- Amazon.co.jp ・本 (189ページ)
- / ISBN・EAN: 9784043938018
作品紹介・あらすじ
不眠症の高校生・桧山は毎夜窓の外を見下ろし、夜の町に深い海のような孤独を見ていた。そんなある夜、やはり眠れずに彷徨していた同じ学校の矢鳴に声をかけられる。矢鳴の幼馴染みキューピーさんも加わって、不思議に心地よい日々が始まった。だが、矢鳴はある奇病に罹っていたのだ-羽が生えて四散する肉体。喪った掌の温度、嫌いすぎて触りたい関係-切実な痛みに満ちた、かけがえのない物語。
感想・レビュー・書評
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そうこれ!私の知ってる青春ってのはこれ!その一言に尽きる!
ジクジクした、あるいは無味乾燥な学生時代を送った人はみんな読めばいいのだ。と思います。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
中学生の頃に読んで、今も手元にある文庫本。
ジスプロシウムが特に印象に残っている。 -
繊細な文章に圧倒されるばかり
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夜の町は深海のようだ。
主人公の檜山や、奇病を患った矢鳴、人を信じられないキューピーさん。それぞれが、心のどこかに冷たく突き放しているそれこそ深海のような過去や悩みを抱えている。それらは、わたしたちにも分かると共感できるような些末なものだ。でも、抱えてる本人にしてはこころの大半を支配している大きなものだと思う。
個人的には、キューピーさんの人を信じられない原因が、わたしにも似たような経験があったので共感できた。
矢鳴の肉体が無くなっていってしまうたびに、なんだかおぞましく、寂しい気持ちになった。人が一人いなくなってもなにも変わらない日常がなんだか、ひどく悲観的に思えた。ただ、それでもたまに思い出してくれる人がいるなら幸せなことだと思えた。
他に2編の短編もとてもおもしろかった。どれも、読んだあとに人との関わりを考えさせられた。構成やストーリー性もうまい。しかし、この作者の本を他にみたことがないので、書くの辞めてしまったのかな? -
青春文学大賞って今は無きコンテストで大賞だった本です。
この本は自分が20才の時に出会い、
初めて自分でまともに買った本だと思います。
当時筆者の埜田杳さんも二十歳だったことにも驚いて
こんな文章かける人がこの年でいるんだなーという印象でした。
主人公の男の子とそのクラスメイトの男の子と女の子。
特に親しいわけでもなく、帰りが一緒だったら駅までは一緒に歩く位の
ゆるい関係の3人。
「あれ」と呼ばれるファンタジーな病気にかかってしまう以外は
いたって普通の作品です。
当時は「セカちゅう読んで感動した!!」って笑顔で勧めてくる奴に読んで欲しい。
と勧めていたけど、
今言うなら「桐島、部活やめるってよ」
見て面白いと思える人にはお薦めです。
学生時代そんな明確な青春時代を送ってこなかった人、
夜ただなんとなくだけど、眠れなかった人、
とかなどもオススメです。
作中の人と人との関係があまりにも薄いけど、
きっとそれくらいの方が上手くいくんだろうなって思わせてくれた作品。
あと死って概念が泣くためのツールに成り下がってると思わせてくれた作品。 -
それだけでは本当に些末なもの。
けれど振り返れば一つも零してしまいたくないもの。おもいでとは、そんなものなんだろうとおもいます。
けれど忘れてしまう、その悲しみと悔しさと愛しさ。それがノスタルジアなのだと感じました。
図書室でたまたま表紙に惹かれて手にとった本でしたが、近いうちに購入しようとおもいます。手元におきたい本です。
高校生が終わりに近づいたいまだからこそ、これ程までに読後感が強く感じられたのだとおもいます。同年代に読んでもらいたいです。 -
淡々としたなかに、色んな感情が表現されていて良い。
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腐女子・三浦しをん氏が解説で絶賛。でもこれは確かに、その気持ちはわかる。別に、「そういう話」ではないんだけど、そういう妄想を抱かせてくれる小説なんだと思う。キャラ萌えってほどは狙っていなくて、悪くないと思います。
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「些末なおもいで」「dysprositos」「熱い骨」の3篇収録。
「羽が生えて四散する肉体」という奇病、って、まるでボリス・ヴィアン「うたかたの日々」を連想させる。
この年代前後でのデヴューされた作家さんにはえてして、「これって後から読んだら自分で困っちゃうんだろうなあ」なこっ恥ずかしい一文や二文がどうしてもあるものですが(あえて名前は伏しますが、結構例には困りませんね)、「些末なおもいで」に関してはそれはない。
(乙一やレイモン・ラディゲにもありませんでした)
ラスト近く「これはもうちょっと違う書き方が出来るのでは?」というところもありますが、重心の置き方の問題に過ぎません。
ただし、あとの2作は習作の域、と判定。
表紙は今市子さん。
三浦しをんさんの解説がまったくよくなく(というか、酷く)、がっかりでした。ないほうがいい。 -
三浦しをんさんが解説を書いていたので、読みたい!と思い、購入しました。
