脳からみた心 (角川ソフィア文庫)

著者 :
  • 角川学芸出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784044052195

作品紹介・あらすじ

目を閉じてと言われると口を開く失語症。見えない眼で点滅する光源を指さす盲視。神経心理学の第一人者が脳損傷の不思議な臨床例を通して脳と心のダイナミズムを解説。心とは何かという永遠の問いに迫る不朽の名著。

感想・レビュー・書評

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  • 神経心理学から心のかたちを表現した面白い本だ。本書は神経心理学者である山鳥重氏によって書かれた。
    心についての本はたくさんあるが、本書では神経心理学者が臨床で出会った患者との体験をもとに、疾患が引き起こす心理症状について解説する。その過程で、著者が考える心の機能に関するさまざまな仮説が提出されていて、ユニークで面白い。たくさんの患者の事例を毎日少しずつ楽しませてもらった。
    脳のある部分が活動を停止して現れる症状を見ることで、その部分の機能を明らかにしていく。完成品から部品を外してみて、なんの機能を果たしていたかを明確にしていくようで面白い。理系の方にはもってこいなジャンルだ。

  • これは面白かった。ラマチャンドランの本に比べてやや内容が固かった感じがするけど、紹介されている患者の症状を想像していると、脳って何?心って何?意識って何?って問いがうまれる。特に、脳梁分断されている患者のところでは「意識」というものは人間の心の一部分でしかないということを思い知らされた感じ。

  • 多数の臨床例とともに説明がなされ、わかりやすい。
    ただ、心の特徴や性質はまとめられているが、本当に読みたいのは、心とは何かだったので、残念。

  • なんとなく手に取った新刊文庫(と言っても原著は1985年発行だ)。タイトルや表紙デザインはなにやら初心者だましの気配を感じるが、本書の内容は意外と硬派である。脳神経学/心理学の完全な初心者がこれを手に取ったら、難しい言葉に尻込みしてしまうのではないだろうか。
    失語症、認知科学について語る本書前半は、私がこれまで読んできた本に書いてあったことと変わらず、とくに新しい知見がなくて退屈だった。後半から少々面白くなった。
    本書には脳神経に損傷を受け失語や記憶障害など、さまざまな症状をあらわした患者の症例がたくさん紹介されている。そんなことを患者やその家族に言ってはいけないが、精神医学や神経科の症例というのは、実に面白い。この「面白さ」は、やはり野次馬的好奇心ではあるのだが、心とは何か、人間とは何かといった問題の再考へとつながるものなので、重要だ。
    この本でもあまり多くを語られなかった「多重人格」については、私にはまだわからない点が多い。いつか多重人格に関する詳しい論述を読んでみたい。

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著者プロフィール

現在、神戸学院大学人文学部教授。
1939年兵庫県生まれ。神戸大学大学院医学研究科修了。医学博士。ボストン大学神経内科、神戸大学医学部神経科助教授、東北大学医学系教授を歴任。専門は神経心理学。失語症、記憶障害など高次機能障害を研究。
著書:『脳からみた心』(NHKブックス)『神経心理学入門』(医学書院)『ヒトはなぜことばを使えるか』(講談社現代新書)『「わかる」とはどういうことか』(ちくま新書)『記憶の神経心理学』(医学書院)

「2008年 『知・情・意の神経心理学』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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