別冊図書館戦争II (図書館戦争シリーズ 6) (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA/角川書店
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本棚登録 : 18937
感想 : 981
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  • Amazon.co.jp ・本 (340ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784043898107

作品紹介・あらすじ

"タイムマシンがあったらいつに戻りたい?"という話題で盛り上がる休憩中の堂上班。黙々と仕事をしている副隊長の緒形に、郁が無邪気に訊くと、緒形は手を休め、遠くを見つめるように静かに答えた-「…大学の頃、かな」。未来が真っ白だった無垢な時代。年をとるごとに鮮やかさを増す、愛しき日々。平凡な大学生であった緒形は、なぜ本を守る図書隊員となったのか!?過去と未来の恋を鮮やかに描く、シリーズ番外編第2弾。

感想・レビュー・書評

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  •  図書館戦争シリーズのフィナーレを飾る、別冊Ⅱ。

     ここまで読んでいればわかる、不器用な2人を主軸にした物語です。

     文庫版は更に不器用な人たちのお話で締めていて、これぞ、ザ、図書館戦争シリーズという感じに仕上がっている作品です。

     私は、単行本の発刊当時、読んだ時は、面白いんだけど、途中に出てくる人間がとにかく気持ち悪くて、なかなか再読までたどり着けませんでした。

     読み返してみて、1話目、2話目の内容を全く覚えてなかったし、ほぼ最後の方も覚えていなかったのに、途中は鮮明に覚えていたというくらい強烈な印象がある道中。

     でも、再読してみて、実は今巻のヒロイン的ポジションの柴崎麻子が成長するための試練はこういう形しかないよなと感じた作品。

     逆に、こういうとんでも事件じゃないと柴崎の弱点はつけないくらいデキる女だったんだなと思いました。

     本作を読んだ時は私はまだ20代で社会にはでていない時。

     そんな時に読んだので、社会に出て大変ということや失敗談とか読んでも、堂上さん、小牧さんでもこういうことあったんやなぁと思ってましたが、今、読むと、若気の至りみたいな失敗、わかるわぁとなりました。

     そして、本作のヒロイン的な柴崎も、デキる女であるがゆえの弱点というか、一人で大体問題を解決できるという奢りが、大きな問題に発展してしまう。でも、なんでも1人では問題は解決できないし、他人の助けは生きていく上では絶対に必要だということ、そして、その他人の助けを得るためには普段の行動が大事ということがしっかり書かれているというのが本作、本巻の良いところてはないかとおもいます。

     決してダダ甘というだけじゃなくて、こういうただの嫌味な美人じゃなくて、本巻までしっかりと柴崎というキャラを作り上げてきたからこその本巻だなと改めて思うフィナーレだなと思いました。

  • はぁ。。悲しい。ついに終わってしまった。
    図書館戦争。すごくすごく、好きな本たちだったな。

    手塚も最初はあんまり好きじゃなかったけど、最後まで行くとめっちゃいいキャラ!ってなるし、今回の柴崎の話もすごく、すごく心に響くものだったなと思う。

    途中は有川さんらしからぬ気持ち悪さに中々来るものがあったけど、それも相まって緊迫して読めました。
    図書館戦争、バイブルにしたいと思うくらい好きな本。また読みたいなと思います。
    こんな素敵な本を勧めてくれた彼女に感謝。

  • 別冊1を読んだ時点で唯一の懸案事項だったふたりが
    想像していた以上にきっちり綺麗にまとまっていて
    驚きもあり嬉しくもあり。

    前作までに布石のようにちらっと出てきた
    緒方副隊長のエピソードが読めるとは思っていなかったので
    それも嬉しい驚きだった。
    緒方さんの図書隊入隊の経緯が思っていたより相当波乱含みだったものの
    加代子さんとの関係は読む前に想像していたより修復できる余白があって
    尚且つ折口さんのインタビューのくだりで
    更に希望を見い出せる終わり方になったのでよかったと思う。
    このふたりはどの組み合わせよりも穏やかな感じがした。

    『昔の話~』は堂上夫妻のデレッぷりを補完するのに加えて
    堂上さんと小牧さんの青い部分が垣間見られたのが面白かった。

    そして本命、『背中合わせのふたり』。
    このシリーズの中でいちばん始末に負えない奴ら(坂上と水島)が出てきた。
    言い換えると理解することを頭が拒否する奴ら。
    ストーカーの正体は途中でなんとなく気が付いた。動機までは判んなかったけど。
    最初は純粋に恋心だったのかもしれないけど
    次第に自分に都合のいいように物事を捻じ曲げて捉えるようになっていく
    水島の存在は怖いのを通り越して薄気味悪い。
    一歩間違うと誰でもこうなれるんだよ、というサンプルを見せつけられた気がする。
    情報屋と異名をとり、人間観察眼に絶対的な自信を持ってるはずの柴崎をして
    水島の本性を見抜けなかったというのは少々意外だった。
    水島がそれほどに上手く隠していたのか、或いは柴崎の側に変化があったのか。
    もし、柴崎に変化があったとしたら郁と手塚の影響なんだと思う。
    柴崎が手塚に救出されたときのふたりの遣り取りは読んでて泣きそうになった。
    美人なうえに頭が切れる、と自覚している柴崎が
    無防備なところを初めて晒したところがどうしようもなく可愛かったし、
    晒した相手が手塚だったところも、お互い報われた感じがして嬉しい。
    そして、その無防備な部分を受け止める度量を手に入れた
    手塚の成長振りも眩しかった。
    このふたりに関してはようやくまとまった感がハンパない。
    というか、このふたりを纏めないでシリーズを締めるのは無しだと思ってた。
    なので読み終えて最初に思ったのは『柴崎、よかったね』だった(手塚は?/笑)。

