夜は短し歩けよ乙女 (角川文庫 も 19-2)

著者 :
  • 角川グループパブリッシング
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  • Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784043878024

感想・レビュー・書評

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  • 冴えない男子大学生の甘酸っぱい恋と純情な乙女の冒険物語。読み始めは主人公に憐れみを感じ、黒髪の乙女のいかに美しく可愛いかを説くような物語だと思っていたが、読んでいくうちにどんどんと主人公の男に親近感が湧き、最後には情を入れて応援していて主人公と一緒に一喜一憂していた。
    終始主人公側からの目線と後輩の乙女からの目線が入れ替わる形での主観的文章で書かれていて、言葉の隅々にそれぞれの特徴がとても乗っていて読んでいて楽しかった。特に黒髪の乙女目線の部分ではポップな擬態語がよく使われていて可愛さがとても伝わってきた。
    「オモチロイ」を優先に生きている女の子に共感し、乙女の外堀しか埋められない青年に共感する、どちらの心情もわかる故に青年の涙ぐましい努力が報われて2人が結ばれてほしいと思った。
    乙女のためなら全てを敵に回すほど恋にまっすぐな青年もまた乙女と同じく純情で、二人を中心に世界が回っていた。
    京都の街に何気なく暮らす人々が、青年と乙女の行く先々で出会う人々が、物語の最後で関わり合って繋がっていく様がとても気持ちよく、ご都合主義だと分かっていてもクスッとしてしまうおもしろさがあった。
    冒頭では短所のように思われた青年の誇大な妄想と現実の境目を付けずに考えてしまうという特性が、終盤に才能という形で花開く様子を見て、各人が持っている個性というのはあくまで個性であり、如何様にも活かせる場面があるということを感じ、自信をもらった。
    自分自身、外堀を埋めてからではないと本丸に突撃できない性格であるため、青年のように埋め立てた外堀で暢気に暮らすことはないように「たとえ行く手に待つのが失恋という奈落であっても、闇雲に跳躍すべき瞬間がある」ことを念頭に生きていきたいと思う。

  • だいぶ前に 図書館で借りて読みました。うろ覚えながら、作者に好感を持ちました。

  • 黒髪の乙女は言いました、

    「まるで空気のように軽い小さな猫をお腹にのせて、草原に寝転んでいるような気持ち…」

    なるほど、この読後感を表すなら言い得て妙!

    あったかくて清々しくてふわんと幸せな気分…

    再読ですが、十年前(?!)に読んだときの感動そのまま、色褪せることなく楽しめました〜

    あ!文庫版は、羽海野チカさんの黒髪の乙女イラストがあります。

  • 処は京都。ある大学二回生は一回生の奔放な少女のような女の子に恋をするけれども、外堀を埋めるのみで本丸を落とせない。春の先斗町で酒屋を巡り、夏の下鴨神社糺の森の古本市で一冊の本を求めて地獄を彷徨い、秋の学園祭でも彼女を追い続けて生死の境を跳ぶ。冬の魔の風邪の流行に果たして先輩は彼女の看病を勝ち取ることは出来るのか。

    神のご都合主義と、不可思議キャラと、軽妙洒脱な言いまわしがとっても愛くるしいお話だった。男は統べからく先輩の片想いに共感し、女は統べからく女の子のむんと胸をはり歩いてゆく姿に共感するだろう。

    私は長い間「夜のピクニック」と内容を誤解して、読むのに二の足を踏んでいた。天と地とぐらい離れたお話であり、不明を恥じた。

    これはアニメに向いた作品だ。監督今敏、キャラクターデザイン羽海野チカで作品化したならば、きっとヒットすると思う。今は叶わぬ夢なれど。
    2014年4月3日読了

  • 世界観が独特なのと少し昭和っぽい口調で、慣れるのに時間がかかった。慣れた後は登場人物たちの隠せない独特の魅力を、どこまで楽しめるかであった。クセは相当強いが、本当に魅力的であった。
    さらにどこかレトロな、セピア色っぽく感じる京都の雰囲気もまた、この作品の特徴であるなと感じた。私が読んだ中にはあまりなかった描写だった。
    独特な形容詞は全て当てはまる作品。

  • 他の方もおっしゃってましたが、黒髪の乙女の、天真爛漫さが、心地よかったです。
    ハチャメチャなストーリーに、くすくす笑える描写がたまらなく、先輩にがんばれと応援したい気持ちにもなりました。私はこういう書きっぷりが好きみたい。

  • 一言で言うならば、キュートな一冊!装丁も可愛くて、手に取ってから読了まで可愛さがギュッと詰まっています。一つ一つの言葉選びにセンスがあって、独特の世界観。二人の絶妙なすれ違いに、うぅ〜ん!とやきもきさせられますが、それもまたオモチロイ!

  • 独特だった。。少し読みずらいが、彼女を筆頭に個性豊かな人物達は面白かった。乙女という時間は短い、いろんなオモチロいものを見ろ‼︎ってことなのかな?とりあえず電気ブラン?偽電気ブラン?飲んでみたい‼︎

  • 恋愛×ファンタジー

    前情報何も無く読んだので、こんなにファンタジーでそれに突っ込む人もいない構成だったのに驚いた。自分自身ファンタジーになれてないということもあって読むのに時間がかかってしまった笑

    だけど、個性豊かな登場人物達のおかげで物語に慣れてからはすいすいと読むことができた。

    少女を追う先輩がどこまでも不憫でここまでする?!ってくらい奮闘していて、応援したくなった。

    最後の場面で良い方向に2人が進み報われそうで、ほっとした。

    自分も1回の出会いをそれきりにするのか、良い出会いにするのか考えた時、後者にしたいと感じた。なので、一期一会の意味を再度考えることができたし、それを大事にしようと感じた。

  • ずばっとはまりました❗
    何にも知らないで読みましたが、文体とか言いまわしが、なんかぐぐっと来ました(笑)
    不思議な世界観で、魅力いっぱいの人物像❗
    ぜひぜひ、本で読んでみてください。

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著者プロフィール

1979年、奈良県生まれ。京都大学大学院農学研究科修士課程修了。2003年『太陽の塔』で日本ファンタジーノベル大賞を受賞しデビュー。07年『夜は短し歩けよ乙女』で山本周五郎賞を受賞。同作品は、本屋大賞2位にも選ばれる。著書に『きつねのはなし』『有頂天家族』など。

「2022年 『四畳半タイムマシンブルース』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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