マグマ (角川文庫)

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著者 : 真山仁
  • 角川書店(角川グループパブリッシング) (2009年8月25日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (425ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784043943098

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マグマ (角川文庫)の感想・レビュー・書評

  • 978-4-04-394309-8 425p 2012・7・15 8版

  • 本を閉じた時に胸に生じた熱い気持ちをどうしたらよいのだろうか。
    これは大人のファンタジーだと思う。感動も当然したがそれ以上に高揚感のある作品だった。読み終わった今余韻が残っていてそのまま次の読書にシフト出来ない。

    所謂ハゲタカと呼ばれる外資系のファンドに勤務する野上妙子は、地熱発電の会社を買収再生する任務に当たる。採算ベースに乗せ、会社を売却し利益を得る。リストラをし会社を立て直そうとする妙子と、地熱発電への熱い想いを持つ研究者と衝突する。
    研究者と衝突しレクチャーを受ける度に深まる疑問。事故のリスクを伴う原子力発電と比して、地熱発電は夢のエネルギーとも言える。何故エネルギーの選択肢として狭間へ追いやられているのか。
    研究者達と解りあうごとに深まっていく地熱発電への希望。妙子は次第に彼らに惹かれていく。
    しかし彼らの純粋な志は、否応無しに憎悪渦巻くパワーゲームに巻き込まれ翻弄されていく。果たして地熱発電はこの国に根付くのか。鬼子として葬り去られるのか。

    経済小説は旬の物であり、時間が経つと陳腐化し過去の遺物として忘れ去られていく。この作品も現実に追い越され、夢物語の残滓のように感じられてしまうかもしれない。しかし、これは世の中の理想の形を追い求める小説という形態の中では傑出した作品だと思う。
    何よりもこれだけの情報量をまとめて一つの物語を作り上げ、その中にこれだけの人数の登場人物を登場させながら薄っぺらにしない、一本筋の通った作品に仕上げる。これは中々出来る事ではないと思う。

  • 原子力の代替となるかどうかは別として、地熱発電にもっと力を入れていいような気がするが、本当に原発ゼロでもその動きは鈍かった。やはりコストなのか。開発の難しさなのか。時間がかかるだけなのか。でも、日本においてこの発電をやらないということはないという認識を新たにした。

  • 事実は小説より「大」なり。
    東日本大震災で明らかとなった、原発の危険性、電力会社や国の隠蔽体質は、震災が起こる前から明らかにされていた。
    そして現在も原発を国の重要なベースロード電源として定めた政府には、様々な利権が絡み、クリーンエネルギーへの転換が妨げてられているという構図がなんとなくイメージできた。
    今明らかにされている原発事故はまだまだ氷山の一角で、地熱発電をはじめとする様々なクリーンエネルギーについて国民一人一人が考えていく時代なのだな、と痛感。
    フィクションに感じさせないリアルさとそれぞれのキャラクターの物語が相まってボリューミーな内容になっています。人を説得させる話術も勉強になりました。

    May. 29, 2015

  • 真山さんの本を読むとゾクゾクして面白い仕事がやりたくなる。
    この本は仕事に対する熱意を抱かせてくれるとともに、震災後の原発問題や再生可能エネルギーへの取り組み等の企業の社会的責任およびそれに対する機関投資家の責任といった日本でここ数年話題・課題となった諸々について、2008年にして既に予測・方向性を提示してくれていたかのように見受けられ、非常に驚きを感じさせてくれた。

    また、企業の社会的責任という前に、一個人としての社会的責任を果たせているか、信念はあるのかと考えさせられた。
    たった一個の命なら自分の命の燃やし方は自分で決めたい。

    個人的にちょうど部下問題にぶつかっていたので、以下の言葉が沁みた笑笑。
    他人に原因を置く限り、解決しないで同じことでイラつくので、自分がどうできるか次第ってモットーを思い出すことができた。

