四畳半神話大系 (角川文庫)

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著者 : 森見登美彦
  • 角川書店 (2008年3月25日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (405ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784043878017

四畳半神話大系 (角川文庫)の感想・レビュー・書評

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  •  「俺」と「小津」の壮大な友情の物語でした。
    「キャプテン・ハーロック」の読後に似た「友情って熱いぜ!」という気持ちがフツフツと湧き、また1話目から読み直したい気持ちになる。
    1話 明石さんと俺の仲を遠くから取り持つ小津。
    人物紹介を兼ねた導入。明石さんの潔い美しさが「俺」のグタグタぶりを引き立たせる。
    2話 樋口師匠と城ケ崎さんが俺と小津の未来のよう。
    樋口師匠の大きさはどこから?1話で敵役なだけだった城ケ崎の意外な一面が。
    「まだ人生が始まってもいないくせに迷っているのか」「貴君、ここはまだ御母堂のお腹の延長だぞ」
    「可能性という言葉を無限定に使ってはいけない。我々という存在を規定するのは、我々がもつ可能性ではなく、我々がもつ不可能性である」
    「我々の大方の苦悩は、あり得べき別の人生を夢想することから始まる。自分の可能性という当てにならないものに望みを託すことが諸悪の根源だ。今、ここにある君以外、ほかの何者にもなれない自分を認めなくてはいけない。君がいわゆる薔薇色の学生生活を満喫できるわけがない。私が保証するからどっしりかまえておれ。」
    3話 明石さんと俺の仲を遠くから取り持つ小津。
    この本で一番恋愛小説的なお話。文通相手の彼女、羽貫さん、香織さん、明石さんの間で揺れる「俺」。
    ジョニーくんとの葛藤が素敵。紳士だ~。
    「男性と女性の結びつきとは、もっと厳粛なものたるべきである。靴紐のようにちょいちょいと結ばれてたまるものか。」
    でも、結局ハッピーエンド。小津くんの暗躍が光る。
    4話 小津との友情に気づく俺。
     こんなに恐ろしい迷宮があっただろうか。扉をあけても窓をあけても壁を破ってもひたすらつづく四畳半。
    孤独と戦うなかで「俺」は思いをはせて、やがて気づく。
    そして「俺」の四畳半からの卒業。
    「俺なりの愛だ」
    「そんな汚いもん、いりません」
    の台詞が最後にふわりとあたたかく響く。
    さすが森見ワールド、どっぷり浸りました。

  • 小説家であれば、誰しもが内容を作り込み、この小説スゲー!という反応を得たい、と思う。
    しかし、一人称で小説を進める際、通常の時系列でその全てを読者に理解させるには、無理が生じる。
    そのための手段は、例えば主人公とは別の第三者視点で物語を進行させる、中の人がナレーション的に語る、回想シーンで補完する、などが常套手段か。
    そんな中、この作品は、作り込みをこの話の流れで語るのは無理がある…というところは思わせぶりな表現のままでおいておき、その中身は別の章のパラレルワールドであきらかにしたらいいじゃない、という前衛的な手法を用いている。
    また、どの選択肢を選んだとしても、勿論細部は異なっているが、タイムスリップ作品の規定路線であるパラドックス的な要素は無く、同じような結末に帰着する。
    ガラッと変えた方が、ドラマチックであり、逆に読者を引き込むことができると思うが、それをしなかったのは、そういった規定路線を避けたかった作者の計算であろう。
    もしくは何も考えずに感覚的に実行した天才か。
    恋愛小説なら、恋が成就した瞬間、バトル物なら敵を倒した瞬間、推理物なら犯人の完璧なトリックを暴く瞬間。
    読者がカタルシスを感じる場面はジャンルによって大体決まっているが、この作品は、思わせ振りな発言の真意にパラレルワールド上で気付かされる瞬間、そして他章と異なる些細な部分を見つける瞬間にある。
    内容も非常に丁寧に書かれており、自分の人生すら、あの時に違う選択をしていても結局今の自分に帰着しているのでは無いか、と思わされる。
    森見登美彦…恐ろしい子…!!

  • 先日観たアニメが最高に面白かったので購入。

    世の中のほとんどの大学生と同様、無意味なキャンパスライフも3年目に突入した私。
    悪友 小津をはじめ、小津の師匠を名乗る自由人の樋口師匠に振り回され、数少ない理解者であるクールな後輩 明石さんとは距離感が詰められない。
    大学入学時に思い描いていたバラ色のキャンパスライフは何処へ…やり直せることなら、あのときに戻って大学生活をやり直したい!
    そうして迷い込んだ並行世界で、私が織りなす波乱万丈にして空前絶後のありふれた大学生活の果てに、私が辿り着いた結末とは。

    実は以前、『夜は短し歩けよ乙女』という作品を人に借りて読んだことがあって、「この作者の小説はなんだか肌に合わない」と途中で投げてしまったことがあるのです。
    それから長い年月を経て本書を手にとることと相成ったわけですが、本当におもしろかった。
    とにかくすらすらと流れるような流麗な言葉選びと文体が素晴らしいです。
    登場人物の個性際立つ舞台設定や、ただの青春小説で終わらない独特の世界観も魅力的。
    パラレルワールドを描くSFちっくな構成にも関わらず、解説なしに進む展開にまったく違和感を感じることなくするっと入り込めるのが不思議です。
    ラストの盛り上がりはアニメが上ですが、全体的な完成度は原作さまさまといった感じです。
    よき小説・アニメに出会えてよかったです。

