グラスホッパー (角川文庫)

  • 30211人登録
  • 3.54評価
    • (1778)
    • (3834)
    • (5159)
    • (772)
    • (132)
  • 2640レビュー
著者 : 伊坂幸太郎
  • 角川書店(角川グループパブリッシング) (2007年6月23日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (345ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784043849017

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
宮部 みゆき
伊坂 幸太郎
有効な右矢印 無効な右矢印

グラスホッパー (角川文庫)の感想・レビュー・書評

並び替え:

表示形式:

表示件数:

  • 映画を観るために再読。

    妻を殺された鈴木は復讐のために危ない会社《令嬢》に入社する。ターゲットは《令嬢》の社長の息子。復讐のチャンスが巡ってくるが、押し屋と呼ばれる殺し屋の槿に先を越され社長の息子は死んでしまう。
    社長は血眼で押し屋を探せと社員に命じ、鈴木は槿を追うことに…そこに殺し屋の蝉や殺し屋の鯨まで絡んできて鈴木の周りは知らないうちに大混乱。
    「鈴木」「鯨」「蝉」のパートで話は進んでいく。それぞれ色んなものを抱えてる彼らがひとつに交わる時どんな結末を迎えるのか…

    鈴木と槿(ファミリー)のシーンが好き。いつ本心を語り合うのかドキドキした。その時ふたりはどうなるのか。みんな早く逃げて〜ハラハラ手に汗握る。盛り上げ方がうまいなぁ。
    槿のいうグラスホッパーの話が怖い。そうならないように気をつけていきたい。

    映画の方も少しだけ。
    原作のキャラとイメージを大切にしつつ2時間という枠に収まるよう物語を作り変えた感じ。映画は映画で面白かった。特に蝉と岩西の関係は映画の方が好きかも。山田涼介くん頑張っていたなぁ。槿の活躍が少なかった事が残念。

  • スピード感のある展開。暴力的な空気。行き着く先が見えないストーリー。
    「鈴木」「鯨」「蝉」の三人が交差しあいながら進んでいく流れは伊坂さんらしい。
    とにかく、主要人物である三人が魅力的だ。
    暴力とは無縁の人生を送っていたはずなのに、妻が殺されてからは復讐者となっていく鈴木。
    一気に極端へ走るくせに、しっかり計画して動いているかというとそうでもない。
    自殺専門の殺し屋「鯨」は、いつも自分が自殺させた人間の幻覚を感じている。
    亡霊たちに話しかけられ、現実と幻覚との境界がどんどん曖昧になっていく。
    身体能力の高さを活かし、ナイフを使って殺しをする「蝉」。
    仲介者を通して仕事を請け負っていたが、トラブルに巻き込まれ仲介者は消されてしまう。
    「鈴木」の復讐相手である寺原Jrが「押し屋」に押されたことで、彼ら三人の道は徐々に交差していく。
    それぞれの視点で語られているところもいい。
    内容的にはかなりハードな場面もあるはずなのに、妙に血の匂いがしない。
    ただ、時間が積み重ねられ、その中を登場人物が動きまわっているのを眺めているような感覚だ。
    独特の世界観に自然と引き入れられ、強烈な個性を持つ登場人物たちが次にどんな行動をするのか、共感するわけでもなくただ待っている。
    物語の終わり方も好みだった。
    あっけないと思う人がいるかもしれないけれど、「そうか、こう終わるのか」という面白さを感じた。

  • 映画化すると聞いて…再読です。

    妻の復讐を誓う鈴木、悩める自殺屋・鯨、ナイフ使いの雇われ殺し屋・蝉。三者三様の想いを胸に押し屋を追い物語は進みます。

    おもしろかったー!こういう伊坂作品も案外好きです。押し屋とか自殺専門の殺し屋とかよく思いつくなぁ。それぞれの名前も妙に合ってておもしろい。
    最後は「え?」という展開ですが…(まさかのスズメバチ…)私的には鈴木が表の社会に戻れそうでほっとしました。

