アーモンド入りチョコレートのワルツ (角川文庫)

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著者 : 森絵都
  • 角川書店 (2005年6月25日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (209ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784043791019

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アーモンド入りチョコレートのワルツ (角川文庫)の感想・レビュー・書評

  • 魅力的、という言葉が似合う本です。やっぱり私は森絵都さんの描く世界がとても好きです。3つの短編からなるこの本ですが、一番最初の話が好きです。意地悪をしているだけのように見える男の子の不器用さ、それを知ってなにも言えなくなってしまう不器用な子供たち。ガラッと空気が変わる瞬間もとても素敵ですし、切なさもありとても良い!爽やかな切なさでした。

  • クラシックのピアノ曲をのせた三つの物語。
    ちょうど変わっていく子どもたちのほんの一瞬をとらえて物語にしている。それは自分か経験したことでなかったりもするのだけれど、どの瞬間もほんとうに美しく、寂しく、納得する。

    1「子供は眠る」
    ロベルト・シューマン<子供の情景>
    https://www.youtube.com/watch?v=1_jRNAJEp5w

    2「彼女のアリア」
    L・S・バッハ<ゴルドベルグ変奏曲>
    https://www.youtube.com/watch?v=1PBlY3USDXA

    3「アーモンド入りチョコレートのワルツ」
    エリック・サティ<童話音楽の献立表>
    https://www.youtube.com/watch?v=NB8oPaCg6IY

    1中2の恭の夏休みは、毎年、いとこの章くんの海辺の別荘にいとこみんなで集まること。歳の近い少年たちの夏の儀式のようなひととき。そして最後の夏休みの思い出。

    2不眠症に悩まされているぼくが中学最後の球技大会をさぼって旧校舎で出会ったのは、同じ学年の藤谷りえ子。
    彼女は、旧校舎の教室で「ゴルドベルグ変奏曲」を弾いていた。彼女も不眠で悩んでいるということで二人は近い気持ちで話を弾ませるのだが・・・

    3奈緒と君絵は隣町の高級住宅街のなかでもひときわ華やかな洋館の絹子先生のところでピアノを習っていた。サティの好きな絹子先生のところにある日、フランス人のステファンという男性が居候する。

    P195去る者は、去る。けれども残る人もいる。それはきっと絹子先生のやり方が正しいとか、まちがっているとかの問題ではなく、好みの問題なのだろう。

    P198「アーモンド入りチョコレートのように生きていきなさい、って」


    角田光代さんの解説がこれまた素晴らしい!
    P206作者はその残酷な変化を書いているのに、しかもなんとも不思議なことに、読み手の心に残るのは頑丈は不変である。変化を書くことで作者は不変ということを私たちに気づかせる。
    中学生ではない私が、中学生の物語を読んで、「ああ、あったおういうこと」という感想ではなく、「そうそう、そうなんだ」と、すとんと共感できるのは、だからじゃないかと思う。書かれているのは変化ではなく不変だから。不変のものは年を経ても等しく私の内にあるから。

    P207森さんの書く小説はかぎりなくやさしい。やさしいのに、さわさわと手触りがいいわけではないのだ。きれいごとを慎重に排しているせいで、どちらかというと、ごつごつしている。いわば骨太のやさしさ。そうしてそこには、私がかつて抱いていた弱さ、卑屈さ、無責任さは微塵もない。やさしさというのはものすごく力強い何かだと、森さんの小説はたしかに思わせる。それは作者の覚悟なんじゃないかと私は思う。
    森さんの小説のやさしさというのは、肯定だと私は思っている。あるがままのものを肯定する。

  • 再読
    中学生の普段の生活を少し切り取って見せてくれるような短編集。youtubeでそれぞれテーマの曲を聴きながら読んだ。便利な時代だなあ。ほっこり優しさに包まれたような読後感。角田光代さんの解説も含めて全てすきです。

    『子供は眠る』…子供の情景
    『彼女のアリア』…ゴルドベルク変奏曲
    『アーモンド入りチョコレートのワルツ』…金の粉、アーモンド入りチョコレートのワルツ

  • 『子供は眠る』…夏休みに、親戚である少年たちだけで海辺の別荘で過ごす話。
    『彼女のアリア』…不眠症の少年は、虚言癖のある少女と旧校舎で偶然出会う。
    『アーモンド入りチョコレートのワルツ』…ピアノ教室に突然現れたフランス人のサティのおじさん。