  • 私を森美登美彦大好きっ子にした元凶こそ、この「四畳半神話体系」という作品である。
    元々森美登美彦という作家を知っていたわけではなく、本屋でブラブラ物色していた際、たまたま平置きされていたこの本が目に入り、名前の奇抜さと独特な表紙に惹かれ何気なく購入したところ、読み始めて内容そのものの独特さに驚かされた。
    まず特筆すべきはその言い回しである。難しいことを難しく書くことは簡単だが、くだらないことをありったけの語彙と文章力・表現力、知識教養を総動員して綴るその独創性たるや、ハマる人にはとことんハマってくれるのではないか。
    次に物語の構成として、全部で4章、そして章が変わるたびに、読み手は自分が読み進めてきた文章に限りなく近い文章を何度も繰り返し読むこととなる。何故、このような表現技巧が使われているかは、是非、実際にこの本を手に取って確かめていただきたい。
    登場人物達も個性豊かで、主人公である京都大学3回生の「私」を始めとして、悪友である「小津」主人公が恋い焦がれる「明石さん」物語序盤では謎の「樋口師匠」などなど、現実でこのような人達に囲まれていたら、退屈で怠惰な毎日を何色にでも染めることができるだろう。
    ネタバレは極力避けたいが、私が読了して感じたのは「自分が退屈で無意味だと感じている日々も、客観的に見たら雑多で実に面白味のあるものに見える」ということと、「人生において、あの時こうしてればと後悔することは多いが、例え他の道を選んでいたとしても、さほど人生に変化はない」ということである。
    私も現在腐れ大学生の一人だが、私の何気ない日常にも、気づかないだけできっと様々な色が満ち溢れているのであろう。

  • 隣の芝生は青い、というけれど、結局どのみちを選んでも人生は変わらなかったのではないかというお話。間違ったものを選んでしまったばっかりに、バラ色の大学生活が送れなかった。別のを選べばよかった、と悩み反省する私。4話も同じかと思ったけれど、ちょっと展開が異なり、どうなるんだろうと思う反面、今までのことがまとめられてたのかなという感じも。どれが本当だったんだろうな。
    読み始め少し苦戦しましたが、読み進めるうちになるほどとなりました。ちょっと変わった設定で、読んでいるうちに内容がぐるぐるしていました。でも、結局はバラ色でよかったね。

  • 不可能性が己の可能性を定めるという考えはなかなかに面白い。
    あのときああしていれば、という後悔なしには毎日を送れないものだが、結局どの選択肢を選んでいても、結局落ちつくべき所に落ち着いて、いるべき場所にいて、かかわるべき人とかかわっているんだろうなと思った。

    森見作品らしい、阿呆大学生が詭弁を呈して繰り広げる日常的な非日常世界が広がり、面白おかしく読めるのだが、レビュー冒頭にも書いたアプローチから感じたことというのは、なかなかナイフのように鋭いものであった。

  • 森見さんの講演会に行くことがあったので、その予習として読んでなかったこれに手を付けた。結局読了する前にお話を伺って、この物語の成り立ちなどを聞くことになった(結末も聞いてしまった・笑)けど、それはそれでまた良かったと思う。
    4話目がちょうど多くの並行世界を束ねる地点なのだなあと納得。
    あと、4話目は映画の『キューブ』(命の危険がないキューブ)をイメージしたと仰っていたのが印象的だった。

  • 第四章の四畳半サバイバルワールドが面白い。妄想の権化。
    「夜は短し~」と同じように、黒髪の乙女との恋が描かれてるけど、本当は小津との愛の物語。だと思う。
    猫ラーメン食べてみたい。

  • やっぱり森見さんワールド!あの独特な文章を読み始めると「嗚呼、森見さんの本だ」となるのです。
    4つの平行世界だけど、どこか繋がっていて共通しているものがたくさんあったりして、
    何回でも読み直せる構成でした。

    この本は、“私”と明石さんの話かと思いきや
    “私”と小津がメインの話だったように思えます。
    切っても切っても切り離せない縁。
    主人公は小津を悪く言いながらも、
    一番頼りにしていて、ほんとはとても好きで。

    主人公はずっと薔薇色のキャンパスライフを夢見ていましたが、
    実は小津のおかげで主人公の日々は充実していたんだろうなと感じました。
    どんな人生を歩んでいても、
    出会うべき人には出会うということを教えてもらえました。

  • 清々しかった。
    何回か同じ文章があり、若干読み疲れはしたが
    それがとても良い効果をだし、非常に味わい深かった。
    日々の選択、それによる変化やそれに関係しないものが、本当に分かりやすく、あたたかかった。
    変わらないものがすっとあり、それに肉付けされていくのが、私達の生活なのだと感じた。

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私は冴えない大学3回生。バラ色のキャンパスライフを想像していたのに、現実はほど遠い。悪友の小津には振り回され、謎の自由人・樋口師匠には無理な要求をされ、孤高の乙女・明石さんとは、なかなかお近づきになれない。いっそのこと、ぴかぴかの1回生に戻って大学生活をやり直したい!さ迷い込んだ4つの並行世界で繰り広げられる、滅法おかしくて、ちょっぴりほろ苦い青春ストーリー。

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