不思議の扉 時間がいっぱい (角川文庫 あ 101-2)
- 角川書店(角川グループパブリッシング) (2010年3月25日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (283ページ)
- / ISBN・EAN: 9784043943401
作品紹介・あらすじ
古今東西の短編小説から不思議な味わいの作品を集めたアンソロジー第2弾のテーマは「時間がいっぱい」。笑いを誘う話から怖い話、ほのぼのする話まで、盛りだくさんでお届けします。-同じ時間が何度も繰り返すとしたら?時間を超えて追いかけてくる女がいたら?想像力の限界に挑む、時間にまつわる奇想天外な物語の傑作集。
感想・レビュー・書評
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中高生向けの時間SFアンソロジー。
○しゃっくり 筒井康隆
タイムループものの元祖(?)なのかな。
やっぱ発狂するよなっていう。
○戦国バレンタインデー 大槻ケンヂ
さすがにチープ過ぎた。
○おもひで女 牧野修
いちばん良かった。記憶の中にいたはずの女が現在に迫ってくる。
○エンドレスエイト 谷川流
やっぱまあ、ビューティフルドリーマーみたいな。
まあ、あらすじ知ってたらこんなもんかっていう。
○時の渦 星新一
ショートショートの落ちらしい。
○めもあある美術館 大井三重子
思い出が絵になって展示されている美術館。
○ベンジャミン・バトンの数奇な人生 フィッツジェラルド
相当怖い話じゃんこれ。
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筒井康隆「しゃっくり」、フィッツジェラルド「ベンジャミン・バトン」、星新一「時の渦」、涼宮ハルヒシリーズより「エンドレスエイト」…他。
新旧バランスのとれたアンソロジーです。読み口は軽め&やわらかめ。空いた時間にさらっと読めて後味もいいです。
普段あまり本を読まない人や、最近読書から遠ざかっていたけどまた読みたい人のリハビリにおすすめ。
これで筒井康隆の下劣きわまりない文章がなければ学生さんにも安心して薦められるのですが…。 -
時間をテーマにした大森望さん編纂のアンソロジー第2弾。
ベンジャミン・バトンから涼宮ハルヒ、古今東西、色眼鏡で見ることなく「面白い」と感じた作品を集めており、時間をテーマにした小説の幅広さを感じることができる一冊。
「時をかける恋」は「恋」という一つのくくり方があったが、今回の「時間がいっぱい」はそういう「時」というテーマをくくる紐がないので、ちょっと不安定な感じがします。
個人的にはものすごく好きなシリーズなので、続けて欲しいなぁ。 -
アンソロジー作品で「大森望」がセレクトした小説集『不思議の扉 時間がいっぱい』を読みました。
時間にまつわる世にも奇妙な物語を集めた作品集で「不思議の扉」シリーズの第2弾です。
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古今東西の短編小説から不思議な味わいの作品を集めたアンソロジー第2弾のテーマは「時間がいっぱい」。
笑いを誘う話から怖い話、ほのぼのする話まで、盛りだくさんでお届けします。
―同じ時間が何度も繰り返すとしたら?
時間を超えて追いかけてくる女がいたら?
想像力の限界に挑む、時間にまつわる奇想天外な物語の傑作集。
「筒井康隆」、「大槻ケンヂ」、「牧野修」、「谷川流」、「星新一」、「大井三重子」、「フィツジェラルド」が描く、時間にまつわる奇想天外な物語!
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「大森望」がセレクトした"時間モノ"のSF作品やファンタジー作品7篇が収録されています… タイムトラベルが中心ですが、同じジャンルであっても、それぞれ特色があり、多彩なバリエーションが愉しめましたね。
■筒井康隆 しゃっくり
■大槻ケンヂ 戦国バレンタインデー
■牧野修 おもひで女
■谷川流 エンドレスエイト
■星新一 時の渦
■大井三重子 めもあある美術館
■フィツジェラルド(訳=永山篤一) ベンジャミン・バトン 数奇な人生
■解説 タイム・アフター・タイム ――時間をめぐる冒険 大森望
個人的に気に入ったのは、「筒井康隆」の『しゃっくり』、「大槻ケンヂ」の『戦国バレンタインデー』、「大井三重子」の『めもあある美術館』の3篇ですね… 特に1960年代に描かれた『しゃっくり』、『めもあある美術館』は、とても印象的な作品でした。
まるで時間がしゃっくりを起こしたように、何度も同じ10分間が繰り返される… 何をやっても10分後には全てリセットされて、残るのは記憶だけ、、、
時間の檻に閉じ込められた人々の運命は… 今から50年以上も前の1965年(昭和40年)に描かれた元祖"時間ループモノ"の『しゃっくり』がイチバン印象に残りましたね。
"時間ループモノ"で印象深い「ケン・グリムウッド」の『リプレイ』や、「乾くるみ」の『リピート』よりも、もっともっと以前に、こんな作品が描かれていたなんて… でも、同じ10分間に閉じ込められてしまったら、まともな精神状態を保つことができないでしょうね。
ゴシック&ロリータの少女「留名(るな)」が戦国時代にタイムスリップ!?兵糧攻めにあっているお城のお姫様につかまり、「わらわにその着物を貸せ」と迫られて、さあ大変… これはバレンタインの勝負服だったのに、、、
ユーモラスなどたばたSFが愉しめる『戦国バレンタインデー』は、バカバカしいけど「大槻ケンヂ」らしさが前面に出ていて面白い作品でした。
『めもあある美術館』は、姉の頭髪を引っ張って泣かせ、母に叱られ、針箱のへりをふんでひっくりかえし、下駄をつっかけて家を飛び出した"ぼく"が主人公… "ぼく"が、あてもなく歩いていると、古道具屋があり、そこには額縁も無い、板に描かれた亡き祖母の油彩画があった、、、
"ぼく"が未就学児であったころの、亡き祖母が風車を持つ絵である… その絵を購入した長身の男性について行くと、男は、この絵はきみが描いた絵であって、めもあある美術館に持って行くのだという。
そこにはなぜか、"ぼく"の氏名の木札が掲げられた部屋があり、扉の中の室内には、飼い犬の絵、隣家の「スエちゃん」の絵、機関車の玩具の絵、その隣りに祖母の絵その他が掛けられ、最後の絵は、針箱を蹴飛ばしている"ぼく"の絵だった… その先は中身が空の額縁ばかりが掛かっており、男は「きみはこれからこの額のなかに絵を描きつづけてゆく、1枚でも見たくなったならばいつでも見に来るように」と言い、玄関石段まで見送ってくれる、、、
どこかに自分の名前の部屋があり、そこには自分の歴史を描いた絵画がある… そんな気持ちにさせられる不思議な作品でした。
1961年(昭和36年)に描かれた作品だそうです… 魅力的な小品でしたね、、、
ちなみに「大井三重子」って、「仁木悦子」の別名なんだそうです。 -
こわいけどどれも面白い
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小説
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2016年2月13日読了。大森望編集による、過去/未来への移動・繰り返し・遡行・逆転などの、「時間」をテーマにしたSFアンソロジー。「同じ時間を繰り返す」リピートものはコンピュータゲームなどに馴染んだ比較的最近の世代の作品かと思っていたが、筒井康隆にこんな短編があったとは知らなかった、ただ「自分だけ同じ時間を繰り返す」のではなく、「全ての人が繰り返したことを記憶する」こと、その理由が明示されないのが時代か・・・。フィッツジェラルドの「ベンジャミン・バトン」もこのラインナップにあって異色とも思ったが、最後にいい余韻を残してくれてこのアンソロジーの品質を高めてくれている感もある。面白かった。
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