    短編に合わせて、それぞれのピアノ曲、「子供の情景」「ゴルドベルグ変奏曲」「童話音楽の献立表」を聞きながら読みました。

    『子供は眠る』が、この短編集の中で1番好きです。
    今まで、ぼくらの中で何でも1番だった章くん。そんな章くんの言うことを聞くのは当たり前だったはずなのに、いつの間にか章くんよりも、泳ぐのが早くなった。
    自分に自信がつくと、リーダーぶってるヤツが面倒くさくなってきて、不満もムクムク育ってきて、それが中学生らしく溢れてきたのを感じました。
    それでも、章くんは優しい。兄弟がいなかった彼は、ぼくらのことを弟のように感じていたのかな。そして、自分が兄だからこそ、威厳を持ちたかったのだろうなと思いました。

    「でも、章くんに面とむかってガキ呼ばわりされた今、ぼくらは本気で腹を立てていたし、そうなると悪口もどんどん深刻な重苦しいものになっていき、その深刻さに、ぼくら自身が、うんざりしてしまった。」
    どんなに不満を持ったって、ぼくらも章くんを嫌いきれないのでしょう。

    『彼女のアリア』の嘘は突拍子もないけれど、嘘をついたその心は優しかったと思います。
    ぼくと藤谷さんの空間は、二人だけの心の安らぎの場で、学校の中にそんな秘密の場所を持てた二人が羨ましかったです。

    『アーモンド入りチョコレートのワルツ』のピアノ曲がまさにサティのおじさん自身のようでした。
    絹子先生も、サティのおじさんも変わった人だけど、奈緒も君絵も二人のことが大好きです。それは、二人が自分を受け入れてくれる、認めてくれる、大切にしてくれるとわかるからだと思います。


    3編とも、心の居場所を見たような気がします。それは、夏の別荘とか、旧校舎とか、木曜日のワルツ・タイムとか。

  • 森絵都さんの作品はあたたかくて、児童文学の時から好き。
    この短編集は、中学生くらいの子どもたちが主人公。
    その年代の頃には何とも思わない何気ない日常が、今はとても愛おしく思い出される。

    小学生の頃は、「高学年」っていう響きがなんだかとってもかっこよくて憧れたし、中学生になった時は、制服を着たら大人になったような気がしていた。
    大人になろう、大人にならなきゃって思う一方で
    心がついてこなくて、悩んだり、葛藤したりもする。

    森さんの本を読むと、「それでもいいんだよ」って肯定されているような、優しい雰囲気に包まれます。

  • 主人公が中学生の短編3つ~中学3年生を頭に夏休み新潟の別荘に集う従兄弟5人。不眠症に効くというアリアを弾く女子は虚言癖がある。変なフランス男性が出入りするピアノ教室~こんな刺激的な事を経験する中学生は幸せだな

  • 私も、そうだった。
    知らずに誰かを傷つけ、見栄から小さな嘘をつき、変化を怖れて嘆いた。
    ちょっと苦い気持ちを追憶しながら読んだら、鼻の奥がツンとした。
    その苦さすら、「いいんだよ」と言われたみたいだった。

    角田光代さんの解説があまりにも印象的で、心に残っている。
    否定するより、肯定するほうがずっと難しい。
    世の中は、きれいなことばかりじゃないから。
    ありのままを受け入れるやさしさと、向かっていく強さを、持とうと思った。

  • 再読。
    これは少年少女の「変わらないはずの日常の中で、変わっていく何か」を、美しい調べにのせた物語たち。
    子どもたちの世界だって、子どもであるからこその矛盾や残酷な時の流れがある。
    それを森絵都さんは、どれもきれいでやさしい世界に書いてしまう。
    物語に出てくる人物全てが、愛しく感じられ、一瞬の時を駆け抜けてゆく姿は、甘酸っぱくも輝いている。
    誰でも″大人になろうとする前のあの頃″を思い出させてくれる短編集。

