万能鑑定士Qの事件簿XII (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
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本棚登録 : 2292
感想 : 198
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  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784043836536

作品紹介・あらすじ

「『太陽の塔』を鑑定してください!」万能鑑定士Qに前代未聞の依頼が持ちこまれた。クライアントを追って大阪・吹田署の警部補が店に飛びこみ、牛込署の葉山も姿を現す。解明の急がれる重大な謎-『太陽の塔』に秘密の抜け穴は存在するのか。万博公園に赴いた凛田莉子を待っていたのは、正体不明の人物による鑑定能力への挑戦だった。知性のシンデレラ・ストーリー、いまここにクライマックスを迎える。Qの事件簿シリーズ第12弾。

感想・レビュー・書評

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  • 万能鑑定士シリーズの第12弾。
    シリーズ最高の作品でした!
    前半は妻が行方不明でその謎に挑むという構造で警察からも煙たがられ、真実が中々見えないためムズムズ感がつきまとうが、後編になったときに真相が明らかになる構造が見えてきてとても気持ちが良かった。太陽の塔を舞台に壮大な事件とミステリーサークルなどの過去に起きた謎に繋がっていて、それに巻き込まれていくというエンタメ性と莉子と小笠原の関係性の変化?(莉子は全く自覚がないけれど)も段々とフォーカスされてきてこれからのシリーズを読むのがとても楽しみになりました。また最初は敵対関係にあったはずの莉子と華蓮が協力体制を引いて謎を解いているのが面白かったです。
    今回の物語の核となる「人はいつでも夢の一歩手前である」
    という台詞がとても格好いいなぁと思いました。
    どん底を経験をした莉子や華蓮が言うと、説得力があるなぁと思いました。彼女たちの関係性やこの後の物語がどんな風に進むのかがとても楽しみです。

    この作品をアニメ化した際の声優陣を自分なりのキャスティングしてみたので読む際に参考にしてください(敬称略)。
    凜田莉子:佐藤聡美
    小笠原悠人:寺島拓篤
    葉山翔太:中村悠一
    荻野甲陽:平田広明
    宇賀神博樹:神谷浩史
    雨森華蓮:日笠陽子
    蓬莱浩志:鈴村健一
    蓬莱瑞希:坂本真綾
    門井眞:竹内良太
    柳瀬光彦:チョー
    嘉藤克郎:多田野曜平
    植竹彰:古川登志夫
    福寿義治:高橋広樹
    オーガスティン・ハリス:大塚芳忠

  • 太陽の塔に消えた妻の捜索を依頼される莉子。シリーズ大団円のような表紙だが、まだまだ続く感じ。未来技術のロボットと妻の消失の謎については、正直びっくりするほどショボくて逆に印象的だった。
    そんな訳あるか、、、

  • スケール大きいのか・小さいのか~万博記念公園でアパレル会社のサラリーマンの妻が失踪した。太陽の塔に連れ込まれたのだが、忽然と姿を消したのだ。太陽の塔は内部に耐震工事が施され、一方通行の先にある右腕の先から螺旋階段で降りられるらしいが、最上部にはPDIという自動的に縫製するマシンも展示されていて、元NASA職員のアメリカ人も絶賛している。妻の失踪を懸命に訴える夫に、警備会社の責任者は親切に対応してくれるが、手掛かりはなく、警察に訴えても家出人捜索願を出せと言うだけだ。大阪に赴いて被害者宅に行くと不思議な呼び出しが掛かって、鑑定の腕を試されるが…~事件簿は終了らしいが、シリーズはまだまだある…

  • 「太陽の塔を鑑定してください!」目の前で妻を太陽の塔に連れ去られた蓬莱さんからの依頼。行方不明の女性の捜索から、展示品の盗難、謎の人物からの鑑定テスト、と、目まぐるしく事態は動き…。
    久しぶりに出てきた華蓮の「人はいつでも夢の一歩手前」というセリフが沁みた。

