つきのふね (角川文庫)

著者 :
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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784043791026

感想・レビュー・書評

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  • だいぶん前に読んだはずの本、読了。
    お互いに自分の心が弱いと自分を責めて離れる親友同士や、穏やかそうに見えて静かに心を病んでいく智さん。
    人の心の脆さと、人との関わりの大切さを感じる。
    私もノストラダムスの大予言を、本当に起きるかもと信じていた方なので、なんだかその感覚は懐かしくなりながら読んだ。

  • 人間って生き物は弱いよなあ。それは中学生でも大人でも。
    自分の弱さや危うさや脆さに気付いて向き合うって大事だよなあ。中学生でも大人でも。
    人はどうしようもなく苦しい時、誰かの心の中に、確かに自分の存在が生きてるのだとわかると救われるんだろうな。
    さくらが言った「会いたい」で梨利は救われた。梨利がその思いに応えたことによってさくらは救われた。
    ひとりになるのが怖い勝田くんは、さくらと梨利と智さんがいたから救われた。
    露木さんは小学生の時、智さんからの手紙で、智さんの心には確かに自分が存在していて生きてるんだと感じたから救われたんだと思う。
    智さんも、最後気付いたんだろうな。みんなの心の中に確かに自分の存在が生きているのだと。
    些細なことで狂ってしまうけど、些細なことで救われるんだよね。
    『小さくてもとうといもの』に気付ける人間でいたいな。そしてちゃんと大事にしたいな。

  • 2013年4月13日
    切ないお話。好きだった。

  • かなり響きました。
    私は個人的に「夜」とか「月」とか暗めだけど綺麗な雰囲気が大好きなので大満足です。主人公と歳が近いだけに共感できるところが多めで。中学生って微妙な時期だよなぁ。
    その中でも最後のシーンが印象的でした。終わり方もやっぱり美しい。涙腺崩壊しそうになりました笑。

  • ●「カラフル」がとても良かったので、森絵都さんの本を多数購入。

    ●「あたしはちゃんとした高校生になれるのかな。ちゃんとした大人になれるのかな。ちゃんと生きていけるのかな。未来なんか、来なきゃいいのにー。」
    こんな自分で、将来ちゃんとやっていけるんだろうかという不安が書かれていて、ほんとそうだよね、と思う。

    ●統合失調症になりかけている智さんが登場して、途中からは症状が悪化していき、周囲が病院に連れて行こうとするけど、最終駅にうまくいかない展開は現実的で、強引にハッピーエンドに持っていかないところは好き。

    ●「智さんにも、さくらと梨利みたいな心の平和があればよかったんだ」
    友達でも彼女でもいいから、安心できる相手が一人でもいることで、どうにか生きていける時だってある。
    しんどいときは人を遠ざけてしまうこともあるけれど、そんな時に救ってくれるのは人だったりするので、身近にそんな人がいるかどうかで変わってくるのかな、と思った。

  • 終盤のスピード感が圧巻でした。あとこれだけのページ数で一体どうなるのか。内田樹さんが紙の本は残りの分量を肌で感じられるのが醍醐味だと言っていましたが、まさに左手に持った紙の軽さに動揺させられました。それらを全部収拾して、エンディングに持っていく力強さ。ややもするとあらっぽくなってしまうその勢いを、やさしい手紙で締めくくる序破急が心にすとんと来ました。

  • 思春期の子供たちってめんどくせーなって思った。
    自分たちが中高生の頃も周りの大人たちにそう思われてたのかなって思った。
    別にたいした事ないちっちゃな事で傷ついて勝手にどんどん深みにはまったりして、気がつけばいつのまにか抜け出しちゃったり、また深みにはまったり。
    そんな事を繰り返して大人になっていくんだなぁと思った。
    勝田くん、最初はほんとにただの変質者っぽかったけど
    実は素直でまっすぐないい奴なんじゃん。
    いろいろあの頃の気持ちを思い出すような作品でした。

  • この著者の小説をはじめて読みました。

    ジャンルとしては青春ものなんだろうけど、予想以上に心につきささりました。

    最後の方は涙目です。

    とても良かったので、この著者の別の本も読んでみようと思います。

  • 以前読みました。

    まず思ったのは、荒れすぎでしょって。
    当時のワイドショーそのままかってくらい。

    ただ精神が崩壊していく様は上手いと感じました。読んでてヒリヒリする。
    もうちょっとまじめならなー。児童向けみたいだけど、自分の子どもに読ませたくはないですね。

  • 中学生、多感な時期。それに相応しく、鋭くて、ハッとする、でも曖昧で感覚的な、詩のような。
    どこか客観的で、冷めた美しさのあるお話だったけど、後半は怒涛の展開。それまで淡々としていた分、それぞれが燻っていた分が、鮮やかなまでにうまく昇華された。と思う。
    皆それぞれ、何処かしらに危うさを持っていて、それを自覚している(意識はある)からこそ、放火事件が出てきた時には、主人公然り、もしかしてこの人?それともあの人…??と、嫌な予感がしたものよ。でも良かった。
    最後の“つきのふね”、良かった。救われた気がした。
    これからの希望が見えた気がした。

    森絵都さんは、本作のような少し影を感じるような繊細な物語から「ショートトリップ」のような一風変わったお話、「DIVE!!」のような熱いスポーツものも書かれていて、作風の幅の広さに驚くなあ〜

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著者プロフィール

森 絵都(もり・えと):1968年生まれ。90年『リズム』で講談社児童文学新人賞を受賞し、デビュー。95年『宇宙のみなしご』で野間児童文芸新人賞及び産経児童出版文化賞ニッポン放送賞、98年『つきのふね』で野間児童文芸賞、99年『カラフル』で産経児童出版文化賞、2003年『DIVE!!』で小学館児童出版文化賞、06年『風に舞いあがるビニールシート』で直木賞、17年『みかづき』で中央公論文芸賞等受賞。『この女』『クラスメイツ』『出会いなおし』『カザアナ』『あしたのことば』『生まれかわりのポオ』他著作多数。

「2023年 『できない相談』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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