- Amazon.co.jp ・本 (182ページ)
- / ISBN・EAN: 9784043923014
感想・レビュー・書評
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優しい妖怪もの。
馬の首で眠る皐月という少女の鬼は村境に住み、わるいものの侵入を防いでいる。
村人からのお供えをもらったり、依頼を受けたりして暮らしている。
ある日、亡くなったおかみさんが屏風に憑いて、その話相手をして欲しいとの依頼があり…「生き屏風」
作者は遠野物語や民俗学、妖怪ものが大好きなんだなあ、と思った。
妖怪と人間がつかず離れずで暮らしている、のほほんとした世界観でした。
続編がありますが、表紙はこちらが一番雰囲気があって好きです。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
あらすじ
↓
村の酒屋の死んだはずの奥方が、あの世から戻ってきて家の屏風に取り付いてしまった。
「村はずれに住む妖鬼の皐月」は、屏風の奥方の相手をして、
退屈を紛らわしてほしいと頼まれ、しぶしぶ出かけていったのだが――。
↑
あらすじ終了
「村はずれに住む妖鬼の皐月」←これ重要
だって、この娘が主人公の話だから(他の短編も、この先も)
物語に登場する者達は怪異側の生き物ですが、
話自体はもの悲しさを感じる話です
怖くは無い
むしろ、登場する人間の方が恐ろしいかなと
屏風の方に感情移入してしまいますよ
ただ、この皐月の寝方が……
グロいというか、不可思議と言うか
作者の方の文書で理解は出来るのですが、本当に合ってるのか納得出来ない……
是非、そこは読んで欲しい
ちなみに、続刊として、
「魂追い」「皐月鬼」が出てます
全3部作になっているようなので、続きも読む予定 -
県境で里を守る妖鬼の皐月と、そのまわりの妖や人との関わりを描いた、耽美で静かな物語。
連作短編のような3つのお話。
妖や霊などホラーの要素はあるけれど、怖さは一切なく、どちらかというとやさしいお話。すこし、主人公の皐月がうすい気がした。シリーズを重ねればもっと皐月も魅力的になるかしら。
ふたつめの「猫雪」がよかった。 -
「生き屏風」
「猫雪」
「狐妖の宴」
和風な妖怪譚。
話としてはほのぼのする感じでホラーではない。
読みにくさがややある。 -
全く怖くない妖怪短編集。
大きな事件が起こる訳でもなく
人と妖怪がなんとなく交わりながら
でもお互いに深入りしないよぅに暮らしてる
そんな世界のお話です。
淡々としてて
不思議な雰囲気があって
もぅちょっと長い作品が読みたくなる。 -
■村はずれで暮らす妖鬼の皐月に、奇妙な依頼が持ち込まれた。病で死んだ酒屋の奥方の霊が屏風に宿り、夏になると屏風が喋るのだという。屏風の奥方はわがままで、家中が手を焼いている。そこで皐月に屏風の話相手をしてほしいというのだ。嫌々ながら出かけた皐月だが、次第に屏風の奥方と打ち解けるようになっていき―。しみじみと心に染みる、不思議な魅力の幻妖小説。第15回日本ホラー小説大賞短編賞受賞作。
■■柔らかく優しい、そして少し切ない。妖怪をテーマにした短編集。 -
2010.08.02 読了
馬の首の中で眠るという習性にやられました。でも馬は生きてるのね〜
グロいのはそこらくらいで全編なんだかふわっとしている。
皐月がのんきだからか。
怠け者の若者との再会に期待してしまう。 -
作者の名前、読めるかね? 私しゃ思いっきり「タナベ アオガエル」と読んでおった
シャレで付けた名前かの~とか思ったもんでの(ハハハハハハ)
どうやら京田辺市に在住し、蛙好きってことで決定したペンネームらしい
本来「タナベ セイア」と読むそうな~(笑)絶対に読めん!(ハハハハハ)
ちなみに…女性だそうな。
村はずれに人間に良く似た妖鬼の「皐月」が住んでおる。
村に悪い気や物の怪が入ってこないようにと、目を光らせておる。
ある日、村にある大きな酒屋から使いが来る。
「死んだはずの奥方が…あの世から舞い戻り、家の屏風に取り付いた」と言うのだ。
へ~~~~~~。そりゃ~見てみたい!っと思ったのは私だが…(ハハハハハ)
使いの者が「奥方の相手をし、退屈を紛らわせてほしい」っと頼んで来たのを