    やっぱり森絵都さん好きです。
    大人になりきってしまわぬ間に、この作家さんに出会えて良かった。

  • 読んでる間、ずっと曲が頭を回ってました。ワルツに乗ってリズミカルに穏やかに読めました。

  • どの話も楽しく読めた.
    まるでワルツを踊ってるみたいに わら*

  • ふつーに面白かった。THE・思春期って感じ。その頃に読んでおいたらまた違った印象だったかも。

  • 今や御大の著者の、初期のころの作品。安心して読める。

  • 2時間程度で読み終わった。
    表題を含む3つの短編集からなる。
    1つ目は夏休み2週間限定少年5人の物語
    読んでいてスタンドバイミーを思い出した。
    特にリーダー的章くんに感情移入した。
    男なら5人の内誰かに当てはまる少年期を過ごしたことがあるのではないだろうか。
    2つ目は卒業までの中学生男女の物語
    冒頭の音楽室での出逢いは引き込まれた。
    不眠症男子と虚言症女子
    中学時代特有のもどかしさが蘇ってきた。
    3つ目は表題の作品
    ピアノの教室に通う対象的な性格の女子中学生
    そこに不思議な魅力のフランス人のおじさんが
    突然毎回来るようになる。
    主人公達はフランス語しか話せないそのおじさんとすぐ打ち解ける。
    ワルツが流れる中踊るフランス人と先生と中学生2人。美しい情景が浮かぶ。

    どれも中学生が中心の物語でキラキラしている。
    それぞれの作品にクラシックが当てがわれているためそれを聴きながら読むとより一層その雰囲気を味わえた。

  • 【あらすじ】
    「おめでとうございます、抽選にあたりました!」
    死んだはずの僕の前に、笑顔の天使が現れ、こう告げた。前世において罪を犯した僕の魂は、本当なら、二度と生まれ変われないはずなのだが、下界の「ホームステイ」先で修行を積んで輪廻のサイクルに復帰できるよう再挑戦のチャンスが与えられたというのだ。
    服毒自殺を図った小林真の身体に入り込み、彼に成り代わって、彼の家で「ステイ」を始めた僕の魂。次第に明らかになる真の環境は「自殺したくなるのもおかしくない」ほどに非常に厳しく、僕もほとほと途方に暮れるのだったが――。

    【感想】

  • なるほど、森絵都さんらしいリズム.流れ…。本人らしさを大切に、本人にであることを認めてくれる。しみじみとそう感じました。

  • 森絵都らしい瑞々しい10代の気持ちの動きを描いた短編集。音楽がモチーフになっていて好みだった。

  • ・子供は眠る
    毎年夏、親戚関係の5人の男の子たちが海沿いの別荘に集い、一時を過ごしていた。
    今年も楽しい夏が遅れると思ったが、リーダー格の男の子に対する不満が募り、今まで彼に従っていたことに疑問を抱く。
    私は常日頃から「年上の人(特に親)は万能ではないと気付いたとき、子供は一歩大人になる」と思ってるんですが、この話はそれを表しているなーと思う。
    最後に、年上の男の子の影の頑張りを見て、やっぱりすごいと思うところが爽やかだし切ない。

    ・彼女のアリア
    不眠症を抱え、体育祭をさぼるために飛び込んだ廃校舎で出会った主人公と、同級生の女子・藤谷。主人公は藤谷のピアノと、彼女の話す身の上話を聞き、一時の安らぎを得る。
    しかし藤谷は話を盛るというか、顔色一つ変えずに嘘を吐く癖があった。今まで聞いていた話が全部嘘と知り、主人公は藤谷に決別を告げる。
    しかし主人公は藤谷に惹かれていた。
    卒業式の日、ごめんねと書かれたカードを残した藤谷に会いに、主人公は旧校舎を訪れる。

    ・アーモンド入りチョコレートのワルツ
    少し変わったピアノの先生・絹子と、どうやら彼女の恋人であるらしい外国人のサティおじさん。
    主人公の奈緒と信用の君絵は、ピアノ教室で四人で歌って踊る一時が大好きだった。
    しかし完璧とも思えたその時間は、人の心の移ろいとともに消えていく。

    解説で角田光代さんが書いていたけど、一編目と三篇目は「楽しい時間の終わり」をクールに書いている作品。
    何というか、こういう刹那的でもう形も残ってないのに心の中に永遠に残るものでもあるというモチーフが青春そのものだと思います。

  • 子どもは眠る
    小学校の時に読んで、またふと読み返したくなった。小学生の時は章くんかっこいいという感想が第一に出てきたが、今読むとこの年代の成長や葛藤が伝わって来る。皆それぞれ心や体の変化による自分や人間関係など不安定なバランスが感じられた。

