白い部屋で月の歌を (角川ホラー文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
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本棚登録 : 637
感想 : 95
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  • Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784043735013

作品紹介・あらすじ

ジュンは除霊のアシスタントを務める少年だ。様々な霊魂を自分の体内に受け入れる際、白い部屋に自分がいるように見える。ある日、少女エリカと白い部屋で出会ったジュンはその面影に恋してしまったのだが。

感想・レビュー・書評

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  • 怖かった度★★(最高が★5)

    ホラー克服のための「魁ホラー塾」の第三弾はおびのりさん推薦本『白い部屋で月の歌を』です

    第10回ホラー小説大賞の短編賞の受賞作品とのこと
    いやーさすがおびー、分かっとるな
    こういうことですよ
    徐々に馴らして行きたいんですよ!

    いきなりド本命を勧めてするんじゃないわよ!まったく
    ショック療法が失敗してもっと苦手になるやないか!

    ホラーとしてはなんというか、じゅわってくる感じでした
    表題作『白い部屋で〜』はなるほどそっちか!って感じですね
    ちょっとトリッキーな感じのオチは嫌いじゃないんですが、文章の感じがちょっと雑いというか
    作者が狙っているような空気感は出せていなかったんじゃないかなって思いました

    うん、まぁもちろん怖かったんだけど眠れなくなるほどじゃなかったかな
    レム睡眠は行けるかな

    次は芦沢央さんだ!(予定)

    • おびのりさん
      芦沢さんは、怖くはないですが、他のミステリ系は好きです。
      芦沢さんは、怖くはないですが、他のミステリ系は好きです。
      2023/06/13
    • ひまわりめろんさん
      よしやっぱ『メドゥサ〜』やな
      ただもう表紙がすでに恐いんよな~(単行本の方)
      よしやっぱ『メドゥサ〜』やな
      ただもう表紙がすでに恐いんよな~(単行本の方)
      2023/06/13
    • ひまわりめろんさん
      『火のない所に煙は』はゆーき本さんだった!w
      よし、読もう
      『火のない所に煙は』はゆーき本さんだった!w
      よし、読もう
      2023/06/19
  • こういった現実的な実生活の様子を舞台に、超現実的なテーマが進行するオカルトっぽい話は苦手なのですが驚きの展開が続き一気読みした表題作。

    そして、もう一つの作品、もしかしたらそんな集落があるかも知れない(実社会にはまあ無いだろうけれど、八つ墓村的なあるいはドラマ「トリック」的な可能性としては否定できないような)奇妙な地方都市の人々の社会を描いた「鉄柱」は主人公の女性問題から発展する恐怖かと思いきや、こちらの人生観を問われているかのように思えた。

    いずれにしても「わくらば〜」的な作品で親しんでいた私にとって、朱川さんってこういう作品も書くんだぁと驚きました。ー

  • '21年6月24日、読了。朱川湊人さん、初。

    凄い小説を、読んでしまった…。

    「白い部屋で月の歌を」…美しく、切なく、哀しい話。結末に驚き、ラストに胸が潰れる想いでした。
    他の方で、「鉄柱の方が好き」という感想を何人か書いておられるのを読んで、「イヤイヤ、これは凄い!」と思いました。で、次の…

    「鉄柱」…いやぁ…凄い!完全に、打ちのめされてしまいました!もう、こころの遣り場が無い。怒り、哀しみ、切なさ、そして…恐怖。

    恐怖、と書きましたが…僕には、いわゆる「ホラー」というのとは違う感覚です。2編とも、「ファンタジー」に近いかな、と。でも…上手く表せないけど、確かに恐怖に近い(?)感覚もあり…。

    なんだか何を書いているのかわからない感想になってしまいましたが…未読の方、是非!少なからず「胸に迫る」何かがある一冊であると思います。

    • まーちゃんさん
      そうでしたか…残念!
      「わくらば〜」も、朱川さんの作品ですか?多分、未読です。読んでみようかな。

      また、よろしくお願いします。
      そうでしたか…残念!
      「わくらば〜」も、朱川さんの作品ですか?多分、未読です。読んでみようかな。

      また、よろしくお願いします。
      2021/09/23
    • moboyokohamaさん
      せっかくのお勧めだったのに残念な感じになっちゃってごめんなさい。
      「わくらば追慕抄」と「わくらば日記」、チョットファンタジックな朱川さんの作...
      せっかくのお勧めだったのに残念な感じになっちゃってごめんなさい。
      「わくらば追慕抄」と「わくらば日記」、チョットファンタジックな朱川さんの作品です。
      最近は藤沢周平作品ばっかり読んでいて、もっと視野を広げなければと思っているのですが、時代物に固まってしまった読書脳がほぐれていないのかも知れませんね。
      2021/09/24
    • moboyokohamaさん
      フォローありがとうございます。
      私からもフォローさせていただきました。
      よろしくお願いします。
      フォローありがとうございます。
      私からもフォローさせていただきました。
      よろしくお願いします。
      2021/09/24
  • 朱川さんのファンだが、ホラーは苦手。でも二作とも良作で、表題作もいいが、②は秀逸。小説の醍醐味を存分に味わえる。
    ①白い部屋で月の歌を
    人でない語り部の話を三読目で理解し、ピノキオが浮かぶようになった。憑座の話。
    ②鉄柱(くろがねのみはしら)
    笑顔の人たちの下に燻る不気味な雲と、妻晶子から漂う不幸な香り。ラストもいい。