  • 〇 総合評価
     蓬莱瑞樹の失踪の謎,太陽の塔から盗まれた金属片の謎,ハリスがなぜ絡んでくるのか,凜田莉子に謎の鑑定をしている人物(団体?)は何者…といくつもの魅力的な謎で引っ張る。しかし,真相が脱力モノ。蓬莱瑞樹の失踪の謎は,永友エンジニアリングがマシンの開発ができず,中に人を入れて作業をさせるという計画を立て,蓬莱瑞樹はその「中の人」の1人であり,バイトを辞めたいと言ったので,ばれないようにかくまったというもの。金属片はGPSで,空輸中に落としてしまったもの。これを捜索するためにミステリーサークルを作ってしまったが,ミステリーサークルの元祖がアメリカ政府だとばれると損害賠償請求とかされてしまう可能性があるから盗んだというもの。これもバカミスチック。トータルで見ると,謎の魅力に真相が追い付いていない。凜田莉子と小笠原悠斗の仲が,シリーズ後半で急接近しているのは微笑ましい。ミステリとしては,高いレベルではないがエンターテイメントとしては及第点。このシリーズらしい作品。★3で。

    〇 サプライズ ★★★☆☆
     蓬莱瑞樹の失踪事件の真相,ハリスが絡んできた理由,太陽の塔から盗まれた謎の物体の真相など,サプライズはそれなりにある。真相そのものは,バカミス的なオチではあるのだが…。サプライズは★3で。

    〇 熱中度 ★★★★☆
     蓬莱瑞樹が失踪したのはなぜか?太陽の塔にはどのような謎が隠されているのか?ハリスは何を企んでいるのか?といった謎で引っ張る。莉子が鑑定のテストをされるという展開もある。雨森花蓮まで絡んでくるなど,読者サービスはたっぷり。最後まで楽しく読める極上のエンターテイメント。熱中度は高い。★4で。

    〇 インパクト ★★★★☆
     蓬莱瑞樹の失踪の真相が,「太陽の塔で展示されるマシンの中の人として働くバイトをしていた」という脱力モノの真相だったというのは,ある意味インパクトがある。さらに,ハリスが絡んできた理由が,GPSの空輸中の落下に端を発するミステリーサークル騒ぎの元祖がアメリカ政府であることを隠すため…というこちらもバカミスチックなオチで,これもなかなかインパクトがある。あまり,いい意味ではないが,インパクトはあるので★4

    〇 読後感 ★★★★☆
     凜田莉子と小笠原悠斗の関係がシリーズを重ねることに親密になり,この作品のラストは,ウェディング姿の写真撮影をしているという。この展開そのものは微笑ましく,この点の読後感は悪くない。雨森花蓮の絡みもよい。作品全体としても,永友エンジニアリングの今回の不祥事(マシン開発ができず,中の人を使おうとした)を隠す代わりに,ハリスの企み(GPSの金属片をこっそり回収。ミステリーサークル騒ぎの元祖がアメリカ政府であることを隠そうとした)を隠すことにしたというラストも,まぁ,悪くない読後感。そこそこ。★4

