つきのふね (角川文庫)

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著者 : 森絵都
制作 : 国分 チエミ 
  • 角川書店 (2005年11月25日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784043791026

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つきのふね (角川文庫)の感想・レビュー・書評

  • ノストラダムスの大予言とは
    何だったんだろう。

    1999年の自分は
    子供の頃からの
    プロボクサーになるという夢を叶えたばかりでした。

    一種の刷り込みのように
    幼い頃の自分たちの不安感を煽るだけ煽って
    冗談のように消えていった
    世紀の大ボラ(笑)。


    1998年、高校受験を再来年に控えたこの物語の主人公たちも
    ノストラダムスの大予言のせいで
    2000年以降がものすごく朧気で
    未来を夢見ることができないでいる。


    クラスメートから無視されている
    中学二年生の主人公
    鳥井さくら。

    さくらの唯一の親友だった梨利(りり)。

    梨利を好きなラテン系のノリの
    C組の勝田くん。

    さくらの心の拠り所である
    24歳の青年
    戸川智(さとる)。


    人のSOSサインに敏感であるが故に精神を壊し、
    全人類を乗せて飛び立つ宇宙船の設計図を
    狂ったように描き続ける智が
    本当に切ない。


    そして親友だった梨利を裏切った罪悪感に苛まれるさくらや、

    空虚な心を抱え
    薬に溺れる梨利たちの
    思春期だからこその
    純粋さと焦燥感、未来への不安に苦悩する姿が
    読む者を否応なしに
    大人でも子供でもなかったあの頃へと
    引き戻していく。


    凹んだ時
    壊れてしまいそうな時に
    自分をいつものラインに戻してくれる
    「心の平和」のような存在。

    勝田くんにとって
    それは
    さくらと梨利だった。

    自分にとってそれは誰なんやろ。

    どんなけ知識を仕入れて解ったつもりになっても、
    人は人との出会いや
    繋がりの中からしか
    成長できない生き物なのかもしれない。


    物語の終盤
    さくらと勝田くんは
    精神を壊した心優しき青年、智を救うために
    最後の手段に賭けます。

    それにしても
    大人たちが作った
    終わることを望むような
    破滅の予言より、

    バカな勝田くんが
    大切な人たちのために
    希望と再生を込めて書いた
    稚拙な予言に
    同じくバカな自分の心は
    どうしようもなく震えてしまう。


    マイナスな言葉は
    マイナスな人生を連れて
    未来の自分を縛りつける。

    だとしたら未来とは
    自分の意志の力で
    変えていけるものなんじゃないのかな。

    こうありたいと願う心こそが
    それぞれの未来や明日を作っていく。


    自分はそう信じていたいです。

  • 自分の弱さを知っているから、心にずしっときた。自分の弱さを救ってくれる友人もいるから、心にずしっときた。大きな宇宙船になれなくても、「小さくてもとうといもの」になりたいと思った。

  • 人間に疲れ植物になりたがる中学生のさくらにズンっとする始まり。親も教師もあてにならないし、親友梨利とも万引き事件で気まずくなる。捕まった方と逃げた方どちらの方が心の傷が深いのだろう。
    さくらを助けてくれたのは心優しい智さん。だけど彼も心が病んでいて。死ぬことと生きることどっちがいいのか、どっちが楽なのか…どんどん悪くなる智さんを助けようとする事で変わっていくさくら達。
    「この世にはあいまいにおかしい人などいくらでもいるのかもしれない」。みんな少し病んでいる?だからこそ大切な誰かにそばにいて欲しいし、そばにいてあげたいと思う。
    手紙の使い方が上手いなぁ。

  • 中学生の多感な時期。
    友達関係の悩みや、将来に対する不安。
    そういった心の揺れ動きが描きだされていてよかったです。
    バカでおせっかいな勝田君。いい感じです。
    やることバカなんだけど、友達を、相手をどうにかしてあげたいっていう真っ直ぐな気持ちが伝わります。

    最後の、幼い智の手紙はやられました・・

    遠い昔・・中学のころを思い出しました。
    そのころ、どんなことで悩んでたかな・・。きっと時代は違うけど同じようなこと悩んでたのかも。
    ちなみに、ノストラダムス懐かしい。
    小学生のころに、この予言を知り怖くて泣いたのは覚えています。

  • ひとはみんな、弱い。

    この厳しい世界を生きていくこと、とりわけ上手く生きていこうとすることは、時にものすごく残酷で、脆く弱い人間の心に重くのしかかる。

    繊細で壊れやすい、こころ。

    だけど、人は弱さと同時にちゃんと強さも持ってる。

    『人より壊れやすい心に生まれついた人間は、それでも生きていくだけの強さも同時に生まれ持ってるものなんだよ』

    ある意味で狂気に触れる物語だと思った。
    だけど、人間の心の弱さと脆さをここまで繊細に克明に描いたこの作品は、どこかで絶対に私たちに寄り添ってくれる作品だとも思う。

    ひんやりとした背筋をすっとさせる冷たさと、人の心にある暖かさと、両方で包まれるような物語だと感じました。


    『つきのふね』、中高生向けのいわゆる児童書として書かれたそうですが、絶対に大人の方が心にずっしり来ると思う。
    それだけ、現実の厳しさと、人のこころの弱さと脆さも知っているから。

    何もかも嫌になったら、読むべき本かもしれない。

    そして、大切なものをまた信じぬけるかもしれないって、きっと思わせてくれると思う。

  • 最後に添えられた、幼いころの智さんの手紙の

    ぼくわ小さいけどとうといですか。
    ぼくわとうといものですか?

