村田エフェンディ滞土録 (角川文庫)

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著者 : 梨木香歩
  • 角川書店 (2007年5月1日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (238ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784043853014

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村田エフェンディ滞土録 (角川文庫)の感想・レビュー・書評

  • 本屋でタイトルを見たときに、そういえば『家守綺譚』の中にトルコに留学中の友人の話があったなぁと思ったのですが、正しくその友人が主人公の物語でした!
    こうやって他の本との繋がりが見つかると嬉しくなります^^
    最初から異国情緒溢れる賑やかな雰囲気の物語だったので、最後までそのまま進むのかと思いきや・・・
    一抹の切なさを含んだラストでした。

  • p.39
    とりとめのない色彩を、最初は目の錯覚かと疑ったが、だんだんにまとまってきて、ああ、これらビザンティンの衛兵、と思いついたら、また、徐に散っていってしまった。成程、ああいうものか、と感心した。

    1900年くらい(明治30年代)の、トルコの下宿先での若者達の、考古学で発掘したり雪合戦をしたりと、のどかな会話や出来事。たまに怪異が出てきたりして、梨木さんは昔の情緒とファンタジーを合わせるのが上手いなぁとほのぼのしていたら、だんだん話が不可抗力にきな臭くなっていった。
    争いというものは、いつでも悲しい。

  • しみじみと良い本だった…。梨木さんの文は、心が洗われるって表現がぴったりくる。急いで読んだらもったいない気がして、じっくり読んでしまう。
    トルコのゆったり流れる日常の空気感がたまらない。そして日本人特有の生真面目さを発揮する村田君が良い。国籍も宗教も違う人たちが、お互いを認め合って共同生活をしているのっていいもんだなぁ。家守綺譚の綿貫君と高堂も出てきて嬉しかった。そういえば家守の方にも村田君の名前が出てきてたなぁ。ラストには、彼らの間を引き裂いた戦争の非情さを感じ、切なくなった。鸚鵡が泣かせてくれます…友よ!

  • 梨木果歩だってー?「西の魔女が死んだ」は読んだけどぴんとこなかったなー「オズの魔法使い」じゃね、「裏庭」だって「トムは真夜中の庭で」や「思い出のマーニー」なんじゃあ!? と、豊潤さ芳醇さを予感しつつも遠ざけていた著者。
    思いもかけぬ人からおすすめされて読み、単純にも、大いに感動した。
    語り手の恬淡さや、時代がかった物言いが功を奏して、面白味を齎し、きな臭さの仄かに舞う中、爽やかな味わいが作品を浸していたが、
    一転、終盤、死が充満する。
    だからこそ波状攻撃を仕掛けてくるノスタルジー、無力感。
    「主義主張を越えた友垣」、「楽しむことを学べ」、「人は過去なくしては存在することは出来ない」、そして「私は人間だ。およそ人間に関わることで、私に無縁なことは一つもない」。
    小説が骨組みや肉付けをしたからこそ、読み手の骨身に沁みる、これぞ小説。

    ちなみに解説の茂木健一郎、文庫裏表紙のあらすじは、的外れ。

  • トルコである。
    しかも1899年である。
    異国情緒にたっぷりとひたりながら、主人公村田を通して各国から集った人々や異文化と混じり合える。
    たまたまながら「家守綺譚」のあとに読んで、私としても正解だった。ストーリー的なこととは別に、あの現実の世界がふっと揺らぐような空気感をどこかに感じながら読み進められた。
    最後まで名前をつけられなかった(たぶん)、鸚鵡がいい。古き良き悪友のようでもあり、それこそあまたの神のひとりのようでもあり―。
    ずっと「ココ」にいそうである。

  • 家守奇譚と重なる時代。でも舞台はトルコ。相変わらず土地の空気を見事に表している文章、そして不思議もちらほら。ただ、最後一緒に暮らした仲間が戦争でほとんど亡くなってしまうのが切ない。トルコの革命ってどんな風になったんだか世界史で習ったのに忘れていて時代背景をきちんと掴みきれず残念。高堂の「元の神社にお帰り願え」が笑えた。サラマンドラがもしかして今後の伏線になっているのだろうか、とても楽しみ。

  • 『春になったら苺を摘みに』で語られるイギリス滞在中のこと、ウェスト夫人宅での思い出が色濃く反映された(ように読める)作品。最初に読んだ時よりも自分が大人になったせいか、最後、結末を知っているのにやっぱり泣いてしまった。

  • 人類の未来へ、何がしかを期待してしまう本でした。涙です…。

  • 相変わらず文章が綺麗で読んでて気持ちがスッとする感じ…ていうのかな。そういうのがある。
    トルコのことや当時の世界情勢や宗教のことはあまり詳しくないから私がそのへんをもっと知ってればもっともっと楽しめたんだろうなと思うと悔しい…。

