生き屏風 (角川ホラー文庫)

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著者 : 田辺青蛙
  • 角川グループパブリッシング (2008年10月25日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (182ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784043923014

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生き屏風 (角川ホラー文庫)の感想・レビュー・書評

  • 第15回日本ホラー小説大賞短編賞受賞作。
    馬の首を外し、代わりにそこに自分が埋まって眠るという何とも奇妙なシーンから始まるお話。
    馬の首って???? と思ったら、解説によると馬と娘の取り合わせは古来からあり、各国の古典にも描かれているとのこと。
    しかしまあ、首を取ってそこに入って眠るというのはこの作者さんのアイディアなのかな。すごく気持ち悪い気がするけど雰囲気づくりに一役買ってます。
    ただそんな気持ち悪さは話の中には全くなくて、一言で言うならこの話は、あやかしが人間に手を貸して問題を解決するというもの。
    主人公である皐月をはじめ、出てくるあやかしたちは愚痴も言うし酒をカッ喰らって酔っぱらうし、ちょっと人間臭くて面白かった。

    ・生き屏風
    表題作で受賞作。
    死してなお、屏風の絵として世に留まるおかみさん。彼女を邪険にする元亭主や、家の使用人。
    その屏風と皐月が心を通わせたのは、『人ではない』という似たような境遇からかもしれない。
    皐月だからこそ、屏風として世に留まるおかみさんの心を汲み取れたし、心を通わせられたし、最後の願いを聞けた。
    屏風が最後に海へ流されていくシーンは、爽やかだけど切なくて良かった。

    ・猫雪
    雪になりたいと願った次郎の、浮世離れしたのんびりさがうらやましくなる半面、一人でしか生きられないと言うその寂しさをひしひし感じた。
    ずっと一人じゃ寂しいけど、ずっと誰かと一緒にいるのはしんどいというその気持ち、わかる。
    老婆と言える年の人が娼婦をやってるって話、京極夏彦の『嗤う伊右衛門』でも見たけど、昔はそんなによくあったことなのかな。

    ・狐妖の宴
    皐月をとりまくあやかしたちの過去が少し伺える話。
    初めは鳴くのが下手な鶯のように、まだ何も知らない皐月を見守る二人に心が和む。

    恒川さんの『夜市』のように、人の世と少しつながった不思議な世界が舞台。
    『夜市』がダークなイメージなら、こちらは日向のイメージかな。
    作者の頭の中にはもっと広い世界が広がっているのが伝わってきて、続編ではもっとそれが描かれているのかと思うと楽しみです。

  • 優しい妖怪もの。

    馬の首で眠る皐月という少女の鬼は村境に住み、わるいものの侵入を防いでいる。
    村人からのお供えをもらったり、依頼を受けたりして暮らしている。
    ある日、亡くなったおかみさんが屏風に憑いて、その話相手をして欲しいとの依頼があり…「生き屏風」

    作者は遠野物語や民俗学、妖怪ものが大好きなんだなあ、と思った。
    妖怪と人間がつかず離れずで暮らしている、のほほんとした世界観でした。

    続編がありますが、表紙はこちらが一番雰囲気があって好きです。

  •  妖鬼の皐月と様々な人や妖怪との不思議な触れ合いを描く日本ホラー小説大賞受賞作を収録した連作短編。

     すごくとぼけた味わいのある短編集です。ホラー小説大賞の受賞作ですが、怖さはなく皐月と人は普通に会話しています。

     話をするだけでなく皐月は色々な頼みごとをされます。表題作「生き屏風」では霊が憑りついた屏風の話し相手、「狐妖の宴」では女の子に頼まれ惚れ薬を作るため一緒にヤモリを探します。

     こうして読んでいると日本昔話を読んでいるよう。登場人物たちみんなほのぼのしていて、肩ひじ張らず穏やかな気持ちで読むことができました。

     個人的に印象的だったのが「猫雪」の冒頭。皐月の先輩(?)の妖怪がある男に「何になりたい?」と問いかけると男は「雪になりたい」と答えるのですが、
    ここで雪という答えを持ってくるのがとてもセンスがあるなあ、と思いました。確かに雪のようにひらひらと落ちて、そして地面に落ちてそっと溶けゆく、ってなんだかロマンチックですもんね。

