女たちは二度遊ぶ (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
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本棚登録 : 2143
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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784043912018

作品紹介・あらすじ

何もしない女、だらしない女、気前のいい女、よく泣く女……人生の中で繰り返す、出会いと別れ。ときに苦く、哀しい現代の男女を実力派の著者がリアルに描く短編集。

感想・レビュー・書評

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  • 深く関わったわけでも、長く一緒にいたわけでも、激しく感情が動かされたわけでもないのに、どうしてこの人とのこの場面を思い出したんだろう?とふと記憶が蘇り、感傷的になる日がある。男たちのそんな記憶の詰め合わせ。

  • どれもヒステリーな結末なのだけれど結末だけが後味として残るんじゃなくて女性たちの妖艶さが感じられるのが不思議。それに魅了されちゃいました。
    題名がいまいちピンとこなかった。章題もなんでこれなんだ?っていうのもあったりして。なんでなのか気になります。考察しがいのある題名だと思います。

  • BeeTVのCMで見て気になってたもの。キャッチフレーズは「愛されるより、忘れられない女になる」。『悪人』『パレード』も面白かった吉田修一氏の作品だけどこれは気だるい男女関係のお話が中心。味わいビター。

    あんな女がいた、こんな女もいた・・・という回想形式の展開ですが、主人公のダメ男感が。。。
    女子トークでは「歴代彼氏の回想&理想の恋愛&今気になっているNEW MEN」の話題が鉄板ですが、男性もこんな思い出話とかするんかなぁ。

    あまり恋愛経験豊富とは言えない私だけど、片想いやなんやかんや含めるとそれなりに色んな出会いはあったわけで。彼らにとって自分はどんな思い出になっているんだろうか。

    できれば微笑ましい思い出になっていたいものです。

  • 最後の話を読まずに書きたくなったから書く。
    その時起こったこととその時の気持ちについて書きました、みたいな起承転結もない話が多かった。
    けどまあリアルの人生ってドラマチックなことなんてそうそうあるわけなくて、あの時こうしてれば違ったかなって数年後感傷的になる感じ、凄くリアルだなと思った。

  • 様々な『女』を男性目線で描いた短編集。まず、出てくる男性陣が結構ヒドい。女性陣も、ちょっと理解不能な方々が多い。ストーリーも、「.......で?」と言いたくなるものが多く、全体的に面白さが私にはわからなかった。吉田さんは他にもっと面白い作品がたくさんあると思う。

  • どれも消化不良で終わってしまう感じ。出てくる登場人物があんまり好きじゃない……。

  • なにかの拍子に、
    一瞬でもいいから、
    思い出したことも忘れてしまうようでいいから、
    あのひとやあのひとにふと思い出されたいとおもった。誰かの人生をふと通り過ぎたい。

  • 若き日の著者の輝かしき女性遍歴なのでしょうか、これは。少なくともモデルは実在しそうです。主人公がだらだらと付き合ってきた、ひと癖もふた癖もある女たち。熱烈な恋は見受けられず、どこか冷めて怠惰な関係を、気だるいトーンで描写した11本の短編集。なんとも厭世観の漂う作品です。

    それでも男目線で女性を描写した作品に趣を感じるのは、私が本書に源氏物語を重ね合わせているからでしょう。男から見ると女の行動はこう見えるのか、という発見が毎回新鮮に感じられます。どの女君も魅力的に描かれている源氏物語とは対称的に、吉田氏の登場させる女たちは誰も彼も、だらしなく、流されやすく、自己評価が低く見える。百花繚乱、女性を描いているつもりでも、作品の印象は著者によって決まってくると思います。有名男性作家の現代版源氏物語シリーズ読んでみたいです。

    以下は「どしゃぶりの女」から気になった文の抜粋。

    もちろん最初の一週間ほどは「俺は店でまかない食ってくんだから、待たずにコンビニでもどこにでも、なんか買いに行きゃいいだろ?」と何かしら言葉をかけていたのだが、いつしかそんな彼女の待ち姿にもすっかり慣れてしまい、バイト帰りに近所の弁当屋で、今夜は何弁当を買って帰ってやろうかと考えている自分が妙に幸せで、ふと気が変わってハンバーグ弁当を二日続けて買って帰った夜などに「その中身、当てようか?今夜もハンバーグ弁当!」などとビニール袋を指差されたりすると、色気も何もあったもんじゃないが、なんというか運命の?そう、運命の出会いってやつか?これがぁ、なんて、嬉しそうに弁当のふたを開ける彼女の横顔を、にやにやしながら眺めたりした。

    長々と続いてこれで一文。流れるような独白シーン。念仏のごとくブツブツと何度でも読み返してしまいます。今回本書を読んで、長くても滑らかな文章のコツは、どこで読点を句点に変えても意味は通じ、物語は進んでいる、という構成なのではないのかなと。自分で書いていて、つい長い文になってしまうときは、たいてい形容詞や副詞をだらだらとのばしていることが多いことに気がつきました。ちょっと勉強させてもらいました。

  • いろんな女がいるけれど翻弄される男が悪い、という結論。
    逆に、そに女でも誰かが気にしてくれるならもう少し気を抜いて生きてもいいんだー、と思った。

  • 作者の吉田修一氏が「初めて何かを思い出そうとして書いた作品」と語っている通り、過去に関わった女を懐古した作品。
    「何を思い出そうとして書いたのか、、それは結局わからなかった」と。


    アベレージは低いけれど、こういう余韻を残す作品は嫌いではない。

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著者プロフィール

1968年長崎県生まれ。法政大学経営学部卒業。1997年『最後の息子』で「文學界新人賞」を受賞し、デビュー。2002年『パーク・ライフ』で「芥川賞」を受賞。07年『悪人』で「毎日出版文化賞」、10年『横道世之介』で「柴田錬三郎」、19年『国宝』で「芸術選奨文部科学大臣賞」「中央公論文芸賞」を受賞する。その他著書に、『パレード』『悪人』『さよなら渓谷』『路』『怒り』『森は知っている』『太陽は動かない』『湖の女たち』等がある。

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