- Amazon.co.jp ・本 (203ページ)
- / ISBN・EAN: 9784043743025
感想・レビュー・書評
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【本の内容】
「サウダージ」、それは、失われたものを懐かしむ、さみしい、やるせない想い―。
日本人の父とインド人の母の血をひく裕一。
若いパキスタン人労働者シカンデル。
日系四世のルイーズ。
裕一の行きつけのバーの雇われママ、フィリピン人女性ミルナ。
それぞれが癒しがたい喪失感を抱きながら、東京に流れ着き、出会い、そして別れていく。
人々の胸に去来する、やるせない想いを描く傑作長編。
[ 目次 ]
[ POP ]
嘘臭いけど書きます。
主人公・裕一のセックスに対する何だかよく分からない嫌悪感というのは僕にはよく分かって、ルイーズやあずさに誘われても決して一線を越えない裕一の言動は本当にツボだった。
対女性関係の交渉能力のなさとか。
内面の闇を描きながらも、深層を明るみに出そうとしない著者の姿勢も良い。
作中、居場所を探して彷徨っているのは、ハーフの裕一や外国人労働者たちだけでなく、玲子や博やあずさやその他大勢の人々もふらふらと放浪を続ける。
年齢や性別や国籍に関係なく彼らが彷徨い続ける様は、本当に泣きたくなるような風景だ。
そしてこの作品の魅力は、登場人物たちがありもしない「ここではないどこか」を闇雲に探しているのではない、ということだ。
だからこそ、ラストでの裕一の決断が感動的なのである。
それにしても派遣社員の面接に来る女性たちの行動には、別にうぶを装うわけではないが、ちょっと唖然とさせられた。
これってリアリティがなさ過ぎて逆に恐い。
[ おすすめ度 ]
☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
☆☆☆☆☆☆☆ 文章
☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
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[ 関連図書 ]
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夏っぽいかな、と思って手に取った本。この作家はたぶん初読。少なくともbooklogに書いているリストには無い。
日本人とインド人のハーフとして生まれた主人公が、フラフラしている父親、モデル上がりで奔放な母親、国外退去に怯えるパキスタン人、お金のない日本人たちに振り回される夏の終わりのひと時。
「貧困セックス小説」とでも言うんでしょうか。最初から最後まで一貫して、居心地の悪い状況が続く。1990年を回想して書いているらしいけど、別に携帯電話を出して1999年でも、スマホが出てきて2015年でも良いような作品でもある。
内容はともかく、個人的に嫌いな表現が多いので、読んでいて辛かった。具体的には、章が変わった所で視点が別人物に変わっており、個人名や固有名詞がバラバラバラと撒き散らされる。あずさだのトシだのダイアー・ストレイツだのニール・ヤングだの、知るかボケと言う表現が出てくる。
なんかこのイライラ感、以前に読んだよなー。マガジンハウスとかの女性向け雑誌の後ろの方に、なんだか抽象的な絵を入れて、ストーリーをブチブチに切ったアレ…角田光代の「どこか遠く」とか言うアレだ、と気がついたときにはときすでに遅し。嫌いなタイプの小説ですよ、もう。
結局、バンドのボーカルに投影だとかはしなかっただけ救いは有ったものの、なんというか、打開も破綻もなければ殺人事件もなく、気分の悪い状況を維持だけで終わって、個人的には何も残りませんでしたという作品でありました。 -
「サウダージ」とは「失われたものをなつかしむ、さみしい、やるせない想い」
生きるって過酷だ。 -
義理のお母さんのマンガみたいな設定に、ちょっとひいた。
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最近、移民に日本語を教える活動はじめたので、読んでみました。
エロいしグロいし不快な物語ですが、読了後は、人間を静かに抱きしめたい気持ちになりました。
大人にもわからないことは多いし、故郷は違くてもみんな同じ人の子なんだなー、と思いました。 -
淡々と物語は過ぎる。1990年の晩夏。
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読んだのは単行本
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夏の暑苦しさの描写。人間模様がさらにねっとりと熱い。
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心にトラウマめいたものを抱えながら淡々と生きているものの、何故か女性を惹きつける魅力がある青年が主人公の物語。誰かの作品に似ていると思いながら読んでいましたが、最後になって樋口有介氏だと気付きました。全ての事柄に決着を付けてしまわないで、何となく曖昧に終わらせてしまうところも共通項です。
今日は仕事納めのせいか気持ちが落ち着いており、そんな日に静かに読むにはいい感じの作品でした。