夜は短し歩けよ乙女 (角川文庫 も 19-2)

著者 :
  • 角川グループパブリッシング
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  • Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784043878024

作品紹介・あらすじ

「黒髪の乙女」にひそかに想いを寄せる「先輩」は、夜の先斗町に、下鴨神社の古本市に、大学の学園祭に、彼女の姿を追い求めた。けれど先輩の想いに気づかない彼女は、頻発する"偶然の出逢い"にも「奇遇ですねえ!」と言うばかり。そんな2人を待ち受けるのは、個性溢れる曲者たちと珍事件の数々だった。山本周五郎賞を受賞し、本屋大賞2位にも選ばれた、キュートでポップな恋愛ファンタジーの傑作。

感想・レビュー・書評

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  • タイトルを見れば、おそらく本が好きな方なんだろうなというのが分かるし、各章のタイトルも、有名なあれや、ネットで調べないと分からない大正時代のものまでと多種多様であり、それは、第二章の古本への愛情をこれでもかと感じさせる物語からも推察される。

    物語は、大学生の先輩(路傍の石ころ)と後輩(ひよこ豆)による、ファンタジー要素の入った、甘酸っぱい恋愛を軸としながらも、それを周りの個性的なキャラクター達が、勝手気儘、かつ、変幻自在に織り成していく、まさにご都合主義的展開であり、よくある話といえばそうなのだが、私にとっては、とてもノスタルジーを刺激されて、懐かしさと哀しみを思い起こさせる作品に感じられた。

    それは、第三章の学園祭に見られるような、今までも漠然とした思い(何か楽しいんだけど、泣かせる空気もあるというか)は抱いていたのだが、本書に於いて、それが雲散霧消した気がしており、例えば、

    『学園祭とは青春の押し売り、叩き売り、いわば青春闇市なり!』

    という文章を読み、ああ、本当だと実感させられ、要するに、自己満足を押し付けられているはずなのに、それに対して、何故か私は楽しさや下らなさ、チープなのにそこから漂う、一点ものの愛情みたいなものまで感じてしまう。これは、いったい何なのだろうか?

    それは、私自身、本書を読むことで、ここ最近の人生の過ごし方において、とにかく効率的にやりたい事を、どんどん無駄なくやっていく事に、あまりに邁進し過ぎていたのかということを実感させられたように、学園祭で感じた青春時代特有の(私の場合は大学行ってないので、中学や高校の)、あの暇すぎるくらいに溢れかえっていた無駄な時間を、無駄な事に思いっきり費やしていたことに、何の躊躇いも無かった無自覚な充実感であり、しかも、当人にとっては無駄だなどと思っていないのであって、仮に、それが無駄なんだとしても、それは無駄では無い、無駄なのである。これが今の私にとっては、目から鱗であった。

    『訪れた人々が目にするものはあり余る暇と不毛な情熱そのもの、傍から見れば面白くもなんともないもの、すなわちあの唾棄すべき『青春』そのものにほかならない』

    なんて書いていても、おそらく当人は唾棄すべきだなんて、内心は絶対に思っていないと、私は確信出来る。何故なら不毛な情熱にだって、ひたむきな情熱があるからであり、不毛かどうか判断するのは、この場合、訪れた人々だからである。

    人間の嗜好は様々である事を、真に実感させるべく本書に登場する、愛すべき馬鹿野郎共の下らなくも心に残る出来事は、そんな無駄に溢れた、その場限りの、決して二度と振り返ることのない猪突猛進であって、それがどんなに愚直に思われても、当人達は心から楽しそうだし、それを読んでいた私も同感で、笑いながら幸せを感じる。それも人生の喜びなんだと。

    しかし、これは今同じ事をしても、おそらく、当時と全く同じ事にはならないということも、私には痛いほど感じ入るものがあって、それは、その時だけの私の身体や心にしか、感じ取れないものもあることを知っているからであり、改めて、過ぎ去った想い出達の中に於いて、一度きりの青春の、かけがえのない瞬間的ときめきに、今更ながら愛おしさが込み上げてきて、もっと青春を謳歌していればよかったなんて、今更どうすることも出来ない、まさしく無駄な悔恨を逡巡させる次第なのである。


