ナラタージュ (角川文庫 し 36-1)

著者 :
  • 角川書店
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本棚登録 : 9841
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  • Amazon.co.jp ・本 (416ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784043885015

作品紹介・あらすじ

お願いだから私を壊して、帰れないところまで連れていって見捨てて、あなたにはそうする義務がある-大学二年の春、母校の演劇部顧問で、思いを寄せていた葉山先生から電話がかかってきた。泉はときめきと同時に、卒業前のある出来事を思い出す。後輩たちの舞台に客演を頼まれた彼女は、先生への思いを再認識する。そして彼の中にも、消せない炎がまぎれもなくあることを知った泉は-。早熟の天才少女小説家、若き日の絶唱ともいえる恋愛文学。

感想・レビュー・書評

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  • もう恋愛なんてするような歳でもないのに、いい歳をして何度もドキドキしてしまった。ハッピーエンドじゃない話の中で、最も深くささった、けど大きくもない棘のような感触だった。

  • 本屋さんに寄った際に、本作のポップを見て、そういえば有名だけどまだ読んだことないなと思い手に取りました。恋愛の楽しい一面だけでなく、辛さや痛み、弱さやもどかしさなどの心理描写が秀逸で思わずグサッとくる場面もあり面白かったです。

    本作のストーリーとしては、主人公がひょんなことから、高校時代に好きだった先生と再会することから始まります。主人公は自分が辛い時に救ってくれた先生に対して恋をしており、先生もまた、主人公に特別な感情を抱いている。再会を果たした2人は徐々に親密になっていくと同時に、お互いの抱える秘密を知ることになる…といったストーリー。

    序盤は割と再会を果たしたことで、ウキウキとした楽しげな主人公の描写が中心であるのに対し、先生の秘密を知ってから中盤にかけて、主人公の心理描写が一変するのが私にとって印象的でした。特に、小野くんとの関係については胸が痛む思いで読んでましたし、色々印象的なセリフや文章あるのですが、ネタバレになるのでそこは控えさせていただきます…ぜひ本書でご確認をお願いします笑

    私もどちらかといえば、先生に近い性格で人に弱みを見せたり、人に頼ることが稀だったりする性格で、先生の持つ弱さにはすごく共感できましたし、こういう弱さを見せられる人こそが特別な人なのかなとも改めて思いました。

  • 中学生の頃初めて読んでそれ以来虜です
    人を好きになることによって生まれる苦しさ痛さ弱さはとてつもなく辛いけれどそれでも人を想い続けることの真っ直ぐさは間違いなく素晴らしいもの
    忘れられない人がずっと心にいる
    この痛みを私は愛そうと思う


  • 先生に恋する女子高生と妻との関係に問題を抱えていた教師の物語。

    場面ごとの描写は個人的には好きだったが、登場人物に共感することが難しく、続きが気になるというよりは義務的に読むような形になってしまった。

    葉山先生は優しい先生であるという出来事は幾つかあったものの、泉が先生を好きになるまでの過程が説明として少し出てきたのみで伝わりづらかった。読んでいる途中で「なぜ泉は先生のことが好きなんだろう?」と考える場面が多々あった。
    最終的に先生は妻の方を選択したが、泉のことが好きなのにも関わらずなぜ愛せないのか、どうして最終的に妻を選択したのか、共感できないうえ理由が明確ではないように感じた。

    私が読むのに時間がかかってしまったせいもあるが、なぜ葉山先生が奥さんと疎遠になってしまったのか忘れてしまうこともあった。

    泉は両親がドイツに滞在しており、途中でドイツ旅行に行く場面なども含まれていたが、果たしてこの場面は必要であったのか疑問に感じた。両親もこの旅行の場面で登場したのみで、それ以外の場面で特に重要視されることはなかった。

    最後に柚子ちゃんが自殺してしまった理由は衝撃的だったが何故かあまり印象に残らず、ブクログで他の方が感想を残しているのを見て思い出した。
    特に泉については、柚子ちゃんが死んでしまったことよりも先生のことや小野くんのことを考えている描写が多かったためにそのように感じてしまったのかもしれない。

    泉の気持ちの変化は掴みとれたものの、いまいち共感するには難しい小説だと感じた。

  • ずっと前に読んだものの記録用。

    こんなに人のことを一身に想うことができる人生であれば、それはすごく貴重で素敵なことだと思う。
    外面的な関係性がどうであれ、誰にも分からない2人だけの世界がずっとあることなんて、人として生きていて羨ましい以外の感情がない。

  • うーん、私にはいまいちだったかな…
    登場人物みんな好きになれなかった。
    だから気持ちもわからなかった。
    ただ先生はめっちゃずるい男…
    ずるい男はきらい…
    再読することはないかな

  • 最近、島本さんの作品を読み始めて3冊目にて1番有名?なコチラを。
    高校生の時の先生を想う気持ちを回想しながらの構成。

    中学生の頃、先生を好きになる友達いたけど、、
    私はその経験した事はなく、
    ただ、若い頃って夢中になると、それが全てという思考というか、今のように現実的や客観視できてない、そんな経験はあるなあとなんだか懐かしくなりました。

    個人的には、最初、小野くんいいじゃん、こーゆう人若い時の自分は、惹かれるーの印象から最後の印象の差がハンパない、、、
    映像化されてるキャスト、坂口くんかー、上手そう!