    この2行だけで泣けます!

    直木賞を受賞した「風に舞いあがるビニールシート」等の作品に比べると、
    いろいろ破綻があったり荒削りだったりするけれど、このラスト2行だけで、私にとっては森絵都作品のベスト1です。

  • わたしの人生のバイブルです。小学生のときに読んだので、今読んだらまた違う読み方ができるかも。わたしを本の虫にさせた原因のひとつでもあります(笑)

    子どもには絶対将来読ませたい一冊です。

  • 中学の現代文で配られた一冊.
    実際に作れるはずもない宇宙船をひたすら妄想し設計し続ける様は引きこもっている人間の心理をよく描いているなと思った.

  • 中学生の繊細でアンバランスな心の動きがリアルでした。
    露木さんの手紙には、苦しみを乗り越えた心の強さを感じました。
    女の子たちに比べて無邪気さの残る勝田くんがいい味を出してるなぁと思います。

    『人より壊れやすい心に生まれついた人間は、それでも生きていくだけの強さも同時に生まれもってるものなんだよ』
    ここのフレーズに勇気をもらいとても励まされました。

  • 寝る前に少しだけ読むつもりが、一気に読んでしまった。

    適度な描写が空想に幅を持たせてくれるので、読んでいて世界にはまることができた。筆者が作った世界に、自分の色を付けて自由な空想ができる。

    心のやまいについての話があり、今の自分にとって染みるものがあった。心のやまいは珍しくない、よくあることなんだ、つらいのは自分だけじゃない、そんなメッセージがあったような気がした。

    森絵都さんの本は「カラフル」がダントツで好きだったけれど、この本も同じくらい好きになった。

  • 森絵都さんの「つきのふね」読了。中学生の「さくら」は、親友を裏切ってしまった後悔から、学園生活に疲れ果てていた。友達グループとの固執や進路の悩み、孤独な生活の中、唯一の心の拠り所は「智さん」だけ。いろんな問題で先が見えない暗闇の中、一筋の光を求め悩む少女を描く。はたして「つきのふね」とは何なのか。。誰でも経験する学園生活の悩みがうまく表現されてるなと感じました。例えば「友情と心の病」ですかね。ラストが良かったです。興味を持たれた方は是非♪

  • 疾走する。初期のBUMPを彷彿とさせる力がある。特にクライマックスからエピローグにかけては、『K』のような斬れ味で、読み手の息を止める。星六つでもいい。

  • 最初はただの変人だと思ってた勝田君が実は結構いい人だったり、店長が何気お人よしだったりして思わず和んだり。
    さくらが梨利を思う気持ち、智さんを慕う気持ち、そして、勝田君がさくらと梨利を案じる気持ちがひしひしと伝わってきた。
    人間関係が崩れる瞬間、安堵を求める人々。
    強い・弱いって何だろう。普通って何だろう。
    誰もがあいまいにおかしくなりつつある。
    悪くなる方がよくなる方よりも楽だ。
    自分が怖い。
    ひとりが怖い。

    段々と引き込まれて。
    “月の船”はなんだったのか?

    露木さんからの手紙と、さくらと梨利の仲直りに感動。
    じっくりと一気に読んでほしい

  • 十五夜読書にて再読。
    児童書として書かれた作品ですが、扱うテーマは些か重い。
    ただ、救いのある結びで読後感は悪くない。
    中学生の主人公達の、先への漠然とした不安や焦燥感、閉塞感といったような微妙で不安定な心理が繊細な描写で丁寧に描かれている。
    疾走感のある終盤の展開から最後のあの手紙へのくだりがとても心に残ります。
    「心が人より壊れやすい人間はそれでも生きていくだけの強さを同時に持っている」という言葉も印象的。

    それにしてもノストラダムスの大予言懐かしいな。
    終末願望があったわけではないけれど当時は結構気にしてました。

  • すごくサラサラ読めるし、言葉の表現にハッとさせられる時がある。扱う内容は別だが、水森サトリさんの『でかい月だな』と共通する部分は多いように思う。私は何故かこの思春期少年少女ものにめっぽう弱い。何か、突拍子もない(大人ほど現実的でなく、子どもほど支離滅裂でもない)事を少年少女は頭で考えていて、現実では些細な事(でも本人たちにとってはとても重要な事)にぶつかって、傷つけたり傷ついたりする。一番、繊細で感傷的な年頃かもしれない。一般的には思春期を大人でも子どもでもない時期としてくくったりするけれど、実はもっと複雑で壊れやすく、扱いにくいけれど素晴らしい時なんだと思う。もしかすると、一部の人にはファンタジックでSFチックな部分が現実離れしすぎて遠ざけられる要因となるかもしれないが、私は思春期の、青春時代の目線を思い出させてくれるこう言った話が大好きだ。

  • あの日、あんなことをしなければ……。心ならずも親友を裏切ってしまった中学生さくら。進路や万引きグループとの角質に悩む孤独な日々で、唯一の心の拠り所だった智さんも、静かに精神を病んでいき――。
    近所を騒がせる放火事件と級友の売春疑惑。先の見えない青春の闇の中を、一筋の光を求めて疾走する少女を描く、軌跡のような傑作長編!