    森見登美彦さんの作品は実は初読みでして、本書を読みたかった理由は、Macomi55さんが何かのコメントで書かれていた内容に心惹かれるものがあった、といった漠然とした思いを、ずっと抱いていたことと、京都へ行きたい思いを持ち続けていたい、私の強い意志があったからです。

    本書は、ファンタジー要素の中にも、現実に存在する京都の名所を織り込む事で、何か幻想的楽園の印象も、京都ならばあり得るのではないかと、そんな馬鹿馬鹿しくも素敵な夢を、思わず描いてしまい、喫茶店『進々堂』、先斗町界隈、下鴨神社には、行ったとき立ち寄りたいし、『偽電気ブラン』は絶対に飲もうと、心に決めました。

    • Macomi55さん
      たださん
      賃貸戸建ての手続き!急に現実的な話ですね!
      4月ですものね。鴨川の河川敷はきっと学生の新歓で賑わってますよ。(これも私には縁なかっ...
      たださん
      賃貸戸建ての手続き!急に現実的な話ですね!
      4月ですものね。鴨川の河川敷はきっと学生の新歓で賑わってますよ。(これも私には縁なかったですがね( ; ; ))
      お会い出来たら、ほんの数分と言わずに、下鴨神社も鴨川もお連れしますよ。
      2023/04/08
    • たださん
      まこみさん
      夢から覚ましてしまったようで、失礼いたしました(^^;)
      今の賃貸に住み始めて、6月でちょうど2年になるのですが、すっかり油断し...
      まこみさん
      夢から覚ましてしまったようで、失礼いたしました(^^;)
      今の賃貸に住み始めて、6月でちょうど2年になるのですが、すっかり油断しておりました。
      京都は、新歓と鴨川が一体化しているようで、自然と人とが調和している感じがいいですね。
      はい、嬉しいです。ありがとうございます。今からとても楽しみです(*^_^*)
      2023/04/09
    • Macomi55さん
      よろしくです(^-^)/
      よろしくです(^-^)/
      2023/05/09
  • 黒髪の乙女に会いたくて再読。読んだの何年前だったかな?7年位前かな?偽電機ブランを飲み、緋鯉を背負い、演劇が滅茶苦茶うまく、相手のことを気に掛ける優しさを持つ不思議ちゃん。しかし、恋を知らない思わせぶりなところが好感度が高い。この不思議ちゃんは男性作家でなければ登場しなかっただろうと思う。男性好きのポイントが全部網羅されているような気がする。なので、3年前、京都大学での学会(お仕事)中、進々堂喫茶店、百万遍交差点、吉田神社に行きました♪ローカルで共通する乃木坂46の久保史緒里の主演は見てみたかった。⑤↑

    https://www.yoruhamijikashi.jp/  乃木坂46久保史緒里主演! 納得(^^♪

  • 山本周五郎賞受賞作。
    有名なタイトルですので、もちろん知っていましたが、名取佐和子さんの『金曜日の本屋さん』で紹介されていたので読みました。
    「お友だちパンチ」の意味はよくわかりました。

    黒髪の乙女である彼女の横顔の表紙はとってもキュートです。

    第一章はひたすらお酒を飲み続ける話。
    私はアルコールは一滴も飲めないので、飲みたいとは思わなかったけれど「偽電気ブラン」とか奇妙なお酒が出てきます。
    第二章の古本市の話はビブリオミステリーや、ブックガイドともまた一味違って、一番面白かったです。
    第三章の学園祭は、昔、京都に住んでいた時、京大に友人が通っていたので、呼んでもらったのを思い出しました。

    この話は京都という特定の街が舞台だからいいのかなと思いました。
    でも180ページを過ぎたあたりで「この本は、ストーリーがあんまりない感じだけど、このまま、だら~っとしながらそのまま終わってしまうの?」と心配になりました。

