- Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
- / ISBN・EAN: 9784043939022
作品紹介・あらすじ
このごろ都にはやるもの。恋文、凡ちゃん、二人静。四神見える学舎の、威信を賭けます若人ら、負けて雄叫びなるものかと、今日も京にて狂になり、励むは御存知、是れ「ホルモー」。負けたら御存知、其れ「ホルモー」。このごろ都にはやるもの。元カレ、合コン、古長持。祇園祭の宵山に、浴衣で駆けます若人ら、オニと戯れ空騒ぎ、友と戯れ阿呆踊り。四神見える王城の他に、今宵も干戈の響きあり。挑むは御存知、是れ「ホルモー」。負けたら御存知、其れ「ホルモー」。古今東西入り乱れ、神出鬼没の法螺試合、若者たちは恋歌い、魑魅魍魎は天翔る。京都の街に咲き誇る、百花繚乱恋模様。都大路に鳴り渡る、伝説復古の大号令。変幻自在の第二幕、その名も堂々『ホルモー六景』、ここに推参。
感想・レビュー・書評
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確かにこれは「鴨川ホルモー」のスピンオフで、ホルモー本編を読んだ人ならぜひとも読んでほしい短編集で、ホルモー本編を読んでいない人には少し理解がしづらいものかもしれませんが、それにしたって、素晴らしい短編集ではございませんか。再読ですが、初読みの時よりさらにそう感じます。その壮大な奇想天外さの割には本編では少し物足りなく感じたホルモーを、もっともっと深く感じられます。本編では、主人公安部視点で、安部の身の回りのことがほとんどだったので、安部の知らないところでこんなことがあっていたのね、と、よりホルモーを軸とした背景が過去に現在に広がります。しかししかし、こういう本を読むと自分の歴史の知識のなさに愕然とします。「サツマ」という言葉から「さつま芋」しか連想できず、シンガポールからの留学生に「薩摩藩」のことではないかと指摘された巴を笑うことは、私にはできません。どうにかこうにか目の前のテストを乗り切ることだけを考えて一夜漬けのように勉強し(たつもりになり)、長く知識を保てるようなちゃんとした勉強をしてこなかったことを後悔するのはやはり読書の時ですね。余談は続きますが、大人になってから、「あぁ、今なら、日本史・世界史・地理、いや数学でさえ大変な興味をもって授業を受けられるのに・・・」と思うことはありませんか?(余談終わり)
本書に収められているのは以下の六景。
・鴨川小ホルモー
・ローマ風の休日
・もっちゃん
・同志社大学黄竜陣
・丸の内サミット
・長持の恋
みなさんのレビューにザーと目を通したところ、「ローマ風の休日」と「長持の恋」が人気のようですが、私が好きだったのもやはりその二つでした。あぁ、でもどれも本当にいいのですよ。
本書を読みながら思い起こすと、私も遠い昔、京都の私大に行く可能性があったのですが、結局関東の大学を選んだのは他でもなく自分だったのに、なぜあの時、京都に住むということを選択しなかったのか、と大学に行くという最大にして最優先の目的を忘れて、ほんのちょっと後悔することがたまにあります。あの日あの時あの場所で、京都に住む選択をしていたら私もホルモーをしていたかもしれない。(実際にホルモーをやってみたいかと言われれば、結構過酷そうなので微妙ですが。「ホルモー」と叫びたくないし。)人生に「たられば」がないことはわかっていてもそう考えずにはいられません。と言いつつ、「丸の内サミット」では、関東でもどうやらホルモーが行われているという事実が判明し、私の「もしも京都に住んでいたならば」の考えは、一瞬にして泡のように消え去りました。というか、この短編「丸の内サミット」自体は面白いですが、ホルモーはやっぱ京都でしょ、と思ってしまったりもします。「はいはい、さすが京都ですね」と言われないための作品だったのか、万人に夢(?)を見てもらうための作品だったのか。
ホルモー本編を読んでから本書を読んだ方が良いというのは絶対ですが、「こっちの方が好き!」と言えそうなほどこのスピンオフは良かったです。いやぁ、凡ちゃんの良さがわかる少年、いいなぁ。芦屋、ホントにダメ男だなぁ。ホルモー、めっちゃ歴史あるなぁ。そして、ラストの「長持の恋」はもう全然ホルモー関係なしに、素晴らしかったです。泣きました。(え、なべ丸、実在の人物なんですか。)