皐月は、ちょっと嫌がる。
村を守っているハズの「皐月」に対し、酒屋から来た使いの者は恐れる風もなく
また、あり難がる風もなく、むしろちょっとした「こずるい人間」を出してくる
「ガオ~~!」と脅して人間を撃退するかと思いきや
皐月は渋々と出かけて行くことにする。
死んだ奥方が、家の屏風に乗り移り「酒を持ってこい」とか「美味いもん食わせろ」だとか
あ~だ、こ~だと家人をこき使う(笑)
いっそのこと屏風を縄で縛って押入れにでも入れたらエエのに、とも思ったが
それが出来ない「家庭の事情」とかがあるらしい(笑)
さても妖しとしては若い「皐月」は、どうするんじゃろう??ってなお話しと
皐月の先任者であった猫に化けた妖怪が、人間の男に一瞬の夢を与えた「猫雪」
ホレ薬を作って欲しいと言う少女に、恋多き狐の妖怪を紹介する「狐妖の宴」
など、3編が収録されておる。
リズミカルでノホホ~ンとした文体に、怖さは微塵も感じられないが
そこそこ気持ちが安らぐのはナゼだろうか。
人と妖しがこうも巧く付き合える世界なら、少し参加してみたくなる(笑)
私が育った北海道の地にも妖怪は沢山居た。
元はアイヌ民族の伝承なので、日本語の妖怪という言葉が当てはまるかどうかは解らん
有名ところで言えば「コロポックル」。
アイヌの人達が北海道に移住してくる以前に住んでいた先住民族だったらしい
さて、それとは別に先に住んでいたアイヌ民族に疱瘡を司る神と共に訪れた我等和人。
沢山のアイヌの人々が疱瘡で死ぬのを見たアイヌの神が疱瘡神と戦い
最後の最後に打ち勝った神が、水死して生まれたのが「ミンツチ」と言う妖怪である。
私が育った地域の、そばに流れる石狩川に住んでいた。
形状はカッパと変わりない。北海道全域に広がる河童伝説の「祖」じゃないかと思う(笑)
豊漁も司るが、年に数人川へ引きずり込み水死させるので困ったもんじゃと考えた人々が
「もそっと、上流へ行ってくれねぇ~べか」とお願いしたところ
あっさりと上流へ引っ越してくれたそうだが、それと同時に魚も採れなくなったらしい
確かに私が生まれた頃には「ミンツチ」は既に引っ越した後だったようで
生活用水に汚染された石狩川には、魚の影なんぞまったく居なかった(笑)
それでも川は氾濫し、年に数人死亡者を出していたもんで
上流にデッカイダムを作り、高い堤防も作り、生活用水を浄化し
私が成人するころには、人が溺れることもなく、シャケが遡上する綺麗な川となっていた
多分…世界中で一番信用の置けない私の父が言うことだから、まったく当てにはならないが
石狩川の堤防がまだ低く土で出来ていたころ
氾濫した川の様子を見に行った父が、川の真ん中あたりで濁流をものともせず
ボ~っと立っておる人影を見たとか言っておったことがある。
その後その人影は、ジャボジャボと川を渡り向こう岸へ渡ったかっと思ったら…
フっと消えたそうな。
バー様を筆頭に家族全員「そりゃアンタ。誰か溺れてたんだべさ」と考えたが
行方不明になった人は居なかったそうだ。
だいたい、河が氾濫しそうじゃっと聞くと…わざわざ危険な川へ出かけていく男性がおるが
こういう時こそ「ミンツチ」がテグスネ引いて待っておるのかもしれん(笑)
あんまし最近暑いもんで、川にまつわる妖怪の話をしてみたが…
はて、涼しくなったかの?(ハハハハハ)
私が育った頃は、既に妖怪の類は奥地へ引っ越してしまった後だったが
それでも時々は里へ現れておった(笑)
今、彼らは何処でどうしておるんじゃろう? なんて思っていたら
しっかりと人間に混じって会社経営しておる(ブワハハハハハ)
まさか、そんな会社に就職するとは思いもせなんだがの~~~(笑) -
とくになにかが起こるわけでもないのでどういうことかと思いながら読んだが、孤独と友情について書かれているのだとわかった。
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第15回の日本ホラー小説大賞短編賞受賞作。
ホラーといっても妖怪とかファンタジックな要素があるからそう分類されているだけで、別に怖いわけではなく、「癒し系幻想小説」とでも言うべき内容だった。人とつかず離れずの微妙な距離感で暮らす妖たちの日常。