    第四章は気になる言葉と竹久夢二の詩がありました。

    恋に恋する乙女は可愛いこともあろう。
    だがしかし、恋に恋する男たちの、分けへだてない不気味さよ!
    いったい私に彼女の何が分かっているというのか。
    焼け焦げるほど見つめ続けた後頭部のほか、何一つ分かってないと言って過言ではない。
    それなのに、なにゆえ惚れたというのか。ー本文より

    竹久夢二の詩

    人をまつ身はつらいもの
    またれてあるはなほつらし
    されどまたれもまちもせず
    ひとりある身はなんとせう。

    恋っておかしなものなのかと思いました。
    それを、やさしく、面白くかいたのがこの作品なのかなと思いました。

    本屋大賞2位の人気作ですが、読む人を選ぶ作品ではないでしょうか。
    はっきり言って、私はこの作品の真の面白さがわかったとはいいがたいと思いました。
    面白さのツボが私とはちょっと違うような気が…。
    『熱帯』とか『夜行』は凄く面白かったのですが。
    星を減らしたのは自分がわからない作品のせいですので、作品に罪はありません。ごめんなさい。

  • 不思議な世界観。

    前半部分は少し入れなかったけど、
    後半はもっと読みたいってなった!

    映画もすごく観たくなりました。

    著者の他作品も読んでみようっと。

  • いや~最高に面白かった。
    「腐れ大学生モノ」の傑作。
    さすが山本周五郎賞受賞作品。

    モリミ~先生の著書は『夜行』と本書と同じ「腐れ大学生モノ」である『四畳半神話大系』しか読んだことはないけど、僕は断然こっちの「腐れ大学生モノ」が好きだ。
    もう、あまりにもバカバカしすぎて読むのがやめられない。

    そしてモリミ~先生の古臭いような特殊な文体も好きだな~。
    読んでいて、
      あれ?昭和?大正時代かな?
    なんて描写があるのだけれど、そこにいきなり「携帯電話」なんてハイカラな単語が飛び込んでくるものだから、自分の脳内でのタイムトラベル回数がもう半端ない。

    そして今回もモリミ~先生が描く「黒髪の乙女」がもう最高である。
    本書に登場するヒロインの「黒髪の乙女」は、男の妄想を
      もう、これでもか!!
    というくらいオーバーに描きまくった美少女。
    今回の「黒髪の乙女」はなんてったって、そりゃもう、ただの美少女ではない。
    どんな男でも彼女と一度ふれ合ったら
      彼女は良い子だ。ああ、良い子だ。
    と100パーセント恋に落ちてしまうような超天然ほんわか系の女子大生なのだ。

    この「黒髪の乙女」視線で描かれるシーン(本書は恋愛小説には珍しく「先輩」視線と「黒髪の乙女」視線で交互に描かれる)はまさに絵に描いたようなというか、ページの間から、なんかそこはかとなく良い匂いがしてきそうな感じといえば分かりやすいだろうか(分かるわけないかw)。

    本書を読んだ女性読者からは、
      絶対こんな女子、いねえから!
      男は女に妄想抱きすぎ!!
    という怨嗟に似た怒号が聞こえてきそうだが、そういった世知辛い世間の声を華麗にスルーし、この絵に描いたような美少女を自分の思い思いの方法で愛でる(←あくまでも法に触れない方法でね☆)のが正しい男子読書人の在り方だろう。

    しかしながら、極めて個人的な現状をあえて言わせていただいてよいのならば、僕はいまだに前作『四畳半神話大系』の「黒髪の乙女」であるクールビューティーな明石さんの「ぎょええええ」に心を鷲掴みされたままであることをここに報告しておきたい。

    という訳で、本書はその内容も素晴らしいのだが、末尾の解説がまた凄いということをお伝えせねばならないだろう。
    漫画『3月のライオン』や『ハチミツとクローバー』の作者・羽海野チカ氏による解説(というかイラスト)が素晴らしいのだ。
    もう、本書に登場するヒロイン「黒髪の乙女」の姿が完璧というか、それそのものが描かれている(笑)。
    この解説(イラスト)を読むだけでも、この文庫本を手に取る価値はあるだろう。
    このバカバカしいながらも、一服の爽やかな風が胸の中を通り抜けていくようなこの物語。ぜひ、一読していただきたい小説である。

  • 最初はあまりに破天荒過ぎて没入するのに少々時間がかかりましたが、徐々に一人一人のキャラがわかり、それぞれの良き所も見えてくるとどんどん面白くなってきました。

    古本市や学園祭のお話も馬鹿馬鹿しいのだけど、愛すべき感じがなぜかしちゃうのですよね〜。
    またラストもほのぼのして良かった!

