わくらば追慕抄 (角川文庫 し 39-2)
- 角川書店(角川グループパブリッシング) (2011年9月23日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (424ページ)
- / ISBN・EAN: 9784043735037
作品紹介・あらすじ
人や物の「記憶」を読み取れる不思議な力をもった姉・鈴音と、お転婆で姉想いの妹・ワッコ。固い絆で結ばれた2人の前に現れた謎の女は、鈴音と同じ力を悪用して他人の過去を暴き立てていた。女の名は御堂吹雪-その冷たい怒りと霜しみに満ちたまなざしが鈴音に向けられるとき、何かが起こる…。昭和30年代を舞台に、人の優しさと生きる哀しみをノスタルジックに描く"昭和事件簿"「わくらば」シリーズ第2弾。
感想・レビュー・書評
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前作の軽く優しい雰囲気に比べてこちらはちょっと重く、一話読み終える毎にあれこれ考えた。
どちらも面白い事には変わりないのでまた続きを出して欲しい。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
不思議な能力を持つ病弱で美しい姉と、妹のワッコちゃんの
ノスタルジックな昭和事件簿第2弾。
どこか物悲しい雰囲気を含みながら、本作では
薔薇姫という敵が出てきます。
姉さまと同じ力を持っていて、それを悪用している。
しかも、薔薇姫は姉さまのことを知っている?
正体は明かされてはいないから、きっと続くんだよね?
前作もそうだったけど、読み始めた時に想像している
事の成り行きとは、全く違う結末がいつも待っていて
そこに優しさや温もりを感じる終わらせ方をしているから
安心して読むことができます。 -
薔薇姫の登場で、姉様によって明かされる謎と対峙するように、姉様をとりまく謎は深くなっていく。
なるほど、こんな能力を持ってしまっては、長く生きられる気などしない。
儚くて、だからこそ、美しく燃えるのだろう。 -
「わくらば日記」に続く、わくらばシリーズの続編。
人や物の記憶を「見る」ことができる姉と、活発な性格の妹。そんな姉妹が知り合った刑事や関係者たちと、難解な事件を解決していくストーリー。
短編のようにいくつかの物語が収録されているが、時系列で進んでいくので、ちょうど「日記」を読み返しながら回想しているような構成になっている。
ただ記憶を「見る」だけではなく、状況をよく観察し、その真意を判断することができる姉の思慮深さと、誰に対してもまっすぐな妹の性格は、この本をいつまでも読んでいたいと思わせるのに十二分なものである。
そんな姉妹だからこそ築くことができる人間関係と、ふたりが関わるキャラクターたちの魅力に虜になるでしょう。
続編を期待します。 -
短編集。
宗教というものが本当に人を救うのかどうかはわからない。
でも、きっと心の中の平安を求めて宗教と向き合っているのだろうと思う。
金に執着する宗教はまがいものだ。
昔そんなふうに言っていた人がいた。
もしかしたら、ナカツギさまにはわずかかもしれないけれど本当に不思議な力があったのかもしれない。
でも、会長に利用されるようになってから、少しずつ間違った方向へずれていってしまったように思った。
幸せになりたい。誰でも願うことだけれど、幸せかどうかは自分の心が決めること。
人と比べて羨んだり妬んだりしていては、きっといつまでも本当の幸せは来ない気がした。 -
まだまだ続きを書いてほしいなあと思うのです。お姉さんは、その後どうなったのかまで知りたいな
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秦野さん、気にしてたのか。てっきりお気楽な人だと思っていました。
ワッコちゃんの語り口は、読んでいてとても心地よいです。
姉さまは強いですね。傷付きながらもしっかり人と接する姿が、痛々しくもカッコいい(健気と言うのでしょうか)。
『冬は冬の花』が好きです。