    最後の鸚鵡で泣きました。
    私の頭の中にも下宿先のみんなの楽しそうな情景が浮かんできて切なくて悲しかった。

    家守綺譚の綿貫と高堂も少し出てきて、その後の様子がうかがい知れるところも良かった。

  • 緻密な歴史書のようでいてファンタジーが混じりこむ不思議な世界でした。
    最後に梨木さんファンなら分かる、あのおうちに行き着いてほっこり終わります。

  • 村田が考古学研究でトルコに滞在。その間の不思議な出来事をめぐる話。鸚鵡が日本に届いたときは泣けた。

  • 梨木さんの本を読み始めると、時間がゆっくり流れはじめるような気がする。いつのまにかここではないどこかへゆっくりと心が移動していく。そこは百年程前の土耳古であったりする。私の中ではそんなふうにゆっくりと、物語が始まる。
    村田エフェンディ、ディクソン夫人、オットー、ディミトリス、ムハマンド。彼らの居る場所の、ムハンマドのコーヒーの香りさえ漂ってくる。そして、鸚鵡。
    時代のなかでそれぞれの運命をたどる彼らを、さいごにうけとめる運命の村田。真摯な友情が胸をうちます。

  • 「そしていつか、目覚めた後の世で、その思い出を語り始めるのであろうか。」
    心に残る。
    そして、そうあってほしい。

    その時、真剣に過ごした人達との思い出はいつまでも色あせることがない。

    ディミィトリス「君には君の仕事がある。」……「忘れないでいてくれたまえ。」
    そして最後の「楽しむことを学べ。」
    鸚鵡はゆっくりと目を開け…
    一「友よ。」
    胸がつまりました。

    今後の人生に必要な本の1冊。
    生活場所が変わっても部屋に置いておきたい本。

    感謝です。

  • このタイミングで出会えてよかった本。
    ディミィトリスの言葉は、私も一生忘れない、忘れたくない言葉だ。

    冒頭を読み、淡々と、異国の雰囲気に触れるだけの物語だと思ったら大間違いだった。大好きな本!

  • 【本の内容】
    時は1899年。

    トルコの首都スタンブールに留学中の村田君は、毎日下宿の仲間と議論したり、拾った鸚鵡に翻弄されたり、神様同士の喧嘩に巻き込まれたり…それは、かけがえのない時間だった。

    だがある日、村田君に突然の帰還命令が。

    そして緊迫する政情と続いて起きた第一次世界大戦に友たちの運命は引き裂かれてゆく…爽やかな笑いと真摯な祈りに満ちた、永遠の名作青春文学。

    [ 目次 ]


    [ POP ]
    生真面目な村田君、豪快なオットー、美男子ディミィトリス、3人が住む下宿の主ディクソン夫人、そして家事の一切を担当するムハンマドと五種類しか言葉をしゃべれないのに絶妙なタイミングで人間にツッコミを入れる鸚鵡……。

    『村田エフェンディ滞土録』は、国も宗教も異なる彼らが第一次世界大戦直前のトルコで過ごしたかけがえのない日々を描く。

    敷石に落ちた葱まで美しく感じる情景描写、幽霊や神様など不思議な存在が日常に何食わぬ顔して現れるところがいい。

    そして、激動の歴史の中で広い視野を持ち、他者を思いやる人々の姿に心を動かされる。

    品格という言葉は、本書の登場人物のような人にこそふさわしい。

    特にディミィトリスが村田君に教えた、

    私は人間である。

    およそ人間に関わることで私に無縁な事は一つもない。

    という言葉と、P229で鸚鵡が叫んだひとことが忘れがたい余韻を残す。

    静かで深い感動作だ。

    [ おすすめ度 ]

    ☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
    ☆☆☆☆☆☆☆ 文章
    ☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
    ☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
    ☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
    ☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
    共感度(空振り三振・一部・参った!)
    読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)

    [ 関連図書 ]


    [ 参考となる書評 ]

  • 2014.10.30 am2:10 読了。
    異文化理解とよく言うが、そもそも「異文化」という考え方が、性に合わない。「異」なんて使わずに、もっと柔らかい適当な語はないだろうか。境界線なんてはっきり引かない、境界線の太さをもっと広くした表現はないのか。いっそのこと境界線を幅広に拡大し続けて、内と外という区別をなくしたい。外国と日本。国という線を消してはじめて、個人として違う文化的背景や、風土を持った人(=外国人)に、もっと寛容になれるのではないか。けれども国の概念がなかったら、成立しないのが現代。「およそ人間に関わることで私に無縁なことは一つもない」(84頁)この考え方は大切だと思う。ただずっとこの考えを持ち続けるのはきつい。情報量もやるべきことも膨大すぎてつぶされそう。妥協点をどこにするかが課題。

    「人の世は成熟し、退廃する、それを繰り返してゆくだけなのだろうか」ー「ええ、いつまでも繰り返すでしょう。でもその度に、新しい何かが生まれる。【略】繰り返すことで何度も学ばなければならない。人が繰り返さなくなったとき、それは全ての終焉です」(97頁)