    〇 希少価値 ☆☆☆☆☆
     人気シリーズのラスト。希少価値はない。

    〇 メモ
    〇 蓬莱浩志が,万能鑑定士Qの事務所を訪れる。太陽の塔のニュースを見た翌日,妻が太陽の塔に連れ去られ,そのまま失踪したとのこと。捜査のため,莉子に太陽の塔の鑑定を依頼する。
    〇 莉子は依頼を受け,警察の立ち合いのもと,太陽の塔を鑑定するが,何も見つからない。
    〇 蓬莱浩志の家での捜査。「6114 6111 6108 6105」という謎の数字を見つける。
    〇 蓬莱浩志の家に「凜田莉子様」宛ての手紙が投函される。千里高校前に午後7時に来るようにという内容
    〇 千里高校では,さまざまな紙の鑑定が行われる。最後にフランク紙の表裏の鑑定があり,莉子が鑑定できないと答えると区民センターに来るように言われる。
    〇 区民センターではフランク紙の表裏の識別をできるという丹内という人物がいたが,これはいかさま。紙の角の堅さが違うことを利用したトリック
    〇 太陽の塔の展示品が盗まれる盗難事件が発生する。蓬莱浩志は容疑者となる。
    〇 莉子は太陽の塔を警備している日本統合警備で捜査をする。
    〇 スペイン料理店で太陽の塔に関心があるハリス教授に話を聞く。
    〇 莉子は再び,謎の人物に呼び出され,日用品の鑑定のテストをされる。
    〇 蓬莱浩志の家に,莉子宛の手紙が投函される。1000万円の報酬で仕事をしてほしいとの依頼
    〇 莉子は,呼び出された箕面のホテルに出向くが,仕事の説明会には参加せずに帰る。
    〇 莉子はジャンク品の販売主であるAstr00017に話を聞きに行く。ネットオークションに@地名で出品できるように静岡県の「地名(ちな)」という土地に住んでいた。
    〇 笠松刑務所にいる雨森花蓮に,写真から盗難された部品の作成を依頼する。
    〇 雨森花蓮と莉子の推理。太陽の塔事件で,警備員は全員グル。花蓮は贋作を完成させ,出品者がイギリスの農場の持ち主のイギリス人と分かる。
    〇 大阪府知事の太陽の塔の訪問。太陽の塔での謎解き。蓬莱浩志の妻,瑞希は,太陽の塔の機械の中で作業をするバイトをしていた。
    〇 真相は太陽の塔の展示マシンの中に人が入っているという秘密を隠すための騒動だった。ハリスは,そのことに気付いたが,展示されていたGPS装置を盗み出すために,
    恩義を売った。
    〇 ハリスは1978年に空輸の際の事故でイギリスの農地に落ちたGPS装置がネットオークションで売りに出されていたことをしり,回収を図ったのだった。このときのGPSの捜査でミステリーサークルができた。
    〇 ハリスと莉子の取引き。お互いに知りえたことを口外しないことにした。ハリスは,ミステリーサークル騒ぎの賠償金をアメリカ政府に負わせないため,莉子は,日本の技術が息の根を止められないため。
    〇 莉子は花蓮に礼を言いに行く。花蓮からは「コピア」にだけは近づくなと助言を受ける。
    〇 エピローグ。角川書店の建物で,小笠原と莉子がウェディング姿での撮影。そこでもダイヤの盗難事件が起こり…。というところでエンド

  • 万能鑑定士Qシリーズ第12弾。
    大阪の太陽の塔を巡って発生した人の蒸発事件の謎に挑む。
    前作までの莉子最大のライバルも再登場し、
    いつも通り安心して楽しめる良作ミステリーとなっている。

    ひとまず、本作でひとつの終焉を迎えたが、
    以降も続いている本シリーズ。少し間を開けてから読みたいと思う。

  • 最後の犯人が気になる

  • 今回は最大規模の鑑定、大阪にある『太陽の塔』。
    太陽の塔って名前は知っていたけど、中に入れるようになっているとは知らなかったわ。
    そこで起こった女性拉致事件の解決を依頼された莉子と小笠原。小笠原は相変わらず勘違い行動いけど、今回は莉子との関係が進展するはずが結局何もなしか?
    二人とも好意は持っているのにね、刑務所で会った華蓮が呆れるのもわかるわ。

  • 謎の手紙で呼び出されて相手が誰だかわからないのにゲームのような試験を受けさせられるのが不気味で良かった
    任意の人たちをランダムだと思わせて選ばせるやり方、そんなことになるのか〜ってなった 手数が多いけどたいして動いてないってことなのかな

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著者プロフィール

1968年、愛知県生まれ。デビュー作『催眠』がミリオンセラーに。大藪春彦賞候補作「千里眼」シリーズは累計628万部超。「万能鑑定士Q」シリーズは2014年に映画化、ブックウォーカー大賞2014文芸賞を受賞。『シャーロック・ホームズ対伊藤博文』は19年に全米翻訳出版。NYヴァーティカル社編集者ヤニ・メンザスは「世界に誇るべき才能」と評する。その他の作品に『ミッキーマウスの憂鬱』、『ジェームズ・ボンドは来ない』、『黄砂の籠城』、『ヒトラーの試写室』、「グアムの探偵」「高校事変」シリーズなど。

「2023年 『高校事変 16』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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