サウスバウンド 下 (角川文庫 お 56-2)

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著者 : 奥田英朗
  • 角川書店 (2007年8月31日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (274ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784043860029

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サウスバウンド 下 (角川文庫 お 56-2)の感想・レビュー・書評

  • 上巻での評価と打って変わって主人公の親父である上原一郎が
    とても生き生きしていてちょっとだけ好きになりました。
    中でも印象に残ったのが
    「世の中にはな、最後まで抵抗することで徐々に変わっていくことがあるんだ。奴隷制度や公民権運動がそうだ。
    平等は心やさしい権力者が与えたものではない。人民が戦って勝ち得たものだ。
    誰かが戦わない限り社会は変わらない」
    と息子に向かって語るところ。
    はっきり言って今の平和な世の中で左翼的な発言なんかは暑苦しいし
    何都合の良いことや理想論を言ってんだよと思うことが多いのですが
    今ほど平等な社会ではなかった時には現代のような世界を夢見て
    権力と戦った人達がいたんだなぁと今更ながらに思わされた一言でした。
    そして俗に環境左翼と言われている人たちを揶揄する
    「内地の人間が勝手に南の島に憧れ、自分探しで環境保護運動をするのは
    迷惑な話だ」というような表現も的を射ていて納得出来ました。

    最後は何となくさびしい終わり方ではありますが上巻では何となく蚊帳の外だった
    主人公の姉も含めて一家が団結していくところは目頭が熱くなりました。
    思っていたのと少し違う作品でしたがとても楽しめました。

  • 再読。
    下巻のほうが断然面白い!
    ついに家族は西表島へ。東京暮らしは便利だけど、人間らしく自然に生きていくには南の島は良いのかも。ちょっと破天荒だけど、お父さんが愛おしくなってきた。そして上原一家もまとまった感じ。家族ってあったかいね。
    年金とか保険とか、当たり前のように払ってるけど、そもそも「国民」って何よ?と思えてきた。

    あれ?映画観たっけ。トヨエツお父さん、見てみたい。

  • この作品のお父さんほど偏った思想にはなれないけど、自由に生きる姿を羨ましく感じたし、格好よかった。
    物語の展開を楽しむのと同時に、これからの生き方や日々の生活について考えさせられて、いい読書時間になった。

  • 2016.4/26〜28。上巻では中野、下巻では舞台が西表島に移る。破天荒で反社会的な父の印象が、二郎とともに変わった。二郎も中野編では平凡な小学生だったのに、島に来てからはもっとたくましくなった。島のゆいまーる精神が良い。本物のスローライフとはこういうものなのかも。

  • 型破りな父親と、おませな小学生の話。

    少年Hのように、主人公の少年視点でストーリーが進む。
    上巻の不良カツとのやりとりや、大人に頼れないといった視点は、男の子ならではだと感じた。
    四ッ谷の親戚や、島の人がみんないい人で、癒された。

    姉と母が上巻と下巻でキャラが変わってきた気がする(野生化してきた)が、自然近づいただけなのかも。

    さすがは奥田作品というこで、テンポよく読めるが、
    最後ちょっとグダグダになったのが残念。個人的には、不法で済むのはアウトだと思う。。

  • 型破りな父親に翻弄される家族のはなし。

    現実離れしてはいるんだけど、少し変わった形の上原家の家族の絆が、物語が進むのと共に少しずつ深まっていくのが興味深かった。

    にしても、西表島行ってみたいなあ。

  • 小6の少年の目を通した家族愛と成長の物語。東京と西表島の生活が、前後半で劇的に変化し、読みごたえあり。単純に面白い。

  • 普通じゃない家庭に育った普通の子。思春期に差し掛かる多感な視点から、どこかユーモラスながら切実な悩みや喜び、様々な世界の在様に触れ、経験を深めて成長していく姿を描いた一作。

    二郎が虐めに苦しむシーンは一緒になって胃を痛めたし、上流階級の親戚を最後にプライドをもって拒絶するシーンは「よくやった」と頷きたくなった。沖縄の自然や朴訥な人々には心が温かくなったし、大立ち回りのシーンでは心臓が裏返るかと思うほど興奮した。
    インザプールや空中ブランコでもそうだったけど、奥田英朗の作品は、読み進めるうちに我を忘れて感情移入してしまう。不思議だ。

