退出ゲーム (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
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感想 : 403
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  • Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784043943715

作品紹介・あらすじ

「わたしはこんな三角関係をぜったいに認めない」-穂村チカ、廃部寸前の弱小吹奏楽部のフルート奏者。上条ハルタ、チカの幼なじみのホルン奏者。音楽教師・草壁先生の指導のもと、吹奏楽の"甲子園"普門館を夢見る2人に、難題がふりかかる。化学部から盗まれた劇薬の行方、六面全部が白いルービックキューブの謎、演劇部との即興劇対決…。2人の推理が冴える、青春ミステリの決定版、"ハルチカ"シリーズ第1弾。

感想・レビュー・書評

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  • 謎を解いたスッキリ感をもう少し感じたかった。
    高校生活の中で起こる謎にしては、難しい知識が必要になる謎だった。
    あらすじから、もっと三角関係や恋愛の要素が大きいかと思っていたけれど、恋愛要素の割合は低かった。
    退出ゲームの設定がイマイチ理解仕切れずなままで読み終えてしまい不完全燃焼。
    最終のエレファンツ・ブレス、最後の最後を祈る気持ちで本を閉じた。

  • ハルチカシリーズ1作目。学園ミステリ。
    設定や謎解きの真相がユニークで、よくある感じでは終わらないので楽しめた。
    主人公たちが吹奏楽部でメンバー集めや練習に奔走している様子も、吹奏楽部出身者としては嬉しかったし、色聴に関しても大学時代少し取り組んだ事柄だったので興味深かった。
    ただ楽しいだけのストーリーではなく、科学現象や歴史的事実とも絡めながら解決していくのも、知識欲が刺激され良かった。

  • 単なる「学園ミステリ」の系譜の一つくらいに思っていたが、これはもっと正当に評価されるべき。

    硫酸銅の結晶、ルービックキューブ、ケニーG、アイガモロボット。
    「学園ミステリ」で扱う題材としては絶妙に外したこのアイテム。
    ここから予測不能の軌道を描いて「10.0」の着地を決める魔法のストーリーテリング。
    連作短篇四篇。三話目の表題作『退出ゲーム』で一気にテンションは揚がり、とどめの『エレファンツ・ブレス』で★★★★★。

    音楽担当の若手男性教師・草壁ひきいる弱小高校吹奏楽部。
    ホルン担当、上条春太(ハルタ)と、幼なじみで中学女子バレーからいきなり高校でフルートに転身した穂村千夏(チカ)をめぐる事件。通称ハルチカシリーズ。

    『結晶泥棒』 文化祭の中止が危ぶまれる、化学部の劇薬・硫酸銅盗難事件。

    『クロスキューブ』 六面全てが「真っ白」のルービックキューブの謎。

    『退出ゲーム』
    吹奏楽部VS演劇部の、威信を賭けた即興劇対決。
    制限時間内に与えられた設定から誰か一人が自然に「退出」できれば、そのチームの勝利。
    「ト、トイレに行ってもいいですか?」
    この一言であっけなく終了できるはずもなく、いかに相手チームを劇中に引き止めつつ、自分たちが「退出」できるシチュエーションに持っていけるかの攻防が熱い。学園ミステリにおける心理戦、コンゲーム的展開の傑作。
    演劇ならではのバカトリックの後に波状攻撃で来る感動。凄い。

    『エレファンツ・ブレス』
    アイガモロボットコンテストの生中継で、放送事故すれすれの問題行動を起こした発明部の萩本兄弟。この二人が今度は学校のホームページを利用して、ドラえもんの秘密道具まがいの発明品を無断で売買した。被害者は二人。生徒会長は秘密裏に返金を行い、事件をもみ消そうとするのだが......
    予測不能の着地が最も美しく決まるのがこの作品。意外なところに張られたさりげない伏線も憎い。

    吹奏楽、化学、生物学、数学パズル、色彩学、美術、神話、演劇、禅、国際政治、ジャズ、近代科学、臨床心理学、歴史、文学、etc...
    作者の抽き出しの多さに驚くとともに、衒学的な押し付けがましさを感じさせずに、必然として物語にさらりと絡ませている懐の深さに感心する。