     雰囲気の非常にいい作品だったので皐月の出てくる次巻以降も読んでみたいなあ、と思いました。

     第15回日本ホラー小説大賞短編賞「生き屏風」

  • あらすじ

    村の酒屋の死んだはずの奥方が、あの世から戻ってきて家の屏風に取り付いてしまった。
    「村はずれに住む妖鬼の皐月」は、屏風の奥方の相手をして、
    退屈を紛らわしてほしいと頼まれ、しぶしぶ出かけていったのだが――。

    あらすじ終了

    「村はずれに住む妖鬼の皐月」←これ重要
    だって、この娘が主人公の話だから(他の短編も、この先も)
    物語に登場する者達は怪異側の生き物ですが、
    話自体はもの悲しさを感じる話です
    怖くは無い
    むしろ、登場する人間の方が恐ろしいかなと
    屏風の方に感情移入してしまいますよ

    ただ、この皐月の寝方が……
    グロいというか、不可思議と言うか
    作者の方の文書で理解は出来るのですが、本当に合ってるのか納得出来ない……
    是非、そこは読んで欲しい

    ちなみに、続刊として、
    「魂追い」「皐月鬼」が出てます
    全3部作になっているようなので、続きも読む予定

  • ホラー小説大賞短編賞受賞作品ということで、期待して読み始めたのですが、期待外れ感が否めない。妖好きには、オススメ。

  • 猫雪が素晴らしい。

  • 県境で里を守る妖鬼の皐月と、そのまわりの妖や人との関わりを描いた、耽美で静かな物語。
    連作短編のような3つのお話。

    妖や霊などホラーの要素はあるけれど、怖さは一切なく、どちらかというとやさしいお話。すこし、主人公の皐月がうすい気がした。シリーズを重ねればもっと皐月も魅力的になるかしら。

    ふたつめの「猫雪」がよかった。

  • 評価高かったから読んでみたけど
    いまいちでした。
    妖怪系好きなんだけどなぁー。

  • 「生き屏風」
    「猫雪」
    「狐妖の宴」

    和風な妖怪譚。
    話としてはほのぼのする感じでホラーではない。
    読みにくさがややある。

  • 2015年17冊目は先月まとめ買いした初読みの作家、田辺青蛙。

    第15回日本ホラー小説大賞短編賞受賞の表題作含む、三編の連作短編にして、三部作の始まり。

    あらすじ:「生き屏風」
    県境で一人暮らす妖鬼、皐月。彼女の所へ、造り酒屋の奥さんの霊の話相手になって欲しいという依頼が持ち込まれる。

    「猫雪」
    若くして隠遁生活 を送る次郎。皐月の先代の県境守りである猫先生と出会い、変化(へんげ)の術で雪となる体験をする。約1年後、次郎は再び猫先生の術で雪となることを望むのだった。

    「狐妖の宴」
    惚れ薬を作って欲しいと皐月の所へ依頼がある。しかし、皐月はその調合を知らない。思い当たるのは、里の外れに住む狐妖であった。

    本書解説、東雅夫氏の「癒しのホラー」とは言い得て妙。一編目の冒頭の皐月の眠り方こそグロテスク(その割に筆致が軽く感じる)ではある。しかし、全体的には、鬼や妖(あやかし)と人とが共生する、日本昔話のような感覚。恒川光太郎とは少々ベクトルが異なる、和風ファンタジーかな?!