  • 児童文学かな。体調が悪い時期であんまり内容が頭に入ってこなかった。

  • 「子供は眠る」「彼女のアリア」「アーモンド入りチョコレートのワルツ」の三篇。一篇目の結末が良かった。こうやって大人になっていくのね。

  • 中学生のころの頃こんな風に感じていたでしょ、なお話。

    中学生が主人公の3つの物語が、ピアノの調べに乗せて紡がれる。女性作者ではあるけれど、「子供は眠る」で描かれる少年たちの素直になれない群像がなんとも言えずグッとくる。そんなに深い音楽の話はないけれど、本当は曲を知っていればなおのことなのだろう(一つも知っている曲はなかった)。どれもハッピーエンドではないけれど、心静かに終わっていくので後味が良いのが不思議。

    バレンタインプレゼントでのいただきもの。ほぼチョコレートの話はない。

  • 2017/2/11
    中学生が主人公の話が三本載っている。子供は眠るという話では、毎年夏に別荘で過ごす少年たちの心の変化を描いたもので、章くんの態度に対して不満や嫌なようすを見せたりすることができそうでできなかったナスや恭や智明、がじゅまるの4人。毎年章くんの別荘で過ごすうちに徐々に気持ちが変化していることに気がついていく。中学生ながらの微妙な心の機微が自然なようすで描かれている。2つ目の彼女のアリアは、不眠症になった主人公が、ピアノの音に連れられて木造校舎の旧音楽室で藤谷という女の子と出会い、お互いに色々自身のことを知っていくうちに、お互いに嘘を重ねていたということに気がつき、最後はお互いを認め合って終わるというもの。彼女は不眠症というよりも虚言癖だったのだが、それも受け止められるようになる主人公の心の変化が面白い。最後のアーモンド入りチョコレートのワルツというタイトルの話。ピアノの練習をする絹子先生の教室にフランスのサティというおじさんがやってきて、そこでの交流から始まる様々な周囲の人々の心の変化が書かれた話。やめていくピアノ教室の人々に対して、サティに興味を示していく君絵の存在や、フランスの言葉で一生懸命感情を伝えようとするサティなど、ユニークな感じである。それぞれの話に音楽にまつわるものが関係していて、クラシック?と関連付けられた内容になっている。

  • 音楽を軸に進む3つの物語。
    音楽への教養があれば、物語の雰囲気をもっと感じ取ることができたかと思います。もったいない。最近いろんなことに興味が向いているので、これを機に少しずつ聴いてみようかしら。

    心地よい関係が崩れそうで、それを認めたくなくて、でも前に進まなきゃいけなくて、という思春期の葛藤がつづられていて、ああ私も昔こんなことがあったなあと懐かしく思いました。

  • 「アーモンドチョコレートのように生きなさい。」

    というセリフはつまり、かたすぎず、またやわらかすぎない芯を持って生きるということなんだろうか。中学生の時に抱いたであろうモヤモヤふわふわした気持ちが旨く表現されていると思う。中学生の時に読んでいたら、また違ったかもしれない。

  • 13~15歳。中学時代のきらめく季節。シューマン、バッハ、サティ、三つのピアノ曲をテーマにした短編集。

    「子どもは眠る」
    毎年、少年たちだけで過ごす海辺の別荘での夏休み。でも、その夏はいつもの夏とちがっていた。少年たちの葛藤と成長。大人になること。別れ。

    「彼女のアリア」
    不眠症に悩む主人公が偶然、旧校舎で出会った少女。彼女は自分も不眠症に悩まされているという。2人は毎日旧校舎の音楽室で語らう。嘘と本当。恋。

    「アーモンド入りチョコレートのワルツ」
    ピアノ教室に突然現れた奇妙なフランス人のおじさん。そのせいでピアノ教室は大変なことになるが…。好きになること、成長すること、無邪気さ、楽しむこと。

    どの話も、心が暖かく、優しくなる。自分が、小さなことに悩んで止まって突っぱねていた中学生時代に戻ったような錯覚に陥る。

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アーモンド入りチョコレートのワルツ (角川文庫)の作品紹介

ピアノ教室に突然現れた奇妙なフランス人のおじさんをめぐる表題作の他、少年たちだけで過ごす海辺の別荘でのひと夏を封じ込めた「子供は眠る」、行事を抜け出して潜り込んだ旧校舎で偶然出会った不眠症の少年と虚言癖のある少女との淡い恋を綴った「彼女のアリア」。シューマン、バッハ、そしてサティ。誰もが胸の奥に隠しもつ、やさしい心をきゅんとさせる三つの物語を、ピアノの調べに乗せておくるとっておきの短編集。

アーモンド入りチョコレートのワルツ (角川文庫)の単行本

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