千夜千冊エディション 観念と革命 西の世界観II (角川ソフィア文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
4.29
  • (3)
  • (3)
  • (1)
  • (0)
  • (0)
本棚登録 : 86
感想 : 4
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (432ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784044005320

作品紹介・あらすじ

観念・革命、生・存在、そして不条理......。マルクスとハイネ、レーニンとトロツキー、フッサールとハイデガー、サルトルとカミュを対比的に展示。近現代の西洋の基本概念を作った哲学者たちのエスプリに迫る。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 第1章 ドイツという観念

    970夜 ヨハン・ヴォルフガング・ゲーテ 『ヴィルヘルム・マイスター』
    390夜 ヨハン・ゴットフリート・フィヒテ 『ドイツ国民に告ぐ』
    1708夜 G・W・F・ヘーゲル 『精神現象学』
    1200夜 フリードリッヒ・ヘルダーリン 『ヘルダーリン全集』
    273夜 カール・フォン・クラウゼヴィッツ 『戦争論』
    789夜 カール・マルクス 『経済学・哲学草稿』
    268夜 ハインリッヒ・ハイネ 『歌の本』

    第2章 神は死んだのか

    678夜 マックス・フォン・ベーン 『ビーダーマイヤー時代』
    1164夜 アルトゥール・ショーペンハウアー 『意志と表象としての世界』
    1023夜 フリードリッヒ・ニーチェ 『ツァラトストラかく語りき』

    第3章 青年・戦火・革命

    643夜 リデル・ハート 『第一次世界大戦』
    749夜 ウォルター・ラカー 『ドイツ青年運動』
    316夜 トーマス・マン 『魔の山』
    941夜 ダニエル・ゲラン編 『神もなく主人もなく』
    104夜 レーニン 『哲学ノート』
    32夜 ロープシン 『蒼ざめた馬』
    130夜 レフ・トロツキー 『裏切られた革命』
    1027夜 ジークフリート・クラカウアー 『カリガリからヒトラーへ』

    第4章 危機の20世紀哲学へ

    1712夜 エトムント・フッサール 『間主観性の現象学』
    1212夜 アンリ・ベルクソン 『時間と自由』
    916夜 マルティン・ハイデガー 『存在と時間』
    860夜 ジャン・ポール・サルトル 『方法の問題』
    509夜 アルベール・カミュ 『異邦人』
    317夜 レヴィ=ストロース 『悲しき熱帯』

  • 「神と理性」に引き続き。
    前半は兎も角、ドイツ。
    冒頭はゲーテ。遠い昔の高校時代に「若きウェルテルの悩み」は読んだ。ドイツ歌曲やゲーテの詩の引用や箴言を見ることはあるけど、詩人のゲーテしか知らなかったんだな。
    (引用)
    (「ファウスト」は)ファウストがメフィストフェレスに魂を売ったという話ではない。壮大な生命観の賛歌をめざした話である。(略)メフィストフェレスは悪魔というより、つねに「悪を欲することによってかえって善をなしている人格」なのである。

    そして、ここに少女への憧憬が絡んでくる。ロリコンとは違うものとある。
    ベルリオーズの幻想交響曲みたいなもんだと思ってたので、意外。
    ゲーテはドイツの知の巨人であったことも本書の中で示される。

    ヘーゲルについて、セイゴウさんは重要概念「絶対知」が表現できていないと指摘する。
    浅はかな感想を云えば、弁証法なんて出鱈目な論理で普遍に至るという考えが理解できない。その先の規定された特殊、統一としての個別なんて更に無理過ぎ。
    61歳で死去。法哲学の先に「絶対知」は目指せたのだろうか。

    ショーペンハウアー、ニーチェ、フッサール、ベルクソン、ハイデガー、サルトル。
    セイゴウさんの切り分け方が素晴らしい。
    ショーペンハウアーは何となく近寄り難く思ってたけど、「ミットライト・ペシミズム」(共苦)として説かれる悲観の凄さ。成程なあ。
    現象学はやっぱり判らないが、発想の原点は得心できた。
    ベルクソン、ハイデガーが存在や意識をギリギリと問い詰めていく手法についての筆の冴え。

    綺羅星の書評とこの編集が大きな精神史となっていることにも感銘した。

  • そうだった.松岡正剛さんによる,コミュニズムとアナーキズムについての解説は,すごく分かりやすいのだった.この本は,もちろん,それだけではないけれど.

  • 圧巻の一言。これを読まずに西洋を語ることができないくらいのすごさ。

全4件中 1 - 4件を表示

著者プロフィール

一九四四年、京都府生まれ。編集工学研究所所長、イシス編集学校校長。一九七〇年代、工作舎を設立し『遊』を創刊。一九八〇年代、人間の思想や創造性に関わる総合的な方法論として″編集工学〟を提唱し、現在まで、日本・経済・物語文化、自然・生命科学、宇宙物理、デザイン、意匠図像、文字世界等の研究を深め、その成果をプロジェクトの監修や総合演出、企画構成、メディアプロデュース等で展開。二〇〇〇年、ブックアーカイブ「千夜千冊」の執筆をスタート、古今東西の知を紹介する。同時に、編集工学をカリキュラム化した「イシス編集学校」を創設。二〇〇九~一二年、丸善店内にショップ・イン・ショップ「松丸本舗」をプロデュース、読者体験の可能性を広げる″ブックウエア構想〟を実践する。近著に『松丸本舗主義』『連塾方法日本1~3』『意身伝心』。

「2016年 『アートエリアB1 5周年記念記録集 上方遊歩46景』 で使われていた紹介文から引用しています。」

松岡正剛の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×