  • ほのぼのした優しい空気の流れる和製ファンタジー。むかしむかし妖怪と人間が共に暮らしていた時代、ある村のはずれに、馬の首で眠ることで知られる少女の姿の妖鬼が住んでいました。村人は彼女に依頼や相談事を持ち込むこともしばしばで。という感じの話。民話のようなお伽話のような淡々としつつも懐かしい雰囲気にひたり、ゆったりとした気分で物語を楽しめました。
    続巻もあるようなので読みます。

  • 【本の内容】
    村はずれで暮らす妖鬼の皐月に、奇妙な依頼が持ち込まれた。

    病で死んだ酒屋の奥方の霊が屏風に宿り、夏になると屏風が喋るのだという。

    屏風の奥方はわがままで、家中が手を焼いている。

    そこで皐月に屏風の話相手をしてほしいというのだ。

    嫌々ながら出かけた皐月だが、次第に屏風の奥方と打ち解けるようになっていき―。

    しみじみと心に染みる、不思議な魅力の幻妖小説。

    第15回日本ホラー小説大賞短編賞受賞作。

    [ 目次 ]


    [ POP ]
    日本ホラー小説大賞短編賞受賞作である表題作に、書き下ろしの二編を加えた連作短編集。

    2作目の「猫雪」や続く「狐妖の宴」も、魅力的な、一癖もふた癖もある妖怪や人間達が登場して面白いが、なんといっても「生き屏風」が良かった。

    「皐月はいつも馬の首の中で眠っている」

    まずこの冒頭から掴まれる!

    村境に住む皐月は、飼っている馬(その名も「布団」)の首の中でないと寝られない妖鬼だ。

    物語は鬼や妖怪が人間と共存しているいつかの時代の日本が舞台のようだが、丁寧な時代背景や設定の説明はない。

    だからこそ、読者をすっと物語世界に引き込むこの一文は秀逸だと思う。

    皐月は、死んでから屏風に取り付きわがまま放題の酒屋の奥方に、話し相手として雇われる。

    シェヘラザードよろしく皐月が奥方に語る不思議な体験や出逢った妖怪の話は、過度に面白そうに描写しているのではなく、むしろ淡々としている。

    ただその淡白なリズムが、作品全体の独特の雰囲気を生み出している。

    皐月と奥方が親密になっていく様子や、じんわりと心に広がる結末もいい。

    短編だけではなくぜひ長編も読んで見たいと思う作家だ。

    [ おすすめ度 ]

    ☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
    ☆☆☆☆☆☆☆ 文章
    ☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
    ☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
    ☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
    ☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
    共感度(空振り三振・一部・参った!)
    読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)

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    [ 参考となる書評 ]

  • 寝る場面を想像したらホラーやけど全体的には牧歌的な1冊。 表題作では妖鬼である皐月の能力が少し見れたが、その後の話では思い出話で語られるぐらい。現在、凄い妖鬼になってるのかドジな妖鬼のままなのか分からない。これだけやと物足りないので続編を読んでみます。

  • とても面白い。解説の通り「癒しのホラー」です。図書館から借りましたが、所有したくなったので購入します。日本の秋から冬への少し寂しい感じ、人と妖と神がちょうど良い距離を取りつつ関わりつつそれぞれに暮らしている感じ、妖も人も周りの人(妖)達と食べたり飲んだりしている感じがとても好きです。

  • ぱらぱら読むうちに何となく気になって、最後は 物語にゆらゆらと気持ち良く取り込まれてしまった。妖達や生き霊が変に超然としていないのが良い感じ。書き下ろしの「猫雪」は、本当に湯豆腐でも食べながら一杯やりつつゆったりと頁をめくりたくなります。

  • 妖怪ものだけど全然怖くない。
    面白かった。

  • 読了、85点。

    **
    妖怪や神と人間が互いの存在を認識し合う世界、県境に住む妖鬼の皐月は人間社会とわずかな接触を持ちながら、良くないものが村に来るのを守っている。そんな皐月の元へ村の酒造から依頼が舞い込む。亡くなった旦那の奥さんが家の屏風に宿って、色々と我儘を言うのでその相手をして欲しいというものだった。
    気乗りしないまま受けた皐月だったが奥方との会話を楽しむようになり……
    表題作(生き屏風)他2篇収録。
    第15回日本ホラー小説大賞短編賞受賞作。
    **