短編集なのですが、『些末なおもいで』が良かったです。文体がとても好きな感じで、『この頃、僕は眠れない夜の底にいる。』という一文がかなり好きです。青春についての考え方に、共感する部分が多く、肯定されてる感じでした。矢鳴いいなぁ、と思います。女の子の登場人物、キューピーさんの気持ちは何か凄く分かります。
あんな小説、私も書きたい。 -
表紙に今市子さん、解説に三浦しをんさんときたら読むしかないでしょう! 私的に、2話目の話がとても好きです。痛いんだけど、なんでかすごく好き。
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このなかの「熱い骨」という短編がとても好き。
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淡々とした切なさ。
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静かで、淡々とした文面だけれど、心に響いてくる
人が死ぬのではなく消える、
そんな、奇妙だけれど青春なわけで
“青春”とは
人それぞれいろんな形があるのだろうけど、自分の青春と言えば大体ぼーっとしてたり授業中寝てたりと思い出にもならないような高校生活を送っていたので、短編の「些末なおもいで」を読み、ああこれこれと思うところがあった -
妙に淡々としていた。
不思議だったが、自分は最後に何をしたいかを考えた。 -
―いったい私はなにに祈り、なにに謝っているのだろう。
―いったい私はだれに祈り、だれに謝っているのだろう。
一つの長編と二つの短編が収録された本で、中でも『些末なおもいで』が気に入っています。
不眠症の檜山を夜遅く街を出歩く矢鳴、キューピーと呼ばれる女の子。
三人の奇妙な関係は、やがて矢鳴が罹った原因不明の病によって徐々に変化していく…
身体の一部に羽が生え、四散していく。
目が、指が、足が、痛みも無くただ離れていく病。
檜山が深夜の住宅街の風景を海に例えるところや
哀しいのに、それでも自分は生きていくという妙な確信に戸惑いながら、生を享受する姿が気に入っています。 -
不眠症の高校生・桧山は毎夜窓の外を見下ろし、夜の町に深い海のような孤独を見ていた。そんなある夜、やはり眠れずに彷徨していた同じ学校の矢鳴に声をかけられる。矢鳴の幼馴染みキューピーさんも加わって、不思議に心地よい日々が始まった。だが、矢鳴はある奇病に罹っていたのだ―羽が生えて四散する肉体。喪った掌の温度、嫌いすぎて触りたい関係―切実な痛みに満ちた、かけがえのない物語。(amazonより抜粋)
ウチの読解能力が低い所為かもしれませんが、
あまり内容が理解出来ませんでした。 -
瑣末な思い出、としてハードカバーでいちど読んだ。
衝撃的だった。
そして一年ぶりにもう一度読んだ。ネタも展開もすべて頭に入っているからなのかもしれないが、一度目ほどの衝撃はなかった。だけど落ち着いて読めるせいか読んでいていろいろと考えた。
「なんだって俺の目玉は、そういうものから自由になっているんだろうな」
矢鳴のことばが初読後も今も残ってる。自分はまだこの場所で様々なしがらみに絡まっているのに、取り残されているのに。淡々とした呟きと、空っぽの声。 -
ミステリアスな雰囲気の作品。
かなり好みの文体でした^^ -
タイトル、イラストに強く心を惹かれてしまい、衝動買い(笑)
中身もほんとに素敵でした。
短編集で、3つ集録されていたのですが個人的には一番「熱い骨」という作品が好きです。
大人になったころにまた読みたい。 -
人間は儚くて汚れているけど酷く美しい
なんて思った。 -
薄氷のように繊細で淡々とした文章。
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静謐な夜の底、晩秋の校舎、乾いた毎日の間にあるウェットな想い、そしてアレ。文章から見えてくる情景がなんとも美しい。あの頃(青春、と書くのは今でもやっぱり気恥ずかしいが)の陽に当たらない部分が淡々と細やかに綴られていて、胸がキリキリする。いいわーこれ。
表紙今市子、解説三浦しをん。もうこれだけで鉄板だと思ったが、なかなかどうして素敵な作品集。 -
いわゆるジャケ買いというやつ。やっぱり変な病気系はどうかと;
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カバーイラストの今市子さんが漫画化したらおもしろそうな話ではある。
青春にはつきものかもしれないが、3作品のどれもが死や喪失をテーマにした作品ばかりなのが(頭抱え)! -
三浦さんが解説を書いていたので、なんとなく読んでみた。
体に羽が生えて飛んでいく奇病という発想が気持ち悪くも、なんともステキでもあった。
持ち主から離れて飛んでいく体を見ている矢鳴はどんな気持ちだったのかな?
キューピーさんも、今時なかなかいないタイプの子で面白かった。 -
2009/03/16
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「こういう小説を私は読みたくてたまらなかった」
今市子さんの表紙に惹かれて衝動買いしたのですが。
当たりでした…大当たりでした…!
妄想の余地を残しながら、丁寧に心の襞を描写していく、女性ならではの表現。
ニアBL、というより、隠れた本当の名作です。 -
短編集。
表紙が今市子で解説が三浦しをん、といったらもうそれしかあるまいと思ったらば、それほどでもなかったという。(でも3作中1作はホモだった) -
すごく重たくて、でも儚い話でした。
青春なんて跡付けだけど、でもうっすら残るものはある。
私の何十年後の記憶で、この日々が美化されて残されるのだろうか。