ひとつひとつがいとおしい、可愛い作品です。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
この物語は「鴨川ホルモー」の"外伝"です。京大青竜会の安倍くんたちの怒涛の活躍を描いた前作が"正伝"。
続編ではなく、『安倍くんたちの見えないところで、こんな事がありました』というお話になっている所がミソ。
第1話「鴨川(小)ホルモー」
主人公は京都産業大学玄武組のエース、『二人静』。その名も"定子"(さだこ)と"彰子"(しょうこ)。式神を呼び出して対戦する『ホルモー』の遣い手は一様にヘンな人ばかり。この二人の美女も御多分に漏れずやっぱりヘンです。何しろ"車懸りの陣"の様に繰り出す攻撃に"夢想花アタッキング"とネーミングするセンスでは、そりゃあ男も引くわ(笑)
第2話「ローマ風の休日」
京大青竜会で安倍くんが思い煩っていた時期に、凡ちゃん(髪型とメガネが大木凡人似)こと楠木ふみが初めてのデートをする物語。
同じレストランでアルバイトをしている少年に一目置かれる存在になった楠木さん。数学の宿題を解く為に少年に同行する。その途中、六道珍皇寺の井戸に少年が腕を挿し入れる場面があって、そこがタイトルの由来です。本の表紙絵もそのパロディ。
(どれだけの人がわかるんだ?)
第3話「もっちゃん」
この話だけちょっとヒネリ方が他と違う。
安倍くんの下宿の隣人が「もっちゃん」。安倍くんは京大青竜会に所属してホルモーをやっている。もっちゃんが恋をした。ラブレターを書く材料を買いに行った本屋で、直前に買ったレモンを棚に置く…辺りで?となった。もっちゃんは英語に堪能で楽譜を読めて…え?どこかで聞いたような…。正伝をきちんと読んでいれば、納得のいくオチがちゃんとついてます。
第4話「同志社大学黄竜陣」
主人公、山吹巴は高校からの恋人と共に同志社大を受験する。だが失敗。その恋人にとって同志社大は滑り止めで、京大に進学する。男は大学サークルで別の娘と付き合い始め、巴は振られた。恋人の名は芦屋満という(京大青竜会のエースにして安倍くんの天敵)そんな巴が同志社大で、廃止されていた"黄竜陣"の遺物を見つけてしまったことから、芦屋くんに天罰が下る事になる。
第5話「丸の内サミット」
この話には青竜会メンバーは一切出てこない。しかし、ホルモーの新たな側面も垣間見える話です。
中心になるのは京都産業大学玄武組OBの榊原くんと龍谷大学OBの井伊さん。二人は東京の同僚主催の合コンで再会する。二人はそれぞれの大学でリーダーだった為に面識があった。その二人が、合コン終了後に丸の内で異様なものを目撃する。二人の同僚は、それぞれ一橋大とお茶の水女子大出身だけど、もしかして…。
第6話「長持の恋」
立命館大学白虎隊リーダーの細川珠実は超貧乏。それなのに運転免許がほしくなって教習所通いを始める。教習所で会ったのが京大青竜会の高村くん。(何とこの男はちょんまげを結っている)バイト代稼ぎで始めたのは料理旅館の仲居。蔵から旅館の物品出しの最中に見つけた長持に、不思議な性質がある事に珠実は気付く…。
どの話もよく出来ていて、前作との整合性もきちんと取れていて心地よい。物語同士の関連性もあって、それに気付いた時はニンマリしてしまいました。ただ、それだけに前作をしっかりと読み込んだ"上級者向け"とも言えるでしょう。
青春グラフィティであり、ちょっとヘンなファンタジーでもある。
若いって、いいなぁ。好き(笑)
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2024/04/16
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『鴨川ホルモー』再読後の『ホルモー六景』
『鴨川ホルモー』の後日譚かと思ってたが、スピンオフ。
京都産業大学玄武組の『二人静』定子と彰子が争う『鴨川(小)ホルモー』。
圧倒的な強さを誇っていた玄武組が、京都大学青龍会に負けた原因がこれだったとは…
デートしている相手が横で、訳の分からない鬼語を突然話し出すと…