  • 2003年日本ホラー大賞を受賞した時に一度読んでる。
    除霊の話しで、ジュンが特別な少年で、ホラーだけど美しいなぁ…と思ったことは覚えていた。
    不幸にしてあの世に行けず、この世に影響を与える霊魂を回収することを生業とする先生の元で回収のお手伝いをするジュン。
    少女エリカと白い部屋で出会い、心を持ってしまったときからジュンの世界は変わりはじめる。
    どうしようもなく救いようのないラストシーンが切ない。

    「鉄柱~クロガネノハシラ」
    世界一幸せな町に隠された秘密。
    都会から越してきた夫婦は、親切すぎる町の人たちに不信感を抱えながらもいつしか溶け込んで行く。その先にある町のオキテにいつしか飲み込まれることも知らず。
    好きなことをすればいい…人生最高の瞬間に死ねる幸せ。それは満足死。

    今年の21冊目
    2020.8.1

  • ホラー文庫ですが、純粋なホラーではないかもですよね。
    タイトルの「白い部屋で月の歌を」は、少年を依代とした除霊を、心霊現象と現実的な人の汚さを並行して、どちらが除外されるべきかと問われる感じがしました。
    四角な白い部屋での、除霊の描写は、そんな感じかもしれないなと、朱川さん上手いなあと思いました。

    「鉄柱」
    これは、鉄柱ーミハシラー自体の恐ろしさというより、地方都市の片隅の一集落の閉鎖的な不可思議さに現実感のある恐怖感があると思いました。
    根本には朱川さんの優しさもあるなと思います。

  • 表題作もよかったが、もう一編の『鉄柱』が素晴らしかった。恐怖はさしてないが、生きるとは?という問いに対する、明確な解がもてないことが不安を煽る。そういった意味ではホラーであったし、一種の哲学作のようにも感じた。また、ひきこまれる文章と展開は一級。

  • 『鉄柱(クロガネノミハシラ)』が特に好き(表題作も好きだが)。この世の理では説明できないもの(小説上の道具)を巧みに物語世界に落とし込んでいる。1冊の文庫としてかなりの完成度だと感じた。

  • 「生きる」ことにまつわる2つの作品からなる。
    それぞれの作品のストーリーは独立している。

    ホラーというジャンルだが、決して「おどろおどろしい」いわゆるホラー小説ではない。

    一作目は、霊を剥がすことを生業とする霊能力者の話。そこに登場する憑坐(よりまし)の仕事をする『青年』が本当の主人公。
    体の自由がきかないその青年は、ある仕事を通じて知り合った女性に恋をすることで、自分の生い立ちに疑問を感じ始める。

    そこからストーリーは一気に進んでいくのだが、「生きている」ということはどういうことなのか、人間・霊・魔・人形、様々な存在を登場させることで、「人として生きる」ことの意義を読み手に問いかける、そんな作品のように感じられた。


    2作目は「満足死」について。
    会社での不倫問題で異動を命じられた男性が、妻と共に移り住んだ小さな町が舞台。

    そこは、「例え人を傷つけたとしても、自分のやりたいことをまっとうすることをよしとする」、少し変わったところ。

    しかし、住人は皆親切で、ふたりは幸せに暮らしていく。あるひとつの問題、「人生で最高に幸せを感じたときには、その最高の状態で自ら死を選ぶことができる」というものを除いては。

    「自らの意思で生きる」、「幸せに生きる」とはどういうことかを、「自らの意思で、幸福な最後を迎える」という切り口から考える。

    「安楽死」にも通じるその考え方は、医療が進歩し、高齢化が進む先進国が直面しなければならない最も新しい課題のようにも感じられた。

    どちらもすごくおもしろかった。

  • 表題作について。
    この作品のホラー要素はいったいどれか。未練の残った霊たちの醜い執着のありさまか。それを操ろうとする霊能者とその弟の歪んだ心理か。
    霊が怖いというよりは、そこまで執着してしまう人間という存在そのものがホラーだと思えてくる。ジュンという主人公が発する違和感の正体が最後でわかるようになっているが、そういう事がある、ということよりも、やはり、そんなことをしてしまうシシィという霊媒師の精神のほうがよほど恐ろしい。
    そして、この作品の底に流れる「生きるとはどういうことか」という問いが、もうひとつの「鉄柱(ハガネノミハシラ)」でくっきりと描かれる。
    初読の時は、主人公と同じように、「自殺なんて!」とか「死んではいけないのだ」という思いを抱いたのだが、今回読んだときはこの町の風習もそんなに悪くないんじゃないか、と思ってしまった。
    「今日はどうする?生きるかい?」と毎日問われるのはしんどいことではあるが、「今日は生きる……ことにするよ」と応えて毎日を生きるのは、実は大事なことのように思う。作品のトーンとしては「しんどいこっちゃで」という嘆息混じりではあったが。

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著者プロフィール

朱川湊人
昭和38年1月7日生まれ。出版社勤務をへて著述業。平成14年「フクロウ男」でオール読物推理小説新人賞。15年「白い部屋で月の歌を」で日本ホラー小説大賞短編賞。17年大阪の少年を主人公にした短編集「花まんま」で直木賞を受賞。大阪出身。慶大卒。作品はほかに「都市伝説セピア」「さよならの空」「いっぺんさん」など多数。

「2021年 『時間色のリリィ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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