ブクログ大賞

遥かなる大和 下 (角川文庫)

  • 22人登録
  • 3.75評価
    • (1)
    • (4)
    • (3)
    • (0)
    • (0)
  • 4レビュー
著者 : 八木荘司
  • 角川書店(角川グループパブリッシング) (2010年8月25日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (479ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784043828104

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
宮部 みゆき
冲方 丁
有効な右矢印 無効な右矢印

遥かなる大和 下 (角川文庫)の感想・レビュー・書評

  • 蘇我アアアアアア!!!となることうけあい。教科書でみた平面的な古代史が、血の通った物語として躍動する楽しさ。
    でもこの時代の記録はほとんど蘇我氏没落後に編纂されたものだという事も心に留めておきたい。

  • 李淵が唐を建国し、聖徳太子が死に、高向玄理らの留学生が帰ってきた。次の「青雲の大和」シリーズに続く。楽しみ。


     風呂敷広げすぎな感じはあるけれど、それほど当時の社会が国際的に複雑に絡み合っていたということで、面白い。

    _____
    p52 唐の軍団のすごいところ
     李淵・李世民の率いる唐軍は非常に統率のとれた軍団だった。それに倫理的にもとても統制が取れていて驚きだった。唐軍は略奪をしなかった。それがどれだけすごいことか。
     略奪は戦傷者の当然権利と思われていたし、そもそも食糧とかギリギリの中で戦争に臨んでいるため、略奪をしなければ食っていけないことがほとんどである。もし略奪をしないで済むとしたら、それほど行軍に補給が余裕があって、精神的にも高潔な人間教育ができている、そんな軍団だ。それほど豊かな軍団を組織できたということが驚きだった。
     そうなんだ。戦争で一番悲惨なのは略奪とかでコラテラルダメージを受ける非戦闘民なんだよね。

    p58 留学生の優遇
     中国では留学生が優遇され、新国家である唐軍も留学生である高向玄理や旻らを丁重に扱った。というのも、留学生は諸外国とのパイプである、そのパイプは王朝が諸国の王であるための重要な存在である。だから、大事にされる。王朝に大事にされるということは、その留学生に恩を売っておけば昇進の武器になる。だから大事にされる。

    p59  李世民
     臆病で引っ込み思案の李淵が隋を裏切って唐軍を決起させたのではない、若干二十歳の次男:李世民が裏で糸を引いていたのである。
     李淵が決起を決意したのは失敗逃れからである。突厥討伐に派遣した武将がボロ負けして帰還したため、その責任を取るくらいなら反乱を起こすしか生きる道はない、そう李世民に焚き付けられて挙兵した。らしい。

    p114 留学生は決めねばならない
     留学生は勉強するだけでなく、外交上のキーマンである。彼らは常に外交方針の総意をまとめて、それに則って行動しなければならなかった。だから、この隋から唐への激動の時代の留学生は大変だった。李密につくか、李世民につくか、それによって新時代の日本留学生の立場が大きく変わってしまう。より優勢の方に就く、小賢しいが、それが必要だった。

    p154 横取り
     蘇我氏は隋の侵攻のどさくさに紛れて高句麗を滅ぼそうとしていた。それによって百済が朝鮮半島を征服できるよう考えていたのであろう。しかし、隋が滅ぶのが秒読みになったこの時点で、転身を図っている。
     高句麗は隋が滅んだ今、同朋の日本の特使に戦勝報告に来る。普通なら小野妹子ら聖徳太子の一派が受ける高句麗からの報告だが、蘇我氏はその手柄を横取りしようとしていたのである。

    p166 蘇我殺し
     聖徳太子の望みは推古天皇の君主制であった。一君万民の国家制度を作ることで社会にあるあらゆる対立を解消しようと考えていたに違いない。それで困るのは蘇我氏である。国民軍が編成されるとなれば蘇我氏の私兵は解散させられる。その前に蘇我氏は妨害してくるだろう。そして…

    p380 聖徳太子、死す
     壬午(622)年二月二十日、聖徳太子は48歳で亡くなった。おそらく蘇我氏に毒を盛られて、、、

     聖徳太子に「徳」の文字がついていることには怪しまれている。皇族で徳の字が諡号で送られている人はたいてい非業の死を遂げている。ということは…聖徳太子の死に方も実際こういう感じだったのかもなー。

    p389 玄理は李世民きらいだった
     李世民は李淵の後継者争いで、兄と弟の血縁を根絶やしにした。幼い子供たちまでも。玄理は大陸の冷血さに嫌悪感覚えたのである。李世民は稀代の英雄と言われるが、力で何でもねじ伏せようとする権力者であり、そういう人格者が国家の統... 続きを読む

  • 煬帝の隋を倒すのは、結局、李密ではなく李世民だった。一方、倭国内の馬子と小野妹子ら斑鳩の大使派の権力闘争(新羅派と反新羅派ということもできる)は激化し、ついに大使も毒殺されてしまう。妹子等は結局、蘇我氏の強烈な権力の前に破れ、理不尽さが残る形で物語りは幕切れ。この後、蝦夷、入鹿と2代に亘って蘇我氏の繁栄が続くことを思うと・・・。いずれにしても、中国と日本の古代史がダイナミックに描かれていて読み応えあり。「青雲の大和」という続編もあるようなので、読んでみたい。

  • 大和朝廷の頃、理想の国づくりを目指す聖徳太子のもと、忠臣小野妹子vs巨悪の蘇我馬子を軸に展開する歴史エンターテイメントです。大和に留まらず、隋・唐など大陸や朝鮮半島へと物語は広がり、東アジアという視点があります。結構激動期で、もっと面白い作品が産まれて欲しいですね。これからも多くの作家さんの挑戦に期待しています。

全4件中 1 - 4件を表示

遥かなる大和 下 (角川文庫)はこんな本です

遥かなる大和 下 (角川文庫)の単行本

遥かなる大和 下 (角川文庫)のKindle版

ツイートする