- Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
- / ISBN・EAN: 9784043852024
作品紹介・あらすじ
「君たち、世界を変えてみたくはないか?」オチコボレ男子高に通い、死んだような毎日を送っていた「僕たち」は生物教師ドクター・モローの言葉で突如生き返り、世界を変えるために行動を開始する。その方法は-難攻不落のお嬢様女子高の学園祭に潜入してナンパをすること!果たして「僕たち」の潜入作戦は成功するのだろうか!?革命的おバカストーリーが炸裂する、ザ・ゾンビーズ・シリーズ第1弾。
感想・レビュー・書評
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ひさびさに再読。
ウォークマンで音楽を聴いたり、
ただただ爆睡したり、
ジャンプ読んで笑ってたり、
吉野家の牛丼をかっこんでたり、
教科書の隅にパラパラ漫画を必死で描いてたり、
机の陰で○んぽこの大きさを比べ合ったり(笑)、
この物語に出てくる授業中の風景は
自分たちの時代から
な~んも変わっちゃいない。
甘酸っぱくてこっぱずかしいあの時代を
否が応でも思い出させてくれる。
(あの頃になんか絶対戻りたくないけどね笑)
最初金城さんの小説を読んだ時、
僕の高校時代の身内が
小説家デビューしたんだと真剣に思った(笑)
それぐらいゾンビーズの活動や武勇伝は
僕の高校時代の笑い話や思い出とカブるし(笑)、
(マジでそばで見てたのかと思うくらい)
金城さんが小説内で描く
音楽や小説や主人公の考え方、生き方そのものが
高校時代の僕とバンドメンバーの日々とほとんど差がなく
趣味嗜好もぴったりシンクロしていて
なんとも不思議で。
勿論だからこそ
それ以来、いい小説家を見つけた!と
手放しで喜んだわけだけど(笑)
もとは優等生だった
語り手である僕こと、南方(みなかた)。
喧嘩最強でいて
学年一の頭脳を誇る
在日朝鮮人の舜臣(スンシン)。
男でも抱かれてもいいと思ってしまうほど容姿端麗で色気のある、
日本とフィリピンのハーフのアギー。
ゾンビーズの精神的支柱かつ実質的リーダーだか
謎の病気で入院中のヒロシ。
刑務所に入った父親や家族のために工場で働き家計を助ける
心優しき萱野。
いつも決まって一人だけ痛い目に遭う(笑)
史上最弱のヒキを持つ男、山下。
そんな落ちこぼれで不良と呼ばれる
キャラの濃いゾンビーズの面々。
しかし、このゾンビーズの不良少年たちは
勉強は大嫌いなのに(笑)
実に沢山の本を読むのだ。
マルクス・アウレリウスの「自省録」、ウラジミール・ジャンケレヴィッチの「死」、コンラート・ローレンツの「攻撃」、
他にも老子の哲学書や、
リルケや立原道造の詩集、
セザンヌやワイエスの画集、
文学だけではなく
「法律の抜け穴事典」「家庭の医学」「税金のしくみ」などの実生活に必要な本も
ぬかりなく読んでいる。
彼らは大人たちに潰されないよう
自分の思いを表現するために言葉を知り、
力と知恵と知識をつけ
大人たちへの対抗手段として
沢山の本を読み漁り活用する。
(僕たちもまるっきり同じだった。自由に生きるために、カッコいい男であるために本が必要だった)
そして彼らは死んだ友達のため、
約束を守るためなら
土木作業や引っ越し作業や製本所、パン工場、コンサートのガードマンなど
いわゆる3Kと呼ばれるキツい現場で
汗を流して働く重労働も厭わない。
そして男から見ても
彼らをカッコいいと思うもう一つの理由は、
情には厚いが
無駄に徒党を組むのを嫌う、
個人主義者の集まりだということ。
ここが集団でないと動けないヤンキーやチンピラとは違う点であり、
学生云々ではなく
もはや一人の男として
みなそれぞれがカッコいいところなのだ。
あと、コレは金城小説すべてに言えることだけど
何の違和感もなく
ただ、当たり前のように
行間から音楽が聞こえてくる点も
僕がこの小説に惹かれる理由。
ボブ・ディランの『ライク・ア・ローリング・ストーン』、
『ノッキン・オン・ヘブンズ・ドア』、
ビリー・ホリデイの『ベイビー・ゲット・ロスト』、
クリフォード・ブラウン、ジョン・コルトレーン、セロニアス・モンク、チャールズ・ミンガス、
そして忘れてはならない
ビートルズの『レヴォリューション』と
心踊る
インディ・ジョーンズのテーマ!