    どんなクズでも飼いならしてこそマネジメント。

  • 勉強になると同時に面白さを感じることができる作品。倒産した地熱発電会社を再生すべく、投資ファンドから出向した社長が社員と共に奔走していく作品。地熱発電の仕組み、メリット、参入への障壁を学ぶことができ、参入に向けて様々なところへ手を伸ばしていくやり方も含まれており面白かった。真山さんの作品を初めて読んだが今まで読んだ小説で一番面白かった。

  • 東日本大震災以前に出筆された事を思うと・・・

  • 地熱発電については、小学校の社会の授業で発電の種類のパーセンテージをあらわす円グラフで見た記憶がある。火山大国なのに少ないな、と思った。
    本書を読んで、いろんな要因がある事に納得。原子力の安全性についても。その後3.11が起こるとは!
    いまだに現状は問題山積です。
    電力に限らず、利権や既得権益のために事業が進まないという体質が今の日本の衰退を招いているのかもしれませんね。
    もちろんエンタメとしても面白かったです。

  •  小説の出来・不出来というより、中心人物のほとんどが好きになれず、私にとっては、大変後味の悪い本でした。彼らの行動はみな、基本的には金儲けや私怨に基づいていて、最も大切なはずの人の命や幸福は、彼らの中では目標達成のための「作戦」の一要素、方便でしかなく、「ついで」のようなものです。
     物語は一応、明るい終わり方をしますが、仮に地熱発電が人類の幸福に大きく寄与する素晴らしいものであっても、より儲かる方法が見つかったら最後、簡単に切り捨てられていくのでしょう。
     地熱発電についていろいろわかったのは収穫でしたが、作者がこうした構図を大して批判しないまま、この本を希望の物語として書いていることに、私は暗欝な気分になりました。特に主人公の野上妙子ですが、彼女には人間や環境を語る資格などなく、最後に流す涙など空々しくて、全く感情移入できませんでした まあ、実際、こんな程度の嫌な奴らが、この国を動かしているのでしょうが。
     参考文献に高木仁三郎の本が挙げられているのですから、もう少し、真っ当な人間を登場させてほしかったです。

  • 総発電量に占める地熱発電の割合は0.2パーセント。原子力発電3割。

  • じつに 先駆的な物語。
    原子力発電の危険性を指摘しながら、
    地熱発電の可能性を語る。
    地熱発電のことをほとんど知らなかった。

    クリーンエネルギーとは 風力や波力と太陽光
    というイメージだったが 日本の足元に
    大きなエネルギー源があるとは。

    野上妙子。
    地アタマがいい人なんでしょうね。
    オンナを意識しない仕事人。やるんだよね。この人が。
    ジェントルマン的な ハゲタカファンドのエース。
    ファンドの日本の代表 待田。
    ちょっとせこい感じで、大将の器ではないような。
    タッチアンドゴー がハゲタカ的利益を上げる方法。

    地熱発電に情熱を捧げる 御室。
    なんと言っても、ささえる奥さんが素晴らしい。
    意地そして執念。
    親友というべきか そのオトコの遺志を継ぐ。

    シェークスピアの研究をしていた御曹司 安藤。
    安藤の祖父が国会議員。そして、原発のドン的存在。
    それが 地熱へ切り替えようとする。

    確かに、原発技術は 核兵器技術につながって行く。

    地熱の熱源のあるところは 温泉があり、
    国定公園がある。
    その規制が 地熱開発を抑制する。

    ジオエネルギー。
    その可能性を 追求する。

  • 日本の地熱発電再生に向けたお話。
    ターンアラウンドの現場で、従業員とのやりとりがとても魅力的な一冊。

  • 20151010 地熱発電のお話。あっ!驚くような大どんでん返しがなく、目の前の問題が1つづつ解決される。地熱発電所の研究者小室の生き様が美しい。

  • 震災前に書かれた小説。原発の危険性を認知した上で、輸入エネルギーに頼らない地熱発電を運用するまでの話になっている。
    技術的な問題点よりも、政治的な問題点にフォーカスされており、有用な資源が眠っていても、電源として使用できないもどかしさが描かれている。
    フィクションとして大企業が何社か登場する。一方、合理性より利権が優先される原発推進はノンフィクションのようでもある。

