ニート (角川文庫)

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著者 : 絲山秋子
  • 角川グループパブリッシング (2008年6月25日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (177ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784043881024

ニート (角川文庫)の感想・レビュー・書評

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  • 絲山さんの中で2番目くらいに好き。

    私が、まさにこの話のように、ご飯食べさせて養ってた感じの、それでも大好きだった元彼と別れる時期に読んだから、まったく同じ気持ちで読んだ。泣いたね。
    別れた次の日、元彼に、「これ読んで」と渡して、高速バス見送った。
    そしたら「泣いたよ。でも俺スカトロは嫌だな」とメールがきたという。笑

    だからか、思い出深い。
    景にあげちゃったから、もう一冊買って、もっかい読もう。

  • 短編5話。隠しテーマは駄目な男とのこと。「ニート」と「2+1」の読元は労働意欲と生活能力の欠けた典型的なニート。「へたれ」の孝輔は恋人と育ての母の間で揺れる。「愛なんかいらねー」の乾は留学先で女絡みの失敗、帰国後詐欺でムショ帰り。スカトロ愛好家。そういう男達をしょうもなく援助してしまう女達が主役だ。何故こんな男に関わる。何故一人で居られない。そんな生きる寂しさをゆらゆら考えさせられる本。
    「ベル・エポック」の誠さんだけは心筋梗塞で亡くなっているのだが、婚約者だったみちかの行動が哀しい。
    男性を描写しながら、実は不在の女性をイメージさせる文章が素敵だ。「へたれ」の笙子さんは特に強く印象に残った。
    5話中2話に左利きの描写があり、そのうち1話はカップルが左利き同士だ。著者は左利きか? そういえば私もカウンターでは左側に座らなきゃいけなかったんだな、と思い出してしまった。

    p70
    キミの声の出だしはいつも不安定なAとAマイナーの中間の音色で、私はキミの声が好きだ。

    p81
    家に帰ってコーヒーを淹れた。一人分の豆はみるの中であっけないほど早く挽けた。熱いカップを持って男一人分の不在を味わった。さびしさは痛切ではなく、花の香りのように仄かに漂っていて、見つめようとするとたちまち色褪せるのだった。

  • まわりの世界に適合できなかった孤独や
    他人に干渉する不安や
    己の気持ちに対する戸惑いや恐怖を
    絲山さん独自の作風に閉じ込めている。

    何も救えなくて、
    何も救われなくて、
    ただ、いまは一緒にいたいと願い、
    情を向ける人間も、
    一人で立てない人間も、
    どちらも哀れで羨ましく思う。

    「へたれ」の空気さえも感じられるような、
    淡々とした切なさの滲む文章が、良い。

  • やりかけの塗り絵みたいな。この続きはこういう色を塗っていくんだろうなぁとは思うのだけれど、別の色にしてみたら違う絵になるのかも。っていう楽しみができる。それだけ、読者の想像力にゆだねられた部分が多かった。
    足りないわけじゃない。物語は成り立っているのに、想像できるところが多いというのは、とてもよくできていると言えるんじゃないか。
    小説ならではの愉しみを味わえる作品でした。

  • 絲山秋子さんにとっての性とは、体の構造の差異程度のことなのかな。
    ニートである男性に対して援助を行う女性。屈託を抱えながらも援助を受け入れる男性。女性は見返りを求めることは無い。女性は男性に対して愛情を持っているわけではない。とはいえ友情でもない、また支配欲でもでもない。
    むりくり何かに当て込むなら友情だと思う。しかしそれはやはり通常(というのが存在するのかはわからないけれど)の友情とは異なる。友情には硬い、岩のような感触があるけれどふたりの関係性には硬さがなく、柔らかだ。そして愛情ほどの湿度は無い。
    なんなんだろうこの関係性、とうんうん唸りながらニート系短編2つを読み終えたが、やはりわからない。まあこういうものだと思うことにした。結局ふたりとも相手との関係を言葉で特定できないだろうし。
    形容できないけど愛おしい感情に触れながら、読み手のこちらも合わせてゆらゆらしていると心地良いものだ。言葉で決め付けたら、途端に揺れが不快なものになってしまいそうな気がする。それなら決め付ける必要なんて無いとゆらゆら思った。

  • 基本的に、駄目人間の話。
    中には駄目という言葉がしっくり来ない人も居ます。
    駄目というか、臆病というか、ちょっと見ていて淋しい気持ちになる人たちのお話です。

    完璧な人間なんていないんだから、多少なりとも自分にはそういうところがあるんだけど、なるべくなら考えたくないと思ってしまいます。
    だけれども、「駄目人間」が「駄目人間」になっていく過程は確かにちゃんと存在するんです。傍から見て、駄目な人だと思われる人だって、最初から駄目だったわけじゃないんですよねぇ。
    そういう背景みたいなのをうまく臭わせながら、無気力や自堕落を上手に描写しているなぁと思いました。

    個人的に一番好きなのは「へたれ」です。

  • 様々な状況のニート達と、彼らを助ける女達の現代ならではの決してなくならない孤独感を描いた短編集。
    女性がニートを援助するといっても、駄目男を母性本能でやさしく包んであげるという話では決してない。
    代償は求めないが無償の愛ではないというところが、鼻につく偽善がなくて潔さがあってよかった。
    両者は同じ孤独という場所に佇んでいて、それを埋めたいだけ。
    受身で生きているか能動的に生きているかの違いでしかないのだろう。

  •  ニートな彼に対してお金を施す。施すことで、そこに上下関係が生まれる。施した側にそういう意図は無いにしても、施された側にはひどくその施しが応える。施された側も、現状を変えなければいけないことは分かっているけど、ぬるま湯に浸り続けているダメだけど、わかる。そんな話が表題作の「ニート」だった。

     それ以上にこの本を特異なものとしているのが、ラストの「愛なんかいらねー」の存在だと思います。まさかのスカトロ。臭う臭う。でも、こういうの好きな人はいるし、これを受け入れられる人もいるんだよな~って。最初の恐怖と痛みとかが過ぎればむしろ、それ以上を求めてしまうんだろうな~って。そう言い聞かせながら読みました。私は無理でしたが。

  • Twitterで「まさに高橋一生だ!」と見た気がしたので初めての作家さんでしたが読みました。多分この鬱々とした感じがそうなのかなぁと。悪い男というよりも、駄目な男。囲いたい感じはわからないでもない。駄目だとわかっているけれど、駄目にもしてしまいたい。

  • 「おすすめ文庫王国」の恋愛小説ランク3位の短編集。
    『袋小路の男』同様、ダメーな感じの男が出てくる話。そもそもタイトルが「ニート」、「へたれ」って…ダメダメやん。
    ダメな男を助けてやる女もダメだ。
    しかし2人とも最後の一線を越えてヒモにはなろうとしないのがよくわからないよ。もういいじゃん、ヒモで…。
    そしてラストの短編「愛なんかいらねー」。これ気持ち悪いよ。スカトロ…最悪…。

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ニート (角川文庫)の作品紹介

もちろん人に対してどうでもいいなんて言うのはとんでもなく失礼なことだけれど、どうでもいいって言ったら、この世の中本当に何もかもどうでもいいわけで、それがキミの思想そのものでもあった(「ニート」より)。現代人の孤独と寂寥、人間関係の揺らぎを描き出す傑作短篇集。

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