    何かが生まれることは無駄ではない。確かに。変化の可能性は常に維持されるべき。善悪はともかく、その可能性が消えたときが、それの終わりなのだろう。

  • あの鸚鵡に泣かされるとは…不覚。

    梨木香歩さんの作品の中でも、これは特に好き。
    民族独立のテーマは少し重いが、よろよろと頼りない足取りで近代への扉を開けてゆく真面目で融通のきかない日本人たちの描かれ方に、とても共感できる。漱石や鴎外もかくなむ。

    家守綺譚に繋がるストーリーだが、印象はまるっきり異なっていて、異文化同士の交わりの中から香り立つ面妖さが独特の空気を醸し出している。

    不思議なことに、この本を読み終えてからしばらく街歩きをしている間、鼻の奥で香辛料の混ざったような…アジアや中近東のイメージに近い香りがずっとしていた。デパートの書店でもホテルのトイレでも。

    人それぞれの神々への信仰のありようが交錯するところに最も興味を惹かれる。価値観の衝突と受容、融合は梨木香歩さんならではのもので、不穏な空気の漂う物語なのに、なぜか安らいだ。

    この作者の文化や文明、歴史や宗教への造詣の深さにはいつも驚かされるのだが、さらに、大きく腕を広げて全てを受け容れてしまう寛容さには、つい心解かされてしまうのだ。

    村田の亡くなった友人たちのために…神を持たない私も、何かに祈りたくなった。

    最後に問いたい。やはり人間は人間として生きる限り、人間に関わるすべてのものから切り離されはしないのだろうか。

    私は…切り離されることの方が幸せに感じるのだが。。

  • 『家守奇譚』などにも出てくる綿貫の友達、トルコに留学中の村田のお話しです。
    英国の婦人が経営している寮に集まる多国籍なメンバー。色んな価値観や感じ方があって面白かったです。
    最後には戦争の悲しさも考えさせられました。

  • 『家守綺譚』『冬虫夏草』『海うそ』と梨木香歩男性モノローグ系をあれこれ読んだ流れでなつかしく再読。
    琵琶湖のそばの綿貫の物語と遠くトルコで響きあう村田の物語。下宿に集う国も信仰も異なる好漢たち+鸚鵡のかけがえのない日常、帰国して綿貫のところにころがりこむくだりのワクワクとしがらみだらけでせわしなくすぎてゆく時間、そして急転切ない結び。何度読み返しても心が動き、洗われる。
    今回『冬虫夏草』のあとにひさびさに読み返して、「あ、つながったな」と思った。
    綿貫も村田も言及する倫敦のもうひとりの友人の物語にもいずれはであえるのだろうか。

  • 続いて「夏の100冊」。最近になって、梨木香歩さんの書かれるものをすごくしっくり感じるようになった。よく言われるように、本には「出会い時」っていうのがあるんだなあと思う。

    これも非常に良かった。心にしみた。淡々とした調子で始まるが、次第にお話は陰翳を帯び、深みを増し、読み終わったときにはずっしりと手に残るものがある。梨木さんの小説にいつも感じる、静かな怒りや悲しみが、ここにもある。

    人と人が互いに思いやったり心を通わせていく上で、国や人種や宗教や、そういうものって大して問題じゃない。でも悲しいことに、現実にはそうしたものに縛られて人は生きていて、それをどうすることもできない。哀切なディクソン夫人の手紙を何度も読み返しながら、人の運命ということをつくづくと考えさせられた。

  • ディスケ・ガウデーレ
    楽しむことを学べ

    不思議な話だ

  • 家守綺譚が読みたかったのに本棚になかったため読み始めた。
    やっぱり、面白かった。
    何回よんでも最後のディクソン夫人の手紙のところは泣いちゃいます。
    梨木香歩の中でもトップレベルで面白いなあ。

    ディクソン婦人・ディミトリス・オットー・ムハンマド
    それぞれ違った、でも強い信仰を持った人たちがそれぞれの強さ・思いやり・弱さを持ちよって一緒にくらす。その中で暖かい・大切な時間を作っていくんすなあ。

    もっとレビューうまく書きたいけど、うまく書けないな。絶対おすすめです。

    それにしても角川文庫の中の表紙ってなんであんなに気持ち悪い模様なんだろ。止めればいいのに。
    角川文庫ってあまり読まないけど。

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村田エフェンディ滞土録 (角川文庫)の作品紹介

時は1899年。トルコの首都スタンブールに留学中の村田君は、毎日下宿の仲間と議論したり、拾った鸚鵡に翻弄されたり、神様同士の喧嘩に巻き込まれたり…それは、かけがえのない時間だった。だがある日、村田君に突然の帰還命令が。そして緊迫する政情と続いて起きた第一次世界大戦に友たちの運命は引き裂かれてゆく…爽やかな笑いと真摯な祈りに満ちた、永遠の名作青春文学。

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