    積み本でしたが崩しました。崩して良かった。
    この世界は、今まで読み進めたところでは割と平穏で、人を食う鬼や出くわして対応に誤ると常世へ連れ去られてしまう冬の山の神の存在が語られはしますが、明確に人間と人外のものが対立するような描写もなく、
    また妖の持つ術を人間に伝えたり、人間からお供えをもらったりと、僕好みの柔らかい舞台になっています。
    話の大筋はその世界観の中で人と妖の交流が、会話をメインに進み、非常に読み易く楽しい小説でした。
    ちなみにホラー小説大賞と言いつつも怖さは殆どありません。同賞の長編賞『粘膜人間』と比べるとこちらの方が好み、また大賞の『庵堂三兄弟の聖職』は未読。


    シチュエーションは割とありがちと言えばありがちですが、じゃあこれと思い浮かぶ小説もなく、そういう点でも僕にとっては良い作品。いや、短編だと以前ここで書いた『少女禁区』(http://booklog.jp/users/mametarou77/archives/1/4043943881)の表題作は、妖は出て来ませんが呪術の存在や時代背景が通じるものはありますが、『少女禁区』はもう少し黒さがあったのに加えて惜しいかな、これ一本の短編で世界観の広がりがない。
    それに対して「生き屏風」から始まる皐月シリーズ?は最初の短編で存在だけ語られた猫師匠や狐妖が後の短編で登場したりと、広がりがあって楽しめます。

    ヴィジュアル的には魂追いの表紙を見ると、アニメ化とか思ったりもしますし、ゆるアニメになれば楽しいかもしれませんが、こういうのをアニメ化すると唐突にバトルものになったりしそうですよね

  • 【第15回日本ホラー小説大賞短編賞受賞作】しみじみと心に染みる,不思議な魅力の幻妖小説。人間と妖したちののどかで優しい物語。ホラーが苦手な人にもおすすめ!

  • 全く怖くない妖怪短編集。

    大きな事件が起こる訳でもなく
    人と妖怪がなんとなく交わりながら

    でもお互いに深入りしないよぅに暮らしてる

    そんな世界のお話です。

    淡々としてて
    不思議な雰囲気があって

    もぅちょっと長い作品が読みたくなる。

  • 「生き屏風」田辺青蛙
    幻妖小説。枯野色。
    表題作は第十五回日本ホラー小説大賞短編賞受賞。

    前々から読みたいと思ってたんだけど、意外と売っておらず、ようやく買って読了。
    NOVA2に「てのひら宇宙譚」というショートショートが掲載されていて、独特の世界観が印象に残ってました。
    本作も案に違わず、ある種ファンタジックな読み口。
    ただ、若干説明口調なセリフ回しが多くて、残念な感じも。。

    『猫雪』という短編が好きかな。
    雪に変化して野花や村女に降り積もり、儚く溶けてゆくとか、なんて幻想的で官能的。
    ちなみに田辺青蛙さんは、女性作家です。

    若手にもかかわらず民俗的な背景?を非常に多用していて、勉強してるなー、というより妖しオタクだなー、と思いました。
    まあまあ、なかなか。(4)

  • ホラーだけど怖くはない。どちらかというと妖怪ファンタジー。

  • 第15回日本ホラー小説大賞の、短編賞受賞作品で、妖怪好きにはたまらない内容です。

    悪いものから集落を守る、県境の守りを務める妖鬼の皐月は、翠色の瞳と額の小さい角以外は、普通の少女のような外見です。
    実は、集落に住むどの人間よりも長く生きているのですが、他の妖たちから見ると、まだまだ半人前で、頼りないところもあるようです。

    皐月と集落の人間達、そして他の、人ではない者達との関わりが、淡々と描かれています。
    大きな事件が起こる訳でもないのですが、すーっと引き込まれて行く世界でした。

  • 日本ホラー大賞短篇賞授賞作。ホラーとついているので怖いのかと思っていたが、可愛い妖鬼が主役のほんわか昔話。文体も読みやすく、出てくるキャラクターも皆、愛らしい。私は凄く好きです!

  • 恒川光太郎を彷彿とさせる、不思議系ホラー小説
    一人の妖鬼に焦点があてられているけど、短編がいくつも入っている感じ

    主人公が結構魅力的で、ドキドキとかスリルとか、ホラーらしい怖さ(?)は無いけど面白かった!
    ちょっと昔話みたい

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