リズム (角川文庫 も 16-6)

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  • 角川書店(角川グループパブリッシング)
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  • Amazon.co.jp ・本 (129ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784043791064

感想・レビュー・書評

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  • 姉は、たとえなんのために向かっているかわからなくなってしまっても、目的を達成することを重要とし、妹は、そのときそのときで、楽しいことに飛び込んでしまう。お互いを羨ましくおもうことを告白したときの姉妹の会話が微笑ましかった。

  • 2015/01/15購入

  • 真ちゃんにはできのいいお兄ちゃん、さゆきにはできのいいお姉ちゃんがいる。

    小さいときから「悪がき」と言われていた真ちゃん。
    すぐにけんかをして、しかも勝つから「悪がき」と言われるのかな?と小2の時のさゆきは考えるけど、でもいじめられっこのテツをよく助けている真ちゃんのことを、本当に好きなのである。
    高校に行かずに頭を金髪にして、バイトしながらロック活動なんて「悪がき」のまま大きくなった真ちゃんは、今でもやっぱりテツの面倒も見ているわけだ。

    けれど、みんな少しずつ大人になっていく。
    このまま居心地のいいところにとどまるわけにはいかないんだ。
    真ちゃんが動き始める。

    小さい頃はよく遊んでくれたお姉ちゃんは、いい中学校に入り、もっといい高校に行くために毎日勉強している。
    さゆきにも「勉強しろ」とうるさいので、最近はろくに話もしなくなってしまった。

    ある時お姉ちゃんが言うんだ。
    「あたしはね、川に行くって決めたら、絶対に行かなきゃ気がすまない性分なの。だからムキになって最後まで歩いたよ。疲れていやになっても、何のために川へ行くんだかわからなくなっても、途中で引きかえすのはもっといやでね。(中略)でも、さゆきと真ちゃんって、どこでも楽しそうに遊んでたじゃない。そのへんの沼でも、たんぼでも、空き地でも。そういうところがね、うらやましかったんだ、ずっと」

    高いところを目指すのは素晴らしい。
    でもそれは、時にとてもつらく苦しいこと。
    自分らしくあることは素晴らしい。
    でもそれは、自分を甘やかすこととは違うはず。

    真ちゃんは言う。
    「これからさゆきがさ、まわりの雑音が気になって……親とか、教師とか、友達とかの声が気になって、自分の思うように動いたり笑ったりできなくなったら、その時はこのスティックでリズムをとってみな。さゆきにはさゆきだけのリズムがあるんだから。(中略)それを大切にしてれば、まわりがどんなに変わっても、さゆきはさゆきのままでいられるかもしれない」

    自分の好きなこと、やりたいことはなんなのか。これから見つけるさゆきには、お姉ちゃんの言葉も真ちゃんの言葉も強い支えになるだろう。
    それでもあきらめなくてはならないかもしれない。思い通りには生きられないことの方が多いかもしれない。

    でも、自分のなかに自分だけのリズムを感じることが出来たら、居心地のいい場所から外へ歩き出す勇気が持てるかもしれない。

    短い作品ではあるけれど、いろんな理由から身動きが取れなくなってしまったときに読んだら、背中を押してもらえると思う。
    実際それで歩き出すことができるかどうかはさておいて、悩んでいる時間は決して不毛な時間ではないのだと。

  • 児童文学なのかな。凝った内容じゃないけど、シンプルな生きるための、忘れかけていた大事なことを思い出したような気がする。自分のリズムか。

  • 見た目にとらわれない主人公が変わっていく波に抗おうとする話。真ちゃんかっこよすぎます。自分だけのリズムが取れるようになりたい・・。

  • 簡単に読めていい!
    爽やか

  • この本は好きでよく読み返していました。少女たちに親近感をもって読み進めていました。そろそろまた読みたいなあ。

  • 読みたいなーと思いながら時間が経ってた森絵都デビュー作。
    要所要所にグッとくる。
    やっぱりやさしいはなし。

  • 雨の休日、朝の長風呂で読むのにちょうどいい。長さも内容も。

  • 自分のリズムで生きるのは、とても難しいことだと思う。
    いつか、自分のリズムで生きていけるようになりたい。

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著者プロフィール

森 絵都(もり・えと):1968年生まれ。90年『リズム』で講談社児童文学新人賞を受賞し、デビュー。95年『宇宙のみなしご』で野間児童文芸新人賞及び産経児童出版文化賞ニッポン放送賞、98年『つきのふね』で野間児童文芸賞、99年『カラフル』で産経児童出版文化賞、2003年『DIVE!!』で小学館児童出版文化賞、06年『風に舞いあがるビニールシート』で直木賞、17年『みかづき』で中央公論文芸賞等受賞。『この女』『クラスメイツ』『出会いなおし』『カザアナ』『あしたのことば』『生まれかわりのポオ』他著作多数。

「2023年 『できない相談』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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