  • セピア色の部屋で智さんの入れたミルクコーヒーが飲みたい。
    思春期って漠然とした不安に苛まれていて常に居場所を求めているのかもしれない。さくらたちに優しくあたたかい結末が訪れてよかった。

  • 面白かった。★3.5

  • 私がこの本を初めて読んだのは、7、8年前の高校生の時。
    しばらくしたら、話の内容はほとんど忘れてしまったけれど、
    主人公が「万引き」をしていたことは何年経っても忘れなかった。
    それだけ当時の私にとって、主人公の万引きシーンが衝撃的だったのでしょう。
    それは、平凡な生活を送っていた私が、中学生の「万引き」という出来事を自分には関係のないことだと思いながらも、
    主人公の心の動きに共感し、どこかで人間の心の弱さに対するリアリティを感じていたのかもしれません。

    今回改めて『つきのふね』を読んでみて、人間の心の弱さに対するリアリティを「万引き」のエピソード以外からも感じました。
    森絵都さんが描いたこのリアリティは、普段隠していたり、向き合わないようにしている私の心の弱さをチクチクと刺激しましたが、
    それ以上に自分の心の弱さと向き合う勇気を与えてくれました。

    私も少し自分の心の弱い部分と向き合ってみようと思います。

  • なんだか、ものすごく
    青春を感じるお話だった

  • あの日、あんなことをしなければ・・・。心ならずも親友を裏切ってしまった中学生さくら。進路や万引きグループとの確執に悩む孤独な日々で、唯一の心の拠り所だった智さんも、静かに精神を病んでいき――。近所を騒がせる放火事件と級友の売春疑惑。先の見えない浅春の闇の中を、一筋の光を求めて疾走する少女を描く。

  • 友情のはなしなんて
    全然読んでなかったから
    この本を読んですごい引き込まれた.

    どこかにありそうな話なのに
    全然ない話なところがいい★+.

  • 10代のころに読んでいれば、もっと違うことを感じたかもしれない。小さな事件から大きな事件、登場人物たちの不安定な心の動きなどが、終始ほんわかと描かれている。
    いかにも、最近の中学生?には共感を得るのかなぁ、自分が実際に学生時代にリンクするような出来事や心境があったかといえば、謎。もっと穏やかで、何事もなく、現実的な日々だったような気がするので。
    あんまりいろいろ考えずに、若いエネルギーをもらう気持ちで読むといい本、かな。

  • 最後の手紙に一気に涙腺が崩壊した。
    「小さくても尊いものがきっとある」という帯の言葉が気になって購入した本でしたが、森さんの書く世界はいつも危うく、繊細で、そして読み終わりが清々しい。

    「人はみんな、どこかあいまいにおかしいんだ」
    このセリフなんだか忘れられませんでした。

    みんなきっと必要以上に優しすぎるんだと思う。
    その優しさが、自分自身を攻撃してしまう。
    それは「船でみんなを救いたい」想いがまっすぐで、おかしくなっていった智さんであったり、
    「親友を裏切った」という罪の意識から離れられなくて、会えなくってしまった梨利やさくらであったり、
    「さくらと梨利のため」と言ってあちこちに走り回って気味悪がられる勝田くんであったりみんなそう。

    心の病気って、きっと優しい人がなってしまうんだろうなあと感じた。
    でもそこから救えるのはやっぱり人の言葉だと確信もできた。
    最後の手紙にあった、誰かの「ちいさくてとおとい」ものに、自分もなれたらいいなと思える、優しい作品でした。

  • 生きる事に対する悩みがどんどん出てきた中学2年の頃。冒頭の、人間として生きることに嫌気がさして植物になりたいと願う主人公の心情が、全く自分と同じであったことに涙が溢れた。現実と向き合わされ、大人と子供の中間地点に立たされるこの時期の人たちに共感を与えられる作品だと思う。
    平凡な少女の道を、万引きや放火などといった若者が引き起こす事件をスパイスというかキーポイントに置いて描かれ、まさにこの世代の人たちを丁寧に表しているのだと思える。
    主人公が心のよりどころとしていた智さんの存在が、そのような人がいない私には羨ましかったりもする。私は私自身が嫌いになったんだ、と主人公が言うように、私も私自身が嫌いになっていたのだと気付かされた。
    下手したっていいのかもしれない。この作品は道に迷い自分を嫌うようになっていた私自身を励ましてくれた気がする。

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