    父の上原一郎は東京ではニート、沖縄では農業漁業に精を出す働き者。だが、どちらにいても気に入らない相手には噛みつくし、本質は変わらない。誰とも群れず、誰にも阿ず、ただ自由でありたいと願う。それが必ずしも全肯定されるとは思わないが、強者に牙を剥く強烈な個性はやはり憧れの対象として人を引きつける。
    さらに、そこに時代や場所の要請が加わると、その存在意義もまた変わる。東京では安定し停滞した社会の異分子、つまり厄介者でしかなかった人間が、西表島に来たら動乱の最中に現れた英雄へと早変わり。もちろん、一郎本人にとっては他者の評価などどうでも良いことだろうが。

    そんな父やそれを取り巻く様々な現実を見て、これからの二郎はきっと、自分の中で譲れないものを見つめ直し、その大事なものを社会という名の集合無意識に埋没せずに守り通せるような大人へ育っていくのだろう。そうあってほしい。自分のために他社を傷つけるのは論外だが、世間様に迷惑をかけないことが全て、という人生も同様に人間の正しい生き方とは言えない。両者のバランスを見極めることが肝心なのだろう。未だかつて誰一人として答えに到達したことがない難問だが、それでも人間が社会的生物である以上、死ぬまで模索していかなければいけないのだと思う。


    最後に、ベニーさんの「star」の日本語訳が「芸能人」というネタにはその場で思わず笑いが漏れてしまい、周囲の通行人に変な目で訝しがられました。

  • 上原一家の父も、母も姉も上巻よりもずっと好きになった。新垣巡査やペニーも好きだ。

  • 上巻と下巻で綺麗に話が分かれてました。どちらも面白い。下巻で父にも愛着が沸いて、楽しく読めました。奥田さんの、まっすぐな人を描いたものは後味もよく好きです。

  • 図書館で借りた。
    上下巻
    上は割とマッタリ
    下は全く違う流れに・・・

  • 西表島にきた上原一郎一家。
    大歓迎で地元の支援や差し入れで、空き家に住み始めたものの、そこはリゾート開発の立ち退きが迫る御嶽のある土地。単なる占拠屋にされてるのかと思ったが、上原一郎はそんなことはどうでも良かった。
    彼は理想の地を求めて国とは一線を敷、独立した自給自足で暮らす場所を求める。
    目指すはパイパティローマ。
    最終的には彼はアカハチの子孫であるというよりアカハチの生まれ変わりじゃないないかと思うところ。こんあな左翼的な考え方も嫌いじゃないなぁ。
    気がつけば、警察を公安と呼ぶし資本の力にも屈したくないなぁ。
    そんな上原一郎を尊敬します。

  • 西表島に引っ越したところから下巻は始まる。
    リゾート開発に対して、賛成派と反対派がいて、、、というところは、原田マハの『カフーを待ちわびて』と全く同じ。
    しかし“ダメオヤジ”の一郎が、ここから存在感を増す。
    上巻では厄介者でしかなかったが、気付けば「頑張れ一郎!」に。作者の術中に嵌る(笑)

    欲が無ければこの世の中に争い事は起きない。

    沢山揉めて争ってばかりいるようにうつる一郎だが、実は争い事の無い平和な世の中に生きたいという思いの裏返しなんだろうと思う。

  • 前半は、カツにハラハラさせられたが、沖縄に行ってからは楽しく読めた。

  • 一気に読まされた。

    そして、いろいろと考えさせられた。

    国って何だろう
    自由って何だろう
    強さってなんだろう

    自由は孤独

    という言葉を最近よく聞く

    だから強さや支えてくれる理解者が必要

    その二つを持ったお父さんは、一本気でかっこいい!

