私という運命について (角川文庫)

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著者 : 白石一文
  • 角川グループパブリッシング (2008年9月25日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (495ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784043720040

私という運命について (角川文庫)の感想・レビュー・書評

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  • 結婚について、現在あるいは過去に、惑い、悩み、考えている(いた)女性は、自らを置き換え、読むこともあるだろう。
    29歳で恋人にプロポーズされ、逡巡のうえ別々の道を歩み、40歳で再会後に結婚する女性の物語。
    彼女がこだわり、常に離れないのが「運命」という存在。

    義母となる人からの手紙に
    「選べなかった未来、選ばなかった未来はどこにもないのです。未来など何一つ決まってはいません。しかし、だからこそ、私たち女性にとって一つ一つの選択が運命なのです」
    義妹の手紙で
    「運命というのは、たとえ瞬時に察知したとしても受け入れるだけでは足りず、めぐり合ったそれを我が手に掴み取り、必死の思いで守り通してこそ初めて自らのものになるのだ」

    読んだ誰でもが、私という運命について、考えを巡らせてしまう小説といえよう。

  • 運命、恋愛、運命、別れ、運命、結婚、運命、出産、運命、死
    何が運命で何が運命ではないのか。

    結局、ひとつの選択を運命と決めるのは自分で、運命ではないと決めるのも自分。
    そうだとすると、単純な選択以上の「運命」とはなんなのだろうか。
    個人的には、ただの後付け的な都合のいい言い訳にすぎない気もするが、
    それ以上の主体的な選択以上の何かを信じたい気もする。

    白石さんの作品を読むと、運命というものを信じてみようかなという気にもさせられる。
    運命を扱っていても、安易に結びつかない、ひねくれた運命だからこそ魅かれるのかも。

    前は、恋愛小説とか好きじゃなかったけど、最近は意外と抵抗なく読んでるな。

    「選べなかった未来、選ばなかった未来はどこにもない。未来など何一つ決まってはいない。だからこそ、一つ一つの選択が運命なのだ。私たちは、運命を紡ぎながら生きていく」

  • 読み終えて、胸がつまるというか、ぼんやりと考え込んでしまうというか。
    お話自体はきちんとすっきり終わるのだけど、内容を自分と重ね合わせてしまう感じがある。
    29歳から40歳までの、女の10年の物語。
    自分自身がその只中にいる年齢だからこそ、そんな風になったのかも。

    大手メーカーの営業部に総合職として勤務する冬木亜紀。
    バブル期を抜けて、男女雇用機会均等法が成立して少し後の時代、亜紀は元彼である康の披露宴の招待状の返事を出しあぐねていた。彼からはプロポーズされたが断った過去がある。
    別れから2年の歳月を経て、亜紀は康の母・佐智子から届いたまま封を切っていなかった手紙を初めて読み、自分の運命というものを見つめはじめる。

    29歳からの10年、多くの女性はたくさんの選択を迫られたり、自分の往く道について思い悩んだりする。
    結婚はするのか。出産はするのか(できるのか)。
    結婚するとしたら、仕事は続けるのか。相手の家族と同居するのか。
    出産後は主婦になるのか、仕事復帰するのか。
    結婚しない人生を選んだとしたら、その後の生き方はどうするのか。
    理想通り、思った通りにはほとんどならない人生の中で、どのような選択をして、進んで行くのか。

    この小説の主人公・亜紀もそんな普通の女性の一人で、恋人と別れたり、また別の人と出逢ったり、仕事の面でも転勤になったりまた本社に戻ったり、家族の病気や身内の死、友人との関係の変化などが10年の間にさまざま起こる。
    比較的厚めの一冊にぎゅっと凝縮された10年だからものすごく波乱万丈に思えるけれど、実際は比較的落ち着いた時期や事件めいたことは起きない穏やかなときもあるだろうし、恋愛だってまったくしない時期もある。そういう余白を思えば、こういうこともあるだろう、という10年だと思う。

    10代や20代のときは、私自身、人生というものは自分で選択して切り開いていくものだと思っていたけれど、今になってみると少し違って、与えられた運命や自分の力では変えられない運命を受け入れて進んでいくことも、選択のひとつなのだと思う。
    当然自分で自分の思う道を選ぶことも必要なのだけど、それと同じくらい、受け入れることも実際は多いのだということ。
    諦めのように見えるけれど、それ自体自分の選択のひとつ。

    人はよく選ばなかった道に思いを馳せたりするけれど、実際手に出来るのは、選んできたその道だけ。
    <選べなかった未来、選ばなかった未来はどこにもないのです>
    佐智子の手紙の一節が、すとんと腑に落ちた。
    別れた人とまた出会うという運命の流れも時にはあって、それを自ら掴みに行くかどうかは自分の選択にかかっていたりする。

    色んな人の色んな人生が絡み合って、ひとつの舟に乗って進んでいく。
    時に自分がその舟を降りて別の舟に乗り換えたり、どうしようもない運命に引っぱられて誰かがその舟を降りることもある。
    自分が往く先はどこなのか。選択の只中にいる私は、考えずにはいられなかった。

    余談としては、白石一文さんの小説ってもっと理屈っぽいイメージがあったのだけど、この小説はとても読みやすかった。

  • 女性にとって恋愛とは?結婚とは?出産とは?家族とは?
    死とは?