    どのキャラクターも魅力的で好きなのだけど、とりわけ蝉と岩西のコンビが好きです。わからないけれど、蝉に対して岩西の親心のようなものが感じられて切ないです…

    相変わらず名言の宝庫で、作中によく出てくる虫の比喩も興味深い。

    マリアビートル、挫折してしまったけど、読みたくなりました。

  • 素晴らしいエンディング。
    悲しみの中を暖かい風が吹き抜けていくよう。
    伊坂幸太郎の小説には本当に痺れる…

    妻を殺され復讐に企む鈴木。彼の行く手にはバラバラの目的を持った3人の殺し屋達が。
    そして物語が進み、彼らの思惑は交錯していき…

    心に響いた一節…
    「自殺する奴ってのが大嫌いなんだ。人間だけだぜ、逃げるように死ぬのは。どんなに酷い環境に置かれたって、動物は自分からは死のうとしねえよ。自分たちが生き残るために、他の動物がどれだけ犠牲になったか知ってるからだ。人間ってのは、傲慢だよ」


  • グラスホッパーは伊坂幸太郎による2004年に書き下ろされた小説。


    後から知ったのだが、これが伊坂幸太郎のハードボイルドな殺人を扱った最初の作品だった。


    この前にマリアビートルを読んでいたので、この作品に手を伸ばしたわけだが、相変わらず面白くてすぐに全部読んでしまった。


    マリアビートルもそうだったのだが、今作もジグゾーパズルのピースをはめて行くように、それぞれ章ごとに別のキャラクターの目線で事件が描かれており、話が進んでいくごとに、それが一つの事件として重なり合っていく。


    このキャラクターの目線で、別のキャラクターを攻撃した章の次はその攻撃を受けたキャラクターの目線から章が始まったりするので、その事件や場面がより頭の中で具体的にイメージされる。


    そのキャラクターの名称も傑作だ。


    鈴木(これはなぜか平凡)、鯨(でかいから)、蝉(うるさいから)、スズメバチ(黄色と黒の服だから)、槿(あさがお)など、ユーモアに溢れていてなぜか親しみがわく。


    この名前で殺人が起きるものだから、コミカルに感じてしまう。


    実際に人が死ぬシーンもリアルなのだが、伊坂幸太郎の手によると暗さを感じさせず、すがすがしいのだから大したものだ。


    主人公は、妻の復讐を誓って敵の会社に潜り込み、妻を殺した主犯格を追い掛けるという設定。


    死んだはずの妻がいたるところで主人公と対話(幻聴)するので、まるで主人公と妻の物語のようのも感じる。


    また次々と人を自殺に追いこむ通称自殺屋の鯨が過去に自分が葬った人物の幻覚に悩まされるシーンや架空のロックスター、ジャック・クリスピンの名言など、実際に存在していない人物が存在しているような感覚に陥る。


    押し屋、槿(あさがお)と主人公鈴木の最後の場面でのやりとりでのブライアンジョーンズのローリングストーンズによる下りは、知っているだけに、僕も槿同様、納得してしまった。