(またこの音楽の趣味がとにかくセンスがいいし、カッコいいということがなんなのかを金城さんはちゃ~んと分かってる人なんだろうな)
『世界を変える方法』をゾンビーズに教え
彼らの反骨心に火をつける
大人の中の唯一の味方、
生物のドクター・モローこと米倉先生がまた
とんでもなくカッコいい。
物語は、高学歴の人間たちが構成する窮屈な階級社会に風穴を開けるために
高学歴の女子を落とすことに奔走する
ゾンビーズの面々の活躍を
実にテンポよく
金城さんお得意の
意志の詰まった魅力的な言葉たちを駆使して描いていく。
150人もの体育会系運動部員をガードマンとして配備した難攻不落の女子校へ
彼らは果たして侵入することができるのか。
(このへんの攻防と異性へのあくなき探求心が尋常ならざるパワーを生むところは、村上龍の青春小説の傑作「69」ともカブるアホアホパワー!笑)
それにしてもヒロシが語る
どんなときも自分を捨てなかった異教徒の話は
泣けたなぁ~(≧Д≦)
少年たちよ、
おじさんから一言。
カッコいい男になりたけりゃ、
これを読みなさい。
(カッコいい男の基準を知りたい女子たちもね笑)
カッコいいことがどういうことかが
解らなければ
金城作品に出てくる本や音楽や映画に触れればいい。
本当のヒーローになりたけりゃ、
どんなに情けなくて
どんなに苦しくても、
踏みとどまってファイトあるのみ。
Stand and Fight!!
つまり、『踏みとどまって闘うのだ!』
そして何があっても踊り続けること!
金城さんがゾンビーズに語らせたその言葉は、
同じ青春を生きた僕自身も感じ
沢山の友を亡くした中
やっとこさたどり着いた
本当の真実だ。
17歳から踏みとどまって闘ってきた
ポンコツ寸前のボクサーが言うんだから
間違いない(笑)(^^;)詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
「GO」読んでからのコレ、最高。
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3つのエピソードが収録されている、『IWGP』によく似た雰囲気の作品です。
主人公の「僕」ら、「ザ・ゾンビーズ」は底辺高校に通うバカ男子たち。
高嶺の花のご近所お嬢様女子高の文化祭へ押しかけてみたり、仲間の姉貴の友だちの女子大生のストーカー退治に奮闘してみたり、勉強の成績は悪くとも、持ち前の機転や人脈で解決してゆく物語です。
宗田理の「ぼくら」シリーズや、石田衣良の『4TEEN』などにも似ており、同年代の生徒たちや、かつてその年代であった大人にとっても楽しんで読むことができる作品だと思います。
また、作者の作品に散見される在日者からみた日本の「差別」を含む、「被差別(学歴等をも含む)者」から見た現代社会の排他性・攻撃性を描きだしている部分も、YA作品として評価できると感じました。
「文化祭」に関連する小説を探していて読みましたが、自分たちの学校の文化祭ではなく、男子校の高校生が女子高の文化祭(チケット制)にどうにかして乱入する、ということを目指すというストーリーだったので、少し当てが外れた部分もあります。
ただ、男子校生は好きだろうな、という作品です。
どうやらシリーズものでもあるようなので、他の物語も気になるところです。 -
ゾンビーズシリーズ3作目が面白かったので一作目。雰囲気も同じで面白かったです。
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まだ中学生の頃に出会いました。朝読書の時間に笑いを堪えるのに必死だった思い出があります。
ビートルズのRevolutionをもじったタイトルの通り、おバカな男子高校生たちがとある革命を起こす物語。登場人物はみんな魅力的で、思わず愛してしまう。ただ笑えるだけでなく、様々な社会問題をも孕んでいるので、「日本人」という当たり前に受け入れていることを考えさせらる作品でした。 -
馬鹿で真っ直ぐな高校生の不良グループ、ザ・ゾンビーズが巻き起こしたり巻き込まれた事件を描いた連作中篇作品。
作戦とかそれに伴う作戦会議とか、きっと彼らはそんな響きが好きに違いない。テレビや漫画で散々多用されていたそういうシーンに憧れて、フィクションの主人公になりたくなったやつらの集まりがザ・ゾンビーズであり、その為に、結局のところ作戦の趣旨である誰々を守りたいとか、あいつの為に、とかは後付けの理由になって、ただカッコよくありたいという男として単純な動機が真っ先に存在しているのが読んでいて気持ちいい。
もちろんそこから広がる、ある意味暑苦しいカッコつけられた人間ドラマも魅力的。 -
再読。
著者の「GO」と云う作品は何度も読み返すが、この作品は二度目かな。
青春のほろ苦さと共に、笑顔や幸福感を読者に与えるのは、著者の素晴らしい所だ。
そんな金城一紀に私は惚れてしまった。
表題作も含め、3短編収録。
中でも「ラン、ボーイズ、ラン」が好き。
この気持ちは近しい人を亡くして初めて味わった。
今でも罪悪感が残る私には、この作品を読んで少し救われた気がする。 -
ゾンビーズ最高。