    家守綺譚シリーズや有頂天家族など京都が舞台の本に出会う今日この頃。

    あー、京都に行きたくなってきたなぁ。

  • 久しぶりに個人的に大好きな一冊に出会えた。センスの塊みたいな小説。何より終わり方が良すぎる!

  • 2006年(平成18年)。
    堪能いたしました。古の都・京都を、かくもアヤしく甘酸っぱいスラップスティックコメディ的青春恋愛ファンタジーの舞台に仕立てあげてしまうとは。感服しました。往年の名作漫画に例えるならば、さしずめ「めぞん一刻」或いは「グリーンウッド」といったところでしょうか。ファンタジーであるのだからして、「そんな奴ぁいねぇよっ」的突っ込みは無粋と申せましょう。エセ近代文学めいた胡散臭い語り口も、また楽しからずや。願わくは、若き2人の未来に幸あらんことを。青春万歳。京都万歳。なむなむ!

  • 4、5年前に読んだときはイマイチ読み切れなかった森見登美彦さんの作品、改めて気になったので再トライ、読了。

    いやーーー、本作素直に面白かったーーー( ̄∇ ̄)
    この感じ方の変化があるので、やはり読書ってオモチロイ…自分の中で読書の幅が広がっている気がして、なんか嬉しくもありました。

    ポップでカラフル、摩訶不思議な大人?ファンタジーという表現になるんだろうか…唯一無二な世界観が森見さん作品の魅力ですね。

    「親指を中に入れた拳で殴る『おともだちパンチ』」、「地に足をつけない生き方をすることで空を飛ぶ」とか、もうそのぶっ飛び過ぎてる謎発想が素敵過ぎますwww

    そしてストーリーだけでは無くて、その物語の雰囲気に合わせた独特でリズミカルな文体(ここの説明がなかなかに難しいですが笑)がまた良いですねー(^^)
    何となく伊坂幸太郎さんの「陽気なギャングが地球を回す」の冒頭文(二人組の銀行強盗はあまり好ましくない…)を思い出して、懐かしい気持ちになりました。

    あと、もう女の子がそれはもう愛らし過ぎて…ピュアさ&そしてこの圧倒的な透明感…好き過ぎる…( ̄∇ ̄)

    何というか、この表紙絵と森見さんの作品を組み合わせた編集担当者(の功績なのかは知らないけど…)が天才的なんじゃないかと(笑)
    アジカン・ジャケットも描かれている中村佑介さんの「可愛いけどどこか現実離れしている美少女を描かせたら右に出る者いない」っていうイラストとの掛け合わせが、もう最高にハマり過ぎてるなと(´∀`)