    玄田さんと折口さん、緒方さんと加代子さんなど
    気になってた部分はショートストーリーまで入れるとすべてフォローされていたと思う。
    個人的には小牧さんと毬江ちゃんの結婚式だとか
    ベタ甘は関係ないところでは進藤さん目線の話なんかも読んでみたかった。

    それはそうと『後味が悪い』と進言してくれた有川さんの旦那さんは
    大ファインプレーだと思う(笑)。
    そのおかげであのシーンが読めたんだし。

  • ストーカーって、怖いですね…。
    映画化されてこの別冊も入るかが凄い気になる。

  • 柴崎と手塚のお話。

    とてもいいカップルになってくれて、
    私としては嬉しい。

    うっかり返却してしまったので
    引用が正確にできませんが

    (私を)「大事にして大事にして!
    私も(あなたを)大事にしたい!」

    という柴崎の叫びは、
    痛いほど分かるだけに刺さりました。

    人の幸せを妬んだり横目で見ているのは嫌。
    でも、幸せになれない自分も分かっているから、
    自分を一番突き放すしかない…。

    そんな気持ちが素直に愛し合うことでほどけたら
    本当に幸せですよね。

    それと、ここで柴崎が巻き込まれた事件。

    愛することと、欲求の対象になることは、重なっているようで、女にとっては違うのだということも気がついてもらえたらいいのだけどなあ。

    それと、緒方の淡彩画のような恋も
    芯が強くて私は大好きになりました。

    玄田と折口もそうですけれど、
    大人には大人なりの恋があって、
    こちらも決着がついて良かったです。

    愛する、という心の動きには、あまり年齢は関係なくて、あるところで心の芯ができると、それはいくつになっても変わらないのかな、とか。

  • 終わった恋に望むとすればー君に幸あれ。ただそれだけを。
    そしてどうか俺がここて君の本も守ることを許してくれますように。

    メディア良化法によって図書が狩られる時代、それに対抗する図書隊での、図書に対する思いや人間関係や憧れや恋愛やらがたくさん詰 、全六巻の最終巻、別冊second。

    結婚後の堂上夫妻、副隊長の入隊経緯、なかなか進展しなかった「背中合わせのふたり」の歩みだし。
    教官ふたりの新人抗争時代なんかもあったりして。

    物語は終わっても彼らは生き続けているのだ。
    図書が狩られる時代が終わった訳じゃない、結婚がゴールじゃない。
    どんな物語を読んでも、彼らもまた続いていくんだ、ってことを思う。

    いつになっても特別な本です。
    シリーズは長いんだよな、買い始めると最後まで読みたくなるだろうし、ハードカバー何冊買えば…図書館戦争を買う前、そのタイトルとあらすじに惹かれて、有川さんの本を読んだこともなかったのに、そんなことを思ってしばらく悩んだ自分が懐かしい。
    買ってよかった。読んでよかった。
    そう思える本です。
    ハードカバーと文庫版と、どちらも買ってしまうほどに(文庫版はpresentだけど)(笑)
    これからも繰り返し読みたい、いつか子供にも読ませてあげたい本です。

  • 読書記録 2023.4

    #別冊図書館戦争 #2
    #有川ひろ

    厄介だった二人もやっと片付いて、本当に#図書館戦争 シリーズもおしまいなんだなあとしみじみ。
    最後のショート・ストーリーも大御所が締めくくってくれて最高だった。緒方の存在も地味によき。

    #読書好きな人と繋がりたい
    #読了

  • 図書館シリーズは6冊もあって、読み終わるのにどれだけかかるか、と、読み始める時に思ったものだけど、気がついたらあっという間に読了してました。
    有川浩さんの本は、ググッと引き込まれてしまうから、つい時間を忘れてしまうよね。彼女は多作な作家さんだから、しばらくは楽しめそう。
    次は自衛隊シリーズに挑戦してみようかな。

  • 有川浩の図書館シリーズ全4巻のスピンオフという位置付けの別冊 シリーズの恋愛部分をピックアップして書き込んでいる恋愛編。楽しすぎてI、IIと止まらず続けて、丸一日これで終わりましたが良い休日でした。

  • 作中に出てくるカモミールティーをお供に最終巻は読みました。
    あまり本編で日の目を浴びなかった、脇役の緒方さんの話は、微笑ましくてとてもよかった。
    主人公のエピソードはほとんどなくて、寂しかったです。

    最終巻と言う事で、もうちょっと掘り下げで欲しい部分もいっぱいあったが、期待に反してたので、少し残念。

    後味スッキリな終わり方なので、これはこれでよいですが。個人的には、本編までが最強ですね。
    面白いシリーズですので、また再読します。

    • わだめさん
      6巻読破お疲れ様〜シリーズ物を読み終えると寂しい気持ちになるよね。もちっちがハマった本なので、楽しみに読ませてもらうわ。
      6巻読破お疲れ様〜シリーズ物を読み終えると寂しい気持ちになるよね。もちっちがハマった本なので、楽しみに読ませてもらうわ。
      2021/03/31
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著者プロフィール

高知県生まれ。2004年『塩の街』で「電撃小説大賞」大賞を受賞し、デビュー。同作と『空の中』『海の底』の「自衛隊』3部作、その他、「図書館戦争」シリーズをはじめ、『阪急電車』『旅猫リポート』『明日の子供たち』『アンマーとぼくら』等がある。

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