    ライトで脱力感あふれる導入から重厚な物語へと誘う才能。米澤穂信とも伊坂幸太郎とも違う新たな語り部を発見した幸せ。

    各話ごとにRPGのように吹奏楽部の新メンバーが増えていき、以降の話でしっかり機能しているのも嬉しい。次回作『初恋ソムリエ』も評判がいいので楽しみだ。

    (ここまで書いても、やはり明るく楽しい「学園ミステリ」の側面しか伝えきれていないのが我ながら悲しい。あとは実際に読んで体感して頂きたい。)

  • 謎解きの部分よりもその途中の部分がとても私好みでした。

    全体的にはノリが軽くてアニメチック(実際にアニメ化と実写化もしているようです)なのでそのノリについていければ読みやすいです。私は正直、ギリギリついていけたかな・・・といった感じでした。

    私は2話の「ルービックキューブが流行っていく過程」と3話の「退出ゲーム中の演者のやり取り」と4話の「オモイデマクラのプレゼン」の部分が読んでいて面白かったです。

    次のシリーズまで読んでみて、ついていけるかどうか判断したいと思います。

  • 5 

    これは素晴らしい。高校という日常を舞台にしながらも提示される謎の意外性。巧みに張り巡らされた伏線。無理なく展開していく筋立て。説得力を持って徐々に明かされる謎の解かれ方。そこから導き出される予想外の真相。ちりばめられた蘊蓄。奇人変人とも言える個性的なキャラクター。エネルギッシュな軽口合戦。スライディング土下座。新入部員が一人また一人と加わる期待感(初期ドカベンを彷彿とさせる)。そしてコミカルからシリアスへ一変するダイナミズム。読後感も清々しく、とても好感が持てる。続編にも期待。

  • ハルチカシリーズ第1作目。
    前々から気になっていてようやく読むことができた。

    日常の謎を取り扱った作品。坂木司さんのように 軽い感じのミステリーかと思いきや、PTSDやら、枯葉剤など・・濃い内容のもあった。
    全体的に さくさくと読めて面白かったし、個性的なキャラクターが魅力的です。

    表題の「退出ゲーム」と「クロスキューブ」がよかった。

  • 退出ゲーム (角川文庫)
    著作者:初野晴
    発行者:KADOKAWA
    タイムライン
    http://booklog.jp/timeline/users/collabo39698
    青春とは謎多きものであり、ハルチカシリーズ第一作。

  • 正確に書くと星3.5。
    三角関係と書かれているが、最初の騒動はなんだったんだ?読み落としただけかもしれない。
    思ってたより展開があっさりしていた。
    そんなに部活のことは主じゃないと思っていたら、急に部活の話になって驚いた。

  • 吹奏楽部の話より、ミステリー色の強い一風変わった小説だった。表題にもなっている退出ゲームというのが面白かった。最後のエレファンツ・ブレスは前半との落差が激しい話だった。

  • 我ながら今更であるがハルチカシリーズを一気に読んだ。まだ完結していないんだということにビックリ。間に合ったというべきか。
    中身を知ってから表紙挿画を見直すと、千年ジュリエットまでは私の思い描く登場人物のイメージにぴったりでちょっと萌える。惑星カロンから後はちょっとイメージがずれてしまっていて惜しい。初恋ソムリエの表紙のチカちゃんは橋本環奈に寄せられなくもなさそうだったのだが、実写映画はほぼ黒歴史なのか、あまり情報が上がってこなくて残念。
    やはりシリーズ最初の本巻がミステリ的には惜しげも無くトリックを使っていて面白かった。初出から10年以上が経過して大変な面もあるとは思うが、ぜひチカちゃんたちの高3生活が見たい。初野先生、頑張って!

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著者プロフィール

1973年静岡県生まれ。法政大学卒業。2002年『水の時計』で第22回横溝正史ミステリ大賞を受賞しデビュー。著書に『1/2の騎士』『退出ゲーム』がある。

「2017年 『ハルチカ 初恋ソムリエ 』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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