    こんな美少女は現実世界にいない?なんて言ってくるぶつしけな奴には…ぜひとも、おともだちパンチを。


    <印象に残った言葉>
    ・「おともだちパンチ」を御存じであろうか。たとえば手近な人間のほっぺたへ、やむを得ず鉄拳をお見舞いする必要が生じた時、人は拳を堅く握りしめる。その拳をよく見て頂きたい。親指は拳を外からくるみ込み、いわばほかの四本の指を締める金具のごとき役割を果たしている。その親指こそが我らの鉄拳を鉄拳たらしめ、相手のほっぺたと誇りを完膚なきまでに粉砕する。行使された暴力がさらなる暴力を招くのは歴史の教えたる必然であり、親指を土台として生また憎しみは燎原の火のように世界へ広がり、やがて来たる混乱と悲惨の中で、我々は守るべき美しきものたちを残らず便器に流すであろう。
    しかしここで、いったんその拳を解いて、親指をほかの四本の指でくるみ込むように握り直してみよう。こうすると、男っぽいごつごつとした拳が、一転して自信なげな、まるで招き猫の手のような愛らしさを湛える。こんな拳ではちゃんちゃら可笑しくて、満腔の憎しみを拳にこめることができようはずもない。かくして暴力の連鎖は未然に防がれ、世界に調和がもたらされ、我々は今少しだけ美しきものを保ち得る。
    「親指をひっそりと内に隠して、堅く握ろうにも握られない。そのそっとひそませる親指こそが愛なのです」
    彼女はそう語った。(P7)

    ・そう言って東堂さんはいったんは手を離すのですが、しばらくするとまた手を回して私のお乳を触るのです。私はくすぐったくて、しまいには東堂さんを押しのけざるを得ませんでした。そうやって揉み合っている、いや正確には揉まれていたわけですが、ともかくと揉み合っているところへ、ふいに「コラ東堂」と後ろから女性の声がしました。(P23)

    ・無関係な宴席に踏み込むのは斬るか斬られるかの真剣勝負、一瞬のためらいが命取りとなります。ひと息に宴席の懐へ踏み込んで、有無を言わせず場を盛り上げ、「なぜこの人がここに?」というしかるべき疑念をこっぱみじんに打ち砕くのです。(P33)

    ・私はぐいと東堂さんを見上げました。
    「東堂さん、これから李白さんと飲み比べをします。あなたの借金を賭けて」
    私は叫びました。
    「私は必ず勝つでしょう」(P60)

    ・千歳屋は言った。「それに悪いようにはしません。北斎が獲得できたら、しかるべきお礼はする。十万円でいかが?」
    「やりましょう」
    私は引き受けた。(P115)

    ・緋鯉を背負った小柄な女性が、詭弁論文の主催する「ごはん原理主義者VSパン食連合」の討論会に紛れ込み、「ビスコを食べれば良いのです!」と主張して、会場に一石を投じたという。(P200)

    ・地に足をつけずに生きることだ。それなら飛べる(P300、樋口さん)

    ・こうして出逢ったのも、何かの御縁。(P320)


    <内容(「BOOK」データベースより)>
    「黒髪の乙女」にひそかに想いを寄せる「先輩」は、夜の先斗町に、下鴨神社の古本市に、大学の学園祭に、彼女の姿を追い求めた。けれど先輩の想いに気づかない彼女は、頻発する“偶然の出逢い”にも「奇遇ですねえ!」と言うばかり。そんな2人を待ち受けるのは、個性溢れる曲者たちと珍事件の数々だった。山本周五郎賞を受賞し、本屋大賞2位にも選ばれた、キュートでポップな恋愛ファンタジーの傑作。

  •  名もなき2人の語手が織りなすなんともピュアなラブストーリーが癖になる作品でした。
     浸し見やすい一面もありながら、文芸的な魅力もあり読書初心者、中級者、上級者の全ての方にお勧めできる一冊です。
     また、文庫本の表紙も楽しめる要素があります。表紙には様々なイラストが描かれていますが、読む前はなんのことか分かりませんでした。しかし、読み終わった後に見てみると全てのイラストの意味がわかるのでストーリー以外にも楽しめる要素があるのは嬉しかったです。
     大どんでん返しがあるわけでもなく、とんでもない感動があるわけでもありませんが、読み終わった後に極上の「少しのほっこり感」を味わえます。この「少しのほっこり感」こそが本書の最大の魅力だと私は感じます。

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著者プロフィール

1979年、奈良県生まれ。京都大学大学院農学研究科修士課程修了。2003年『太陽の塔』で日本ファンタジーノベル大賞を受賞しデビュー。07年『夜は短し歩けよ乙女』で山本周五郎賞を受賞。同作品は、本屋大賞2位にも選ばれる。著書に『きつねのはなし』『有頂天家族』など。

「2022年 『四畳半タイムマシンブルース』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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