オリンピックの身代金(下) (角川文庫)

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著者 : 奥田英朗
  • 角川書店(角川グループパブリッシング) (2011年9月23日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (405ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784043860050

オリンピックの身代金(下) (角川文庫)の感想・レビュー・書評

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  • ドラマでは、オリンピック開会式当日の出来事がとてもドラマチックに描かれており、落合の悲痛な叫びが胸を打ったが、原作ではその部分は実にあっさり流されている。彼はいったいどうなったのだろう。

    1964年の東京オリンピックは、日本人の夢と希望だったのだなと思う。その裏側で想像を絶するさまざまな動きがあり、たくさんの思惑がからみ合っていたのだろう。そして、たぶん2020年の東京オリンピックに関しても、あまり状況は変わらないのではないか。
    もちろんあの当時のような劣悪な社会状況や労働環境はないだろうが(第一ヒロポンは非合法になってる)、でもきっと、形を変えた搾取や差別や格差があるんだろうと思う。
    光が強ければ影も濃くなる。
    この作品はもちろんフィクションであるが、でももしかしたら似たような事件、似たような状況があったのかもしれない、と思わされる作品である。

    たくさんの取材で成立している作品で、あんまり奥田さんぽくないなと思いながら読んでいたのだが、ラストの、作中人物の放り出し方がいつもの奥田さんらしかった。こういうそっけない感じがいつもどおりで、ラストまで来てようやく「ああ、奥田さんの作品なんだな」と思った。

  • 戦後の地方格差、プロレタリアートや愛国心など、思想満載の作品。物語としては、三本の視点から若干の時間軸のズレを情報差として利用し、進んでいく。島崎国男が、土方で堕ちていく様子、ヒロポンに手を出した瞬間から、緩やかに下降していく人生。その中で、スリの村田の存在は大きかったはずだ。あの関係性も好き。公安と刑事部の衝突もバチバチで、本当に楽しく読める。忠の立ち位置がよく分からなかったが、新聞からテレビへ、変遷していく中での価値観の軋轢などは如実であった。奥田さんは、こういう作品も書けるのか。勉強家だなぁと思う。

  • 上巻はページが進まなかったが、下巻はどんどん読めた。ときどき『あれ?何月何日やったっけ』と確認してましたが(^^;;
    東京の繁栄、そのバランスで地方の犠牲。もうネット社会とはいえ今でもそうやな、と思う。

  • うーんよかった!!

    純粋であるがゆえに何者をも差別しない国男。日雇い人夫の経験をすることで、東京オリンピックを底辺で支える彼らの苛酷な労働環境を憂う。
    ブルジョワと、その繁栄を支えるために搾取されるプロレタリアート。
    そういった世の中の構造自体に怒りを覚え、国家に対して反逆する方向へ突き進んでいく。

    国男のしていることはその行為だけでみれば犯罪だが、その行動を引き起こした動機が痛いほどわかるから、つい応援してしまう!


    頭がよく、純粋で、どんな立場の人をも見下さないからこそ、繁栄の影にあるものがはっきり見える。
    切り捨てられていい人間などいないのだと。

    奴隷を解放するよう革命を起こすのは、奴隷の中からでたリーダーではない。
    その一つ上の階級のものこそが革命を起こすことができ、起こさなければならない。そういった使命感を国男が抱いた気持ちはすごく理解できる。

    解説で、東京オリンピックは無事開催されたのだから、国男の計画が失敗に終わることはわかっている、とあった。
    そうか、なるほどとは思ったけれどがっかり。
    オリンピック開催を阻止する位のことをしてほしかった!
    国男の動機も知らずにがむしゃらに逮捕しようとする警察が本当憎い!!笑

    あのあと国男はどうなったんだろう。
    そんなこと考えるのはナンセンス?

    革命が起こらなかったから、現在のような社会があるのか。
    国民全体がオリンピックという目標に向けて一つになっていたという、60年代に引き込まれた。
    現代は、この小説の国男の失敗よりも、ずっと切ない。

  • うーん、無念。。
    国男と村田を応援していたので、無念としか言えない。
    国男のやっていることは悪いことだけど、国男の周りで起こった出来事や経験したこと、格差社会を考えると、どうしても応援したくなったし、やり遂げて欲しいと思ってしまった。

  • 進む物語。目が離せない展開で下巻は一気に読み切ってしまいました。

  • 上巻ほど盛り上がらなかった印象。経験に基づく思想に目覚める過程を描いた上巻に対し、下巻は実行フェーズ。何故か上手く警察の手をかいくぐり、オリンピック開会式本番、すんでの所までいったが最後はあっけなく撃たれて終了。意外にもあっけない結末だった。

  • 下巻は、東京オリンピック開会式当日まで、物語は比較的淡々と進む。主人公島崎国男が、感情の起伏の少ない、一種諦観にも似た冷静な人物として描かれていているからか、余り感情移入せずに読み進められる。予想できた結末だが、オリンピックに希望を託した当時の人々の高揚感や、その犠牲になった社会底辺の労働者に思いを巡らせ、感慨深かった。読んで良かった!

  • うーん。最後があっさり捕まって残念。いっそ逃げ切ってほしかったかも。

  • 残念です。本当に残念です。。。
    国男は本当に頑張りました!”光があれば影もある”という言葉の影の部分をひたすら純粋に駆け抜けた国男に対し精一杯の拍手をおくりたいです。国男と村田のその後が気になってしまいます。

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オリンピックの身代金(下) (角川文庫)の作品紹介

急死した兄の背中を追うようにオリンピック会場の建設現場へと身を投じた東大生・島崎は、労働者の過酷な現実を知る。そこには、日本が高度経済成長に突き進む陰でなお貧困のうちに取り残された者たちの叫びがあった。島崎は知略のすべてを傾けて犯行計画を練り、周到な準備を行う。そしてオリンピック開会式当日、厳重な警備態勢が敷かれた国立競技場で運命の時を迎える!吉川英治文学賞を受賞した、著者の代表作。

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