    この作品、読む年代によって、感じ方や共感ポイントが異なりまくると思う。
    とにかく若かりし頃の恋愛を思い出させられましたよ、、あの人元気かなーとか、なぜだか懐かしい想い出を振り返ってしまったり、、w

    19歳が1番楽しかったなー。
    あれはあれでやばいけど、若いって今思うとある意味恐いwww

    今を楽しく過ごそう^ ^
    花粉消えてほしいな、、そんな季節は読書、自宅で過ごす読書最高!くしゃみ連発しながら。

  • 言いたい事が山ほどあります。

    前半のうちは、女性作家らしい作品だなぁとか、一つ一つの表現が綺麗だなぁ、恋愛的な意味でドキっとするシーンが多いなぁと思う事が多く、恋愛小説は初めてで、男性である自分が状況を一つ一つ楽しめるかどうか少し不安でしたが、結論から言うと楽しめました。校則で毛染めOKなんてすごいと思ったり、劇の内容が面白かったり(それだけに劇の本番シーンがなかったのは少し残念でした)と、言いたい事はそこじゃないんだろうなと思う事によく目がいきました。

    後半から心がザワザワする展開が多く、切ない気持ちがすごい押し寄せてきました。メタ読みというほどでもないですが、小野くんと付き合った地点で、「あ、これ一悶着ある、絶対小野くんが報われないやつだ」と内心思いながら読んでいました。

    小野くんにとって、泉との時間はたった一時的なモノでしかないと思うと、いたたまれない感傷的な気持ちになります。

    小野君を一概にクズとは呼べないです。もちろんゴムをつけないとか同意もなくセックスは擁護もできないですが、大人っぽい人でも学生は学生で、自分がもし同じ歳で同じ状況なら、今付き合ってる恋人の肌を求めてしまうかもしれません。それだけの不安が襲っていると思います。擁護している訳じゃない。ただ、事実として思いました。

    そう考えると大学生の恋愛だなぁと思って、共感できるシーンもあり、物語に入り込む事ができました。

    ただ、個人的にとても惜しかったのは、柚子ちゃんのシーンです。

    柚子ちゃんのシーンは必要だったのか、あまりにショッキングすぎて、その後のシーンが負けてしまうような印象を持ってしまいました。
    2人をもう一度くっつけるために柚子ちゃんを利用したという感じがどうしても拭えず、死なせる事はなかったんじゃないか?確かに、伏線は回収しました。しかし、物語に重みを持たせるための演出のように思ってしまいます。それまでがすごいリアリティのある感情だっただけにとても残念でした。個人的にはそこだけが納得できない。葬儀のシーンもです。あれこそ上手くカットしてもよかった、泉と葉山先生が主役なのはわかるけど…柚月ちゃんの死を引き合いに何か起こるのは、この作品に合わないように思います。柚子ちゃんの抱えた苦悩の方が、他の誰より重たくて辛い、他の恋愛感情がほぼぶっ飛んでしまうほどに柚子ちゃんの傷はとても深いと思います。何かあるにしても他の展開があっても良かったように思いました。

    最後の腸炎もストレス以外あり得ないだろと思ってしまいます。そりゃあんな事があったからなぁとなってしまい、大事なシーンが全て柚子ちゃんの衝撃を引きずったままになってしまったのがとても残念です。

    残念は部分はありましたが、全体的には面白く、ラストのシーンもとてもグッとくるモノがありました。読み手次第で、様々な解釈ができ、とても重く繊細な作品でした。





  •  昔、映画を見た記憶と、心に残った恋愛小説としてコメントされていたのを見て、読んだ。
     最後に心打たれ、涙を流しながら読んだ。ただ、最初の頃は葉山先生の踏ん切りのつかない態度や小野くんの突拍子のない行動にいらいらしたり、「やめときなあ、あんた幸せになれんよ」という気持ちになったりと、途中まであまり共感はできなかった。
     きっと、「だめだとわかっていても、愛してしまう」「心が求めてしまう」っていうのは、泉ちゃんの行動そのもので、それだけの大恋愛なのだな、と読んだあとは思った。惹かれてはいけないけど、求められる喜び、受け入れて、自分を理解してくれる安心感、そういったものが2人を繋いでいた。
     とても切ない。人の弱さや不安定さが丁寧に描かれて、紡がれている物語だった。

  • 恋愛文学。
    主人公の泉と、高校時代の教師である葉山先生との関係から、恋の美しさや背徳などが繊細に描写されていた。
    複雑な恋愛感情や人間関係の渦中で揺れ動く姿に思いを馳せた。
    果たしてどんな結末になるのかドキドキしながらストーリーを追いかけることができた。
    日常に潜む愛の形や、人間関係の複雑さを考えさせられ、読後は切なさや少しのモヤモヤ感が残った。
    登場人物の深い思いに心を打たれた作品。

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著者プロフィール

1983年東京都生まれ。2001年「シルエット」で第44回群像新人文学賞優秀作を受賞。03年『リトル・バイ・リトル』で第25回野間文芸新人賞を受賞。15年『Red』で第21回島清恋愛文学賞を受賞。18年『ファーストラヴ』で第159回直木賞を受賞。その他の著書に『ナラタージュ』『アンダスタンド・メイビー』『七緒のために』『よだかの片想い』『2020年の恋人たち』『星のように離れて雨のように散った』など多数。

「2022年 『夜はおしまい』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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