フリークス (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
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  • Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784043855049

感想・レビュー・書評

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  • フリーク(畸型)達の記録。
    それは見た目の異常さであり
    心の異常さでもある

    まさかの短編集だった。
    内容のグロテスクさで言えば表題作の「フリークス」が一番だったが、ある程度ストーリーは読めてしまった。

    終わり方で意表を突かれたのが一作目の
    「悪魔の手」かな。
    暗くて気持ち悪い雰囲気もさすがだし、二転三転でストーリーも面白かった!

    二作目は結局死んだのはどっちなの?って疑問が置いてきぼりに_:(´ཀ`」 ∠):

    精神病院が舞台の本作。
    ずーっと暗鬱とした感じで、これが異常者の世界…って面白がって読んでたけど
    最後のメッセージに痺れたよ…

    「この世界に厳密な意味での正常(ノーマル)など存在しない。多かれ少なかれ、僕たちはみんな畸型(フリーク)なのさ。

    そもそも人間なんていう動物そのものが、突然変異的に生まれた恐るべき畸型種なんだ。
    ねえ、そうだろう?」

  •  「ジャケ買い」という言い方が本にも通用するかどうかという問題は別にして、ジャケ買いした本。
     もちろん、綾辻行人さんのお名前や著作は知った上での「ジャケ買い」でした。

     他の方からもちらほら上がっている意見ではありますが、私もあらすじにさっとしか目を通さなかったもので、長篇なのだと勘違いしておりました。実際には三篇から成る短~中篇集です。

     個人的に好きだったのは、「夢魔の手――三一三号室の患者――」ですね。どんでん返しの感じやストーリーそのもののスピード感が心地よい作品です。
     次の「四〇九号室の患者」はトリックを考えながら読み進めているとくどいほど丁寧な説明台詞が出てくるので、仕掛けが分かってしまいました。
     最後の「フリークス――五六四号室の患者――」については、好みの問題だとは思うのですが、作家と探偵のやりとりが長すぎて中だるみを起こしてしまいました。

     最近はグロテスクな作品が世間的にも迎合されつつある雰囲気があるせいか、今となってこの作品を読むと少し見劣りしてしまうように感じました(それぞれの発表年は本書末にあるように、92年、89年、96年)。
     コンセプトに惹かれましたし、患者ごとのエピソードということで短~中篇集ながら読みやすい工夫がされていると感じました。ただ、想像していたようなエモーショナルな展開に劣ったので期待したものとは少し異なりました。

  • 精神病棟のお話なのでなんとも言えぬ
    不気味さが漂っております。

    雰囲気はすごく良かったのだが
    いまひとつオチが弱かったように感じました。

    どうも綾辻さんの作品だと
    衝撃的などんでん返しを期待してしまうな(^_^;)

  • K※※総合病院の同じ精神科病棟を舞台にした短編集。発狂して父を殺した母の見舞いに来た青年の話。事故で大怪我をし記憶喪失で自分が誰なのか思い詰める患者の話。精神科病棟の患者が書いた奇妙なミステリ小説を考察する話。3つの中・短編からなる。
    綾辻氏の小説はどれも読みやすく本書にしても期待に違わない。正常と異常、真実と嘘、表裏一体の狭間を上手く表現しており、揺れ動く心理描写、歪んだ世界観に読み手もハラハラ、ゾクゾクし終盤に訪れるどんでん返しに驚愕し感嘆する。
    歪な世界が澱む、ミステリーホラー。
    ★★★✩✩ 3.0

  • 覚悟して読みましたが、想像以上の怖さでした。精神病と言うと、錯乱や暴走してしまうイメージでしたが、この本の静かに狂っている患者の様子は本当に怖いです。平然とみんな狂ってます。短編3話ですが、3話目を読む頃には、結局何が真実なのかよくわからなくなります。読後にモヤモヤ感が残る感じでした。

  • Anotherを読んで、綾辻作品が気になり、表紙買い。
    短編集なんで、あっさりと読み終わりました。
    綾辻さんの作品は気をつけないと引っ張られる感がありますね…この作品も然り。
    実際には90年代に書かれた作品にもかかわらず、それを感じさせないのは、精神病棟という設定だからかな。
    館シリーズも大好きだけど、こっち系のも大好きです。

  • とある精神病棟を舞台とした、三作の短編集。
    舞台が舞台だけに、奇妙で、不可思議な話が展開されます。
    しかし、そこはしっかりミステリィでしたよ。
    面白かったです。

  • 3編の短編小説から成る、長編だと思ってたのでちょっとがっかり。
    どれも主人公=ヤバいやつっていうお決まりな感じで、読んでるうちにだんだんラストのオチが読めてしまって残念。

  • 世界のカタチはいつだって不定形。

  • 収録作品3編。
    「409号室の患者」感想
    乗っていた自動車が転落事故を起こした。
    同乗していた夫は死に、妻である自分はどうやら生き残ったらしい。
    らしいとしか言いようがないのは、記憶がまったくないからだ。
    自分の名前さえ覚えていない私は、本当は誰なのだろう・・・。
    思うように動くことも出来ない。自分の顔を見ることも出来ない。
    九死に一生を得た私は、事故によって記憶を失い自分が誰なのかさえわからなくなっていた。
    しかし、徐々に断片的によみがえってきた記憶が、私を追い詰めていく。
    私は誰かを殺したことがある・・・。
    殺人をおかした私は誰で、殺されたのは誰なのか?
    やがて記憶の底に眠っていた殺人をはっきりと思い出した私は、担当医にそのことを告げる。
    覚えていたとおりの場所から白骨死体が発見されたのだが、殺害時期がどうしてもあわない。
    「夢魔の手」を読んだあとだったので、かなり注意深く読んだつもりだった。
    なのに、また見事に裏切られてしまった。
    示された結末の可能性が少しも思い浮かばなかった時点で、完全に負けている・・・。
    いや、別に綾辻さんと勝負しているつもりはないのだけれど。

著者プロフィール

1960年京都市生まれ。京都大学教育学部卒業、同大学院博士後期課程修了。87年、大学院在学中に『十角館の殺人』でデビュー、新本格ミステリ・ムーヴメントの契機となる。92年、『時計館の殺人』で第45回日本推理作家協会賞を受賞。2009年発表の『Another』は本格ミステリとホラーを融合した傑作として絶賛を浴び、TVアニメーション、実写映画のW映像化も好評を博した。他に『Another エピソードS』『霧越邸殺人事件』『深泥丘奇談』など著書多数。18年度、第22回日本ミステリー文学大賞を受賞。

「2023年 『Another 2001(下)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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