    ほんとに自分の親だったらやっぱ困るかもだけど。。

    東京の暮らしと沖縄の暮らし
    東京の学校、先生と沖縄のそれ
    東京の友達と沖縄のそれ
    東京の年の違う子との交流と沖縄のそれ

    対立が鮮やかだった

    お父さんみたいに、自分の納得のいく行き方ってなかなかできないから、かっこいいし憧れる

  • お父さんの汚名返上の下巻。
    偏った思想でありながらも、子供にはそれを押し付けない、、そこがかっこいい。

  • 『パイパティローマ』

    久しぶりに良い本を読んだ。とても良いことばがあって、引用したいけれど是非読んでもらいたいのでここにはかかない。幼い頃の疑問にフィクションとはいえ全力でぶつかってくれて嬉しかった。パイパティローマは僕らが帰る場所である筈だ。

  • 爽快だった。元過激派の父に振り回される小学生の主人公。いじめとか悩ましいテーマもあるけど、小説としてしっかり終わってくれて読後感が良かった。

  • 適材適所って、あるよね。
    東京ではすごく面倒な主人公の親父が沖縄では生き生き、カッコいいのだ。
    上巻は「こんな親いやだー」
    下巻は「こんな親、いやだけど、カッコいいかも・・・」
    すらすらと読めて面白かった。行ったことないけど、沖縄の離島の空気を想像させてくれる。

  • 面白かった。
    一郎さんが息子に思想を押し付けないところがかっこいい。父さんは極端だから、見習うな、と。
    二郎くんが人間できてる。

  • 下巻です。
    そう、下巻を読んだんだよねー。
    上巻と場所の設定が違うので、別の本を読んでた気になってた。でも、上巻から続いている長編。
    普通の長編よりも何だかお得な感じ。(笑)

    西表島には行ったことないけど、沖縄には3年住んでたことがあるので、読んでてあの沖縄の感じをいっぱい思い出して、幽体離脱したような感覚で読めた~。
    ああ、ちょっと帰りたくなったな~。

    どこの国にいても、その国の法律の元で生活をするのは義務であるのだけど、その前にその土地の歴史や仕来り、言い伝えを大事に、型に染まらない人間になることを忘れちゃいけないのね。
    二郎のおとうさんは、ホント極端だけど、人間がいかに人間らしく生きていくか。そんなことを考えないさせてくれた。

    二郎の両親が自分の子供たちを残して去ってしまうとこは、ちょっと信じがたかったけど、おとうさんとおかあさんの生き方は正にアカハチの生まれ変わりみたいだと最後納得した。

    この本を読んで、自分に羽が生え、自分も西表島の住人になったような感覚で読めた。
    読み終った今、自分が現実の自分の世界に戻ってきた感じ。

    面白かったー。

    それよりも、御嶽どうなったのかな~。

  • インザプールの世界を期待したが、良い意味での期待はずれ。
    思春期にさしかかる特異な家庭環境に生まれた少年の成長物語とも読めるような。
    素朴な助け合いの精神に溢れた沖縄の島の人々との交流に癒される。素朴にいいなあ、素敵だなあと思うことで癒される。
    少年の目が澄んでいて、個人の個性の尊重というものを激烈な親を通して体感していく姿が頼もしい。彼はその後どんな大人になるのだろう。楽しみである。
    読後感の大変良い物語。

  • これ良いなー。ホント面白い。

    アカハチの乱っていう実際に石垣島で起きた事件を基に作られている話だからウソみたいな話だけど、どこかホントっぽくて好きだわ。

    下巻になって都会から沖縄に移り住んで、家族の絆が深まったり、島の人たちの優しさに触れたり、国とか政治ってどうなんだろ?って考えるようになったりして面白かった。

    お父さんがカッコいい!

    手紙で『人間は、欲張りじゃなければ法律も武器もいらないと思います』っていうのが心に残った。

    最後の夕読みで気になったのがあったけど、
    アカハチの母親は気を失っている内に外人に犯されちゃったってこと?
    なんかやーね。

    ストーリー
    元過激派の父は、どうやら国が嫌いらしい。税金など払わない、無理して学校に行く必要なんかないとかよく言っている。そんな父の考えなのか、僕たち家族は東京の家を捨てて、南の島に移住することになってしまった。行き着いた先は沖縄の西表島。案の定、父はここでも大騒動をひき起こして…。―型破りな父に翻弄される家族を、少年の視点から描いた、新時代の大傑作ビルドゥングスロマン、完結編。

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