつ死ぬかわからない可能性がある。そして、この可能性は必然的に遅かれ早かれ既成事実になる。理想的にはすべての人間が人生の一瞬一瞬を、次の瞬間が最後の瞬間となるかのように生きなければならない。〉
― 454ページ -
駿河は仕事に困難が生じ問題が紛糾した折に、きまってその本の中の一節を手元の紙に引き写していた。何度もそんな彼の姿を私は側近くで見てきたものだ。次の一節である。〈なにか大事が起きたとき、人は自問自答して、多くの人は“誰かがことにあたるだろう”と考えるが、稀には“なぜ私がことにあたらないでおられよう”と考える人がいる。この両者のあいだに、人類の道徳的進化の全過程がある。〉
― 453ページ -
駿河の持ち物で一つだけ夫人に譲ってもらいたいものがあった。いつも駿河がデスクのブックエンドに立てかけ、事が起きると必ず読み返していた一冊の本だ。アメリカの代表的プラグマティストであるウィリアムス・ジェイムズの『宗教的経験の諸相』だった。
<なにか大事が起きたとき、人は自問自答して、多くの人は”誰かがことにあたるだろう”と考えるが、稀には”なぜ私がことにあたらないでおられよう”と考える人がいる。この両者のあいだに、人類の道徳的進化の全過程がある>
― 453ページ
みんなの感想・レビュー・書評
へー。ま、人生の選択は人それぞれですからね。
いいんじゃないですか、金も名誉も捨てて、普通の女と普通の暮らしを求めても、人のつながりを捨てて、金と名誉に走っても。
いいんだけどさ、そもそもなんで主人公は普通の女に走ったの?
言葉では言い表せない、心に直接響く絆があったと思われるのですが、読み取れない・・・私の読解力不足?
理解及ばず消化不良。
守ってあげたい、ってわけでもなさそうだし、金と名誉の競争に疲れたってわけでもない。
言葉では言い表せない何かを、言葉にして読者の心に直接説明して欲しかったです。あんなに分厚いんだから!
こういう話は好み。長いのも問題ない。でも読み終わったあとしばらく余韻にひきずられるので、しょっちゅう読むのはためらわれる。つまりまあおもしろかった。それにしても瑠衣のような女はほとんど非現実的たがもし存在するならなににもかえがたい。それでもそうしないというのも実際にあるんだろうな。ヒトの心は不思議なものだ。
瞬間を積み重ねて生きていくときにぱっときらめく光の愛おしさを、原稿用紙1000枚使って書き尽くしたような小説。密度の濃い物語で、でも、実はテーマ設定そのものは目新しさはないことにも気づく。引きつける力がとても強かった。
友人の勧めで白石一文デビュー。難解だったる哲学的に過ぎるセリフと超エリートの主人公に感情移入できず。展開やストーリーは嫌いじゃないけど、個人的に合わないかなって印象。後日読んだ「私という運命について」のほうが読みやすかった。
兎に角 最初は、主人公のエリートになんか共感ができず、ちょっと読みにくかった・・・ けど二人の女性が対面するぐらいから、ぐんぐん読み込んでしまった。
終わり方として意見がいろいろあると思うけど、きっと前半の対照としてのエンディングがあると思う。
主人公は社長派閥でキャリアを積んで、人事課長となった橋田浩介。
昼の採用面接の後、その日の夜にBARでバイトをしている中平香折に再会。
妹のように香折の情緒不安定に振り回されながら、これまでの仕事ばかりに専念していた過去を振り返る。
そんな中、反派閥の悪巧みによって、社長の裏工作が明るみに出て、浩介の立場も危うくなる。
男の人は、なぜ仕事ばかりするのか、仕事を頑張った先に何があるのか、仕事を取ったら何が残るのか。同性からみると、突かれたら一番痛いところを、正面から向き合って書いた小説。
思ったよりすらすら読めました。
文章も読みやすく企業小説的な所も、
面白かったです。
食べ物の描写が良かった。
「心に龍を~」のあとがきを読んで手に取ってみた本作ですが、20代後半~30代の男性社会人に受けが良さそうだなぁ、と感じながらも純粋に楽しめた一冊でした。
きっと作家さんがこれまでの人生での経験を自身の中で濾すことで出てきたんだろうなぁっていう胸を突くような描写が所々にありながらも、最終的なインパクトが弱いことは否めませんが、それが逆によかったのかも。
やっとこの一瞬の光を読んだ。読みやすくてどんどん引き込まれた。やっぱり白石一文は読みやすい、知識人なんだなと思った。切り抜いて手帳に書き込みたいようなフレーズがいくつかあった。
38歳で日本を代表する企業の人事課長になったエリートの橋田は、採用試験の面接で不採用にした20歳の香折が、面接の日の夜、男に絡まれているところに遭遇する。
仕事以外に興味がない橋田が香折と出会い少しずつ変わっていく。
部長が貸してくれたので、読んでみました。分厚いのでなかなか気が進まなかったけど、文も読みやすいので、結構スラスラ読めました。
恋愛だけの物語ではなく、企業の話とかもあるので、その人の人生をまるまる見てる感じで読み応え十分。
人との向き合い方に色々考えさせられる本。
こんなふうに戸建ての2階に招き入れてくれる小説が好きだ。
家の間取りが見えてくる、お話。
恋愛を描くんならワンルームマンションでいい。
ドアが見えて窓が見えて敷居が見えて、共棲する分かり合えない他者が見える。
それというのは、人を描くということだし、命を生を死を描くということだと思う。
白石さんの小説の登場人物は全く記号みたいだなと思って、あんまりしっくりこないんだけど、言っていることはきっと精錬された価値のある言葉なんだろうなという感じがする。
恋愛小説として読んだなら、主人公は最悪。
…、というかあんまりこの作家さんは好きじゃない。
偏ってる感が凄くて、押しつけがましくて、
とにかく無性に腹立たしい。
わたしが女だからか??
でも企業小説的な側面もあって、そっちは面白かったので、結構なボリュームでも先が気になって読み進めてしまった。
そう、なんかむかつくんだけど面白いんだよなぁ~…。
『私という運命について』が個人的にとても好きだったので、白石さんの他の本をと思い、手に取ったのがこれ。
結果は…これも個人的な感想ではあるけれど…期待外れ。
どこまでも男の人視点の女性像が、気になるというか、鼻につくというか…。
凛として美しくて、一途で情熱的で、それでいて脆さとミステリアスな面も合わせ持つ、そんな『女性』と、女性の全てを受け止め、守り切る懐の深い『男性』。
なんだか理想というよりどこかもう、偶像っぽいなあ〜って気がして。
なんだか最後まで、登場人物の誰にも、感情移入できず終いでした。
読後感も、重いなあ…。

現代の日本文学で読む作家と言えば、村上春樹くらいだった。
食わず嫌いと言えばそうかもしれないが、
ただ単に縁がなかったと言った方が的確かもしれない。
しかし、今回美しい文章を書き、「現代的」な葛...