    この小説から伊坂幸太郎は大量殺人の話も良く書いていくけど、やっぱりこの話の書き方がベースになっているなと感じる(実際に繋げているらしい)。


    マリアビートルでは、この小説で出てきたキャラクターが何人か登場するし、裏の社会の中で別の話とも繋がっているところが、とても面白い。


    最後に、伊坂幸太郎は例えの天才だな、と思う。


    少々斬新でいびつなんだけど、その中に美しい表現だったり、生々しくイメージできるメタファーが伊坂幸太郎でなければ表現できないと思う。


    最後まで読み切った時の爽快さは、別の殺人を題材にした小説では味わえない深さが伊坂作品には存在する。

  • 殺し屋シリーズ第一作。
    登場人物で唯一、普通の人間 鈴木。自殺屋 鯨。ナイフ使い 蝉。三者の視点で交互に物語は進み、それぞれの思惑で押し屋 槿に迫る。
    以下、長くなるけれど、言いたいことは一つ。伊坂さん、すごいです。
    ラスト一文に既視感を覚え、鯨の章を読み返す。元カウンセラーのホームレス 田中の言葉「通過する列車がいつまで経っても通り過ぎないのは幻覚の兆候。列車は目覚めの合図」どこから幻覚だったのか遡ってみる。幻覚の始まりは「目の前の信号の点滅がちっともとまらなかったり」22ページにある。鈴木が復讐を誓った寺原息子はまだ事故にもあってない。では、息子は生きているのか、何故、鈴木は組織を抜けられたのか。
    最終章、品川駅で目覚めた鈴木は、213ページで槿に品川駅まで送ってもらっている。
    ということはこの後に起きる鈴木・蝉・鯨のやりとりが全て幻覚。こんなに生々しく書かれているのに、蝉も鯨も存在しなかった。元教師で、殺された妻の復讐をするために組織に入り、その目的のためだけに見ず知らずの人を騙し続けることにいつしか鈴木は心を病んでいたのか。そして、妻の幻覚に救われ、蝉と鯨を消し、前を向いて再スタートを切ることができたのではないだろうか。
    追記:マリアビートルで鯨はやっぱり実在していた

  • 伊坂幸太郎さんの作品は死神シリーズで好きになり三冊目。
    分類不能の殺し屋小説ということで、確かに面白かった。サクサク読めるし、純粋に楽しめる。
    現実の中の非現実というか、普段住んでる日常の中にこういう殺し屋ってのがいるのかなーと思うとワクワクする。
    ただ、登場キャラが多いのか各々濃すぎなのか、深くまで掘り下げられなくて(そこがいいのかもしれませんが)感情移入とか共感とかする隙がなくて、少しだけ物足りなさを感じた。
    ラストも何かが終わったとか、始まったとかではなく、私的にスッキリ…とはいかない感じが少々もどかしかった。
    鯨も槿の事も結局何も分からないし…

    ですが、日常の裏側を二日間、色んな視点から垣間見れる殺し屋の世界観は面白かった。

  • 殺し屋シリーズは『マリアビートル』を先に読んでいたので概要は知っていたのですが、映画化したタイミングできちんと読んでみました。うーん、テンポの良さ、個々のキャラクタの魅力、そして伊坂小説の真骨頂と言える絶妙な伏線回収!ワクワクします。小説を読むとアンニュイな気分になったり逆にきりっと背筋が伸びたりすることが多いんですが、伊坂作品はそのどちらでもなく、単純に笑ってドキドキできるエンタメ性がたまらないですね。映画だと鈴木の奥さん役を波瑠が演じていたのですが、そのチャーミングさって言ったらもう、素晴らしいものがありました。

  • 最強に面白い!
    私の読書の世界が開けた作品
    殺し屋シリーズ
    群衆劇、伏線も多く話もまとまっていて
    ストーリーの展開も面白く全てにおいて最高な作品です( ・∀・)

  • 伊坂の本では強盗がよく登場するし、悪人の描写はどこまでもえげつないけれど、ここまでアングロな世界をメインに描いているのは珍しい様に思う。

    物語の主要人物、鈴木, 蝉, 鯨の3人それぞれの語りで構成されているところが伊坂らしくて、色々な想像を張り巡らせることができて楽しく読めた。

    住所の件のところは、なんとなく予想ができたけど、その先に必ず「やられた!」があるって信じてワクワク読み進められる。
    そういう安心感が絶対的にある、信頼できる作家って素晴らしい。

全2640件中 1 - 10件を表示

グラスホッパー (角川文庫)に関連するまとめ

グラスホッパー (角川文庫)を本棚に「いま読んでる」で登録しているひと

グラスホッパー (角川文庫)を本棚に「読み終わった」で登録しているひと

グラスホッパー (角川文庫)の作品紹介

「復讐を横取りされた。嘘?」元教師の鈴木は、妻を殺した男が車に轢かれる瞬間を目撃する。どうやら「押し屋」と呼ばれる殺し屋の仕業らしい。鈴木は正体を探るため、彼の後を追う。一方、自殺専門の殺し屋・鯨、ナイフ使いの若者・蝉も「押し屋」を追い始める。それぞれの思惑のもとに-「鈴木」「鯨」「蝉」、三人の思いが交錯するとき、物語は唸りをあげて動き出す。疾走感溢れる筆致で綴られた、分類不能の「殺し屋」小説。

グラスホッパー (角川文庫)のKindle版

グラスホッパー (角川文庫)のAudible版

グラスホッパー (角川文庫)の単行本

ツイートする