  • 地熱発電についての経済小説。

    こういう小説で描かれる女性がどうも、どの経済小説でも典型的な人格なのがすごく気になるというか、ある種の偏りすら感じますが、内容とは無関係な話なので、置いておきます。

    震災前に出版され読んだ本ですが、震災後改めて読まれた方も多いのでは。

    地熱のむずかしさも含め、小説であるにしてもうまく書かれているので、議論の下地としては参考になる部分もあるかと思います。

    小説化にあたっては、あまり知られていないけど面白い、新しく活用が見込まれる新規的な分野としてスポットが当てられたのだと思うので、原発の議論に関わらず、今後も活用に向けてどんどん進めていってほしい話でもあります。

  • 3.11前に反原発内容でこの地熱発電をテーマにして書かれている恐ろしさよ。
    トヨタとオリエンタルランドとソニー出てきた時は「ファーww」思った。いいぞ、もっとやれ。
    実際の地熱発電運用について、作中の通り資金面、政治面うんちゃらかんちゃらで大変だとは思うけど、どっかで方向転換しないといけないんだろうなあ、と思った。

    発電単価や排出される二酸化炭素の数値がぼんやりしているのはなんか気持ちわるいなあ。この小説が、じゃなくて、業界的に。

  • 日本には、地熱という恵まれたエネルギー源があるにもかかわらず、それが何故利用されていないのか。その原因を描写している。
    地熱発電に全く知識が無かったが、この本を読んで非常に興味がわいた。

  • 2011年の3.11の原子力発電所の人災を予期していたかのような内容で2015年の今読んでも、つい唸ってしまう。

    原子力が発展してきた背景には一度手に入れてしまった神の火を生活水準を落とすことのできない国民が、原発推進派の脅しによって、今もここまできている。

    実際に原発を何基か止めても生活、経済に影響はないのではないかと思う。
    大きな政治力が働いているのを感じる。

  • 地熱発電について詳しくなるかも。文庫一冊で真山作品としては短め?だが上手くまとまっている。

  • 経済小説としては軽めのタッチだが、初めて読んだ真山仁、面白かった。何がすごいって、地熱発電をテーマにしたこの小説が、2011年3月の大地震より前に書かれたということ。後に起こることを予想したかのようで恐ろしい。
    外資系ファンドが日本の地熱発電を投資先として狙う。日本には国が誇る原子力発電所が各所にあるが、その安全性は確認できておらず、事故は隠蔽され、外国からの圧力や政治や官僚たちの思惑もある。地熱発電が主要電力源となれない背景や、原子力が推進されてきた歴史など、よく調べて書いてあり、いろいろ勉強になる。
    一つ難があるとすれば、キャラクターがステレオティピカルで薄っぺらい。主人公は東大出身の周りが引くほどの美人でスタイルも良く、他の登場人物も東大出身でホストのような外見だったり、欲深く脂ぎった外資系金融の男が出てきたりする。
    経済小説を初めて読む人におススメ。

  • 地熱を外資ファンドが買収し、地熱を盛り立てていく話。
    これ読むと原子力より地熱がいいな、って思ってしまう。
    そこまで大きなドラマはない。地熱を描きたかったのかな。

  • もっと地熱発電が活用できたらいいのに。日本の資源だよ。

  • 地熱発電というテーマを中心に、社会の上層が垣間見える。コラプティオでは原発推進、マグマでは原発撤廃。未来のためにどちらを選ぶべきなんだろう。

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マグマ (角川文庫)の作品紹介

外資系投資ファンド会社勤務の野上妙子が休暇明けに出社すると、所属部署がなくなっていた。ただ1人クビを免れた妙子は、支店長から「日本地熱開発」の再生を指示される。なぜ私だけが?その上、原発の陰で見捨てられ続けてきた地熱発電所をなぜ今になって-?政治家、研究者、様々な思惑が錯綜する中、妙子は奔走する。世界のエネルギー情勢が急激に変化する今、地熱は救世主となれるか!?次代を占う、大型経済情報小説。

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