去っていくよな…
定子と彰子の恋はどうなったのか…
凡ちゃんこと、楠木ふみに淡い恋心を寄せる『少年』の『ローマ風の休日』。
凡ちゃんの背中を押して、安倍に告白させたのが、『少年』だったとは…
凡ちゃんと安倍の恋はどうなったんだろう。
あの書店に果物を置いてくる短篇の舞台裏『もっちゃん』。安倍は安倍でも… 安倍の友だち『もっちゃん』。何か、違和感が…
時代が違っていたとは…
時代が違っても、安倍は女性の身体の一部に執着するのは変わらないなんて。
安倍の先祖だったんだろうか…
巡り巡って、もっちゃんの懐中時計が現代に…
ホルモーと文明開化期の謎を追う『同志社大学黄竜陣』。
プラス10人はこれか…
薩摩からさつま芋しか…
ISINから明治維新がでてこないとは…
新島襄にクラーク博士もホルモーに絡んでいたなんて。
芦屋の元カノ・巴。なかなかの個性の持ち主。
同志社大学黄竜陣とのホルモー、見てみたい。
『鴨川(小)ホルモー』とニアミス。
東京でも⁇『丸の内サミット』。
京都産業大学玄武組・元会長・榊原康と龍谷大学朱雀団・元会長・井伊直子が、3年半ぶりに丸の内で再会。そこで見たものは…
東京でも『ホルモオオオォォォーッ!!』が響いていたとは。
本能寺の変にまつわる時代を超えた恋愛『長持の恋』。
立命館大学白虎隊・第500代会長となった細川珠実。『孤のは』の蔵の長持を通して、柏原大鍋と時代を超えて…
ここから高原の恋に繋がるのか。
『鴨川ホルモー』のスピンオフ。
にもかかわらず、面白さは『鴨川ホルモー』以上。
『鴨川ホルモー』続編。期待してしまう。
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「鴨川ホルモー」のスピンオフ。
「鴨川(小)ホルモー」
京都産業大学玄武組、二人静の話。
定子と彰子という登場人物の名前を知って、一気に好きになってしまった。
そんな二人に挟まれる男は、もちろん一条くんである。いいね。
女同士の決戦は、男同士のそれよりも、宿命的なものを背負っていないことが多くて、それが魅力的だなと思う。
世界を背負う前に、自分の本音で戦う彼女たちだから、好きになるのだろうな。
「ローマ風の休日」
凡ちゃん推しなら、この一話に深く感動するに違いない。と勝手に断言させてもらう。
なぜ彼女が、ホルモー本編で驚異的な力を振るったかがよく分かる。
個人的には、ホルモーの終盤でヒロインの座を掻っ攫っていく、凡ちゃんが好きだ。
全然関係ないけど、ある程度のキャパシティを持つホールの采配出来る人ってかっこいいよねー。 -
鴨川ホルモーのスピンオフ小説だと思う。
だけど私は鴨川ホルモーよりホルモー六景の方が好きだと思った。
なんかウルっとしそうになる箇所が幾つもあった。
歴史が絡むストーリーも好き。 -
ホルモーの裏話的な短編六つ。
「長持の恋」はよかった。
時空を超えたロマンス!
ありがちなのに、よめる展開なのに、うるると泣けてしまった。
個人的に、梶井基次郎の「檸檬」がとても好きなので、オマージュというかそういうのはちょっと複雑。 -
鴨川ホルモーを最近読んで、面白かったな〜と思っていたところ、他の方の本棚で「ホルモー六景」を見つけ、早速図書館で借りました!
「鴨川ホルモー」のそれぞれの人の恋愛模様と、歴史の絡みが面白かったです。
どの話も面白かったけど、私のお気に入りは「ローマ風の休日」と「丸の内サミット」。
ぼんちゃんの能力の高さと自分に足りないことを克服しようとまっすぐに努力する姿が素敵だなと思いました。
東京での合コンで集まった4人がみんなホルモーに関わる人だったというオチに笑ってしまった。
あんなに隠してたのに…笑 -
鴨川ホルモー登場人物を別な視点から、面白く奇怪に繋がり合わせて語っている…
万城目さんらしいユニークな展開!!
鴨川ホルモーの裏話的なところは面白かったが、新たな展開があるのかと期待していたが、続編が出るという内容ではなさそうだ… -
スピンオフだったから500代目のメンバーがどうなってるのか気になりました。
でも長持の恋はキュンときたし、そこからの高村なのかな〜と。
他の作品も繋がるところあって面白かったです。
二人静は結局何だったんだ?