    涙腺緩みっぱなしでこんなに泣いた本ははじめてかも
    しれません。

    亜紀さんの物事の捉え方が私と酷似していて
    最初のほうは自分と重ねて読み進めました。

    哀しい目にあっている人が今この世界には
    何千万人もいて、自分はその人たちのために何もできないでいる。
    自分が無力だってことを思い知るのが人生で、
    わすかでも別の何かを付け加えていくのが
    生きるということなんだって。

    私はすごく無力な存在だといまも思っています。

    会社でも必要とされていないし、家族はこんなはずじゃなかったとか○○ちゃんはあんなに立派なのにうちの子はどうして?
    とか毎日のように聞かされる毎日です。

    そんな駄目な人間な私にとって
    この言葉はじわりじわりと胸をこみあげる
    モノがありました。
    本当に救われた気がします。

    自分の周囲で起きる出来事をどれもバラバラの偶然と
    捉えるより、すべてが一つの意味を持っていると
    考えた方が人生はずっとリアルで楽しいと書いてありました。

    確かにそうかも。
    いま私が抱えている問題すべても、
    何か意味があるんじゃないかって思えてきた。

    私は深刻に考えすぎてただけかもしれないとも思えてきた。
    選べなかった未来、選ばなかった未来
    はどこにもなく、未来はひとつも決まっていないし見えやしない。
    一つ一つの選択が運命なんだって思えた。

    仕事も恋愛も家族関係も親戚関係も
    上手くいっているとはいえないけど、
    いまという瞬間瞬間を一所懸命生きようと思います。

    生き直します!

  • 中盤、好きな箇所はいくつかあったけど、最後の「愛する人の声」は主人公と康の説教くさいところや長い会話に嫌気がさした。
    個人的に、好感持てる登場人物があまりいない…好きなのは郷美くらい。

    この手の、人の人生をテーマにした作品は、主要人物に共感できないと読んでてしんどい。私は。
    だから、読みきるのが精一杯、だった作品。

  • 自分の未来を切り開くために、現在から種をまく。自分の未来は自分で変えられるんだ。そう思っていた。思っていたというより、今も思っているが、それでもこの小説を読んでいると、自分で抗えない運命というのはあるのだろう。

    自分で運命は変えていける。自分で抗えない運命はある。一見相反するものであるが、どちらも人生には必要なことなのだと思う。

    思い通りにいかず、自分で抗えないことがあっても運命として受け入れれば絶望することはない。

    自分で運命を切り開いたとしても、それが運命ということを知れば傲慢になることもない。

    運命とうまく付き合っていくことが、人生の達人になる方法だ。

  • 主人公亜紀の29才から40才までという、女性にとってはいわゆる妙齢という年齢の人生を切り取って、筆者にとっての、運命とはなにか、幸せとはなにか、を語っている話。

    主人公は、29才のときに、実家に挨拶にまで行った恋人の求婚を断ってしまう。その後も、自分のみならず、周りの人にも、ずっと間が悪いとか、歯車がずれたといった出来事が繰り返される。その中で、主人公は、自分以外の人にすら見えている自分の運命に自分が気づいていなかったことに気づき、次第に運命を見据え、受け入れ、つかみとっていく強さを養っていく。

    同年代の妙齢女子として、ぐっさりくるところも多い作品。特に最初のほうなんて、同じようなことしてたり、しそうで怖い・・・。そんなに運命論者ではないけれども、後から考えると、運命という観念でしか考えられない瞬間はいくつか思い当たる。これが運命だと思ったら、ただ受け入れるだけではなく、それを掴み取り守り通すことで、本当に運命になる。このメッセージは、ただの運命論ではなく、運命の自分なりの捕らえ方として、非常に納得がいった。

    10年かけて少しづつこの真理を理解し、実行していく主人公の姿に、自分を重ねて自分はどうだろうか。今は翻弄されているだけに見えてもどこかにつながっていくのだろうか、と考えさせられた。

  • 29歳からの10年を女性目線で描く出会いと別れの物語。白石さんのテーマでもある運命の出会いが主軸になっています。偶然って、運命ってあるのかもしれないし、ないのかもしれない。その時々1つ1つの選択の結果の積み重ねであもあるし、その選択自体が既に決まったものかもしれない。運命に縛られているようでいて、自らの意思で選択しているようにも思える。果たして運命の人はいるのだろうか。

  • 久しぶりに挑んだ長編小説。
    言い回し等にクセがあるので途中で挫折しそうになりつつも、1週間かかって読了。

    主人公の亜紀に対しては何も感じなかったけど、自分の死が近づいた時、怖さや不安より愛する人を一番に想う康の気持ちや沙織の手紙に涙が出ました。
    私だったら、自分の死を受け入れれず後悔して死を迎えてしまう気がするから、この二人は強いなと・・・。

    ラストはもうちょっとどうにかならなかったのかなって思うような小説でした。

  • なんだか、こわい。
    後半は狂気を感じる。
    自分と考え方が違いすぎるからかもしれないけど、こんなに依存できる人生ってすごい。

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私という運命について (角川文庫)の作品紹介

大手メーカーの営業部に総合職として勤務する冬木亜紀は、元恋人・佐藤康の結婚式の招待状に出欠の返事を出しかねていた。康との別離後、彼の母親から手紙をもらったことを思い出した亜紀は、2年の年月を経て、その手紙を読むことになり…。-女性にとって、恋愛、結婚、出産、家族、そして死とは?一人の女性の29歳から40歳までの"揺れる10年"を描き、運命の不可思議を鮮やかに映し出す、感動と圧巻の大傑作長編小説。

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